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共同記者会見(2014年9月15日)

ページ番号173074

2014年10月15日

’響の都’オペラの祭典 世界遺産-二条城 二ノ丸御殿中庭での初オペラ公演

文化市民局文化芸術都市推進室文化芸術企画課 (電話366‐0033)

‘響の都’オペラの祭典 世界遺産-二条城 二ノ丸御殿中庭での初オペラ公演

記者会見概要

1 日時: 平成26年9月15日(月・祝)午後2時30分~午後3時30分

2 会場: 京都市立堀川音楽高等学校(204号室)

3 内容: 二条城 二ノ丸御殿中庭におけるオペラ公演概要紹介

4 登壇者:

  京都市長 門川大作

  日伊共同制作オペラ実行委員長 小坂憲次(元文部科学大臣,参議院議員)

  ボローニャ歌劇場総裁 フランチェスコ・エルナーニ

  指揮者 吉田裕史

  演出家 ガブリエーレ・マルケジーニ

小坂憲次参議院議員

 昨年イタリアのオペラの最高峰であるボローニャ歌劇場が創立250周年を迎えたことが日伊の共同制作オペラを行いたいとの契機であった。吉田裕史指揮者は,ボローニャで御活躍だが,それにとどまらずイタリアの各地の歌劇場を指揮された経験をお持ちで,また,イタリア留学をされる中で日本人として本物のオペラを自分の力で指揮をしてみたいと努力をされて,本年2月ボローニャ歌劇場フィルハーモニーの芸術監督に就任された。

 そうした中で,吉田さんの考え方というのは,日本人の若い音楽家の皆さんにチャンスを与えたい,日本が世界で羽ばたくオペラをはじめとした音楽活動で存在感を示せるような,そういう窓口となりたいということを心掛けてこれまで活躍をされてこられた。そういうことから昨年吉田さんが窓口となっていただいてボローニャ歌劇場との共同制作が実現をし,昨年は清水の舞台を使って第一回の公演を開くことができた。その世界遺産の清水の舞台とそしてイタリアのオペラとの共同制作,御同席の京都市長の御支援をいただき,清水寺の御理解をいただいての開催であった。あいにくと雨が降ったが,逆にそれが本堂を使ったオペラとしてはまさに日本の文化とイタリアの文化のコラボレーションという形が色濃く出て,各国それぞれの多くのメディアで取り上げていただいたところである。

 さて,このプロジェクトの目的としては,世界最高峰の舞台芸術といわれるオペラと,世界遺産にもなっている日本の文化・伝統を融合して日本から発信していくこと,日本とイタリアの相互理解と一段と進め,文化交流を促進すること,また日本の音楽界の若手が世界の舞台で活躍するきっかけをつくることである。こういった理念の下で今日まで努力を続けているところである。

 日本とイタリアとでオペラの共同制作を行うことは,日本の芸術界のレベルアップにもつながってくることと思われるが,今回は舞台監督を長野信吾さん,衣装を松田勝さんに御担当をいただいた。歌舞伎の舞台で使っている蝶々をオペラの衣装にも使って日伊のコラボレーションを考えて作っていただいている。また現場でお互いを見ることによって,相乗効果が生まれることを目指しており,今年から初めて,舞台に上がるキャストにも日本人が登場してくる。3月にオーディションを行ったところ,45名の歌手が応募された。そのうちから3名の皆さんが今回出演をされることになった。わざわざイタリアから日本に帰ってきて応募をされる方もおられるほどに大変活発なオーディションであったが,素晴らしい歌手3名が選考された。イタリアから習得したことを日本で生かし,イタリア人スタッフは日本のやり方から学ぶ,お互いが触発し高めあうことが共同制作の意義と思う。

 また日本人の芸術家で本場海外の舞台で活躍できる人,機会は限られているが,このプロジェクトは日本の芸術家がレベルを上げることにもつながっていくと考える。

 ここにいる吉田指揮者は先ほども申したようにボローニャ歌劇場フィルハーモニーの芸術監督に就任された。御同席のエルナーニ総裁の厚い信頼の下,フィルハーモニーからも推挙されての就任であった。我が国の顔となるような活躍が期待されており,彼はイタリアに音楽の勉強に行って満足せず,必ず仕事をして日本に恩返しをするのだということもあり,セリエAの多くの歌劇場で指揮をしてきて,カラカラ浴場での指揮も素晴らしかった。現地イタリアで活躍することを目指している若手音楽家が吉田さんを頼っていくことも多いが,それに力を貸して活躍を後押しされている。

