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共同記者会見(2015年1月26日)

ページ番号179028

2023年4月12日

「琵琶湖疏水通船復活」試行事業の概要について(共同記者会見)

琵琶湖疏水船下り実行委員会(事務局:上下水道局総務部経営企画課(電話672-7709))

1 出席者 

  門川 大作  (京都市長)

  越  直美  (大津市長)

  山田 有希生 (琵琶湖疏水船下り実行委員会委員長・京阪電気鉄道株式会社経営統括室事業推進担当部長)

  水田 雅博  (琵琶湖疏水船下り実行委員会副委員長・京都市公営企業管理者上下水道局長)

 

 

2 次第

 ⑴ 京都・大津両市長挨拶

 ⑵ 「琵琶湖疏水通船復活」試行事業の概要について

 ⑶ 質疑応答

 

 

3 記者会見内容

(両市長挨拶・事業概要説明)

門川市長:

 一昨年の12月に越市長と一緒に琵琶湖疏水の船下りをさせていただき,その素晴らしさに感激しました。世界の最先端の技術を用い,日本人の力で開削された琵琶湖疏水の素晴らしい技量,先人たちの志の高さを改めて実感しました。

 昨年1月に琵琶湖疏水通船の復活を目指し,課題整理等を行うプロジェクトチームを立ち上げ,以来,京都市と大津市,水田上下水道局公営企業管理者をはじめとし,5回にわたり徹底した議論を深めてきました。そして民間の事業者を含めた実行委員会を設置し,民間ベースでの具体化の議論も行い,山田委員長をはじめ,関係者の皆様にも熱心な議論を深めていただいたところです。

 今,地方創生が大きな話題となっています。明治維新で人口が35万人から20万人近くまで激減するという都市存亡の危機に襲われたこの歴史都市京都ですが,この時期に私たちの先人は,たゆまぬ努力により地方創生を実現しました。この琵琶湖疏水の通船の復活は,地方創生が叫ばれる中,先人の知恵,志の高さ,実行力を改めて再認識し,未来に活かすことにもつながると私は確信しています。さらに,大津・山科・岡崎地域の活性化,琵琶湖と京都の連携を深めたインバウンドにも役立つと確信しています。

 この春,試行事業を行いますが,時あたかも琵琶湖疏水開削125年という意義深い年とも重なっています。この試行実施に,皆様にも乗っていただくことで,琵琶湖疏水事業の偉大さを再認識し,そして未来に向かって熱い思いを共有していただけるものと思っています。

 大津と蹴上を結ぶ,山科に乗下船場を作りました。山科の琵琶湖疏水界隈の桜や新緑,紅葉など,今まであまり多くの方々に認識いただけていない美しさに感激していただけるものと思います。大津では,第1トンネルの入口付近の乗下船場に通じる桜並木,蹴上では岡崎地域など,様々な魅力を再認識していただけるとともに,周辺地域のにぎわいや活性化など,大津と京都の連携に寄与するものと感じています。

 モニターの方には,アンケートにご協力いただくなど,建設的なご意見を賜りたいと思います。そして,事業の本格実施に向け,事業としての戦略性,採算性,将来見通しなどの議論を深めまして,民間事業者の皆様とあらゆる努力をしていきたいと考えています。

 

越市長:

 私が市長になって以降,京都市との観光の連携をずっと唱えてまいりました。そのおかげもあり,門川市長にもお力を貸していただき,この度,琵琶湖疏水の通船の復活ができることとなり,私自身大変嬉しく思っています。

 大津には琵琶湖疏水の通船を復活させようという市民の方がたくさんいらっしゃいます。これは長い間の市民の思いが実現したものだと,大変嬉しく思っています。実は,大津市では,今からちょうど30年前,昭和60年に「琵琶湖疏水とさざなみの道の会」という市民の活動がはじまりました。ここでは,歴史的な遺産である,琵琶湖疏水をもう一度復活させたいという熱い思いを持った市民の方が30年活動されてきました。そして,当時,琵琶湖疏水が100年を迎える時期に,通船を復活しようという動きもありましたけれども,当時はなかなかうまくいかず,実現には至らなかったと聞いています。そういった中で,今回は,一昨年前に門川市長と一緒にこの疏水を船下りしてから1年と少しという,本当に短期間の中で実際に実現に至ったというこのスピード感は,皆様の強い気持ちが成せるところだと思っております。ご尽力いただいた門川市長,水田管理者,京都市の皆様方,そして京阪をはじめとする民間事業者の皆様,京都市・大津市の観光協会の皆様,商工会議所の皆様にこの場をお借りしまして御礼を申し上げます。復活がついにできたということで,是非これを待ち焦がれていた大津市民の皆様,そして日本全国の皆様,そして世界から来られた皆様にも,日本を代表する歴史的な遺産,さらに琵琶湖から京都まで続くという琵琶湖の水,自然を合わせて堪能いただきたいと思っています。

