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門川市長記者会見(2014年5月20日)

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2014年5月20日

保育所入所児童,待機児童等の状況について

 本日は,子育て支援政策の中でも,京都市がとりわけ最重点として取り組んできました「保育所待機児童ゼロ」を達成できましたので,御報告させていただきます。

 「安心して子どもを生み育てられる」そんな環境を作っていこうということで,市長就任以来,子育て環境の充実を最重点課題に位置付け,職員一丸となって,また民間保育園関係者等と共に取り組んできました。

 待機児童の解消に向けましては,子育て家庭のニーズにしっかりと応えるため,この間,49の保育所の新設・増改築をはじめ,昼間里親の取組の充実,小規模保育事業等,合計で67箇所の施設を拡充してきました。また,京都にはすばらしい幼児教育を実践している幼稚園がありますが,その幼稚園の良さを生かしつつ,保育ニーズにも応える,「預かり保育」の充実など,保育園・幼稚園関係者の多大な御協力を得ながら,進めてまいりました。

 その結果,本年4月1日現在の保育所入所児童数は,私が市長に就任した直後の6年前,平成20年4月と比較しまして,3,296人増え,過去最高の28,868人になりました。この数字は小学校入学前の児童数に占める割合でいうと,過去最高の43.5%となり,「保育所待機児童ゼロ」の達成につながったのだと考えています。

 この43.5%という数字は,政令指定都市平均30.2%を大幅に上回る数字で,全国でもトップクラスの水準です。

大阪市が35.5%,福岡市が34.6%,名古屋市が31.3%,神戸市が27.7%,ちなみに,横浜市が24.8%という数字です。

 これらの数字は,京都市の保育所がしっかりとした役割を果たしているということを示すものと考えています。

 何としても待機児童ゼロを達成したいという強い決意のもとに,平成25年度には,民間保育所の新設・増改築などで,495人分の定員を拡大するとともに,京都ならではの昼間里親などの設置を促進し,60人分の受入枠の拡大を行い,過去最大となる555人分の児童の受入枠を新たに整備しました。

 さらに,私立・公立幼稚園における預かり保育を26年度当初からさらに拡充し,福祉事務所においても,幼稚園預かり保育の紹介を含め,市民ニーズに即したきめ細かな情報提供や,入園調整等も行いました。

 女性の社会参加や男女共同参画はますます進むと考えられ,本市における市民の皆さんの保育需要は依然として高まってくると思います。これらの状況を踏まえ,本市でも,今後,さらに子育て環境を良くしていく取組を実施していきたいと思います。これは,人口減少社会への大きな挑戦にもつながると思います。

 すでに来年度に向けましては,過去最大であった平成26年度当初を更に上回る675人分の受入枠を新たに確保するため,13の保育所を新設ないし,増改築することとしています。

 また,保育の質を維持し,向上させる取組も行っています。本市では全国で唯一,独自に条例を制定して,国基準よりも手厚く保育士を配置しています。この条例で,1歳児は,6人に1人の保育士を配置するという国基準に対し,京都市では5人に1人としています。3歳児では,20人に1人に対して15人に1人,4歳児では,30人に1人に対して,20人に1人となります。加えて,保育士の確保という課題も大事であります。京都市は,今年度も,保育士の処遇改善のため,43億円の独自予算を組み,民間保育所に対する支援を行っています。その結果,これは国等の資料ですが,全国の保育士の年収平均が302万8千円に対して,京都市の民間保育園の保育士の年収は,1.4倍となる422万8千円となります。これで十分であるかどうか,更なる保育士の処遇改善が,未来を見つめて必要かと思いますので,こうした取組もしっかり進めていきたいと思います。また,病児,病後児保育については,平成21年の利用者は,述べ571人でしたが,24年度には,2700人を超えています。そうした一人ひとりの保育ニーズに即した取組の充実にもますます力を入れていきたいと思います。

地下鉄・市バスのお客様数について

 次に,昨年度の地下鉄・市バスのお客様の数を取りまとめましたので,お知らせします。

 地下鉄は,1日5万人の増客を経営改善の一番のテーマに掲げ,交通局はもとより,オール京都市で,多くの市民の皆さんの御理解を得ながら,取組を進めてまいりました。市バスについても,同様に取り組んでおります。

 地下鉄につきましては,対前年度比1日当たりのお客様数が9千人増で,34万8千人となり,経営健全化計画に基づき取り組んできた4年間での総増客数は2万2千人となりました。内訳としては,4年前は1日3千人増,3年前は4千人増,2年前は5千人増,そして,昨年は9千人増であります。平成22年から30年までの間に5万人増という計画を立てていますので,残り5年間での2万8千人増に向けて,より一層力強く取り組んでまいります。

