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門川市長記者懇談会(2014年8月27日)

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2023年4月12日

市長記者懇談会(2014年8月27日)

<豪雨災害対策について>

記者 

 8月16日の集中豪雨で,大量の雨水が下水管に入り込み,市内のマンホールから水が吹き上がったり,その周辺の道路が隆起するという状況があった。幸いけが人は出なかったが,この事案について市長はどのように認識しているか。また,これに対する対応をどう考えているか。

市長 

 直ちに,上下水道局,建設局を挙げて総点検し,緊急対応は既に済ませております。観測史上例のない時間雨量87ミリという集中豪雨で,下水道管の中の空気が押し上げられて,マンホールの蓋やアスファルトを持ち上げるという状況がありました。

 大雨の時は,このような現象が,全国的にあるわけですが,京都市では,抜本的な対策として,中期的な計画のもとに,雨水幹線を布設しています。例えば,今年も京の七夕で多くの方に楽しんでいただきましたが,堀川通では,通りの下に直径6メートルの雨水幹線を布設しています。現在,京都駅界隈の地下街でも,局地的豪雨対策のために,雨水幹線の布設を急いでいます。

 このような取組を行ってきましたので,京都市域の一昨年までの床上浸水,床下浸水等の件数は,10年,20年前と比べ大きく減少しています。しかし,ここにきて,過去に例のないような,極めて局地的なゲリラ豪雨を受けて,緊急対策を講じていくと同時に,雨に強いまちをつくるための取組を総合的に進めていかなければならないと考えています。

記者 

 例えば,直径6メートルの雨水幹線が整備された堀川通でも,短時間集中豪雨があるとキャパを超えてしまう。こうした事態にどのように備えていくか。

市長 

 一部では,大雨時でもマンホールの蓋が開かないようなタイプのものを使っていますが,一度に全市分を切り替えていくということはできない。可能なことを確実にやっていきたいと思っています。

 今,10年に一度の大雨に対応するための取組を行っています。しかし,過去に例のないような局地的な集中豪雨をハードの整備ですべて対応するというのは,都心部であろうと山間部の土砂崩れにおいても,災害の多い日本では困難です。ハードと,ソフト両面の整備を総合的に進めていくことで,防災,減災を進め,人の命を守っていかなければなりません。

 どんな雨が降っても,マンホールの蓋が開かないような取組というのは,できたらそれにこしたことはないわけですが,京都市は,左京区だけで大阪市よりも広い面積を持っていますので,できることではありません。ハード面とソフト面の整備を進め,市民の皆様に,しっかりと啓発をし,予防情報を早く発信して,そして,皆で気を付けていくという取組を進めていかなければならないと思っています。

 

<土砂災害警戒区域の指定について>

記者 

 災害対策のソフト面の整備の中で,広島市の事例においても,土砂災害警戒区域がクローズアップされている。京都府の所管ではあるが,京都市内の土砂災害警戒区域の指定状況について,住民の方に警戒区域についての意識を持ってもらうことは大事なことだと思うが,京都市としてはどのように考えるか。

市長 

 京都市域においても,現在,土砂災害警戒区域の調査を,京都府に進めていただいております。この制度が始まった頃に,「地域でそういうことをされたら地価が下がる」等の不満が,住民の方から寄せられたりと,難しい制度だという御意見もあります。しかし,安心,安全,人の命を守ることが大事ですので,早く,必要なところを指定いただいて,そして,常日頃から災害に気を付けていただくことが大事だと思います。その点についても,京都市の防災対策担当も,京都府と,しっかりと連携を深めていきたいと思います。全国的にもそうですが,山間部で調査が遅れているところもありますが,京都市内の一般的な観光地等はほぼ済んでいると思います。

 

<広島市での土砂災害について>

記者 

 広島市の松井市長が,避難勧告が遅れた理由について,「特定の狭いエリアについては,かなりの雨量を観測し,危険だという認識はあったが,幅広いエリアへの勧告を出すことに逡巡していたという担当者の報告を聞いている」という説明をされました。広島市の対応を聞いて教訓にできることはあるか。

市長 

 「空振りを恐れない」,「手遅れを恐れる」。私は,「空振りをしたときの責任は私がとる」とはっきり言ってきました。

 各種メディアも発達している今は,市民の皆さんが災害情報を直接御覧になって,もう大丈夫ではないかというようなことを思われます。しかし,私も災害対策本部にいまして,局地的な豪雨は,雲の流れ等では予測もつかない,非常に難しい状況があります。「空振りを恐れた」という発言をされたリーダーがおられましたが,より正確な情報を把握して,そして,「空振りを恐れない」ことが必要ではないかと思います。

