門川市長記者会見(2015年6月17日)
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2023年4月12日
市長記者会見(2015年6月17日)
京都市代表団のイタリア訪問について
本日予定しております御報告の前に,フィレンツェ市との姉妹都市50周年記念行事,ミラノ国際博覧会の京都ウィークに出席するために,多くの市民の皆さんとイタリアに訪問してまいりましたので御報告いたします。
今回の訪問は,京都の食文化や伝統産業,伝統文化など様々な京都の魅力を伝えることを京都経済の活性化に結び付けるという点において大きな意義があったと考えております。
フィレンツェ市では,フィレンツェ市役所の近くにある日本の高級かばんメーカー「ゲンテン」さんの京都の職人による展示販売や実演を見学させていただきました。「ゲンテン」さんは,市役所の庁舎にもなっているヴェッキオ宮殿の補修等にも貢献され,フィレンツェ市とも友好的な関係を築いておられます。友禅彫刻を施した革製品や竹で編んだハンドバッグなどを製作されており,ショーウィンドウを多くのイタリアの方,観光客の方が覗かれていました。京都の伝統産業とイタリアのブランドとの融合が更に深まると実感いたしました。
また,ミラノ市では,京都市独自の企画として,現地のバイヤー,飲食業経営者,ホテル,建築関係者,マスコミ等を招待した伝統産業製品の商談会を行いました。京都市が若手職人等を対象に行った作品コンペ「京ものユースコンペティション」の受賞者5名に行っていただきました。陶器,漆,竹製品,西陣織,螺鈿(らでん)などの伝統産業製品をイタリアの様々な装飾品に活かしていく取組について,非常に関心を持っていただきました。伏見酒造組合の増田理事長にも行っていただき,日本酒や京野菜のピーアールなどにも取り組みました。
忙しい中ではありましたが,ミラノ市長にも会うことができ京都と連携を深めたいという市長の意向もお聞きしました。こうした機会を活かして,一過性に終わらず,つながりを深めていきたいと思います。
また,広上常任指揮者のもとで大きく演奏力が向上している京都市交響楽団も,18年ぶりのヨーロッパ4都市公演を行いました。その最後が,フィレンツェの伝統ある「5月音楽祭」でありましたが,とても感動的で,拍手が鳴り止みませんでした。広上指揮者も,「ヨーロッパで確たる地位を確立できた」とおっしゃっていました。
ミラノ,フィレンツェで深めてきた様々な交流を活かして,より一層,京都の経済の活性化や安定した雇用の創出につなげていきたいと決意を新たにしております。
20の団体,京響を含めますと,300人の市民訪問団に参加いただき,非常に意義深い市民外交,都市外交であったと思います。~観光客数・宿泊客数・観光消費額が過去最高に~「平成26年 京都観光総合調査」について
本日は,私から2点御報告申し上げます。まず初めに,観光客数,宿泊客数,観光消費額が過去最高になりました,平成26年の京都観光総合調査についてでございます。
昨年は,京都の観光にとって,大変うれしい出来事がありました。御承知のとおり,月間100万部を誇る旅行雑誌で,世界的に最も影響力をもつと評価されております「トラベル・アンド・レジャー」誌が行った読者投票において,世界の人気都市として「京都」が1位に選ばれました。
ランキングという一つの物差しで評価することは,私自身は京都の価値観とは少し異なると思いますが,これまでから,市民ぐるみで,「美しいまちをつくろう」,「旅行者を温かく迎えよう」,「おもてなしのまち京都をつくろう」と取組を進めてまいりました。その取組の評価であると思いますので非常に嬉しく思っております。
京都市では,これまでから,京都観光総合調査を通じまして,大規模なアンケート調査を行い,観光客の満足度をしっかりと調査し,不満や残念だった点をきちんとお聴きし解消する。そういった,京都の質を高める地道な取組を積み重ね,満足度の高い観光都市・京都に向けた取組を進めてまいりました。
また,2010年に定めた観光振興計画では,5箇年計画で116の事業に取り組んできましたが,昨年,東京オリンピック・パラリンピックの開催決定を受け,1年前倒しで,市民参加のもと,「京都観光振興計画2020」を新たに策定しました。191の事業を実施することとし,本年度はその7割に着手するよう取組を進めております。そういった取組を進める中での観光調査でございます。