 市バスにつきましても,一昨年は,平成24年度対前年度比1日当たり7千人増という,近年にない大幅な増客を達成しましたが,昨年度は,更に4300人増の,1日当たり32万6千人増となりました。

 増客の主な要因ですが,地下鉄では,昨年3月から,PITAPA,ICOCAに加えまして,関東方面で多く利用されている,SUICAやPASMOなど,全国の主要なICカードを地下鉄でも御利用いただけるように改善しました。全国から観光でお越しいただく方々のサービスの向上が図れたと思います。

 また,同志社大学の文系の1・2回生の学生さんが,今出川キャンパスに戻ってこられたことによって,通学定期が4千人分増えております。

 嬉しいことですが,最近では,通勤定期の利用がじわじわと増えてきまして,昨年は1日当たり1500人の通勤定期が増えました。

 歩くまち京都,公共交通優先の取組を多くの市民,企業の皆さんと進めてきました。その取組が,じわじわと功を奏しているのではないかと感じています。

 市バスにつきましては,観光系統の増便,利便性の向上,わかりやすいダイヤの設定等々に取り組んでおります。とりわけ,一年を通じて1日乗車券(500円カード)がよく売れており,増客効果は非常に大きいわけですが,バスの単価は1回の乗車で160円と,どんどん下がっています。しかし,交通渋滞を解消していく,環境問題の改善という点でもありがたいことだと思っています。

 今後とも,多くの市民の皆さん,経済界の皆さんと一緒になって,歩くまち京都,公共交通を中心としたまちの在り方,交通体系の課題に取り組み,より一層お客様目線に立った利便性の向上,サービスの向上,更に何よりも大事な安心安全の取組を進めていきたいと思っています。

質疑応答(要旨)

<報告案件に関する質疑>

待機児童に関する今年度の取組について

記者

 待機児童に関しては,27年度も入所枠を増設するとのことだが,入所者数を増やすと入所希望者が増えるという課題がある中で,いつまでそのような対策を行うのか。また,病児保育の話もあったが,多様なニーズに対してどのように取り組んでいくのか。

市長

 京都は,保育の質・量ともに全国トップと言っても過言ではありません。その中で,申込者が更に増えることは喜ばしい現象であります。しかし,待機児童ゼロが実現できると思ったら,申込者が増えて実現できないこともあり,昨年は待機児童が94人でした。今年は達成できましたが,今後も,より一層保育所の定員の拡大に取り組んでまいります。

 また,京都には素晴らしい私立幼稚園等がございます。私立幼稚園が教育機能を活かしながら保育ニーズにも対応する取組が,今年は大きく前進しました。例えば,朝8時前から,また夜6時頃まで,更に夏休み中もお預かりできるようにしていただきます。伝統ある幼稚園が,幼児教育を充実させながら,保育需要にも対応できるように京都市も支援します。まだ始まったばかりではありますが,こうした取組も充実させていきたいと思っています。

 また,障害のある子どもたちへの手厚い保育,また病児,病後児保育,あるいは,様々な活動をするときに一時的に預かってほしいというニーズに対応した一時預かり等の充実にも取り組んでおり,子育てをされている方々のニーズに応える取組をきめ細かく推進していきたいと思っています。全容が示されてはいませんが,国の新しい制度である,子ども・子育て支援制度も来年度から始まりますので,京都市においても,子ども・子育て会議を開催し,深い議論をしていただいております。

 これまでの取組で,3千数百人の入所者増を図ってまいりましたが,市民や行政関係者が,保育所入所に関して心配することがないよう,平成29年までに,更に5千人の保育所受入枠を整備する目標を掲げて,取り組んでまいります。

地下鉄・市バスの利用状況及び料金の値上げについて

記者

 地下鉄・市バスの利用状況については,今年の3月まで好調だったということだが,消費増税後の4月の利用状況はどうなっているのか。

市長

 おかげさまで4月は地下鉄・市バスともに順調であります。4月は桜の状況に影響されることもあるわけですが,例年よりも順調で,5月に入ってもその状態を維持しています。お客様の数で見る限りでは,消費税増税による直接の影響はあまり感じられない状況であります。

 なお,先ほど申し上げた数字については,消費税増税による駆け込み需要をすべて排除しております。例えば,3月に4月以降の定期を購入されると,売り上げの金額だけが3月に反映されます。そこで,4月以降に点検し,3月に購入された4月以降の定期料金についてはすべて排除しておりますので,消費税による影響についてはきちっと算定しております。

