門川市長記者会見(2014年11月12日)
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2023年4月12日
市長記者会見(2014年11月12日)
外国人旅行者向け京都観光ウェブサイトの全面リニューアルについて~世界最大の旅行情報サイトとも連携,京都観光の中核に~
本日は,私から,「外国人旅行者向け京都観光ウェブサイトの全面リニューアルについて」御説明させていただきます。
今年7月に,100万部発行され,世界で最も影響力のある旅行雑誌,「トラベル・アンド・レジャー」において,19年実施されている,「世界で最も行きたい都市,憧れの都市」を決定する大規模な読者アンケートにおいて,京都市が,「ワールドベストシティランキング1位」に選出されました。非常に喜ばしいことであります。
そして,2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まりました。また,その前年にはアジアで初めてのラグビーワールドカップも開催が決まっており西京極での開催誘致に向けた取組が進んでおります。日本への関心,京都への関心はますます高まっています。
また,「観光立国・日本」をけん引していく役割が京都市にはあります。世界中の関心が,日本や京都に集まりますので,受入環境の整備,海外への情報発信を強化していく必要があるということで,本年,観光情報発信拠点を香港,ドバイに整備し,計10箇所といたしました。さらに,この大きなチャンスを活かし,スピード感を持って,オリンピック・パラリンピックに焦点を当てた観光振興計画を進めるため,先月末,「京都観光振興計画2020」を半年前倒しで策定いたしました。今後は,新計画に基づき外国人観光客に向けた情報発信,受入環境の整備などの191の取組を,民間事業者,市民ぐるみで取り組んでまいります。
世界中の旅行者が観光情報を集める手段として,インターネットの利用が欠かせないものとなっている昨今,ウェブサイトによる情報発信の強化が早急に求められています。平成19年に開設した京都市の外国人旅行者向けウェブサイト「京都オフィシャル・トラベルガイド(Kyoto Official Travel Guide)」は,現在では年間約400万アクセスと,京都に来られる外国人の33%の方に御利用いただいている,非常に影響力のあるウェブサイトでございますが,刻々と変化するインターネット環境に対応するため,この度,全面的なリニューアルを行います。
リニューアルのポイントは,次の4点でございます。
まず1点目は,世界最大の旅行情報サイト,トリップアドバイザーとの連携であります。私どもの公式サイトの情報に加えまして,ユーザーの口コミ情報も見ることができるようになります。
今後は,京都市からは外国人観光客の動向を,トリップアドバイザーからは口コミの世界的トレンド等を情報交換し,連携を深めてまいります。あまり知られていない旅館の人気が,口コミ情報によって非常に上昇する。それを倣って他の旅館も努力され,いい意味での切磋琢磨がすでに起こっております。その口コミによる効果を,公式サイトとリンクさせることによって更に向上させてまいります。
2点目は,公式サイトと観光事業者のウェブサイトを直接リンクさせることで,観光情報を簡単に入手・予約いただけるようになります。最近人気が高まっているのは体験型観光であります。例えば,京都の強みをいかんなく発揮できる生け花や茶道を体験する,伝統産業の工房に行くといった体験型の観光が人気を集めております。こういった体験型の観光サービスや食事,旅館をはじめとする宿泊施設,伝統工芸品や免税対応のショッピング等に関する情報を簡単に入手していただき,同時に予約もできます。旅行者目線に立った連携により,利便性が大幅に向上いたします。
3点目は,ウェブサイトの対応言語数をこれまでの8言語から5言語を加えた,合計13言語で発信します。我が国の自治体の観光系サイトとしては最も多い言語数になります。日本を訪れられる外国人観光客は8割を超えてアジアであります。しかし,京都には世界各国から外国人観光客がお越しになります。そこで,欧米,オセアニア,東アジアはもとより,東南アジアや中東からもたくさんお越しいただきますので,マレー,トルコ,アラビア,タイ,ロシア語を新たに加えます。
4点目は,スマートフォンやタブレットなど様々な端末に対応する表示手法を採用いたしました。これは,昨今のモバイル環境の変化にしっかりと対応するため,アクセスがしっかりでき,見やすく,操作も簡単にできるようにしたものです。