まず,観光客数でございますが,過去最高の5,564万人となりました。平成25年も5,162万人で過去最高でしたが,更に402万人増え,7.8%増となりました。これは,海外からのお客様が増えたことに加えまして,祗園祭の後祭の復活,二条城でのアートアクアリウムの開催など,京都の伝統文化の奥深い魅力を知っていただく機会を新たに創出したことが要因だと考えています。
また,「京の夏の旅,冬の旅」,「花灯路」,「京の七夕」,2月開催しております「レストランウィンタースペシャル」など,オール京都で一体となって取り組んできた閑散期対策によりまして,年間を通じて多くの観光客をお迎えできるようになってきました。観光客の皆様が最も多くお越しになる月と最も少ない月の観光客数の差は,平成15年は3.6倍でありました。それが,昨年は1.5倍と大きく縮小しています。あるシンポジウムで旅行関係者が,「京都は観光で地獄を見た。20年前,高台寺の近くには70を超える飲食店,土産物屋があったが,今では半分が店を閉めている状況である。そういった状況からあらゆる取組をしてきた。」という話をされていました。春の桜と秋の紅葉の時期には,観光客がたくさんお越しになるが,それ以外の時は3分の1以下になるという状況もございました。この差が大きく縮小しました。
次に,宿泊客数ですが,こちらも過去最高の1,341万人となりました。前年比で,33万人,2.5%の増となっています。
次に,外国人の宿泊客数ですが,こちらも過去最高の183万人となりました。前年が113万人で過去最高でしたが,更に70万人増えました。伸び率は約62%であります。日本全体の外国人宿泊客数の伸び率は31%ですので,京都では,全国の約2倍に宿泊者数が伸びたということであります。なお,「外国人がどれくらい来られているんですか」という質問がありますが,泊まられない限り国籍はわかりませんので,宿泊された方を対象に調査した結果を発表しております。
また,地域別にはアジアからの外国人宿泊客数の伸びが大変大きくなっていますが,欧米,オセアニアの外国人宿泊客も大きく増加しております。特にヨーロッパからは約8万8千人,35.4%増,オセアニアからは約3万2千人,41.6%増加しております。アジア以外の地域からも多くの方にお越しいただいているのが京都の特徴であります。
政府によるビザの大幅緩和,円安,アジア等の経済成長により訪日観光客が急増していることを背景に,京都市では,一層の観光客誘致を図るため,WiFiの整備や外国人にもわかりやすい観光案内標識の計画的な改善,さらに,非常に便利で人気が高い,歩くまち京都アプリ「バス・鉄道の達人」の開発など受入環境の整備を進めてまいりました。
更に,13言語で発信している海外向け公式ホームページ「Kyoto Official Travel Guide」の充実や「トラベル・アンド・レジャー」誌において「京都」が世界1位に選ばれ世界から注目される中,その好機を活かし,海外の有力メディアに京都の魅力発信を集中的に行っております。また,ドバイ・香港において,海外情報拠点を作りました。ドバイ・香港を含めまして海外拠点10箇所において情報発信を行っています。さらに,世界最大級の口コミ旅行サイト「トリップアドバイザー」との協定による連携の取組,例えば,体験観光をインターネットで申し込める取組も進めてまいりました。こうした様々な取組全体の成果であると考えています。
次に修学旅行生数でございます。109万6千人となりました。宿泊施設関係者と連携した地道な学校訪問等様々な取組の成果であると考えております。全国の修学旅行生の対象生徒数は,344万6千人から340万6千人の4万人減と大きく減少してきております。そういった状況にも関わらず,訪問地としての京都のシェアは昨年比0.2ポイント増の32.2%となりました。中学生で申しますと63.7%,3人に2人が中学生のときに京都にお越しいただいています。昨年は62.3%でございました。中学生が年々減少しているにもかかわらず,京都にお越しになる中学生の数や率は伸びているということでございます。