記者

 市長は2月の市会で,平成27年度まで地下鉄の運賃を値上げしないと発言されたが,28年度以降の値上げについてはどう考えているのか。

市長

 地下鉄について,国からは10箇年計画の前期で5%の値上げをするよう指導されていますが,我々は可能な限り値上げを行わずに頑張っていきたいと考えております。

 10%の値上げで約10億円の歳入増ということになりますが,市民の皆さんの御理解のもと,駅ナカビジネスやコトチカの充実など,あらゆる政策でもって増客を図り,可能な限り努力していきたいと思っております。

 また,その都度,議会でも審議いただいて,年度年度の経営状況を把握しながら判断していきたいと思っています。

待機児童がもたらす効果について

記者

 待機児童の関係ですが,京都市は待機児童がゼロであると示すことが,都市経営を行ううえで,どういう効果をもたらすとお考えか。

市長

 よく市民の皆様から「保育所に入るのは大変です,だから,働いている人は子どもがなかなか産めない」という話を聞きます。それに対して,「そんなことはありません。京都市の保育所に入っている子どもは2万7,8千人になります。残念ながら,待機児童ゼロは達成できていませんが,入れていないのは90人程度です。99%は入れる。だから,保育所に入れるかどうか心配だから,子どもを産みにくいというのではない」ということを申し上げてきました。

 今回,保育所待機児童ゼロを達成して,99.数%入れるのと,100%入れますよ,ということの違いは,子育て最中の方,ご家族の方,あるいは,子育て中の方を雇う事業者の方にとっては,非常に大きいことだと思います。京都市では,この度,待機児童ゼロを達成したことを受け,「安心して子どもを生んでください」と,高らかに宣言したいと思っています。

 京都市では,例えば,ガード下に民間会社が仮設のような形で保育所をつくり,保育士の資格のない方が保育を行うということは絶対にしません。京都市の質の高い保育,質の高い保育士,これらをしっかりと維持・向上させていき,一人ひとりの子どもを大切にする保育をしていきます。こういうことを高らかに宣言することによって,京都にお住まいの方にも安心していただけますし,また,京都で子育てしたいとお考えになる方を増やすことにもつながると,私は,確信しています。私が市長に就任以来,これまでも,子育て施策に,2,000億円を超える予算を投入してきましたが,これからも最優先課題として,取り組んでいきたいと思います。

待機児童数と実際に保育園に入れていない人数について

記者

 待機児童ゼロとはいうものの,入所を希望する方と実際に入所できる方の差は,毎年コンスタントに,1000人ほどいると言われています。市が対象とするのは,国が定義した待機児童なのか,実際に困っている方なのか。

市長

 実際に保育所に入れていない子どもの数は,去年は578人でしたが,今年は480人まで減少させることができました。福祉事務所では,家から2,30分で行ける保育所を御提示し,保育時間の条件等も本人の希望に応じてお応えしている。にもかかわらず,特定の保育所しか入所を希望されない方もおられます。これについては,国の基準で,待機児童に含まれません。幼稚園は自分で選び,保育所は福祉事務所が決めるというのが,現行制度です。ですから,この制度のもとで,いくつもの保育所を提示しているにもかかわらず,自分の希望するブランドと言われる保育所しか行かないという場合については,保育ニーズが本当にあると言えるのかどうか,ということであります。また,保育所入所に関する不服申し立て制度も作っておりますが,今回は,2件のみの請求で,このうち1件は入所され,もう1件の世帯に対しても丁寧に対応しております。この意味でも,待機児童はゼロだと考えています。

 ちなみに,去年,横浜は,待機児童ゼロを報告されましたが,本市と同じ基準で言いますと,約1,000人,大阪市では,280人の待機児童を発表されましたが,約2,500人の保育所に入所されていない方がいます。これらの数字と比べましても,京都市は格段に少ないということが分かっていただけると思います。

 また,1週間に数時間等,就労時間が短い方には,一時保育や,預かり保育を活用していただくように対応しております。これらの方を保育所の定員に入れるということにはならないと思います。

 今後ともトータルで子育て環境を充実させていききたいと考えています。ただ,現実として,あそこは,非常に進学に力を入れているから,あそこに行きたいんだという方もおられるわけです。公の制度として,応えていけない。そういうことについては御理解をたまわりたいと思います。

待機児童がもたらす効果について

記者

 親がやむなく仕事をやめるとか,就職を断念しているという親のニーズについてどのようにお考えか。

市長

 今後も,保育の質の充実と量の拡充を進めていきます。同時に0歳,1歳の時点で,自分の望む保育所に,「入れるなら入りたい。」,「入れないようなら,育児休暇を取る。」という方もおられます。育児休暇は,3歳まで取れますから,こういう例もあるわけです。こういう例が保育の切羽詰まったニーズであるかどうか。私は,育児休暇をどんどん取っていただいたらよいと思います。また,育児休業をとれる社会にしていかなければならない。したがって,行きたい保育園に行くために,まず申し込まれる。そこに入れなければ,育児休暇をとる。そして,また来年申し込む。こういう選択が否定されるものではないと思います。こういう事例を含めて,申し込む方と入られた方の数字の差があるということだと思います。自分の家から2,30分で行ける保育園を提示してもそこは行きたくない。こういうことですから,これについて,本人の希望通りでなければ,それはダメだということでは,その人に合う保育所を増やしていかなければならない。これはなかなかできないと思います。これは永遠のテーマではないかなと思います。有名私学への進学をうたう保育園もあります。そこに行けないのなら,別の選択をする。その選択肢は,親の方にあると思います。

