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門川市長記者会見(2014年1月21日)

ページ番号161703

2023年4月12日

平成26年度当初予算(案)について

 本日は,予算編成の途中段階でありますが,予算編成過程の透明化を一層図る観点から,来年度予算編成において私が特に重視した点等について御説明申し上げます。予算編成方針を発表し,各局等からの要求も公開し,できるだけ予算編成,編成過程もオープンにしようという取組を進めております。市民の皆様,もちろん議会も関心を持っていただいておりますので,固まったものは,いち早く説明していきたいと思っております。確定版は議案として出しますので,その際はまた宜しくお願いします。

 まず,来年度予算の編成にあたって,特に重視した点を3点に絞って御説明申し上げます。
 1点目は,あらゆる京都の強みを徹底して生かして,成長戦略を推進することです。景気は確実に回復の傾向に向かっております。ただ,市民生活の段階において,あるいは中小零細企業にとって,まだ実感するに至っていないというのが率直なところであります。4月に控えた消費税増税を乗り越えて,京都経済の活性化,安定した雇用の創出,確かな京都経済の成長が実感できる取組に全力を傾注してまいります。
 2点目は,市民のいのちと暮らしを守る取組であります。極めて厳しい財政状況のもとでありましたが,就任以来,徹底した行財政改革を断行する中で,財源を確保し,全国トップレベルの福祉,教育,子育て支援を力強く進めてまいりました。引き続き,これらの取組を一層充実させてまいります。そして,台風18号の教訓を,しっかりと総括し,さらに東日本大震災を踏まえた災害に強い安心安全なまちづくりを加速化させてまいります。
 3点目は,京都の魅力と都市格を更に高め,全世界に発信し,世界の文化首都への歩みを強力に推進してまいります。「失われた20年」と言われる経済の停滞等によりまして,我が国の国際的な地位が低下し,影が薄くなってきたと言われており,そこから脱出することが求められています。しかし一方では,京都に伝わる日本の文化,和の文化への評価が世界において高まった20年だったと思います。京都議定書が誕生し,「もったいない」という言葉が国際語になりました。「おもてなし」という日本の精神文化,類まれな景観,和食のユネスコ無形文化遺産登録,日本酒,クールジャパン,これはクール京都と言っても過言ではございませんが日本のソフトパワー,日本の象徴としての京都の評価が非常に高まりました。これからはさらにそれを高めて,日本の発展のために,世界の発展のために,京都が役割を果たさなければなりません。東京オリンピック・パラリンピック,ワールドマスターズゲームズ,これらは極めて大切な機会であります。そこで,日本の心のふるさと,精神文化の拠点都市,京都の魅力を市民ぐるみで再認識し,より深め,一層強力に国内はもとより,世界に対して発信していく,そうしたことに京都が責任を負わなければならない。同時に,それを経済の活性化等に結び付けていく。こうしたことに最大限留意した予算といたしました。

 次に,予算規模でございます。一般会計の予算規模は,現時点で,本年度の7,366億円を上回る約7,400億円と見込んでおります。中小企業金融対策預託金が,資金需要の減少により,大きく必要性が減ってきました。130億円と大幅減額しており,別に考える必要があります。したがって,実質的に今年度予算を160億円上回る積極予算となります。
 なお,金額につきましては,おおよその額であることを御理解賜りたいと思います。
 次に,公共投資についてでございます。25年度予算では,昨年2月補正と一体の予算として編成し,前年度24年度と比べまして,32%もの大幅増となっております。この度の来年度予算編成においても,国の「好循環実現のための経済対策」に呼応いたしまして,25年度2月の補正予算と一体となる予算として編成しており,今年度とほぼ同程度を維持しています。
 次に,財政構造改革につきましても大きく前進しています。昨年10月時点の予算編成方針発表時は,206億円もの財源不足がありました。
 このため,改めて全庁的に更なる構造改革を徹底的に議論し,推進いたしました。そこで,人件費につきましては,今年度予算1,116億円から30億円削減致します。私が市長に就任してから,人件費の削減に徹底して努力してまいりましたが,単年度190億円の削減となります。
 また,全庁的にすべての事務事業について,ゼロベースから総点検をしました。交通局等におきましても,更なる改革を要請し,結果として,公営企業への繰出金の削減も含めまして,事務事業の見直しにより40億円を確保しました。
 市税収入でございますが,国の政策と本市の成長戦略があいまって,今年度から約100億円の増,2,510億円となっております。一方,市税収入が増えますと地方交付税は減額される仕組みになっており,30億円の減を見込んでおりますが,国の景気刺激策も含めて,一定確保できたと思っております。こうした取組の結果,特別の財源対策の必要額は,目標のおおむね100億円を大きく下回る半分の50億円ぐらいまで圧縮することができます。子どもや孫,将来世代に,過度の負担を先送りしないということで,この間,徹底して市債残高の削減に取り組んでまいりました。国が返済に責任を持つ臨時財政対策債を除く,実質市債残高については,来年度,新たな市債の借入は,440億円,返済は590億円であり,150億円縮減し,着実な縮減に努めております。

