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門川市長記者会見(2014年7月3日)

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2023年4月12日

市長記者会見(2014年7月3日)

「トラベル・アンド・レジャー人気都市ランキング」について

 嬉しいニュースが届きました。昨日夜に,ニューヨークから,アメリカの旅行雑誌「トラベル・アンド・レジャー」による人気都市ランキングで京都が世界1位になったという知らせがございました。

 トラベル・アンド・レジャーは,北米の富裕層を対象に毎月約100万部の発行部数を誇る世界で最も影響力のある観光雑誌の一つと評価されております。その読者投票で,京都が世界一に選ばれました。日本の都市で初めての快挙でございます。

 この投票は,19年前から行われておりました。2年前に,京都が初めて日本の都市としてベスト10入りし,パリを抜いて9位になりました。昨年は,ローマを超えて5位になり,今年は,イスタンブールやフィレンツェを抜いて1位に輝きました。

 今日まで,多くの市民の皆さん,お寺,神社,文化団体,多彩な観光事業者の方々に,京都観光の振興に御尽力賜ってまいりました。御礼申し上げます。また,観光庁,近隣の都市等との連携も深まってまいりました。そうしたことも今回の成果につながっていると感じております。

 観光立国日本の更なる発展のために,京都が果たさなければならない役割,責任の大きさを実感いたしております。これに驕ることなく,より一層努力を重ねてまいりたいと決意を新たにいたしております。

 このトラベル・アンド・レジャー誌では,風景・景観,あるいは文化芸術,食文化,人,というものを重視されていると聞いております。本市では,市民ぐるみで景観政策等に全力投球していますので,そうしたことも評価につながっていると考えております。

 私自身,躍進の原動力は4点挙げられると思っております。1つ目は,平成22年に策定した「未来・京都観光振興計画2010+5」でございます。この計画では,観光の質,観光都市としての質を重視しました。いたずらに量だけを追いかける観光ではなく,京都ならではの深みを掘り起し,それを発信して,感動していただくことを目指した取組であります。

 また,ILTM(インターナショナル・ラグジュアリー・トラベル・マーケット)の誘致など,富裕層に焦点を当てた観光振興を進め,そのことによって文化芸術,伝統産業,安定した雇用の創出につなげる取組を進めてまいりました。こうした取組も,評価の高まりにつながったと感じております。

 2つ目は,積極的な情報発信です。世界10都市で,ほんまもんの京都の観光情報を,相手のニーズに合わせて発信し,露出度を高めていく取組を進めてまいりました。今年度は,多言語観光ウェブサイトの13箇国語での発信にも取り組んでいます。

 3つ目は,受入環境の充実です。市内630箇所で,WiFiを無料で自由に使っていただける。外国人観光客の一番の不満は,インターネットが自由に使えないということで,そのことを知って直ちに対応いたしました。また,小さな旅館でも,24時間,多言語対応できるコールセンターを京都市が設置いたしました。さらに,英語で行先を入力すると,交通渋滞の情報を加味して,最も行きやすいコースを提示できるアプリも人気を得ております。そうした受入環境の改善も評価につながっていると感じております。

 最後に,最も大きい点は,京都の“人”であると思います。3年前に「観光おもてなし大使制度」を発足させ,観光おもてなし課長を設置しました。そうした京都ならではの人間力を活かして最高の観光都市を目指す取組も評価につながる大きな要因だったと思います。

 真の観光都市とは,観光分野においてのみ優れているというものではないと考えています。文化,芸術,あるいは,あらゆる産業,大学,自然環境などの都市の総和が,観光の深さ,広さなどにつながると思います。より一層,市民の皆さんと一緒に京都観光の充実・振興のために取り組んでまいりたいと考えております。

 なお,7月24日に,ニューヨークに来るよう招待を受けておりますが,後祭のくじ改めがございまして,私は行くことができませんので,代わって幹部職員がニューヨークに参りたいと考えております。