 特に今回,3月,4月にこの事業を行うことになりました。大津の疏水はちょうど三井寺の下にありまして,最も桜のきれいな場所のひとつです。この最高の時期に実現ができた,そしてこの明治の大事業という歴史的遺産,琵琶湖の水,自然を多くの皆様に感じていただければと思っています。

 

山田委員長:

 昨年12月18日の第1回琵琶湖疏水船下り実行委員会におきまして,実行委員長を拝命いたしました京阪電鉄の山田でございます。官・民の方々が京都市・大津市の観光分野の第一線に携わる方ばかりで,非常に身が引き締まる思いですが,しっかりと務めてまいりたいと思いますので,よろしくお願いいたします。

 京阪グループは,滋賀県,京都府,大阪府で鉄道事業を中心に長く事業展開を行ってまいりました。また,琵琶湖の方で琵琶湖汽船という子会社が船舶の事業を行ってきたという御縁で,委員長の役割を担わせていただいております。そういった意味で,京阪グループの英知を結集いたしまして,この実行委員会による試行事業を進めてまいりたいと思います。また,本日を迎えるにあたり,実行委員会副委員長であり,施設の管理者でもある水田管理者をはじめとした京都市上下水道局の職員の皆様による強力なサポート,これがあったからこそ試行事業の具体化に結びついたと思っております。実行委員会を代表いたしまして,この場をお借りしまして感謝を申し上げます。 

 第1回の実行委員会以降,本日に至るまでの間,国土交通省近畿運輸局に御相談を重ね,御助言を頂きながら,事務局である京都市上下水道局,運航主体の琵琶湖汽船ともども事業概要を組み立ててまいりました。そして,本日まで計2回の実行委員会を重ねる中で,委員の皆様方の率直かつ建設的なご意見のおかげを持ちまして,約1ヵ月の短期間ではございましたが,一定の形にできたのではないかと思っております。実施まで2ヵ月,まだまだ詰めていくべきこともありますが,誠意努力して進めてまいりたいと思っております。

 琵琶湖疏水通船復活の試行事業につきましては,2月5日から参加者を募集し,3月28日から5月6日のゴールデンウィークまでの期間,土休日計16日間を予定しております。今般,試行事業という名称を冠しておりますが,やはりお客さまに乗っていただくということで,安全第一の運航が大前提でございます。運航主体の琵琶湖汽船ともども,事業を安全かつ確実に実施するとともに,多くの参加者,モニターの方から,事業に対する貴重な御意見を頂戴いたしまして,今後の事業の在り方,旅行商品としての展開に生かしていきたいと思っております。試行ということで,開催の日数,1日あたりの便数,乗船定員の関係で乗船人員が少ないということにつきましては,この試行事業,小さく産んで大きく育てるという観点で御理解を賜りたいと思っております。そういう意味でも,桜の季節に船が往来する景観,これを眺めながら疏水沿いの散策を楽しんでいただきたい,京阪だけでなくJR,地下鉄含めて公共交通機関を利用していただいての散策をしていただけたらと思っております。鉄路の開通とともに一定の役割を終えたのが舟運でございました。今般,水のみち,観光の航路として復活することにつきまして,皆様の御期待,御支援をいただきたいと思います。

 

 続きまして,琵琶湖疏水通船復活試行事業の概要につきまして,御説明をさせていただきます。

 今回行う試行事業については,通船の復活に向けて,民間事業者を含む実行委員会が主体的に行うものでございます。事業を実施する中で課題を抽出しまして,乗船者モニターから頂いた御意見を踏まえて,本格実施をより充実した事業とするために実施するものでございます。実施期間は3月28日土曜日から5月6日の祝日までで,期間中の土日祝の計16日間,桜のシーズンからゴールデンウィークまでの16日間になります。

 実施コースですが,大津から蹴上までの下りの片道運航,大津から蹴上までの下りのみの運航でございます。ア・イ・ウとコースを3つ用意しておりまして,アが大津から山科,蹴上までの60分,全線コースでございます。イとウはそれを分割したコースで,大津から山科まで,山科から蹴上までということで,山科でお客さまに乗り換えていただくというハーフコースです。今般,乗船いただく方を増やしたいということ,そしてお客さまによっては60分が少し長いと感じられるお客さまもいらっしゃること,色々な方にお声をいただきたいということでア・イ・ウの3つのバリエーションを持たせていただきました。