 さて,次に昨年10月に発表した予算編成方針にお示しした6つの重要課題ごとに,主な重点政策・事業をいくつかポイントを絞って御説明申し上げます。
 まず,1つ目の重点は,「京都の強みを最大限に生かした地域経済の活性化と安定した雇用の創出」であります。
 東京オリンピック・パラリンピックを6年後に見据えまして,世界を視野に入れた「おもてなし」の心による観光政策を強力に推進してまいります。
 また,「日本の宝」,「京都の誇り」であります伝統産業,中小企業等に対する支援の拡充,安定的で質の高い雇用の創出を推進します。
 観光施策の充実といたしましては,現在,アメリカ,韓国など8箇所に設置しております海外情報拠点を,新たにアラブ首長国連邦のドバイに,また,香港にと,2箇所を加えまして10箇所といたします。
 また,京都情報を発信する多言語WEBサイトにつきましても,現在8箇国語で発信しておりますが,アラビア語などを加えまして,国内の自治体としては最多となります13言語による観光情報を発信するようホームページを充実させてまいります。
 次に,伝統産業の支援といたしましては,伝統産業関連事業者の設備改修などに対する補助制度を新たに創設し,設備改修等が困難などの理由によって失われていく職人の技を守っていく新たな取組を進めます。
 また,京都が誇る,優れた技術を持つ中小企業の製品やサービスの海外販路を開拓するために,豊富な海外展開支援事業と海外ネットワークを持たれるジェトロの京都事務所の開設を府市協調によって行ってまいります。
 雇用対策では,正規雇用や長期的な雇用拡大に向けて,国の経済対策を受けまして,新たに創設される「地域人づくり事業」を活用した雇用創出事業を実施いたします。
 また,京都ならではの特性を最大限に活かしまして,「オール京都」体制で地域の産業政策と雇用政策がしっかりと一体となった,良質で安定的な雇用を創出する「京都次世代ものづくり産業雇用創出プロジェクト」を実施してまいります。
 これらの取組に18億3千8百万円を確保し,約1,200人の雇用の創出を図ります。

 2つ目の重点は,「福祉・医療・子育て支援・教育などの充実」でございます。
 出会いから,妊娠,出産,赤ちゃんのいる暮らしまで,必要な施策を切れ目なく展開してまいります。
 「京都で子育てして良かった」と実感していただける子育て支援の推進,さらに,高齢者・障害者福祉の一層の充実に取り組みます。
 子育て支援の取組では,保育所入所や多様な保育サービスへの需要が増加している状況をしっかりと踏まえまして,待機児童ゼロ実現のために,保育ニーズの高い地域において,保育所の新設を3箇所,増改築による整備を3箇所で実施し,410名の定員増を確保します。
 また,京都市には,素晴らしい幼児教育を実践されている幼稚園が多数ございます。その幼稚園におきまして,正規の保育時間終了後や夏休みなどにおいて在園児童を預かる「預かり保育」について,保育所並みの預かり時間にできるように抜本的な充実を行うための支援をします。
 これらの取組に6億5千8百万円を計上しております。待機児童の早期解消と多様な保育ニーズの充実を目指してまいります。
 次に,出会いから,赤ちゃんのいる暮らしまでの支援でございます。
 婚活支援につきましては,京都市でいち早く京都商工会議所青年部との連携により実施してきました「京都婚活」などの取組に加えまして,婚活事業に取り組むNPO法人等を支援する仕組みを創設するなど,新たな取組を実施します。
 また,体調不良や育児不安,身近に支援者がいない等の理由から,支援を必要とする母子への産後ケアの充実強化を図るために,産後のデイケアやショートステイ等を通じて支援を行う「スマイルママ・ホッと事業」を新たに実施します。
 次に,高齢者福祉施策でございます。特別養護老人ホーム新設3箇所,定員204人増に加えまして,認知症高齢者グループホームなどの整備を市内11箇所で進めます。そのため,6億6千6百万円の予算を計上しています。