 また,トラベル・アンド・レジャー誌の方に,ぜひ京都に来ていただき,より美しくなっている京都をご覧いただければ嬉しく思います。

平成25年度生活保護行政の実施状況について

 引き続きまして,生活保護行政について御報告します。

 生活保護制度は,言うまでもなく,憲法に規定される健康で文化的な最低限度の生活を,すべての国民に保障する極めて大切な制度であります。京都市では,今日まで,必要とされている方に必要な保護をしっかりと提供していく,必要な人に必要な保護を貫徹する制度運営に努めてまいりました。

 働ける年齢層の方は,基本的に自立を望んでおられます。そういった方々の自立をしっかりと支援し,同時に不正受給を放置することは保護制度の瓦解につながりかねないので,不正受給は許さないというスタンスで取り組んでいます。また,生活保護は国の制度ですので,国に対して現場から必要な制度改革を提言していく。その3つを柱にこの間全力で取り組んできました。

 その結果,平成25年度は,前年度と比較して生活保護受給者が566人,保護率にして0.4‰(パーミル)減少しました。これらは,平成9年度以来16年ぶりのことです。

 被保護人員数の対前年増加率を今年の3月と去年の3月で比較しますと,全国の政令指定都市全体としては増加傾向にある中で,京都市は,マイナス1.18%となり,最も低い数値となりました。

 リーマンショック以降,全国的に生活保護の受給者が激増してきました。政令指定都市平均では40%増となりますが,京都市では20.2%増となり,これも最も低い増加率となっています。

 なお,生活保護受給者の4月以降の状況ですが,本年5月時点でも減少傾向を続けており,過去最高であった昨年3月と比べ,1,030人,保護率にして0.7‰(パーミル)減となっております。

 具体的な取組を3点お知らせします。

 まずは,「自立支援の推進」についてです。

 生活保護を受けている方の自立に向けて,日常生活や社会参加,就労など,それぞれの状況に応じたきめ細かな支援を実施してきました。

 このような支援を行うために,生活保護担当のケースワーカーを平成20年度から70人増員し,約400人の職員が携わっています。また,大規模区には担当課長を配置するなど体制の充実を図ってまいりました。

 就労支援については,専門家であるキャリアカウンセラーが,保護受給者の就労意欲を喚起し,求人開拓員が,支援対象者の能力や希望に応じた求人を開拓することにより,就労まで一貫してきめ細かく支援する「就労意欲喚起等支援事業」を平成22年から始めまして,順次強化・拡充してまいりました。その結果,平成25年度は985人が就職され,87人が職業訓練に参加されるなど,合計1,072人の方を就労等に結びつけることができました。これは極めて画期的なことであります。また,就労された多くの方から喜びの声が寄せられています。その一部を資料として付けさせていただいております。

 また,全国に先駆けて,市内の6区役所・支所,ひとり親家庭支援センターの計7箇所に,ハローワークの常設相談窓口を設置し,生活保護受給者に焦点を当てて,ハローワークによる職業紹介と福祉事務所による生活相談を一体的に行う取組を進めてまいりました。これが自立支援に大きくつながりました。

 国にも要望していますが,今年度中に新たに3箇所増設して合計10箇所とし,いずれ全区役所・支所に設置したいと考えております。

 これらの取組の結果,平成25年6月時点における保護受給世帯における就労世帯の割合が,横浜市と並んで政令指定都市中1位となっています。

 また,被保護者1人に対して支給した生活保護費の金額で見ても,平成24年度決算で1,631千円となっており,政令指定都市で京都市と同じ保護基準が適用される都市の中では最も低い数値となっております。

 次に,2つ目の柱である「不正受給に対する毅然とした取組」についてです。

 何度も申しますが,一部の不正を働く人のために,この生活保護制度に対する市民の信頼がなくなるということはあってはなりません。この,市民の最後のセーフティーネットである生活保護制度を守っていくためにも,不正受給に対しては,毅然とした取組をしています。昨年3月に,京都府警と,「生活保護の適正化等を図るための連携に関する協定」を結びました。さらに4月には,不正受給対策の専任組織である「適正給付推進課」を設置するという,全国初となる2つの取組を実施いたしました。

