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門川市長年頭記者会見(2014年1月6日)

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2023年4月12日

市長年頭所感

 新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

 昨年は,和食のユネスコ無形文化遺産登録,また,東京オリンピック・パラリンピックの招致活動で,京都が誇る精神文化であります,「おもてなし」が大きく脚光を浴びました。また,関西ワールドマスターズゲームズの開催決定など,嬉しいニュースが続きました。そして,京都市の様々なビジョンやプランを着実に実行できた実り多い年であったと実感しております。
 一方で,厳しいこともございました。台風18号では,多くの市民の方が経験したことのないような被害がございました。しかし,それと同時に,京都の市民力,地域力を改めて実感しました。また,更なる安心安全なまちづくりのための多くの教訓を得ました。その教訓を基に施策を一つ一つ実行に移していきたいと考えております。
 「自分たちのまちは自分たちで良くしていく」。こうした京都市民の熱い心と行動力に支えられながら市政を推進する一方で,徹底した行財政改革を行い,組織力を高める取組を進めておりますが,なお京都市の財政は厳しい状況にあります。地下鉄や市バスの経営健全化等々,力強い前進もありますが,社会福祉関係経費の大幅な増加,また,消費税の増税等もあります。これらを乗り越えて,より一層元気な京都をみなさんと共につくっていきたいと思っています。

 年頭に当たりまして,私から3点抱負を申し上げます。
 まず,1点目は,経済の活性化と安定した雇用の創出であります。この間,様々な取組をオール京都で推進してきました。中小企業,零細企業の下支え,とりわけ,就労・金融,経営の3つを一元化しまして,商工会議所と一体となって取り組み,多くの効果を上げてきました。
 さらに,そうした下支えとともに成長支援に取り組みます。産学公連携や,京都の文化力,歴史力を活かしたコンテンツ産業の振興によって,経済の活性化,安定した雇用の創出につなげてまいります。
 2点目は,京都が持つ素晴らしい文化や景観などの,京都ならではの魅力に更に磨きをかけて,都市格の向上,ブランド力の向上を図り,世界に発信してまいります。
 これからの日本を考えた時,「失われた20年」を取り戻していくために京都が果たす役割には大きなものがあります。
 皇室のどなたかに京都にお越しいただく「双京構想」の実現のためにも,更に京都の都市格を磨き上げていかなければならないと考えております。
 双京構想やリニア中央新幹線の京都駅ルートの実現。また,今年8月末で経過期間の期限を迎える屋外広告物対策など,京都の美しさに磨きをかける取組に全力を挙げてまいります。
 東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まったことは,素晴らしいことですが,東京一極集中が加速するということにもなりかねません。こうしたときに,京都が役割を果たすことによって,日本全体が発展する。世界から尊敬される京都,日本をつくっていくことが,京都の責務であると思っております。
 3点目は,福祉,教育,子育て支援,あるいは,防災,減災,安心安全のまちづくりをしっかりと進めてまいります。とりわけ,待機児童の解消に向けた取組や全国トップ水準の福祉,子育て環境を更に充実させてまいります。
 また,台風18号や東日本大震災,最近の局地的な集中豪雨などに備えまして,河川改修などの治水対策,建物の耐震化といった地道な施策もしっかりと進めてまいります。
 12月30日には,キャロライン・ケネディ駐日米大使が,ご家族で二条城にお越しになられました。非常に気さくな方で,着任後初めて休暇が取れたので,アメリカから家族を呼んで京都でゆっくりしますとおっしゃっていました。
 お茶会を開き,いろいろ御説明しましたが,京都に深い興味を持っておられました。ジョンさんという二十歳の息子さんは,京都の歴史に非常に詳しいので,どうしてですかと聞きますと,母の着任が決まって以来,大学で京都の講座を2つ受けたとおっしゃっていました。アメリカで,若きリーダーとして嘱望されていると聞いていますと申し上げると,大使は非常に喜ばれていました。
 ボストンとは姉妹都市でもあり,今年で提携55周年を迎えます。京都の文化事業にぜひお越しくださいとお願いしたところ,非常に感触が良かったということを報告させていただきます。