次に,観光消費額についてでございます。平成26年は観光消費額も過去最高となりました。昨年も7,002億円と過去最高でございましたが,今回はそれより624億円,8.9%増の7,626億円となりました。特に,外国人観光客の一人当たり観光消費額は,12万4千円となっており,昨年の8万5千円から4万円近く,約46%増加しております。
次に,入洛利用交通機関の割合でございます。マイカーを利用して京都にお越しになる方は,平成25年の15.1%から5.2ポイント減となる,9.9%となりました。20年前の平成6年は41.7%でした。それが,平成26年は9.9%と20年間で約4分の1まで減少しております。特に,平成22年1月の「歩くまち・京都」憲章を制定し,全庁を挙げて,歩いてこそ京都,公共交通優先の取組,バス・鉄道の利便性の向上に取り組んで以降,顕著に減少しており,「歩くまち・京都」の取組が全国に浸透してきていると思います。
最後に,観光客満足度調査でございます。昨年10月に策定しました「京都観光振興計画2020」では,2020年に「観光消費額1兆円」,「外国人宿泊客300万人」の計画目標に加えまして,「再来訪意向」,「紹介意向」,「京都のおもてなし度」の評価を着実に向上させ,100%に近づけていくことを目標にしています。
京都を再び訪れたい「再来訪意向」,親しい友人に京都観光を勧めたい「紹介意向」については,日本人観光客・外国人観光客とも「大変そう思う」の回答割合が前回調査から向上しています。また,「おもてなし」についても前回調査から向上しています。
今回の調査から見えてきた京都観光の課題は,これから一つ一つ分析して施策に活かしていきたいと考えておりますが,主な課題は2点挙げられます。宿泊施設と一人当たりの観光消費額であります。
まず一つ目の宿泊施設ですが,平成25年と比べ,観光客数は7.8%の伸びだったのに対し,宿泊客数は2.5%の伸びにとどまっております。この大きな要因は宿泊施設の不足であると考えています。
3~5月,8,10,11月(9月は89.7%で超えていない)は,宿泊施設の稼働率は9割を超えています。そうした中で,宿泊場所が確保できないことが京都観光の最大の不満になっているという話をお聞きします。現在,ホテル等の建設計画も次々と出てきております。また,農家民宿や町家を活かした宿泊施設の整備などの取組も進めておりますが,依然,宿泊施設の充実という点が大きな課題であると実感しております。しっかりと取り組んでまいります。
二つ目の,一人当たりの観光消費額については,宿泊費の項目を除きますと前年並みになっております。今後,一人当たりの観光消費額を増やしていくために,土産品代や食事代,体験観光の充実に力を入れていく必要があると考えております。
観光客の皆様に,京都の奥深い魅力を体験していただく取組を用意することが急務でございます。京野菜や日本酒など,京都の長い歴史や四季折々に美しい自然の中で,世代を越えて育まれてきた「京の食文化」,本物の職人が手間・ひまをかけて創り上げる伝統工芸品,日本文化の神髄といえる京都の伝統文化や伝統芸術などに触れる機会の創出,また,京都市交響楽団や美術館,博物館などを観光とより一層結び付けていくことが大事であります。例えば,外国人観光客実態調査のうち,伝統文化体験の項目を見ますと,着物・浴衣体験は平成25年23.2%から27.7%へと,茶道体験は19.0%から24.6%へと体験割合が高まっています。こうしたソフト面でのきっかけづくりや気軽に体験いただける場所を御案内できることが重要であると思っています。
世界的な京都への関心の高まりを活かし,観光振興計画にございます「京都市認定ガイド」制度の創設や,体験プログラムなど着地型観光ツアーを充実しています。5月からは,24時間対応にサービスを拡充した5箇国語によるコールセンターの対応など免税店拡大への事業者支援などの取組も充実しています。観光振興を市民の皆さんの安定した雇用の創出,京都経済の活性化に活かしていきたいと思っています。
観光は,国内外から訪れ,学び,住み,交流する新たな人の流れを生み出す重要な役割を担っています。また,平和でなければ観光は振興できません。平和都市,世界文化自由都市としての,京都の魅力をしっかりと発信し,京都ならではの深みのある観光振興に市民ぐるみで取り組んでまいりたいと思います。
Kotochika(コトチカ)御池 新たに4店舗が年明け1月オープン!