 その結果,昨年1年間で,本市の告発に基づく不正受給の逮捕件数は,過去2年間の実績の2倍強となる11件に達しました。

 また,市民の皆様が不正受給の疑いを持たれた場合,これを放置すると制度への信頼を揺るがすことになります。この際の連絡先となる適正給付推進専用ダイヤルを設置しました。

 そして,連絡いただいた事実を検証する仕組みを整備しています。平成25年度末までに386件の通報が寄せられ,約半数は,不正受給でないことが確認され,約2割の75件について不正受給が判明したため,保護廃止や保護費の返還等の是正を行っております。残りの67件についても,引き続き調査しています。

 なお,平成25年度は不正受給の件数・金額とも過去最高値を記録しましたが,これは,市民の皆様が疑問に思われたら連絡していただくという通報調査の取組の徹底などにより,これまで表面化しなかった不正受給の発見等が進んだ結果であり,不正受給そのものが増加しているのではないと考えております。

 最後に,3つ目の柱である国に対する積極的な提言についてです。

 今回,国による「福祉・就労支援コーナー」の設置が実現するなどの成果があがりましたがなお,様々な課題があります。例えば,ホームレスの方に対して,京都市では全国的に見ても手厚い取組をしております。そうしますと,政策の引き寄せ現象が見られます。この状況を受けて,生活保護制度は国の制度でありますから,住所不定の方の保護費は,全額国で負担すべきであると,伝えております。現状では,京都市民の税金で,ホームレス等の方々を保護し,その保護された方に住居を提供し,生活保護をかけて,そして,就労支援の取組をしております。こうしたことは本来国の予算でやっていくことで,京都市民の税金でやるということは,生活保護制度の趣旨から外れるのではないかと考え,こうしたことも国に求めております。

 今後とも就労支援制度等,市民の皆様に信頼いただける生活保護制度を充実させていくための取組を進めていきます。

海外出張報告について

 最後に,先日中国の青島に行ってまいりました。現在,青島では世界園芸博が開催されております。1200万人の方が来られるということで,私が行った時も多くの方々で賑わっておりました。

 2年前は,尖閣問題で,日中の関係が騒然となる時期でしたが,青島の張(チャン)市長がその直前に京都に来られ,パートナーシティ盟約を結ぼうということになりました。その後,青島を訪問し,パートナーシティ盟約を結びました。そして,今日に至るまでの間,京都青島市民交流会の顧問でもある繁市議をはじめ多くの方々に御尽力賜りました。とりわけ,園芸博は,京都庭園が出展されなければ世界の園芸博の名にふさわしいものにならないということで,経費の多くを青島政府で負担しますという熱心な勧めもあり,京都庭園を出展いたしました。

 出展に際しては,京都の造園関係団体の皆様に全面的に協力していただき,多い方は7回にわたって現地に行って指導していただきました。その甲斐もあって素晴らしい京都庭園ができておりました。京都庭園は,京都の観光や伝統産業,伝統文化を発信する役割も果たしていただいています。また,京都いけばな協会の方々にも同行していただきまして,京都が誇るいけばな文化を発信していただいています。

 なお,当初京都庭園等は,園芸博が終わると潰されるということでしたが,青島政府の御英断により,永久に遺そうということになりました。造園関係団体の皆様と一緒になって,よりすばらしい京都庭園として充実していくように引き続き取り組んでまいりたいと思います。

 世界100箇国に500を超える日本の庭園がございます。この庭園文化は,京都が誇る日本の大きな魅力であるということを改めて実感いたしました。

 そして,国と国との関係が非常に難しい昨今,都市間交流,市民間交流,文化交流,がいかに役に立つかということを改めて実感いたしました。そうした面でも市民の皆様と一緒に取り組んでまいりたいと思っています。