京都市立芸術大学の移転整備について

 さて,本日は私から京都市立芸術大学移転整備の決定について,御報告させていただきます。
 歴史をさかのぼりますが,京都は明治維新で千年以上続いた都の地位を失いました。京都の都市としての衰退,そんな危機の中にありました。そんな時に先人たちは,京都の文化を磨き上げ,産業と融合させる,そして全国に世界に発信していこう,そのことによって,京都の未来を切り開こう,そんな決意のもとに全国初の芸術大学の前身であります京都府画学校を開設されました。明治12年の新春1月に構想を発表され,明治13年に京都御所の中に誕生したのが,日本で最初の画学校であります。そして,明治22年に京都市の誕生とともに,京都市に移管されました。京都市民が力を合わせて作った芸術大学であろうかと思います。そして,今まで我が国はもとより,世界の文化,芸術の発展に貢献してきました。例えば,これまで輩出した文化勲章受章者は17名,文化功労者は27名もおられます,京都の宝,日本の誇りであります。そして135年経まして,昨年3月に建畠晢学長から,京都市立芸術大学の発展への熱い思いを込めて,大学の総意として移転整備を要望いただきました。私共も,大学の意向を受け,また地域の依頼も受け止めて,京都駅の東,崇仁地域に大学を移転する方針をこの度決定いたしましたので,発表させていただきます。

 まず,移転方針の決定に至った主な理由を申し上げます。
 一つ目は京都市立芸術大学の飛躍につながるということであります。市立芸大は校舎の老朽化や耐震の問題,様々な改善すべき課題を抱えております。しかし,市内中心部の崇仁地域に移転することで,我が国はもとより世界を視野に入れた文化,芸術を創造し,発信し,さらに多くの企業や他の大学等との連携により,京都の地場産業の振興,多くの知恵や市民力,地域力と融合しながら,一つの芸術大学の枠を超えたダイナミックな展開が展望できるということであります。芸術大学の移転が京都全体の活性化につながると思います。
 二つ目が京都全体のまちづくりの飛躍に貢献するということです。芸大の移転地である京都駅の東地域に新たな魅力,活力,刺激をもたらし,京都の中心部の大胆かつ挑戦的なまちづくりが大きく動き出す,このように確信しております。周辺地域を含めた京都全体のまちづくりが一層進展する。そのようにも確信します。さらに平成22年に崇仁地域の将来ビジョンを地域の皆さんと練りに練って,作り上げましたが,「創造・交流・賑いのまち」という将来像にきっちりと合致しております。また,崇仁地域の自治連合会,さらには下京区全体の自治連合会から,京都市立芸術大学の移転を歓迎し,実現のために協力を惜しまないとの要望書をいただいております。徹底して未来志向で取り組んでまいりたいと思います。
 加えて,昨年の3月以降,検討してきましたが,土地の確保に見込みが立ちました。地元から活用の御提案をいただいた下之町西部の団地,ここには築40年,50年という7棟262戸の市営住宅が立っておりますが,それを解体撤去し,移転させる,そして住宅改良事業を早期に完了させることで,塩小路高倉から東南方向に位置する38,000㎡の土地の確保の見通しが立ちました。ありがたいことに,国土交通省の御理解も得まして,市営住宅を建てるために多額の国の補助金を得て購入した土地でありますけども,国の方で,芸術大学に転換するのに,補助金の返還は不要である。そんな御英断もいただきました。ありがたいことであります。
 そこで,今後のことですが,移転整備の基本的な方向性を示します移転整備構想を来年度中に策定します。キャンパスの最終的な完成には,10年程度かかると見込まれますが,あらゆる努力を傾けまして,事業期間を短縮していく。整備可能となった箇所から,施設を一部整備・開設していく,そんな方法も含めて,効果的かつ効率的な整備の進め方について,これから芸術大学とも深く検討してまいります。