 今回の「‘響の都’オペラの祭典」,英語名は「KYOTO OPERA FESTIVAL」が,世界的なオペラフェスティバルとなり,各国からゲストを多数お迎えできるような一大国際イベントと認識されることを願っている。

 

門川市長

 昨年初めて開催された「‘響の都’オペラの祭典」。小坂名誉実行委員長からもお話があったが,世界遺産,清水寺での公演は感動的であった。雨が降ったが,普通は拝むところである本堂の中を,創造的に歌劇場の皆さんが躍動され,まったく違和感がない。不思議な力を感じた。そして引き続き今年は二条城二ノ丸御殿の中庭での開催。このお庭が持っている哲学は永遠ということのように思う。世界の平和を,人々の幸せを念ずる,そんな庭園で素晴らしいオペラが上演されることを嬉しく思う。

 名誉実行委員長の小坂憲次先生,元文部科学大臣自らが文化芸術を大事にしていただけることはありがたいと思う。エルナーニ総裁,またマルケジーニさんを含め皆さんに御礼申し上げる。御支援の賜物である。また吉田裕史さんは京都市民とのことで嬉しく思う。

 「‘響の都’」という名前は多くの方の御意見を聞いての命名だった。「響き」という言葉が非常に多かったのと,「京都」という言葉が多かったことから,融合させての「‘響の都’オペラの祭典」である。全国から多くの方が京都で素晴らしい芸術に触れていただく。そして世界遺産の融合を感じていただく。ありがたいことである。

 御承知のとおり世界的な旅行雑誌,ニューヨークで発行されている月刊100万部を超える雑誌「トラベル・アンド・レジャー」で,京都が観光都市世界一に輝いた。ありがたいことである。そしてトラベル・アンド・レジャー誌の方にどんな声が寄せられているかとお聞きしたら,「古いものと新しいものが見事に融合している」,「京都の旅は魔法にかかったような旅である」,そのような声が多かった。まさに世界遺産,日本の文化そのものの二条城,あるいは清水寺,そこで世界トップのイタリアのオペラが演じられる。こういうところも京都の魅力であると感じている。イタリアで育まれた音楽,美術,あらゆる芸術からなる総合芸術といっていいオペラを京都の世界遺産,二条城で今年上演していただく。本心から多くの方々に感動の響きを与えていただける,このように思っている。

 また,指揮者の吉田裕史さんは世界一流のオーケストラの芸術監督に就任された。日本人として,京都人として本当に誇りに思う。ますますの御活躍をお祈りしている。そしてこの取組が末永く続くことを関係者の皆様にお願い申し上げて私どももそのために努力を傾けたいと思っている。ありがとうございます。

指揮者吉田氏

 私の方からは音楽的なこと,すなわちなぜ蝶々夫人を選んだか,そしてなぜ二条城なのかについてお話したいと思う。蝶々夫人というのは,イタリア人の作曲家プッチーニが日本の伝統や文化というものに憧れてイタリア公使を務めていた方の奥様から日本のメロディを聞いてそれを楽譜に書き写して作曲をした。オペラの中には,さくらさくらですとか越後獅子ですとか日本の民謡がたくさんちりばめられている。だからこそ日本とイタリアの共同制作オペラとしてこれほどふさわしい作品はない。まず私がプッチーニが好きだということもあるけれども,この作品をぜひやりたいと思っていた。ではこの作品をどこでやるかというと京都には本当にたくさんの素晴らしい場所がある。昨年の清水寺も,やるまでは本当にどうなるか非常に読めなかったけれども,実際に公演をしてみたら,雨で,屋内であったが音響も本当に良く,オーケストラも非常に満足し,日本の神聖な場所で演奏できたことを今でもイタリアで語り継いでいるほど彼らの心にも深く残っている。日本とイタリアの伝統や文化の良いところが融合した,後援ができたのではないかと思っており,できれば末永く続けていきたいと思っている。

 それで,二条城の可能性のお話があったときに,私は最初唐門の前の広場で,ここならオペラができるなと思った。修復されたばかりでとてもきれいであるし。ところが他にも二条城の方に御案内いただいて,その御殿中庭を見た瞬間に,ここでやりたいと思った。本当にインスピレーションがあり,中庭の御殿の建物がちょうどエル字型になっており,音響的にもいいと思った。その前部に特設舞台をつくるのだが,それが反響板になって,サウンド的にも,アコースティック的にも,本当にいい結果が得られると思って今リハーサルに励んでいるところである。