質疑応答

本件に関する質疑

(人気都市ランキング1位獲得について)

記者

 今回1位に選ばれた感想は。また,どういった点が他の都市と比べて高く評価されたと思うか。

市長

 率直に嬉しく思いますし,市民の皆さんと共に喜び合いたいと思います。同時に,国を挙げての観光立国の実現のために京都が果たすべき責任の重大さを感じています。京都が果たす役割を,市民を含めた京都全体で自覚し,より一層京都の魅力に磨きをかける取組が大事だと思います。

 本市では,京都の魅力を多面的に発信し,また奥深さを感じていただける取組を進めてまいりました。京都は1000年の間,1度も遮断されずに,都であり続け,あらゆる文化やものづくりが継続されています。そのような都市は,唯一であるとも稀有であるとも言われています。そんな京都の魅力をしっかりと発信していこうと思います。

 観光振興には,多くの関係者の大変な御尽力をいただいております。また,景観政策に基づく看板の撤去等にも大変御苦労をかけております。ある銀行の方から,「看板の撤去だけで3億円もかかりましたよ。」とお聞きしました。多くの方が,京都の美しいまちに磨きをかけようと大変な努力をしていただいています。そういった努力やおもてなし,食文化などの総合力が結果に結びついたと感じております。

(今後の観光振興に関する取組について)

記者

 1位を維持するために今後必要なこと,今抱えている弱点とは何か。また,弱点を克服するためにどのような取組を行っていくのか。

市長

 我々は,京都の魅力,強みを徹底して活かし,磨きをかけること。また,弱点を解消することの2本柱で取り組んできました。

 京都の魅力の一つである舞妓さんや芸妓さんを1つの例として挙げると,花見小路通では,観光客の半分以上が外国人で,舞妓さん芸妓さんの写真を撮ることができずトラブルが起きている。その一方で,近くのコンビニが繁盛しているといった現状があります。ある方から,「外国から来られた方が,京都の奥深い文化に直接接するという仕組みができていませんね。」と言われたことがありますが,そのとおりだと思いました。

 京都市では,「京都をつなぐ無形文化遺産」に「花街の文化」を認定しましたが,一見さんお断りの世界がございます。そういった文化を大切にすることも大事ですが,海外から来られた方に,そうした素晴らしい京都の伝統文化や伝統産業に手軽に触れていただける取組がまだまだ不足していると感じています。

 また,「歩くまち京都」,「公共交通優先のまち」の取組も随分前進してきました。「このような大都市で『歩くまち』と堂々と訴えられるのは京都だけではないか。」といったお声も頂戴しています。一方で,観光シーズンにはまだまだ渋滞等の課題がございます。渋滞対策等もより一層深めていかなければならないと思います。

 WiFiも非常に便利で喜んでいただいておりますが,関空と京都で規格が異なっており,京都に来た際には切り替えなければならないのが現状です。利便性をより向上させるといった,きめ細かい心配りが大事だと思っています。

 京都は,日本の精神文化の拠点都市であり,市民の皆さんがより一層京都の魅力を実感して,発信するといった市民ぐるみの取組が必要だと感じています。

記者

 宿泊環境と買い物環境についてはどう取り組んでいくのか。

市長

 京都では宿泊できないという点が不満の1つとなっております。宿泊観光客数は過去最高になりましたが,それでも京都では十分に宿泊いただけないのが現状です。近年,比較的低価格で泊まれるホテル等が大幅に増えてきましたが,富裕層向けの宿泊施設は,世界一人気のある京都としてはまだまだ少ないと言われています。観光客のニーズに合った宿泊施設が大事だと思っておりますので,富裕層向けの宿泊施設誘致にも力を入れていきたいと思います。

 また,買い物環境ですが,免税店拡大に向けて,免税店の制度改正に関する説明会を開催しましたが,予想を大幅に超える多くの方々に御出席賜りました。今年の秋には,免税店の制度が大幅に改善されますので,それに向けてより一層取り組んでまいります。