 3つ目の重点は,「京都で暮らす方,京都を訪れる方すべての安心安全を守るための防災・老朽化対策」であります。
 橋りょうの耐震化,緊急輸送道路の防災対策などにより,災害に強いまちづくりを着実に推進してまいります。増加する空き家への対応や京都ならではの密集市街地対策による防災性の向上にも取り組みます。
 また,台風18号で明らかになった課題に的確に対応してまいります。
 橋りょうにつきましては,東日本大震災後,ただちに総点検を行い,「いのちを守る橋りょう健全化プログラム」を作成しました。このプログラムの着実な推進を図り,5箇年計画の最終年度である28年度末までに,重要路線上の橋りょう15橋のうち,鉄道を跨ぐため工事に時間のかかる1橋を除き,14橋の耐震補強などを完了します。
 また,一般国道162号など緊急輸送道路に面する斜面等の防災対策を実施します。さらに,昨年策定した「普通河川整備プログラム」に基づき河川改修等を推進してまいります。
 次に,地域力の低下につながる空き家問題,また,京都の特性を踏まえた密集市街地の防災性の向上,居住空間の改善についてであります。
 本年4月に施行する「京都市空き家の活用,適正管理等に関する条例」に基づき,空き家対策を総合的かつ強力に推進するため,官民連携による総合的なコンサルティング体制の整備,空き家をまちづくりの資源として捉えた活用の促進などに取り組んでまいります。10年間で1万戸の空き家の活用・適正管理化を目指します。
 また,密集市街地における防災の安全性の向上を図るため,防災ひろばの整備等に対する助成制度を創設いたします。
 細街路対策では,歴史都市京都の町並みを継承しつつ,建替え等を誘導する「新たな道路指定制度」を創設し,この新たな道路指定に必要な合意形成等の沿道住民の活動を支援してまいります。都市計画のあらゆる手法を駆使した取組を総合的に推進してまいります。
 これらの取組に2億7千万円を計上しております。
 台風18号を契機とした災害対策の充実強化策では,リアルタイムで詳細な雨量情報を提供する,国土交通省の雨量解析データ「Xレイン」を基に,250m四方単位で京都市全域の降雨量が把握できる新たなシステムを構築します。京都の場合,町内単位で降雨量を表示する工夫も併せて取り組みます。
 耐震性が低く,改修が必要な民営保育所につきまして,耐震化計画に基づき,事業者の負担を京都市独自に軽減する,耐震改修助成を実施します。

 4つ目の重点は,「文化芸術の振興や地域の個性と活力あふれるまちづくりなど京都ならではの魅力の向上」であります。
 文化首都・京都にふさわしい多彩な文化芸術施策を展開します。スポーツ環境の整備による市民スポーツ・競技スポーツの振興を図ってまいります。
 開館80周年を迎えた京都市美術館の再整備事業については,整備基本計画の策定や埋蔵文化財調査等に要する費用として,1億2千万円を計上しました。
 また,東京オリンピック等の開催を見据え,新たな文化芸術施策を展開するため,平成27年1月を目途に,「京都文化芸術プログラム2020(仮称)」を策定し,日本文化の神髄である京都の文化芸術を国内,また広く世界に発信してまいります。
 さらに,世界遺産「古都京都の文化財」の登録20周年,「和食」のユネスコ無形文化遺産登録を契機に,京都府や宇治市とも連携し,記念事業を実施するとともに,日本料理を通して子どもたちの食に対する興味関心を高める「食育カリキュラムの推進」,また学校給食の在り方の検討を行います。
 これらに1千4百万円を計上し,世界遺産や和食など京都の文化遺産を人類の財産として未来へ継承してまいります。
 スポーツ施設の整備につきましては,京都府との協調により西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場の計画的改修,また横大路運動公園の再整備,防災機能強化のほか,宝が池公園体育館(仮称)の整備等に取り組み,市民・競技スポーツの振興とビッグイベントの誘致を促進します。