 便数でございますが,各コース4便ずつでございまして,午前2便,午後2便を想定しております。船の運航ダイヤの観点で申しますと,大津から蹴上までを合計8便が運航しているというところでして,2隻の船を御用意させていただいて,それぞれが4往復するものです。午前,午後各4便ずつであり,一隻の船が約2時間かけて大津から蹴上,蹴上から大津に戻ってくるというものでございます。

 乗船者モニターの募集につきましては,1便につき6名の乗船を想定しております。8人乗りの小規模な船でございまして,前と後ろに船員の方に乗っていただくため,6名の定員でございます。小学生以上の方,小学生の方は保護者同伴,かつ,アンケートに御協力頂ける方という条件をつけさせていただいております。

 参加費については大津~山科~蹴上のコースが2,000円,大津~山科のコースが1,000円,山科~蹴上のコースが1,500円という設定をさせていただき,小学生につきましては半額でございます。募集方法及び受付ですが,2期に分けて,第1期が3月28日から4月19日までの8日間,第2期を4月25日から5月6日までの8日間で実施いたします。詳細につきましては,2月5日にJTB西日本京都支店のホームページ,京都市,大津市のホームページ等でご案内する予定でございます。

 補足の説明となりますが,申込時にお客さまには希望日や希望コースを選択していただく予定でございます。ただ,多数の参加希望があることが予想されますので,抽選という形を取らせていただきたいと思っております。特記事項といたしまして,乗船中にはライフジャケットの着用をお願いしたいと思っております。また,第一トンネルが2,400mということで,長く暗いコースの乗船に支障のない方とさせていただいております。ただ,トンネルの方は直線でございまして,入ってから奥が見通すことができ,船にはヘッドライトを付けております。気象状況により運休ありというのは,昨今のゲリラ豪雨,雷等により急遽運休する場合があるということを,お客さまの安全第一ということで記載させていただいております。

 

4 質疑応答

記者:

 本格実施は目標としていつごろをお考えでしょうか。

門川市長:

 まず,今日までにプロジェクトチームで,最も重要である安全確保     を中心とした点検を行い,大丈夫だという結果を得ました。次に,スピード感を持って試行実施を行うわけですが,民間事業者を主体として事業の採算性等々の検討を行い,大津・山科・蹴上の魅力も含めた観光商品として練り上げていただく必要があるため,軽率に私がいつまでとか,そういったことを申し上げずに,できるだけ早く本格的な運航を行っていただくとしておきます。同時に,あえて琵琶湖疏水下りと言わずに,通船と言ったのは,上りについての検討を考えているからであり,そういったことも含め,色々な可能性を追求しながら,まずは試行を成功させて,多くの方の御意見を賜ってまいりたいと思います。

記者:

 桜のお話があったが,次の紅葉の時期までに本格的な実施という可能性はあるか。

門川市長:

 紅葉の時期に試行という形で,もう一度実施するのも選択肢の一つであり,柔軟に考えていきたいと思います。

 

記者:

 委員長自身,民間事業者の代表という立場ですが,本格実施の際,民間事    業者として越えなければいけないハードルはあるか。

山田委員長:

 1つは琵琶湖疏水の魅力ですが,これは語り尽くされていますので,それに磨きをかけることがまず1点。それにホテル,飲食などを組み合わせ,付加価値をつけた旅行商品にしていくこと等を考えております。これを京阪グループで全て行うことは想定しておらず,例えば今回,募集だけではなくこういったものを組み合わせていくともっと面白いものができますよという議論を行いたいというのもあり,募集の窓口としてJTB西日本京都支店にもお入りいただいている。また,京都商工会議所の観光運輸部会のメンバーの立場で関わらせていただいておりますので,皆様とも議論を重ねていいものを作っていきたいと思っております。

記者:

 両市長にお伺いしたいのですが,平成26年度に実行委員会が設置されて,今回のタイミングで具体化することとなったが,琵琶湖疏水の通船を復活させようと思われたきっかけ,端緒はどのようなものであった。

越市長:

 私は,一昨年の12月に,門川市長と初めて琵琶湖疏水を下り,疏水の素晴らしさというのが乗ってみて初めて分かりました。それはトンネルがあって,大津から山科,京都へ行くにしたがって景色が変わっていくということで,やはり自分が乗ってみて素晴らしいな,多くの方に乗っていただきたいなと思ったことがすごく大きいです。特にこの時期にというのは,やはり桜の時期というのがこの疏水の最も美しい時期の一つであるため,最も美しい時期に多くの方に乗っていただきたいという思いでございます。