 構想策定にあたっては,3つの視点を重視いたします。1点目は,移転予定地域の保育所や児童館,大学施設との併設,あるいは京都市立芸術大学と創設の歴史を共有いたします京都市立銅駝美術工芸高等学校,京都市立堀川音楽高等学校との積極的な連携によりまして,幼児期からの芸術的な情操の育成と高度な芸術教育を融合した京都ならではの文化・芸術ゾーンを形成するということであります。
 2点目はギャラリーや音楽ホール,レストラン,アートカフェなど市民や観光客が集い,文化芸術に触れ,交流できる施設を整備していきます。大学の施設についても,可能な限り対応していく,そうしたことで観光都市・京都の振興にも資するようなものにしていきたいと思っています。多くの方々が芸術について語り合う,人の交流,まちの賑わい創出を目指してまいります。今後,具体化を進めていきますが,まずは来年度にも元崇仁小学校の施設,体育館等を活かしまして,学生等による演奏会や作品展等,プレ事業を開催し,移転効果を先行的に見える化していきたい。このように考えています。
 3点目は,京都ならではの産業や文化,他大学との連携を強化していくことであります。京都のまちの中に息づく,西陣織,京友禅,京焼・清水焼,京漆器,また様々な能・狂言,邦楽等々と連携していく。芸術大学のあらゆる蓄積と京都のまちの文化・芸術,ものづくり,これとしっかりと融合していく。そして,人づくり,ものづくり,まちづくりの拠点として京都の強みを活かせるものにしていきたいと思っています。

 西京区の洛西地域では,京都市立芸術大学が移転することについて,残念に思っていただいていることは事実であります。しかし,ありがたいことに,将来を見据えて,跡地の活用について話し合っていこう。こういう対応をしていただいている状況です。移転後の跡地の活用の方向性を,しっかりと検討していきたいと思っています。地元の方々としっかりと取り組んでまいります。洛西地域をはじめ西京区の地域には,西山連峰に抱かれた豊かな自然がございます。また京都大学の桂キャンパス,国際日本文化研究センター,京都市の桂イノベーションパーク,このように学術や文化,ものづくりの最先端の英知が結集しております。また,昨年,第二外環も開通しました。地域のポテンシャルが非常に高まっています。それらを活かす方策について,しっかりと地域の方々と検討し,取り組んでまいりたいと思っています。京都市立芸術大学が西京区において果たしてきた機能が継続できるような検討もしていきたいと思っています。

 冒頭に申し上げました明治12年の画学校設立の発表から,ちょうどこの1月でが135年であります。京都市立芸術大学の移転後,50年後,100年後,あの時市立芸術大学を京都市の中心部に移転したことで,今の素晴らしい世界に輝く京都市立芸術大学がある。文化芸術都市・京都がある。このように後世の方々が語っていただけるような決断と実行を市民の皆さんと大学関係者と,しっかりと進めてまいりたい。そして,世界の文化首都・京都のさらなる発展に尽くしてまいりたいと考えています。

質疑応答(要旨)

<報告案件に関する質疑>

(京都市立芸術大学の移転整備について)

記者
 移転にあたって,どれぐらいの予算を見込んでいるのか。
市長
 まだ試算はいたしておりません。教育委員会の時代に京都御池中学校を建てましたが,中学校と保育所,レストラン,デイサービスセンター,市民に開放した研修センターを併設した中学校が,10年あまり前で54億かかりました。京都御池中学校は,床面積約20,000㎡であります。現在の芸術大学の床面積が,約38,000㎡であります。単純に言っても2倍近い広さです。しかし,現在の芸術大学は施設が狭隘であるということが移転の動機でもありますので,完成する芸術大学はさらに広くなり,費用は,大ざっぱでも数倍はかかると思われます。具体的なことは,これから詰めていきますので,その都度発表していきたいと思っています。