 現実には,これは非常に難しい対応を求められます。本市では,今回の集中豪雨の際,雨はあがり,水位が引きそうな雰囲気でありましたが,事前に決めている水位をギリギリ上回っていましたので,避難勧告を出しました。そして,直ちに避難所の開設にかかっていただきましたが,開設できたときには,大雨洪水警報が解除になりました。

 地域の自主防災会,社会福祉協議会,消防団,水防団の皆さんに,土砂降りの雨の中,避難所の開設のために尽力していただいて,開設されたときには必要なくなるというのは非常に申し訳ないですし,地域の皆さんに御理解をいただくために,説明をして回っています。しかし,空振りを恐れず,しっかりとやっていくことが大事であると思います。

 2年か3年前に,名古屋で100万人の避難命令を出して,結局避難された方がほとんどおられなかったということで,話題になったことがありましたが,一つひとつを教訓にしていかなければならないと思います。

   

<リニア中央新幹線誘致について>

記者

 昨日,JR東海が国交省に,リニア中央新幹線の工事実施計画の認可の申請を終え,品川・名古屋間について,また一つ手続きが進んだが,京都市としては京都駅に誘致を進めている中,どのように受け止めているか。また,今後の誘致に向けての戦略をどのように考えているか。

市長 

 JR東海さんが,閣議決定もされているリニア中央新幹線の事業を,手続きを踏んで進めていかれるということは,想定通りではないかと思います。同時に,私どもとしては,オール京都で,3点を求めています。

 一つは,大阪までの同時ないし,最近はできるだけ早い開業を求めています。東京一極集中を打破していくためにも必要だと思っています。

 二つ目は,リニア中央新幹線の関西国際空港までの延伸です。あと9,000億円程度の建設費で,首都圏から75分で行ける24時間空港が確保でき,日本の国全体の発展のために寄与できると考えるからです。

 三つ目は,全国新幹線鉄道整備法及び同法施行令に基づいて,経済効果等を検証したうえでコースを決める。我々としては,京都を通るコースにすることが,経済効果の観点からも,日本の全体の発展のためにも大事であると考えています。

 我々の主張は道理にかなっていると確信しておりますので,引き続き,粘り強く,市民ぐるみで取り組んでいこうと思います。

 

<リニア京都駅誘致(誘致の取組についての手応え,変化)について>

記者

 市としても首都圏向けの雑誌広告等で発信されているが,京都駅ルートに対しての手ごたえ,変化はあるか。

市長

 先だっても,東京でいくつかの雑誌等の取材を受けましたが,記者からは「京都駅を通らないということを初めて知りました」「大変なことですね」「どうしてですか」といったことを聞かれました。首都圏においても,この件に関心を持っていただいているな,と手ごたえを感じています。

  しかし,まだまだこれからだな,ということも実感しています。単にわがまちに駅を造ってください,という運動ではないことを道理に基づいて御説明することが大事だと感じています。京都市が今取り組んでいる景観政策は,市民の当面の利益,快適な生活,経済の活性化,こういうことを超えて,多くの市民,事業者の方々に大変な費用負担をしていただいています。これは,50年後,100年後の京都を目指して頑張っており,同時に国家戦略としての京都創生,例えば電柱の地中化なども非常に厳しい状況の中,国の配慮のもと進めております。あるいは,双京構想についても,国に訴えています。こういう取組を含めて,リニアの問題を話すと,非常に共感していただけます。

 

<北陸新幹線開業に伴う京都市への影響について>

記者

 北陸新幹線が来年3月14日に開業するという報道がされているが。北陸が首都圏から2時間半で結ばれるということになると,京都と同じくらいの所要時間となり,一定の観光客が北陸の方に流れるということが考えられるが,北陸新幹線開業の影響をどのように考えているか。また,それに対抗するための観光客集客策は必要と思うか。

市長

 金沢がどんどん発展し,観光客の皆さんに金沢に伝わる日本の素晴らしい文化を愛していただく,そのことは,京都を愛していただくことにつながると私は思っています。金沢ともしっかりと連携していきたいと思っています。

 利便性の向上ということも大事であります。しかし,京都市に年間5千万人もの観光客に来ていただいているのは,便利なところだからというわけではありません。ですから,まずは京都に伝わるあらゆる歴史力,文化力,地域力,人間力,これらを,大事にし,さらに磨きをかけ,観光都市としての都市格を高めていくことが大事だと思っています。気をてらったような取組をするよりも,新しい観光計画の取組を市民ぐるみでしっかりと進めていきたいと思っています。

 20年ほど前に,京都観光はものすごく厳しい状況でした。日本の伝統ある文化を愛していただけることは,京都市にとってもプラスだと思います。

 