また,京都市が民間事業者と連携して,地下鉄の駅やバス停など市内656箇所に設置していますKYOTO Wi-Fi,も御利用いただけますので,旅行前だけでなく,旅行中も京都オフィシャル・トラベルガイド(Kyoto Official Travel Guide)を無料で御利用いただけます。さらに,その時々の渋滞情報も加味した到達予測時間を英語で発信する,バス・鉄道の乗換え検索アプリ「バス・鉄道の達人」も御利用いただけます。例えば,その時点での交通渋滞情報を加味して,「少し大回りした方が早い」や,「目的地周辺にはどのような観光スポットがある」ということも案内しており,非常に人気がございます。
このウェブサイトに京都観光に関する情報を集約することで,集客力を高め,情報と人が集まるプラットフォームとしていきたいと思っています。外国人旅行者にとっては,利便性が高く,観光事業者にとっては情報発信の場が確保できるというメリットがございます。また,利用者の声を反映して観光の質やおもてなし力を高める口コミ効果との連携により,一層感動・満足いただける京都観光にしてまいります。
世界の潮流を踏まえた,民間事業者との連携,強力な情報発信にオール京都で取り組んでまいります。
質疑応答
報告案件に関する質疑
<外国人旅行者向け京都観光ウェブサイトの全面リニューアルについて>
(事業費について)
記者 リニューアルの事業費は。
市長 約3,800万円です。
(リニューアルの効果について)
記者 今回のリニューアルにより,市長はどのようなことを期待しているか。
市長 最近の外国人旅行者は,個人旅行が増えており,京都に来られてから食べるところや行くところをスマートフォンで探されます。そして,行った先での評価を口コミされ,その口コミによって,サービスが改善され,両者の満足度が向上します。さらに,口コミによって京都の魅力を世界に発信することができ,京都のおもてなし力,観光の質の向上,ひいては京都の都市格,ブランド力の向上につながります。
口コミの中には厳しい御意見もあると思いますが,厳しい口コミはサービス改善への大きな契機にもなりますので,観光の質の向上に大きく寄与すると思います。
口コミは欧米でとても発達しています。口コミで京都を旅行された外国人の方々に,今度は京都の魅力発信の主体者になっていただくといったことも,オール京都で力を発揮すれば可能だと思います。
(対応言語の追加について)
記者 今回追加された5言語については,これまでから京都に関心が強かったが,従来のウェブサイトでは対応できていなかった地域の言語なのか,それとも京都として新たに関心を掘り起していきたい地域の言語なのか。
市長 言語を追加することで,京都への関心が高まると思われる地域を大事にしました。インドについては,英語での対応で十分との判断に到りましたが,必要であれば言語数を追加していきたいと思います。
また,ムスリム対応にも力を入れておりますが,今回リニューアルするウェブサイトとムスリムにも対応したウェブサイトをリンクさせることによって認知度が高まると考えており,トルコの方からも「よくやっていただいた。」と感謝の声をいただいております。このように,他の受入れ環境整備の取組にもつなげてまいります。
報告案件以外の質疑
<衆議院議員解散(京都市として議論されてほしい政策)について>
記者 ここ数日,中央政界では衆議院の「解散」があるのではないかという観測が高まっているが,仮に解散総選挙があるとして,京都市として議論が行われてほしい政策は,どのようなものがあるか。
市長 先だって,石破大臣とお会いした時にも,経済の再生を地方の生活者,中小零細企業等が実感できるようにしていくことが大事であり,そういう意味で地方再生が大事だということを言いました。ややもしますと大都市は大丈夫と思われるかもしれませんが,京都も決して例外ではありません。もちろん,京北等々厳しい過疎地もありますし,面で考えるのではなく,縦糸と横糸をしっかりと考えてほしいです。例えば,茶道や生け花,世界から評価されている伝統産業,伝統文化など全国津々浦々の担い手は非常に高齢化し,厳しい中でも踏ん張っておられます。従って,そういう事業,文化,伝統産業などの振興に国家戦略として力を入れていただいたときに,全国の津々浦々元気が出てくると思います。