 もう一つ,蝶々さんというのは,武士の末裔という設定であるので,大政奉還が行われた二条城というのは蝶々夫人のストーリー的にも,すごくマッチして,何百年という歴史のインスピレーションがお客様にも感じていただけるのではないかと思っている。ぜひお楽しみいただければと思う。ありがとうございます。

エルナーニ総裁

 このオペラの重要性を紹介したい。この文化的な共同制作というものは様々な国々で行われているところである。京都市長の御協力,小坂議員の御協力をいただいたことにありがたく思う。音楽のためにこの50年を捧げてきた経験に基づいて私が確信しているのは,コラボレーションの重要性,特にこのような時代に様々な国々の文化的なコラボというものが極めて重要な時代に入ってきたということである。ホテルでジャパンタイムズを読んだが,日本の家族はインターナショナルスクールに子どもたちを通わせる選択をするようになったと書いてあった。新しい時代になって,新しい社会に対応していくためには,その国の人たちもインターナショナルスクールに通わせることを考えるようになっていくべきだというように感じた。世界中のたくさんの歌劇場を様々な経営・維持してきた経験に基づいて,イタリアのオペラと日本のオペラとの間のコラボレーションというのは素晴らしいものであると申し上げたい。キョウトオペラフェスティバルのプロジェクトをここまで進めてくださった吉田先生はじめ皆様のおかげで,京都とボローニャとの新しい協力というものが確認されたと思う。だが京都とボローニャだけにとどまらず,世界の中での新しい協力関係が生まれつつあるのだと感じている。キョウトオペラフェスティバルのコラボレーションが2014年で2年目だがもっともっと続いていくようにと願ってやまない。蝶々夫人という作品を公演するのだが観ていただくステージは京都の方々にとって深い思い出になるだろうと思っている。吉田先生とボローニャ歌劇場との協力,また日本から,今後の両国の協力が素晴らしいものになっていくその礎を作っていくという過程がみられると思っている。この公演が今後ますます大きな事業となっていくための礎を作り上げたものと確信をしている。ありがとうございます。

演出家ガブリエル・マルケジーニ氏

 皆様に心からごあいさつ申し上げる。また皆様方とここに御一緒できることを大変うれしく思っている。昨年も公演を清水寺で行った。ボローニャでは吉田先生にいろいろ御相談申し上げてきたし,このお城を下見にも行った。吉田先生は鴨川をどりを見に連れて行っていただいた。そこではインスピレーションを得るために非常に役に立った。皆様方のお話にあった融合というものに非常に大きなインスピレーションを与えてくれた踊りであった。いわば世界の女王様というべき日本とイタリアの二つの文化の融合である。このプッチーニのオペラにより,このまねのできない融合を実現したいと思う。

 ボローニャ歌劇場からは日本人である吉田先生が指揮を執ってくださり,合唱団は日本人である。そして主役を務めるイタリア人の横には日本人の方々も入っていただく。またお城がそれらの心の中心,象徴的な中心になってくれればいいと思う。日本の美学,審美的な面とイタリアの芸術というものの中心となる。そしてプッチーニのオペラのいわば器になってくれればいいと思う。この魅惑的なまち・京都において,魔法のような夢を見させてくれる,うっとりするような瞬間が生まれることを祈っている。調和と軽やかさというものを日本は持っている。それに対して御礼申し上げたいと思う。これはこの日本という国民の伝統の中に深く入り込んでいるものである。そこにイタリアの情熱,イタリアの感情というものを合わせて,素晴らしいものが溶け合って生まれ出ることを祈っている。

 小坂名誉実行委員長,エルナーニ総裁,皆様方がお話になったように,今後につながる素晴らしい結果が生まれるようにと祈っている。また京都市長,吉田先生は,このアイデアを考え出され,お二人にはこの容易ではないプロジェクトに長く準備等に携わり,実現に向けて努力を重ねてこられた。どうもありがとうございます。

質疑応答

記者

 曲目の方が先に決まったのか,会場が先だったのか。

指揮者吉田氏

 昨年のオペラが終わった後に曲の候補はあったと同時に場所の候補もいくつかあった。最終的に演目と場所がちょうどいいところに落ち着いた。他に場所の候補は金閣寺,平等院鳳凰堂,京都国立博物館,下鴨神社などの可能性が考えられた。曲目は,交互にやっていきたいということもある。昨年はバロック・オペラを日本初演で行った。そういう古い,小さなバロック・オペラの中から日本初演で,日本の皆様に紹介したいと思っている。今年は蝶々夫人,来年はまたバロック・オペラ,その次は,トゥーランドットとかアイーダ,そのように考えている。