Kotochika(コトチカ)京都 南改札口の大規模改修で店舗大増床,出店事業者募集!
次に,お陰様で,着実に向上していますコトチカが今年度もますます便利に,パワーアップします。
地下鉄を御利用いただく皆様の利便性を向上させるとともに,駅に新たな賑わいと華やぎを生み出し,同時に,地下鉄の経営健全化を進めるために,京都市では,平成19年度から駅ナカビジネスに取り組んでまいりました。
当初,平成19年度時点での年間収入は,5千6百万円でございましたが,約10倍の5億円という目標を,平成24年度に1年前倒しで達成しました。
現在は,平成30年度までに年間収入10億円を目指しております。昨年度の実績では,8億円に達する見込みでございます。
その駅ナカビジネスの核となるコトチカですが,「地下空間を心弾むワクワク空間に!」,というコンセプトのもとに,乗降客の多い京都駅,四条駅,烏丸御池駅,山科駅の4駅で展開しております。また,整備に併せまして,快適なトイレの新設や,リニューアルなど,駅の快適性を高める取組も実施しております。
この度,店舗面積の大幅な拡充に取り組んできた,烏丸御池駅のコトチカ御池では,新たに4店舗が,来年1月に開業できることとなりました。
新たに加わるのは,医薬品や日用品等を販売する「ココカラファイン」,本市の「京都まちなか観光案内所」事業にも御協力いただいております「スターバックスコーヒー」,市営地下鉄の駅ナカで,初めての本屋さんである,地元・京都の「大垣書店」,リラクゼーションの「ラフィネ」,の4店舗です。店舗面積は約420㎡で,既存部分と合わせますと約600㎡となります。さらに便利になるコトチカ御池を是非御期待いただきたいと思います。
次に,京都駅南改札口の大規模改修についてでございます。この度,八条口方面の南改札口の大規模改修を行います。これは,昭和56年に地下鉄烏丸線が開業して以来初めての改修でございます。コトチカ京都を大きく増床するとともに,大型エレベータの新設やトイレの全面リニューアルなどのバリアフリー化を行い,お客様の快適性を向上させます。
平成24年に開業したコトチカ京都は,現在,たくさんのお客様に御利用いただき,大変好調でございます。今回の大規模改修では,南改札口を中心に店舗を増床し,新たに7区画を設けます。
いずれも,駅の執務室や倉庫,通路等の空間を利用して,職員自らが主体的に考えて,知恵と工夫により生み出した区画でございます。新たな店舗区画の面積は約320㎡で,現行の店舗と合わせると合計約1,000㎡となります。今回も,市民,観光客の皆様の利便性が向上し,喜んでいただける店舗になると思っており,たくさんの事業者の御応募を期待しております。
また,店舗の増床と併せて,お客様がより快適に駅を利用していただけるよう,主に2つの改修をいたします。1点目は,南改札口に,ホーム階とコンコース階を結ぶ20人乗りの大型エレベータを新たに設置いたします。このエレベータは救急用のストレッチャーがそのまま入ることができ,駅の安心・安全がより高まります。2点目は,ホーム階のトイレをリニューアルいたします。段差を解消し,バリアフリーにするほか,赤ちゃんや介護の必要な方のおむつ換えができるシートを備えた多機能トイレにいたします。また,女性の方々のニーズが高いパウダーコーナーも新設いたします。
いずれも平成28年度中の完成を目指しております。是非,御期待いただきたいと思います。市民の財産である地下鉄を京都の発展に生かすために,利便性の向上とともに,快適空間としてのコトチカの充実に取り組み,同時に増収も図りながら,経営健全化にも貢献してまいりたいと思います。
質疑応答
報告案件に関する質疑
(観光振興計画の目標達成について)
記者
外国人宿泊客数や観光消費額は順調に伸びてきているものの,昨年策定された観光振興計画の目標達成にはまだ遠いと感じるが,市長のお考えは。
市長