 5つ目の重点は,「環境に優しい循環型社会,持続可能なエネルギー社会の実現」であります。
 原子力発電に依存しない持続可能なエネルギー社会に向けて,徹底した省エネルギーの推進と再生可能エネルギーの普及拡大を図ります。
 また,イクレイにおける東アジア地域理事会の京都開催を契機として,環境先進都市・京都を世界に発信し,東アジアの環境施策をけん引する役割を京都市が果たしてまいります。
 まず,市民の皆さんに積極的に住宅の省エネ化・再エネ化に取り組んでいただける仕組みづくりとして,新たに既存住宅の省エネ改修に対する助成制度を京都市独自に創設します。また,災害に強く環境負荷の少ない自立分散型エネルギーの利用促進のため,家庭用燃料電池の導入などに対する助成制度を創設します。
 これらの取組に4億2千百万円を計上し,「京都市エネルギー政策推進のための戦略」に掲げる,「2020年度までに2010年度に比べまして,年間のエネルギー消費量を15%以上削減する,再生可能エネルギー導入量を3倍以上にする」とする目標を達成してまいります。
 温室効果ガスの排出量は,東アジア地域の中国,韓国,台湾,モンゴル,日本だけで世界の約3割を占めております。そのほとんどが中国です。そこで,イクレイの組織を改編して設置した,東アジア地域理事会を通じて,中国の自治体に対する働きかけをしっかりと強化していこうというねらいであります。
 平成26年秋,私が議長を務めております,イクレイ東アジア地域理事会及びその関連事業(国際シンポジウム等)を本市で開催します。
 環境にやさしい道路照明灯の導入については,生活道路上のほぼすべての蛍光灯約6万7千灯を当初計画から3年短縮し,平成28年度までの3年間で,LED化を完了するなど,道路照明灯の節電・長寿命化・低炭素化を推進します。

 6つ目の重点は,「都市の活力を高める「歩くまち・京都」の推進と都市基盤整備など未来の京都への先行投資」であります。
 未来の京都・日本にふさわしい新たな交通分野での研究開発に着手します。
 20年後の未来社会,あらゆる先端技術を融合し,仕組みとしてのイノベーションを誘発していきます。そして,公共交通の利便性向上等々に取り組むため,京都未来交通イノベーション研究機構(仮称)をオール京都,オール日本で,立ち上げます。公共交通機関や道路,駐車場などあらゆる交通関連の情報を統合・利活用します。また,あらゆる人と物の移動を,ICTはもとより,時代の進歩を見据えて取り組んでまいります。20年前,スマホはございませんでした。20年後どういう社会になっているのか,そういうことを想定しながら,京都においてモデルとなる取組を行い,政府とも連携し,いずれ世界にこの仕組みを輸出していくことも,京都が果たすべき責任だと思います。個々の技術のイノベーション,ICTを活用し,仕組みとしてイノベーションを起こすといった取組を進めてまいります。
 また,市バスと地下鉄に関する取組としては,公共交通の利便性と魅力の向上に向けて,市バスへのICカードシステムの導入などを実施します。
 地下鉄につきましては,駅ナカビジネスが好評でございますが,新たに山科駅に「コトチカ」を開業します。