門川市長:

 去年,トラベル&レジャーという世界で最も影響力のある旅行雑誌が,世界で最も行きたい都市は京都であるというアンケート結果を発表していただきました。「京都は放っておいても人が来ますね,いいですね」とよく言われますが,決してそうではなく,十数年前,京都の観光は本当に低迷していました。その後,観光事業者,市民ぐるみで,100を超える事業を展開し,新たな魅力を発信していったことで,今京都ブームというものが起こってきていると思います。努力し続け,新たな魅力を発掘し,発信し続けることが新たな成果を生み出す,私はそう実感しました。この度,多くの市民の皆様,民間事業者の皆様の協力を得て,新たな取り組みに挑戦していく時に,京都は大津と共に観光に貢献する部分を牽引していくことができると考えています。

記者:

 疏水100年の時に復活させようという動きがあったが実現には至らず,そのような時に疏水を下ったことがきっかけになったとあったが,京都市と大津市が力を合わせてやるというのが復活の大きな力になったのか。

越市長:

 私は本当にその力が大きかったなと思っております。疏水自体,入り口は大津にありますけれども,そこも含めて京都市で管理もされていますし,当然京都市と大津市で一緒にやらなければできなかったことだと思っています。そういった意味では,この疏水の前から色々な面で京都市,門川市長にはお世話になってきましたし,「みやこサミット」では別の形でも観光を通じた京都市との連携というのが一つ実現した形だと思っています。

門川市長:

 「みやこサミット」というのは,京都と大津と奈良,京(みやこ)であった都市が観光や地域の活性化を連携して進めていくというものです。関西広域連合でも観光というテーマを大きく取り上げていますが,何よりも基礎自治体の連携が大事で,地域住民の連携が大事であると提案をさせていただき,様々な議論をこの間行ってきました。そうした機運があると同時に,できない理由を探すのではなく,やることを前提に議論を深めて具体化をしていこうという気持ちを持って,第一線で働く人たちが努力してくれたことが今回の試行実施につながったと考えております。

記者:

 疏水を人が乗船して走れるようにするための整備が必要となると思いますが,その点は大変だったのでしょうか。

水田副委員長:

 今回はあくまで試行実施ということで,船の乗降場所を含め整備については簡易なものであります。船そのものも実際には私どもの作業船を利用します。本格実施にあたりましては,もう少し徹底した整備が必要かと思います。現在は停水中ですので,底の整備や,トンネルの整備をしておりますが,これは通船のためではなく,我々の通常の維持管理業務の中で実施をしているものであり,試行実施をクリアするための一定の整備は現在もまだしつつある状態です。

記者:

 今回3コースある中で,ウの山科から蹴上に向かうコースが1500円で,大津から山科に向かうイのコースが1000円となっているが,距離でいうとウが一番短くなっていますがその理由を教えていただきたい。また,今回あくまで試行実施でありますが,この価格設定で採算性あるのか。

山田委員長:

 まず,今回の参加費ですけれど,基本的にはこの金額で試行事業の経費が賄えているものではございません。これから本事業へのご協賛を各方面にお願いしていきたいと思っているところです。

 料金設定については,アンケートをするなかで妥当な値段がどのくらいであるのかというのも正直聞いてみたいと思っております。それはお客さまもそうですけれども,旅行エージェントの方のご意見も参考にしたい。これだけの素晴らしい内容であれば,もっとプレミアム感を出して,1日過ごしていただいて船とセットで1万円くらい,海外旅行でもオプショナルツアーがあると思いますけれども,そんなこともイメージして作っていったらどうかと思います。ただ単にコストから乗船人数を割り戻して一人当たりいくらという設定ではなく,お客様に向けてマーケティングの観点で料金を決めていくというのが本来のあるべき姿であると思っております。

 1000円と1500円の違いですが,これは内部で色々な意見もありましたが,アンケートにもご協力いただくということで通しが2000円,一番安いところで1000円という金額にしたところと,大津から山科については,第一トンネルが15分から20分かかるということで割り引いているということです。ただ,琵琶湖疏水は第一トンネルの難工事がそもそも有意義であり,ただ単にトンネルだからと言って安いのはおかしいのではないかという意見もありました。ですが,議論を巻き起こすという意味であえて問題提起をさせていただいたところとご理解いただけたらと思います。マスメディアの方も含めていろいろなご意見をいただけたらと思います。

門川市長:

 是非マスコミの皆様も乗っていただいてご意見賜ればと思います。

 

記者会見資料

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