昨年10月に策定した観光振興計画の,「観光消費額1兆円」,「外国人宿泊観光客300万人」という目標は,かなり高い目標だと考えております。修学旅行生が現在100万人余りですので,「外国人宿泊客数300万人」を修学旅行生に置き換えると,今よりも3倍の修学旅行生に来ていただく計算になります。
計画策定後の1年目で62%ということは,順調な伸びであると思います。なお,急がなくてはいけないのは宿泊施設の整備であります。更なる宿泊施設の充実に取り組まなければならないと思っています。
また,国内観光客も非常に大事であります。「京都は黙っていても人が来られてよろしいな」と言われることがありますが,決してそうではありません。あらゆる努力の積み重ねの結果ですので,積極的な取組が必要です。
今年は,「京の夏の旅」が40周年,「京の冬の旅」が50周年でございます。それを記念して,今月19日から,東京の六本木ヒルズにおいて,大船鉾を披露します。更に,JR東海さんに御尽力いただき,京都の五花街の舞妓さん・芸妓さん40人に東京に行っていただき,「京都にお越しやす」という一大イベントを実施します。そのような取組を民間事業者と一緒にしっかりと取り組んでまいります。
数値の伸びは順調ですが油断せず,より一層,観光都市としての都市格向上,魅力の向上に更に磨きをかけていくことが大事だと思います。
(観光戦略における今後の取組について)
記者
観光消費額を上げるための戦略として,今後,どのような取組を行っていくか。
市長
観光調査は,毎年改善しながら実施しているので,単純に前年度との比較ができない部分もありますが,2010年から「泊まってこそ京都」というフレーズで,京都に宿泊していただく取組を強化しています。京都に泊まっていただくことで,京都の魅力をより深く知ってもらい,同時に,京都の経済の活性化にもつながります。京都を訪れる観光客は増えていますが,宿泊施設の不足から京都に泊まらず,結果として日帰りになってしまうことは非常にもったいないと思います。
調査結果を国別に見ますと,好みが異なっていることも分かります。各国からの観光客の好みに合わせたおもてなしや観光の提案というものが必要だと思います。
また,お土産についてですが,京都は,例えば,粒あん入りの生八つ橋やちりめん山椒,お漬物というのが人気商品です。これらは,外国からの観光客にとっては,日持ちがしないので,お土産として持ち帰っていただくには難しい面があります。外国からの観光客に合わせたお土産を,民間事業者と相談しながら,京都ならではのお土産として開発していく必要があると思います。外国人に非常に人気のあるお菓子も出てきています。伝統ある和菓子屋さんが,外国人観光客向けのお菓子等を開発するような取組も必要であると思っています。
(台湾からの観光客の増加について)
記者
調査の中で,外国人観光客の増加,とりわけ,台湾からの観光客が増えているが,その要因についてどのように考えるか。
市長
台湾からの観光客が日本全体として増えていますが,中でも京都が特に増えています。台湾の方に観光おもてなし大使になっていただいております。その方がツイッター等で京都の魅力を発信されています。あるいは,私も帯書きに協力していますが,京都観光の本を何冊も出版されています。
多くの台湾の方が京都を好きになられ,京都観光のリピーターの方が増えていることはありがたいことであります。同時に,1つの地域に偏らない幅広い国から来ていただく取組も大事であると思います。
着物を着て歩いておられる方の多くが,台湾の方だという声も聞きますし,消費額も多いようです。ありがたいことであります。
(宿泊施設の充実に対する京都市の取組について)
記者
宿泊施設を充実させるために,市として,これからどのように取り組んでいくか。
市長
市内のホテルの稼働率は90%くらいになってきています。年間を通じて90%の稼働率ということは,ほぼ,いつ申込んでも部屋を取れないと言っても過言ではないと思います。一方で,旅館は7割ぐらいの数字になっております。