 日本における免税店の約7割は,東京や大阪に集中しているのが現状です。買い物も観光の大きな楽しみの1つでありますので,買い物環境の充実にも重点的に取り組んでまいりたいと思っています。

 今回,アメリカの雑誌での発表でしたが,これからはアジアへの対応やハラール対応も非常に大事でありますので,しっかりと取組を進めてまいります。

 2020年オリンピック・パラリンピックに向けまして,次期観光振興計画を半年前倒しで策定するため,非常に深みのある良い議論をしていただいています。いずれ市民の皆さんの御意見もいただいて,更なる高みを目指す新しい観光振興計画を年内に策定したいと思っています。

(就労意欲の喚起について)

記者

 生活保護について,今回の取組で1000人規模の就労につながったということですが,まだ潜在的に働ける人がいると考えているか?

市長

 例えば,専門的な治療が必要な方は治療につなげるなど,カウンセラーが,お一人おひとりの立場にたって相談を受け,働く意欲を喚起していくような,総合的な政策が大事です。そうした取組を進めた結果,今まで働けなかった方,あるいは働こうと思っていなかった方が働けるようになり,ケースワーカーを通して,働くことや人のお役に立つことに対する喜びの声が帰ってきています。

 こうした自立に向けた取組を丁寧にやっていくことが,お一人おひとりの幸せにつながり,また次の世代の幸せにもつながると思います。生活保護を受けておられる方の一定の割合は,親も生活保護を受けておられたということも最近指摘されています。貧困等様々な家庭の課題を超えていく取組が大事だと思っています。

(潜在的に支援が必要な方への取組について)

記者

 市の生活保護に関する方針の3つの柱の中で既に生活保護を受給されている方が自立するための支援の話が主であったかと思うが,こういう経済状況の中で,潜在的に保護が必要と思われる人たちを救っていくために,どのように取り組むのか?

市長

 先日も,社会福祉協議会,民生児童委員連盟との合同研修会を開催しました。民生児童委員は全国的には定員に満たない状況ですが,京都ではしっかりと各地域に根差して活躍し,学区単位で設置された社会福祉協議会も大きな役割を果たしていただいています。より地域に根を張ったネットワークとしての役割を果たしていただき,孤立されている方がおられないように,そうした取組を進めていきたいと考えています。

 これは生活保護だけの問題ではなく,自死の問題等にも関わってきます。京都市は,昨年,この15年間で自殺者人数が,政令指定都市で最も少ない数値になりました。この結果から見ても,きめ細かい地域に根差した取組の成果が出ていることがわかります。同時に区役所の福祉部で,きめ細かい体制をとって相談を受けていただくために,私の市長就任以降,危機的な財政状況の中で2000~3000人の職員を減らさざるを得なかったわけですけども,生活保護を担当するケースワーカーについては70人も増員しております。一人ひとりに応じたきめ細かい相談体制を区役所・支所中心に,また,市民のネットワークを活用することで,より機能させていきたいと思います。

 また,これまで,国に対する政策提言として,生活保護の受給を求めつつ,潜在的に働きたいと考えている方に生活保護とハローワークの相談窓口をワンストップサービスで提供すべきではないかと申してきました。現在,京都市が提案してきた仕組みが実現し,これが大きな役割を果たしはじめています。ハローワークは国の制度,雇用は都道府県の行政,生活保護行政は基礎自治体の仕事,これをきちっと融合することによって今回,画期的ともいえる成果ができてきましたので,縦割り行政的にならない取組が大事だと思います。

(生活保護率の低下について)

記者

 保護率が16年振りに減少したということですが,32.2‰という数字について市長はどうみているか。下げていくとしたら,目標などはあるか。

市長

 「必要な人に必要な保護」を貫徹するのが基本ですから,目標数値をもって,取り組むという進め方は間違っていると思います。保護の必要がなくなれば率は下がっていきます。必要な人に必要な保護は貫徹する。同時に自立できる方,就労意欲を持った方については,徹底した自立・就労への支援を行います。そして,不正受給は許しません。こうしたことが大事だと思っています。