 

小坂氏

 本当に奇跡的な公演である。準備段階も大変。オーケストラ100人をイタリアから呼び,日本人のオーディションも行い,マルケジーニさんもそこに大きなインスピレーションをインプットして演出をする,これはまさに手作りで,芸術家同士が手を取り合って組み上げていき,ここまで来たことがまずすごいことだと思う。そしてそこから出てくるアウトプットは皆さんおそらくとても感動することと思う。私もわくわくしてとても楽しみにしている。吉田さんがボローニャ歌劇場フィルハーモニーの芸術監督をすることも日本人初のことであり,その方自身がここまで舞台を組み上げられてきたことはなかなかできないことと思う。今回の公演を見ていただくことが一番いい宣伝となると期待している。

 

記者

 屋外で行うオペラというのは音響とか演出とかにどういう違いがあるか。

指揮者吉田氏

 それはまったく違うものとなる。オペラはオペラハウスで上演されることが普通であるが,意外とヨーロッパは夏になると屋外で,例えばヴェローナはコロッセオのようなところで,アレーナ・ディ・ヴェローナといって,1万5千人収容のコロッセオで毎晩オペラをやっている。私がデビューしたカラカラ浴場も古代遺産の野外劇場,オープンシアターで,これは別の魅力がある。会場の雰囲気に酔いしれることができ,悠久の歴史を感じることもできる。ただやはりどんなものでもよいわけではないので,その場所にあった作品が,より感動を生み出すと思う。あと劇場の中でやるよりも難しい。劇場はすべて定まっている。オーケストラは今日到着し明日から二条城で音を出すが,劇場とどういう違いがあるか明日にならないとわからない,そういう難しさはある。今回歌手はまったくマイクなしで,本来そうあるべきだが,生の声にトライする。建物の壁が反響装置としてうまく機能してくれると思う。限定500席としたのは最高の音響を感じていただけるのがその数と信じているからである。

 

記者

 今回の日本人のオーディションを通った3人の方のお名前と彼らがこの次につながるようにとのお考えはあるか。

指揮者吉田氏

 まずゴロー役のテノールの倉石真さん,ヤマドリ公爵の武井基治さん,ボンゾ役の加藤史幸さん,この3人が京都でのオーディションを通過され今回共同制作で歌われる。皆さんイタリアに留学され,イタリアの劇場で舞台に立たれた方ばかりである。これを機会に今後イタリアのみならず世界中で歌ってもらいたいと思っている。エルナーニ総裁の前でよい歌声を聴いてもらってイタリアで活躍してもらいたい。

 

記者

 来年ボローニャの本拠地で蝶々夫人を歌う予定とのことだが。

エルナーニ総裁

 来年2月ボローニャの本拠地で吉田氏の指揮で公演を行う予定である。世界中のお客様が定期的に予約をしていただいている。今回の日伊の共同制作オペラが今後長く続いていって,京都のまちが世界的なオペラの中心地の一つとして,世界中の方々の注目を浴びるようになってほしいと心から願っている。

 

記者

 会場の舞台等でいろいろと制約がある中で苦労した点は。

演出家マルケジーニ氏

 野外であるということに加え,特にお城を一番よいやり方で生かすため,舞台が通常の長方形の形ではないということ,すなわちお城の建物の形状を生かしながら舞台が設営されたこと,いわば大きな腕が左右からオーケストラを抱きかかえる形になっている。舞台がお城の建物から生れ出た形となる。一つの劇の構成物となる。照明の面でも難しい。その場所の持っている魅力を尊重しながら生かさなければならない。お城の持つ価値を損ねてはならないということ。実際にこうした点を発揮させることが技術的に本当に難しい点であった。

 

記者

 日本で上演するに当たり日本を意識して演出した点はあるか。

演出家マルケジーニ氏

 まさにここで生まれたものであるということ。ボローニャでやっていることではなくて,全くここで新しい,二条城でのオペラということで新しく作り出したものです。当然ボローニャで築きあげた基本的なベースとなる部分はあるが。今回の作品はこの場所のために作り上げた新しいものである。設営,道具,舞台の設置,リハーサルといったすべての面でこの場所用に考えている。多分もう二度と繰り返すことのできないようなイベントになると考えている。もちろん素晴らしいという意味で。

記者会見資料

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