 結びになりますが,2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催等に向けた,京都ならではの「おもてなし」を充実させるための予算と,京都市・京都府の主な協調事業の一覧を掲載しています。
 オリンピック関連では,先ほど御説明した事業に加えまして,京都の魅力を国内外へ発信する取組の強化,子どもたちが日本・京都を「知る取組」と,日本・京都を「伝える取組」を充実させ,進めてまいります。
 また,府市協調事業として,西京極総合運動公園の計画的改修や横大路運動公園の再整備,市衛生環境研究所と府保健環境研究所の共同化に向けた整備基本計画の策定についての予算を計上しました。

 以上が現時点での予算状況でございます。ほぼ確定段階に近いですが,一部変更はございます。
 市会での議論,そして,議決をいただき,本予算案に盛り込んだ取組を最大限実現してまいります。そして,京都の「地域力」,「文化力」,「人間力」,これをしっかりと生かす取組を市民の皆さんと共に汗する「共汗」で進めてまいります。特に,観光あるいは新産業の創出,安心安全なまちなどの実現のために,縦割り行政のさらなる打破,京都府政との二重行政を解消し,さらに効果的・効率的にしていく取組を進めてまいります。そうした政策の「融合」をキーワードに,徹底して市民目線に立って,京都ならではの強みを生かした経済の成長と,福祉や教育,子育て支援に全力投球してまいります。

 私からは,以上でございます。

質疑応答

記者
 予算が前年度を上回るのは,いつ以来か。今回の予算案の中で,市長が特に力を入れたもの何か。

市長
 15箇月予算という言い方を国もしていますし,私共もしますが,そういう意味では,26年度も25年度予算を上回っていると御理解いただいたらいいかと思います。
 最重点は,経済の活性化,安定した雇用の創出,福祉,子育て支援ですが,それらをしっかりと進めていくために,京都の強みである観光,伝統産業,産学公連携による新産業の創出をきめ細かく推進していきます。
 なお,そのための財源確保については,財政は一時より大きく改善していますが,なお厳しい状況ですので,人件費30億円の削減など,非常に厳しい行財政改革を断行しております。

記者
 市債残高も減っており,財源不足額も来年度は50億程度と,現状としてはかなり改善しているようだが,平成28年度以降,特別の財源対策は不要になるのか。
市長
 地下鉄・市バスの経営改善が大きく前進しました。そして,単年度で190億円の人件費削減などにより,財政健全化を進めています。ただ,景気や税収の動向は,まだまだ見えませんので,この辺をしっかりと見据える必要があります。また,中長期的に担税力を高める取組も必要だと思います。
 法人市民税は,市税収入の約1割程度です。したがって,観光振興に大変力を入れているわけですが,それが税収に跳ね返ってくるには,そこで働いている人の給料が上がらないと,反映されません。国や都道府県は,法人税・法人事業税ですので,すぐに反映されますが,市民税を上げる取組は,地道な取組になります。生産年齢人口の減少には,あらゆる努力をして,可能な限り歯止めをかけたいと思っていますが,確実に生産年齢人口は減ります。市長就任早々,財政健全化のために,民間有識者に集まっていただき,提言いただいた生産年齢人口の減少に合わせて,市債残高を減らしていく取組を,ぶれずに推進していくことが大事だと思っています。

記者
 1,200人の雇用創出とは,新規で雇用を創出するということか。
市長
 新規です。雇用創出のための京都市の事業により直接的な雇用が何人生まれるかということです。この雇用創出の予算による派生効果ということではありません。

記者
 単年度だけで1,200人雇用が続くということか。
市長
 国の資金を活用してやっていきますので,雇用が継続されるものに取り組んでいきます。リーマンショックの時は,そうでない事業もございましたが,今回は,国の資金も活かしながら,雇用が継続されることに視点を置いております。

記者
 それにはどういう狙いがあるのか。継続雇用したいという狙いか。
市長
 日本や京都にとって最大の課題は,安定した雇用の創出と言っても過言ではないと思います。安定した雇用の創出が,少子化社会に対する取組にもなっていきます。
 様々な事業がありますので,一括的には言えませんが,産学公連携による新産業の創出や京都の強みを生かした伝統産業,観光産業の場で雇用を創出するなど,あらゆる取組を雇用に結び付けていくことが大事であると思っています。
 なお,公共事業を行うことによる間接雇用は(雇用効果には)含めていません。