この状況を受けて,京都の旅館の魅力を,外国人観光客を含めて発信して,旅館の方にシフトしていただきたいと考えています。これには,旅館の受け入れ態勢の改善も必要であります。例えば,旅館の1泊2食付きというシステムが魅力であるという意見と,負担であるという意見があります。朝食だけのお客様も受け入れるような改革を行う,あるいは,1泊2食を魅力として,さらなる充実を図るなど,旅館の強みを生かし,その魅力をどのようにアピールしていくか等の議論を深めたいと考えています。
また,京都の町家や農家民宿などのストックを生かした,宿泊施設の充実につなげていきたいと考えています。
それ以外にも京都には,今,いくつかのホテルの進出計画がございますので,しっかりと京都の景観にマッチした宿泊施設ができるよう,積極的に相談に応じていきたいと思っています。
(これからの観光戦略について)
記者
京都を訪れる観光客は,年配の方が多いが,若い方向けには,情報発信等を行わないのか。あるいは今後も年配の層を中心に働きかけていくのか。
市長
あらゆる年齢層,あらゆる興味関心のある方に,満足いただけるというのが京都の魅力であり,都市の性格であると思います。
一時期,中学生の修学旅行は,どっとスキーにシフトされましたが,それが京都に戻ってきています。京都の魅力は,若い人が学び,感動することができるまちであるということです。例えば,水族館ができ,動物園を充実させる取組を行っています。さらに,鉄道博物館が来年の春には完成します。様々な年代の方にますます魅力的な京都になっています。そうした取組を進めてまいりたいと思っています。
観光大使もお願いしている小山薫堂さんが,「年齢ごとに京都のまちというのは感じ方が違う。学生等の若い時の楽しみ方がある。中年になり,子どもを連れてきて楽しめる。また,高齢になってから感じられる奥深さがある」というように,おしゃっています。そういう魅力が京都のまちにはございます。今,どちらかというと中高年の方が人数的には多いですが,若い人にも京都市の魅力をどんどん発信していきたいと思います。
現在,和服を着てまちを歩かれる方が増えており,台湾の方も多いですが,日本の若い方も増えています。若い方が二人で和服を着て歩かれる。こういうことが非常に増えています。これは,新しい傾向であると思います。
日本酒で乾杯の行事を錦市場やみやこメッセ,蔵元などで実施していますが,このような場面では,高齢者よりも,特に若い方,特に女性が増えています。
(観光振興計画の目標達成について)
記者
観光は重要だということだが,市民生活や京都経済の活性化に十分繋 がっているとお考えか。
市長
京都市内,この20年で見ますと,製造業は3兆円から2兆円に減って おります。これは,全国の大都市が,2次産業から3次産業に代わっている傾向ということですが,京都は伝統産業が厳しい,規制が厳しいので市内に工場が建てられないという状況もあります。一方,観光消費額は20年前に4千億でした。これが7,626億円と約2倍になりました。京都経済の活性化に大きな役割を果たしている。ひいては,市民生活の向上に大きく貢献している。これは客観的な事実であります。同時に,国においても観光を基幹産業にすると仰っておりますが,その先頭を京都が担うことが重要だと思っております。観光と伝統産業の振興を繋ぐ,伝統文化の振興に繋ぐ,あるいは観光を安定した雇用の創出に繋ぐ。まだまだ大きな可能性を秘めております。その一つがグレードの高い宿泊施設を誘致し,又は民家などを利用して,住民が主体的に運営して安定した所得に繋げるということが大事だと思います。例えば,空き家対策と観光を繋ぐ。農家の規制緩和をしましたので,久多地域や京北地域で農家民宿をやろうという話もあります。
(観光振興計画の目標達成について)
記者
免税店の対応など,京都市はどのような対策を取っていくつもりか。
市長