<世界歴史都市会議について>

記者

 9月2日~8日まで中国揚州で世界歴史都市が開催されるが,市長はそこでどのようなことを発表されるのか。また,今週末,インドの首相が日程を変更してまで京都を訪問され,しかも,安倍首相まで来られるということだが,京都市として,例えばインドと提携を結ぶなど考えていることはあるのか。

市長 

 第14回の世界歴史都市会議を中国の揚州市で開催できることになりました。揚州市は,来年,建都2500年ということで,4年前から大変な誘致活動をされてきました。鑑真ゆかりの地域でもあり,そこで開催できることを非常に嬉しく思っています。

 世界歴史都市連盟加盟都市は,61箇国・地域,103都市になりました。今回の会議には,中国,韓国の都市にも参加いただきます。「歴史都市の保存と開発,その調和」ということが各都市に共通したテーマであり,会議では,秋に開催予定のイクレイ東アジア地域理事会関連事業の京都国際環境シンポジウムへの積極的な参加要請を行うとともに,PM2.5がアジアの問題であると同時に,その都市の住民の問題であるということも訴えていきたいと考えております。

 インド首相の訪問については,今回の外交が,インドのナレンドラ・モディ首相にとって,初めての本格的な外交訪問となるようです。30日から3日まで来日されますが,モディ首相の強い御意向で,東京より先に京都にお越しいただくということを聞いておりました。これは最終的に外務省が発表されることですので,我々が確定的に申し上げることではないということは御了承願いたいのですが,昨日インドの総領事もお越しになり,「首相の意向なので,準備をお願いしたい」とのことでした。政治・経済は東京を中心に交流を進め,文化・芸術・学術は京都を中心に日本と交流を進めていきたいという御意向をお持ちのように聞いております。

 また,日本の文化首都とインドの歴史・宗教・文化の中心とも言えるバラナシ市とが交流し,「パートナーシティ」の締結に向けての準備をするということで,今進めております。

 ガンジス川のほとりで拝む人々の様子が象徴的なまちであります。ちなみに,第1回世界歴史都市会議に出席されており,世界歴史都市連盟に加盟されている会議のメンバーでもあります。

 

<東京での和風迎賓館構想について>

記者

 7月に舛添知事が京都迎賓館を視察に来られた際に知事と対談されているが,東京で和風迎賓館を造ることに関して市長の今のお考えは。

市長

 舛添知事にも申し上げましたが,東京都が東京都の来賓をお迎えされるために和風迎賓館を造ることには賛成です。造る際には,京都が今日まで蓄積してきた伝統産業や伝統文化,匠の技を活かしていただきたいと思いますし,協力させていただきます。

 しかし,国賓・公賓を和の文化でお迎えする場合は,260億の国費をかけて京都御所に造られた迎賓館でお迎えするべきであると思います。京都迎賓館は,建物の価値だけではなく,1200年続く都でありながら,御所以外の人工的なものは一切見えない借景があります。そのような借景があってこその和風迎賓館であり,その点で京都迎賓館は大事にしていきたいと申し上げました。

 したがって,東京都と対立するものではありませんし,舛添知事も国賓をお迎えするものを造るということではないとおっしゃっています。

 

<観光の視点から見る防災対策について>

記者

 台風や豪雨災害が多発しているが,観光と防災の観点から今後どのような災害対策を行っていくのか。

市長 

 最高のおもてなしは,安心・安全だと考えています。例えば,帰宅困難者対策について,日本で初めて帰宅困難者対策として,一時滞在施設等に関する協定を,JR東海とJR西日本,近鉄,京都駅ビルと京都駅周辺の企業で締結しました。

 また,東本願寺や西本願寺とも協定を結んでいます。8月30日には防災訓練を行いますが,今年は一番観光客が多い東山で行います。訓練の中では,いざというときに京都駅に帰宅困難者が集中しないようにするという取組を行っています。

 災害時の話だけではありません。消防局が中心となり,地域と一緒になって,「安心救急ステーション」を約1700箇所つくりました。商店街,観光施設など様々な所と協定を結び,災害だけではなく,観光地において,お年寄りが熱中症で倒れられた場合,道が観光客であふれている時でも,直ちに連絡して運び出せるといった取組を一つ一つ着実に進めています。

 そのような取組をしっかりと進めながら,多言語対応もきっちり行っています。例えば,昨年には,西日本で初めて,119番の5箇国語対応を開始しました。8月30日に行われる防災訓練でも,京都市国際交流協会など外国人に対応した機関と一緒になって訓練を行います。しかし,外国語対応には課題もあります。災害情報を発信していますが,英語でも発信しなくてはなりません。これは非常に難しいですが挑戦をしていきたいと思っています。

 去年の台風18号では,嵐山が大きな被害を被ったと報道されたわけですが,その年の秋には過去最高の人出になりました。台風や豪雨にもしっかりと対応しているということをしっかりアピールしていくことも大事だと思います。

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