記者
 西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場と横大路運動公園の改修の狙いは。
市長
 西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場は,京都の中心の競技場であるということで,第1回国民体育大会,更には第43回国民体育大会のメイン会場として使用されました。第1回国民体育大会の時も,府市協調で大改修されました。今回の改修についても府市協調で行っていくという合意ができております。
 また,横大路運動公園ですが,サッカースタジアムの誘致という,伏見はもとより,京都市全域の取組があり,市議会においても,誘致を促進するための議員連盟もできました。
 しかし,山田知事の判断で,亀岡以北の地域の活性化のために,亀岡に譲っていただきたいという要請がありました。その際に,山田知事と,西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場と横大路運動公園,三川合流地域のスポーツ施設の整備については,府市協調で行い,中長期的なプランとともに,25年度予算から反映させていくことで合意しました。
 したがいまして,府とも協議しながら,京都市としての予算も計上してまいります。

記者
 財政改革について,ゴールがあるならば現在はどれくらいのところまできていると思うか。
市長
 2年前に策定した財政健全化のためのプランにつきましては,市債残高の減少や地下鉄,市バスの経営改善なども含め,目標を明確にして,市民の皆さんにも公にしており,その目標を上回って前進しています。
 一方,地方財政は,国の財政政策に大きく左右されます。国から税財源をしっかりと委譲するということを言っていますが前進しておりません。
 京都市も含めまして,東京都や一部の都市以外は,国の財政政策に大きく左右されるという構造は,国に対してしっかりと改善を要求していかなければ改善されませんので,国に対して強力に要求したいと思います。
 京都市でできる取組は万全を期して推進し,その目標を超えて実現しています。国に対しては,より一層,地方自治体が市民の要望に応えてしっかりと未来を展望できる財政構造改革を要望してまいります。

 

記者
 4月の消費税増税の影響について,国では夏頃に回復してくると考え,秋頃の動向をみて消費税の10%への増税を判断したいとしているが,京都の中小企業も,夏頃には盛り返してくると考えているか。
市長
 様々な聞き取り調査を京都市独自でも行い,国や京都府,商工会議所等々と意見交換をしています。「価格転嫁できない」,「反動が心配」といった,心配する声がありますが,全体的には「大丈夫だ」という声の方が大きいと感じ,多くの企業は,乗り越えて行こうとポジティブに対応されている雰囲気です。
 ただ,心配されている声も相当数ありますので,相談体制の充実強化を図っていきたいと思います。
 京都市では, 24年4月に京都市の中小企業向け経営・金融相談窓口の機能を,二重にならないために,商工会議所と一体化させました。商工会議所に,京都市という看板は掲げていませんが,京都市が人件費を負担し,経営指導する支援員を新たに10人配置しました。徹底して中小企業の立場に立ち,行政の壁,官民の壁を越えた相談体制を進めています。また,25年4月には,産業観光局に中小企業振興課を作りました。平成26年度も,京都市と商工会議所のあらゆる機能を生かし,中小企業へのきめ細やかな相談支援体制を維持してまいります。

記者
 消費税が8%から10%に上がった場合,京都の中小企業が耐えられるとお考えか。
市長
 消費税の10%への増税につきましては,現時点では,国においても慎重な姿勢で発言されていますので,発言を控えさせていただきます。

記者
 平成25年度の財源不足額が,昨年10月時点で200億円程度あったが,平成26年度予算では減らしている。平成26年度の積極予算による,翌年度以降への影響はないのか。
市長
 例えば,美術館構想や安心安全のための橋りょうの耐震化・老朽化修繕などの大きな事業がまた動き出しますので,これらを見据えていかなくてはならないとは思っています。なお,橋りょうの耐震化は,現在は設計や準備工の段階で,平成28年度中に全14橋の耐震補強を完了予定です。一番予算が大きく膨らむのは最終段階になりますので,今後も財政状況に緊張感を持って,進めていかなければならないと思っています。

お問い合わせ先

京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

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