 また,リーマンショック以後増加したのは,稼働年齢層の方であり,お年寄り,あるいは障害のある方,病気の方,これらの方々の保護率というのはあまり変わっていません。これは全国の傾向であります。このような不況による就労難の中,就労の意欲を湧き立てる取組を必要とする方が増えてきていると思っています。ひきこもりの問題も含めて,実効性のある自立支援を行うことで,保護率が自然と下がっていくと考えています。

 なお,別の視点から申しますと,年金がもらえるにもかかわらず,年金を受給せず,生活保護を受給されている方もおられます。この問題に対しても,特別のチームを組みまして,年金の支払い状況等を調査して,年金が受給できるようになり,生活保護を外れられる方もおられます。本来の年金の受給権をしっかりと行使されることによって,生活保護の負担が下がっていきますので,こうした取組も引き続き進めております。

(トラベル・アンド・レジャー人気都市ランキング第1位獲得と景観行政等について)

記者

 景観政策の話もあったが,この間,京都市として大々的に行ってきたことは,今回の人気都市ランキング第1位に至ったことに影響や効果があったと考えているか。

市長

 京都市は,毎年大規模な国内外の旅行者に対するアンケート調査をしております。満足や感動されたところ,あるいは御不満に思われた点等を調査しています。最新のデータで,御評価をいただいた点の一つは,京都のまちが美しく清潔であることです。もう一つは,美しい景観でした。他は,文化芸術とかお寺とか色々なことがあるわけですけども,景観が非常に大きな要素として,特に海外の方に評価されていることが分かりました。国際会議等で御挨拶申し上げるときに,京都市の景観政策を簡潔に説明しますと,途中で何度も拍手が起こります。やはりフィレンツェやパリに行っても,中心部に屋上の看板はありません。外国の方の多くは,そういうまちを見ておられますので,京都のまちから屋上の看板が消える,あるいは,パチンコ屋等の電飾の看板が全て撤去されることに,期待を寄せていただいているようです。京都にたびたび来られる方が,京都のまちが本当に美しくなったなとおっしゃるなど,我々以上に感性をもって,京都のまちを見ている方がおられると感じます。

記者

 景観政策等が,今回の結果に貢献したということだが,これから景観を維持・発展させるうえで,努力すべき点や課題について市長はどのように考えるか。

市長

 外国の方に,京都の多彩な,また深みのある魅力を体感し,感動していただくことは,非常に難しい面がございます。例えば,アメリカの方に京都は1200年の歴史があるとお伝えすると感動していただけます。しかし,中国の方はまた別の反応になります。そのお客様が求められていることに応じた説明をしたり,体験していただけるコースを作ることも求められます。一番大事なのは,お客様のニーズにきめ細かにお応えできるコンシェルジュを育てることだと考えています。これまでの,団体旅行で寺社を見ていただき,お食事をしていただいて,帰っていかれるというスタイルの観光を超えて,一人ひとりの好みに応じた提案ができる人材を育てることが最大の課題だと思っています。

 このため,昨年から京都大学と協働で研修会を開催してきましたが,そうした大学との連携による人材の育成に,力を入れていきたいと思います。

 あと,言葉のバリア(障壁)をなくしていく必要があると考えています。多言語対応等について,全国的な比較からすれば,京都は進んでいますが,なお一層の努力が必要だと思っています。

記者

 屋外広告物規制に関する猶予期限が迫っている中で,これから是正していくことが大事かと思われますが,今回の人気都市ランキング第1位になったことを踏まえて,市長のお考えを伺いたい。