記者
 跡地利用について,市長のイメージはあるか。また,芸術大学と小学校との連携といったこれまでからの取組をどのような形で引き継いでいくのか。
市長
 西京区の方々の寂しがられる気持ちは分かります。そこまで芸術大学のことを思っていただいているというのはありがたいことでして,芸術大学が非常に地域に根差した取組を進めてきたことがそういう思いにつながっているのだと思います。そうしたことがこれからも継続できるように,大学の場所が変わっても,大学が果たしてきた役割はしっかりと続いていく。そんな具体的な取組を進めてまいりたいと思っています。
 芸術大学の跡地は,第二外環状道路に,ほぼ近接しており,あらゆる可能性がありますので,地域の方々,識者の御意見を賜りながら,少し時間がございますので,ゆっくりと考えていきたいと思っています。

記者
 今回の移転は,旧同和地域への移転ということに大きなインパクトがあると思うが,そういう意味で,地元にどのような効果があるとお考えか。
市長
 1200年を超える悠久の歴史を誇る京都,輝かしい歴史でありました。同時に,差別や偏見があったことも事実であります。それらを乗り越えて新しい時代を作っていこう,これが崇仁地域の皆さんの願いであります。大学の移転を地域の人も願われ,それ以前に,大学が総意でもってそこに立地しようと要望され,それを下京区,京都全体が歓迎される。私は京都の新しい時代が幕を開ける。そう言っても過言ではないと思います。今日まで,あらゆる方々が,差別のない社会を作っていこうと努力を積み重ねてこられました。その努力が大きく花咲いていくと感じております。隣接する南区あるいは東山区,中心部含めて,あらゆるところから歓迎されております。経済界も文化芸術関係者も,大学関係者も含めて,良かった,素晴らしいという声をいただいております。しっかりとそれらの声に応えていきたいと思っています。
 移転には,相当のコストがかかりますが,市民や観光客が音楽を楽しめる,あるいは絵画,あらゆる芸術に出会える。そうした拠点になる。世界から多くの芸術を愛する方が京都に来られる契機になる。そういう効果たるや絶大なものがあろうかと思います。京都市立芸術大学の音楽学部は,日本の交響楽団に多くの団員を輩出しています。その素晴らしい学生たちの発表を常に観光客が聴けるというインパクトの大きさは,計り知れないと思います。

記者
 財政的にはかなり厳しい状況だと思うが問題ないのか。
市長
 現地で建て替えると,仮設校舎を建てなければならないので,コストが相当かかります。また,相当コストをかけて建て替えても今の建物の問題が改善して良くなっただけでしかありません。
 周辺に与えるインパクトも含めまして,移転先の市有地を活かすことによる経済効果は計り知れません。大学ができることによって,その地域の活性化にどれだけ結び付いたかということは,この20~30年の他都市の事例を見ても明らかだと思います。
 とりわけ,芸術大学の場合は,その効果たるや大きなものがありまして,周辺の土地そのものの価値も高まっていくと思っております。

その他の質疑

(リニア中央新幹線の京都誘致について)

記者
 1月17日に大きなリニア誘致のイベントがあるが,今年の誘致に向けた活動はどのように考えているか。
市長
 決起集会では,オール京都で再度意思確認をし,新しい取組のスタートにしていきたいと思っています。
 また,すでに経済界と府市の三者で計算した経済効果等を発表しておりますが,経済効果等々について,更に詳細に説明できる資料の作成を,専門家に頼んでおります。これについても,2月中を目途に発表していきたいと思っています。
 鉄道を整備する際には,経済効果,地域に与える影響等についてしっかりと検証することが,全国新幹線鉄道整備法の理念でもあります。40年前に第二東海道新幹線として決定されたものを,一切検証しないでゴーサインを出すということは今までなかった例であります。リニアでの経済効果はどうなるのかといったことが検証されていません。そのことを国に対してしっかり意見を申し上げ,大きな展開を期待したいと思っています。
 私は,この間の,京都の都市格の向上,京都が日本のために果たすべき役割の大きさ,そういったことが多くの国民の理解を得られつつあると思っております。
 何よりもまず,京都市民や京都の関係者の意識を高揚していくことが大事だと思っていますので,啓発活動に取り組んでまいります。