免税店のワンストップ相談窓口を作り,かつ言葉の壁が非常に大きいので,免税店向けのコールセンターを昨年の秋から開設し,5箇国語での電話通訳サービス及び店舗内表示等の翻訳サービスを開始しました。今年の5月からは,コールセンターの対応時間を24時間にするとともに,店舗内表示等の翻訳言語を11箇国語に拡充しております。これは日本で京都市だけが行っています。小さいお店でも,どの国の方が来られても,外国 語対応ができます。
さらにイスラム圏のお客様もじわじわと増えております。例えば,ス カーフですね。これを京都の織物で作る,染物で作る。一緒に商品開発をして,そうしたものを作れば売れると思っています。イタリアでは,仏像に使われていたラデンをブローチやイヤリングにしています。これが外国でよく売れるそうです。同じように,京都の職人さんが作ったものを外国の方が使えるようにする取組も重要だと考えています。パリ,ミラノ,フィレンツェ,上海で商談会を開催し,伝統産業製品の魅力発信に努めております。
報告案件以外に関する質疑
(朝型勤務の導入について)
記者
総務省が朝型勤務の導入を推進するということで,全国の自治体に, 1~2時間早めた出勤を要請しているが,市長はどのようにお考えか。
市長
観光では,朝の観光に力を入れています。ぐるなびさんと協定を結び,発信していただいて,有り難いと思っています。市民生活全体では,気運が盛り上がっておりませんので,もう少し議論を深めていく必要があると感じております。
記者
今年度の導入は難しいとお考えか。
市長
その通りです。
(選挙権年齢の引き下げについて)
記者
本日,選挙権年齢の引き下げに関連する法案が成立し,来年の参議院選 挙から適用されますが,市長のお考えは。
市長
私は賛成です。選挙や政治に関心を持つ。小・中・高等学校におきまし て,民主主義や選挙制度の重要性を学んでもらっているわけですが,若い人の投票率が下がっている状況です。有権者の皆様に,法律の趣旨が理解していただけるように取り組んでまいりたい。
(安保関連法案について)
記者
この国会で最重点の安保法案について,3人の憲法学者が違憲と表明し ましたが,市長は合憲と考えているのか,違憲と考えているのか。
市長
合憲か違憲かの意見を述べる立場にはございませんが,大事な問題だと 思っています。日本が平和な国として,国民の命,暮らしを守っていく。同時に,世界の平和に貢献していく。そのために,政府におかれましては,説明責任をしっかりと果していただき,十分な審議をしていただきたいと思っております。
(高齢者の地方移住について)
記者
先週,政府の「まち・ひと・しごと創生会議」で地方創生基本方針の骨子が提示され,高齢者の地方移住を促すという方針が明らかになりましたが,市長の受け止め方は。
市長
東京の一極集中を是正して,日本の均衡ある発展を促す。一人一人の国 民の幸せと,各都市のまちの発展のためという,基本的な考えは大事でありますし,我々も取り組んでいきたい。高齢者の地方移住については,若いときに集団就職で東京へ行き,年齢を重ねて故郷へ戻りたいという気持ちを実現する視点から考えるのは良いことだと思いますが,東京に高齢者施設が足りないから,地方に割り振るという視点で考えるものではないと思います。
記者
京都市として高齢者の移住を促進する取組みは進めていくのか。
市長
高齢者だけに視点を当てるのではなく,幅広い人が京都へ移住したいという希望に応えていきたいと思っています。
(原発事故の自主避難者に対する支援について)
記者
福島県が避難先の無償提供を28年度末で打ち切るという方針を出した が,京都市はどうするのか。
市長
まだ結論を出していないので,福島県の意向も確認しながら考えていきたいと思います。
お問い合わせ先
京都市 総合企画局市長公室広報担当
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