もう1つは,東京一極集中の打破であります。人口も富も情報も,あらゆるもので東京一極集中が加速しています。これを地域に,全国に,返していく,そんな仕組みを作らなければならないと考えています。
これは,政治家も自治体も覚悟がいるわけですから,相当の覚悟をもって,そういったことを焦点にしていただきたいと思います。
<次期京都市観光振興計画(宿泊施設等の受け入れ体制について)について>
記者 次期京都市観光振興計画に,2020年までに宿泊者数300万人という目標が示されたが,現状の宿泊者数は113万人で,かつ,京都市内のホテル等の稼働率も9割ほどでフル稼働に近いような状況だが,宿泊施設等の受け入れ体制を2020年までにどのようにしていくのか。
市長 3点あります。1点は,ホテルの稼働率は高いが,旅館はそうでもない,また,都心部のホテル等の稼働率は高いですが,大原や周辺部に行くとそうではないということです。そのような旅館等の宿泊施設の稼働率を高め,ミスマッチをなくしていくことが大事ですし,そのためには,情報発信,受け入れ環境の充実,あるいは変革ということも大事だと思います。
例えば,夕食を大事にされていたり,素泊まりができないという旅館の特徴があります。そういうところもあっていいわけですが,ニーズに合致した新たな展開というのも1つあろうかと思います。
現代の修学旅行のシーズンにあれだけの人が受け入れられているわけですから,まだまだ旅館等,周辺部の宿泊施設の魅力を発信し,受け入れ条件を整備していく,これが1点目です。
2点目は,現在の観光振興計画においてこの間,宿泊施設の誘致ということを言ってきており,水面下で様々な宿泊施設が京都への進出,あるいは京都の宿泊施設を拡充するといった計画が動き出しています。それらをより加速したいと思います。
3点目は,空き家対策であります。全国トップ水準の「京都市空き家の活用,適正管理等に関する条例」を策定しました。空き家を積極的に,宿泊施設に利用していただく取組も,政策を融合しながら取り組んでいきたいと思います。
記者 3点目の空き家の活用について,大阪では,空マンションに外国人の宿泊者を泊められる条例案が否決されたようだが,京都市もそういった条例を作るなど,検討されていることはあるか。
市長 消防法や旅館業法等との関係で,非常に明確でないところがある。宿泊施設の拡充は大事でありますが,おもてなしも大事です。安心・安全の確保が最高のおもてなしであると思っています。一方の旅館には厳格に法が適用されるが,外国の方が泊まるところには,それが適用されるのか,されないのか,曖昧なところがあります。また,パスポートのコピーの提示の有無についても曖昧です。このあたりのことがきちっと整理されなければならないということで国とも協議しています。否定するものではありませんが,条件の整備が大切だと思っています。
一歩踏み出し,京都市はすでに,町家を使った宿泊施設に関する条例を作りまして,カウンターとロビーのような宿泊施設には通常設置が必要なものがなくても宿泊施設に活用できるという道を開いております。そこでは,消防法,旅館業法が適用されます。
これから新たな知恵を出し合っていかなければならないな,と思います。
<東京「京都館」に対する今後の期待について>
記者 小山薫堂さんが東京「京都館」の館長に就任されて2か月が経過したが,何か具体化してきた企画等はあるか。また,東京オリンピックなどに向けて,情報発信の拠点として期待されていると思うが,改めて,京都市のアンテナショップとして,市長は,どのような期待をしているか。
市長 京都市東京事務所の上田所長と京都館のスタッフ,そして,小山薫堂さんで,いろいろな話をしていただいています。私も少し話しましたけど,「さすが小山さんだな」と実感することが度々ございます。
小山さんから,京都の魅力は人にあるので,京都人が京都館に行って魅力を発信する「京都人が行く京都館」という発想をいただきました。これは,私共にはないものでした。
同時に,京都館の短期のあり方だけでなく,中期のあり方も含めて,考えていただきたいということを伝えています。まだ構想段階ですが,小山さんから,こうすればいいという提案をいただくだけではなく,小山さんを含めて,オープンな場で,皆が議論を重ねて英知を集めるというのも良いのではないかと考えています。
例えば,私は,現在の京都館の場所は,良い所だと思っていますが,京都館が果たしていく役割を考えたときに,現在の場所が適切であるか等も含めて議論することが必要だと思いますし,それ自体が情報発信になるのではないかと思っています。