記者
 昨年7月の記者会見で市長に質問した際に,「現行計画では奈良を通るルートに決まっているからJR東海に働きかけてもしょうがない。だから国に働きかけていくことが重要だ。」と市長はおっしゃったが,京都市として,現時点での国への働きかけは十分だと考えているのか。
市長
 京都市としてあらゆる取組をしていると思っています。また,オール京都での取組を更に強化していきたいと思っています。JR東海が,国で閣議決定していることを方針としておっしゃるのは当然だと思います。
 その中で,「国費が投入されれば同時開業に向けて検討する余地がある。」というJR東海の発言は大きな前進であります。「国費は一切使わない。したがって遅れる。」ということから大きく前進しました。これは京都から声を上げてきた結果だと我々は思っております。そうした課題を一つ一つ明確にして,国に対して要望していきたいと思っています。

記者
 17日のイベントで世論を高めることはいいことだが,実際,国にどう働きかけるかが大きな課題だと思っている。そういった意味で,今回のイベントがどれだけ次の前進につながると考えているか。
市長
 今回の決起集会は,まさに決起集会で,国に対する働きかけを目的にしたものではありません。京都の人間が,もう一度意思統一をして,国に迫っていこうということであります。
 私自身も公式,非公式にあらゆる取組をしております。国に毎日のように要望書を出す,波状攻撃のように人が行くというのが,決して賢明な要望の仕方ではございません。あらゆる知恵を絞って,必要な人,一人一人にこの意義をしっかりと訴えていくのが大事だと思っています。

記者
 リニアの誘致活動について,市長からみて,手ごたえはどのくらいか。
市長
 経済的効果を試算せず,巨額な投資をしていいのかということを説明すると,話を聞いていただいた多くの方から賛同いただきます。決して,奈良と京都が対立しているものではなく,奈良にとっても,関西全体にとっても,日本全体にとっていいということを,理路整然と伝えるべきだと思っています。ここに駅をつくってほしいというような,誘致活動を行っている訳ではありません。これから人口減少社会になりますので,リニアの駅が,あまり発展していない所にできたからといって,駅周辺の町が大きく発展するということはありません。東海道線,湖西線,山陰線,近鉄,あらゆる既存のインフラとしっかりとアクセスできることが,スマートシティとして重要だということを,しっかりと説明しますと,かなりの反応がございます。

記者
 奈良を説得するということはなかなか難しいとお考えか。
市長
 全体の世論を盛り上げていくことが大事だと思っています。

(琵琶湖疏水クルーズについて)

記者
 昨年,琵琶湖疏水を活用した船下り試乗会が,実施されたが,琵琶湖疏水クルーズの検討チームの立ち上げについて,具体的な進展はあるか。
市長
 大津市の越市長,さらには,大津の観光関係者あるいは市民グループの方々から大変感謝していただいていると聞いております。関西広域連合で,滋賀県の嘉田知事にお会いした際,大いに期待していると伺いました。
 そこで,京都市(上下水道局・産業観光局・山科区役所),大津市,京都市観光協会,びわ湖大津観光協会と琵琶湖疏水のクルーズの検討プロジェクトチームを立ち上げまして,1月15日に琵琶湖疏水記念館で,第1回のミーティングを開催します。検討すべき項目の課題の整理をし,民間の活力,支援も生かして,実現させたいと考えています。
 なお,クルーズ本格実施がすぐには難しければ,テスト的に実施することも考えています。

(リニア中央新幹線の京都誘致について)