市長

 まずは,屋外広告物規制の取組について,今日までの市民・事業者の皆様の御理解と御協力に感謝すると同時に,市議会で満場一致で決定した政策については,我々執行機関の責任において,しっかりとやりきることが大事だと思います。同時に看板を撤去するということだけでなく,美しい京都のまちにあった文化的・芸術的な看板を創造していく取組も今進めております。そうした取組にもより磨きをかけていきたいと考えています。昨年,自薦他薦で,京都ならではの看板というテーマで1,200件の御応募をいただきました。一昨年は800件でした。多くの市民の方々や観光客の皆さんが,「あの看板いいね」,「このサイネージいいね」と感じて御提案いただける雰囲気が出てきたことはありがたいと思います。

 基準を満たさない看板の撤去につきまして,8月が一つの区切りとなりますが,美しいまちを創造していくという意味では,これから将来にわたって続く取組になると思います。

一般質疑

(今後の再生医療・医療産業について)

記者

 STAP細胞を巡る問題で,理化学研究所の改革委員会から,発生・再生科学総合研究センターを解体することが提言された。また,今後再生医療の研究を進める際には,京都大学と連携することとされている。神戸から研究者や企業が流出した場合,京都で受け入れていくことにつながると思うが,市長はどのようにお考えか。また,再生医療や医療産業について,組織としてどのようにイニシアチブを取って産学連携を進めていくのか。

市長

 先ほど申し上げた観光振興については,京都だけで成り立つものではなく,日本全体,とりわけ,関西での連携が大事であります。同じように,再生医療を中心とした新産業の創出,あるいは人々の健康,幸せのために貢献することについて,京都と神戸が競争するのではなく,連携することが非常に大事だと思っております。

 そもそも,神戸の医療研究等は,京都大学の存在が根底にございます。井村裕夫先生をはじめ,京都大学の多くの素晴らしい先生が,阪神淡路大震災後の復興支援等に取り組んでこられました。山中先生もおっしゃっていますが,京都大学を中心とした京都の力と神戸の力が,今回の問題を乗り超えて連携を強め,両都市を含めた関西全体,ひいては日本全体の向上につながるようにと思っております。

 今回の理化学研究所の件は残念なことですし,理化学研究所理事長の野依先生は,第一次安倍内閣時の教育再生会議の座長を務められた,優れた素晴らしい方でございまして,この問題を乗り超えて頑張っていただきたいと思います。また,戦略特区の取組も含めて,京都大学を中心とした京都と神戸,大阪の連携を更に深める取組に全力を尽くしていきたいと思います。

記者

 今回の騒動をきっかけに,京都が戦略特区の中で,医療機器だけでなく,医療産業の中心を担えるようになると思うが,市長はどうお考えか。

市長

 特許や国からの予算確保の部分で切磋琢磨するのは非常にいいことだと思います。しかし,我々は,東京一極集中をいかに打破して,関西全体をどう向上させていくのかということを考えております。戦略特区についても,神戸や大阪だけになるのではないかと懸念されていましたが,国の方々は,京都を外すはずがないとおっしゃっていました。わかる人はブレないでやって下さっていますし,私たちも,今回の騒動でブレずに,本質を求めて取り組んでいきたいと思います。

 4年前,京都大学で,医学部・工学部・薬学部による連携分室を設置し,京都市からコーディネーターを派遣し,京都の企業に貢献する仕組みをいち早く作りました。そのような取組もより一層強化していきたいと思っています。

(集団的自衛権行使容認の閣議決定について)

記者

 安倍内閣による集団的自衛権の行使容認という閣議決定について,市長はどう受け止めているか。

市長

 非常に難しい問題ではありますが,日本の未来や世界の平和に係る重要なことですので,もっと国民的な議論を盛り上げていく必要があると思います。したがいまして,今後も国会において十分な議論を深めていただきたいと思います。

記者

 憲法解釈を閣議決定で変更するということについてはどうお考えか。

市長

 解釈について,どこまでが一線を越えているかということについては,専門家の見識を待ちたいと思いますが,より深い国会での議論,国民的な議論を必要としていると思いますし,国においても,十分な説明責任を果たしていただきたいと感じています。

記者会見資料

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