<関西電力との関係(関西電力株の売却)について>
記者 大阪市では,関西電力株の売却に向けて検討が始まったが,京都市が保有する関西電力株の扱いについて,どのように考えているか。
市長 京都は,琵琶湖疏水を造り,日本で最初に,業務用の発電所を造った発電所発祥の地であります。この発電所は,今も稼働しています。
京都市電気局というのがありましたが,戦時中の電力統制令に基づいて,関西電力に一元化されたという歴史があります。年配の方に聞くと,関西電力の原点は京都であるというように,おっしゃる方もおられます。したがって,保有している株式はわずかですが,売却というのは一切考えていません。
<関西電力との関係(株主提案の否決,無配当)について>
記者 京都市では,関西電力に対して,3年連続で脱原発依存に関する株主提案を行っていますがいずれも否決されています。また,現在,関西電力からの配当収入がないということからも,関係を見直すべきではないかと思うがどうか。
市長 先ほど申し上げましたように,関西電力の原点は,琵琶湖疏水に造った発電所であるという思いを持っておられる京都市民の方がおられます。そして,当時,石炭中心の発電の中,業務用として初めて水力発電を導入し,環境に負荷をかけない発電所を造ったのも京都市であります。
現在,関西電力とは,原発のことについて,意見の違いはありますが,今日まで,関西電力が,京都はもとより関西の大切な電力の安定供給のために,貢献されてきたことは事実でありますし,そういう意味では,公の産業であります。意見の対立はありますが,大阪ガスも含めて,あらゆるインフラの事業者と連携した取組は大事でありますので,その意味で,株を持っているというのは,一つの意義があることだと思います。
<ごみ屋敷対策条例(不良な生活環境を解消するための支援・措置条例)について>
記者 先週,ごみ屋敷対策条例が施行されたが,強制的な権限も含まれるので,市会では運用面で付帯決議等がついたが,市長はどのように運用していくお考えか。
市長 各区の市政協力員の代表の方々との懇談の機会とか,地域ぐるみのふれあい事業等に出席させていただいていますが,ごみ屋敷に対する市民の皆さんの関心が非常に高く,ありがたいことだと思います。
市民の皆さんは,これまで,孤立されている方に,寄り添い,努力されてきて,これからも努力されていかれます。しかし,同時に,このごみ屋敷の問題は,それだけでは成り立たない部分もあります。
例えば,路地に一杯ごみを積んでおられる方がいて,その奥に足の不自由な方がおられる。どれだけ話しても,ごみを退けてもらえない。無理をして通っていただいているが,何か事故があったときに,これは近所の方の支援だけではすまない。このような深刻な問題もあります。
議論を尽くして制定していただいた条例であります。そして,全会一致で賛成をいただきました。全国で制定されるほとんどの条例の所管は,環境行政あるいは,ごみ行政の中に位置付けられていますが,京都市では,この問題を保健福祉行政として位置付けています。これは,他市と京都市の根本的な哲学の違いです。あくまでも孤立している人とのつながりを求めて,丁寧に話をし,必要なときにはカウンセリング,医療との連携,さらには,現在の福祉施策との連携を行います。これらを総合的に説明し,地域と一緒になって対応していきたいと考えています。道はそのことによって大きく開けることもあろうかと思います。同時に,そこで時間をかけなくてはならないところでは十分な時間をかけたいと思います。
記者 すぐにでも,強制撤去等を行う予定はあるか。
市長 先ほど申し上げましたように,待ったなしという状況もあります。そのときは,丁寧な手続きを踏みまして,その孤立している方にとってもプラスとなり,周辺住民の方にとってもプラスになる措置をとりまして,そういう視点で,必要なときに決断していきたいと思いますが,この数日で動くということではありません。他都市ではいろいろな条例がありますが,それが効果を出しているようでしたら,踏み込んだ条例を作る必要はありませんが,行政には,やはり作為の責任というのも私はあると思います。作為で,人権が侵害されている,あるいは,安全が確保されていないという場合に,こうした方々に責任を負うのが,我々行政の役割だと思います。
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