記者
 国への働きかけについて,国がどういったリアクションをとることを,目標としているのか。
市長
 再度,国自身の手によって,経済効果等を検討することです。全国新幹線鉄道整備法において,新たな路線を整備する場合,その地域の発展や,経済的効果等を検討することが定められています。名古屋~大阪間については,40年前に,リニアではなく,第二東海道新幹線として決めた内容を進めており,リニアとして検討されていないまま進めていくことは,あまりにもおかしいのではないかと思います。北陸新幹線のルートも40年前に決まっていましたが,関西広域連合として,あらゆる角度から検討して,米原ルートを推進しています。国も様々な検討をしています。民間であろうと,税金であろうと,国民の負担であることは事実であり,全体的な経済効果も考えず,実行に移すということは,私はありえないことだと思います。マスコミの皆さんにも,この状況を御理解いただきたい。このことについて粘り強く主張していきます。主張をしっかりと聞いていただいた方については,かなり反応があります。経済効果等について,しっかりと検討された上で,決定したものだと考えられていますが,東京~名古屋間はオープンな場で,色んな議論をされましたが,名古屋~大阪間は,40年前に議論しただけです。京都の利益のために言っているのではなく,日本のために,私たちは主張しています。東京~名古屋間を着工されますが,名古屋以西については,あまり議論になっていないというのが実際のところです。名古屋~大阪間について,着工の前倒し,ルート,関空へのアクセスの3点について,訴えてまいります。

記者
 この目標は,年内の目標と考えてよろしいか。
市長
 期限は切りません。この2月に第一弾の資料を作成し,再度,関係者一人一人に説明していきます。理解者を一人一人増やしていきたいと思います。
 極端なことを言いますと,東海道新幹線が着工された時,京都駅はルートにありませんでした。名古屋から山科の辺りを通り,大阪でした。着工後,京都市民が京都駅を通らないということで大騒ぎしました。しかし,京都駅の周辺では,学校の真横や,神社の真ん中を新幹線が通るということで,反対運動もありました。
 ルート決定のずいぶん後に,私は教育委員会に入りまして,昭和40年代・50年代の仕事は,校舎の横を新幹線が通ると,声が聞こえず授業を止めなければならないため,学校の窓を二重ガラスにし,クーラーを入れるという作業でした。しかし,京都市民はそれでも京都駅ルートを取ったのです。大阪や神戸は,新大阪駅・新神戸駅ですが,京都は京都駅に合わせました。このようなことが50年前にありました。
 リニアがなくても新幹線「のぞみ」があれば,東京まで2時間20分くらいかかっても良いのではないかと言う方もいますが,JR東海としてはリニアにお客さんが来なくなるので,「のぞみ」はほとんどなくなります。リニアができた時には,東海道新幹線はローカル線的になり,10分おきに運行しなくなると伝えると「えらいこっちゃ」とおっしゃいます。京都市民に対して,関西の方に対して,このような説明も必要だと思います。

市長
 皇室のどなたかを京都にお越しいただきたいと,5年前は恐れ多くて申し上げられませんでした。
 しかし,この間の京都の都市格の向上も含め,日本全体の発展のために,東京一極集中を打破し,東京と大阪だけが発展していれば,日本が発展するということではないという訴えが,一つ一つ実を結びつつあるなと感じます。和食のユネスコ世界無形文化遺産登録,日本酒条例,クールジャパン等,京都が厳しい状況の中で叫び続け,あらゆる取組を融合させて,京都の都市格の向上に努めたことで実現したことかと思います。市立芸大も,明治の初めに先人が,文化芸術で日本を元気にしていこうと考えてできたものです。京都が京都のためだけでなく,日本のために,世界のために果たす役割は大きいと思います。ケネディ駐日大使からいただいた本を,正月に一生懸命に読みました。勇気ある人々は,その時代に理解されなくても,将来理解されるためのメッセージが必要だと書いてありました。将来のために,今,何をすべきかを考え,取り組んでまいりたいと思います。

記者会見資料(平成26年1月6日)

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京都市 総合企画局市長公室広報担当

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