待機児童ゼロの成果について

記者

 今回,待機児童ゼロを達成したことは,一つの成果と言っていいのか。改めてどのように考えるか。

市長

 保健福祉局及び福祉事務所がきめ細かい対応を行いました。同時に,新たに保育所を建てて,経営を持続させるという非常に難しい問題がある中,民間保育園の皆さんに積極的に応えていただきました。特に,今年の場合は,保育所も経営しようと積極的に取り組んでいただける私立幼稚園が3園ございました。私たち京都市もがんばりましたし,民間保育園の方々,あるいは昼間里親,あらゆる方に御努力いただいた成果だと思います。

今後の課題について

 今後の課題については,どのようにお考えか。

市長

 今後さらに保育士を確保することが重要です。全国的に保育士不足が深刻化する中,京都市は比較的恵まれており,市内の大学等で毎年1,000人を超える保育士,幼稚園教諭資格者が養成され,およそ600人の方に毎年新たに市内で保育士等になっていただいています。これらの保育士養成機関との連携をしっかりと深めて,市内で働いていただけるよう取組を強化していきます。

 同時に,潜在保育士として一旦退職され家庭におられる方々にもう一度現場に復帰していただくため,26年度から「京都市保育人材サポートセンター」を立ち上げましたが,こうした取組を充実強化していきます。

 例えば,早朝時間帯の保育,あるいは夜遅くまでの保育といった保育ニーズにきめ細かく対応していこうとしますと,子育てが終わった保育士さんに朝や夜の時間帯をカバーしていただくことが非常に大事になってきます。こうした体制を充実していくことが大きいと思います。さらに,共働き家庭がますます増え,男女共同参画社会がさらに進展していく中で,少子化対策に真正面から取り組むために保育環境を整えることは最大のテーマだと思います。そうした意味で子育て家庭のニーズに合った多様なサービスの質と量の確保に,なお一層全力を挙げていきたいと思っています。

今後の地下鉄増客の取組について

記者

 地下鉄の増客の取組ですが,今後5年間で2万8千人を増やすとなれば,これまでの5年間の実績が2万2千人であったことからすると,一層の努力が必要だと思われます。それは駅ナカビジネスだけではなくて,山内浄水場の開発だけでもなく,もっと新しい対策が必要だと思われますが,どうお考えか。

市長

 先ほど申し上げましたとおり,毎年度3千人,4千人,5千人,9千人と着実に増えていますが,あと5年で年間5~6千人の増客が必要ということになります。これは今までの努力の上に積み重ねていくものですから,楽観は許されません。緊張感を持って長期的な展望に立って取り組んでまいりたい。

 今現在,目標よりも上回った増客はできております。そこで,山ノ内,三条京阪,岡崎の活性化,あるいは醍醐といった拠点の開発が大事であります。特に醍醐はごみの減少によりまして,東部クリーンセンター焼却施設を昨年休止しました。地下鉄の駅から歩いて5~6分という立地の再利用が可能であります。同時に京都市の都市計画マスタープランでエコ・コンパクトな都市構造を掲げて駅周辺の活性化にも取り組んでおります。これも大きなテーマであります。

 私自身が考える一番大きなテーマは,空き家対策,密集市街地対策,細街路対策です。集合住宅も含めた空き家が11万戸あり,ほとんどが交通の便利な所にあります。この空き家を資産として捉えて,京都ならではの地域力と民間事業者の力,そして行政とが一丸となって活性化させ活用していくことが,将来の大きな可能性になると思います。もう少し言いますと,人口減少社会への挑戦,都市の魅力の向上。これは保育もそうであります。さらにあらゆる市街地の活性化,そうした総合力を活かしていきたいと思います。

 「歩くまち京都」,公共交通優先の取組も大事だと思います。例えば公共交通優先の取組として,高島屋さんにバスの駅を作っていただきました。期間限定ですが,バスの切符をお渡しするということをされています。あるいは京都に新しく進出されたホテルが一日乗車券をプレゼントするという取組も行われています。そうした取組を総合力でやっていきたいと思っています。

お問い合わせ先

京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

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