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門川市長記者会見(2013年2月5日)

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2023年4月12日

 本日は,来年度予算案の概要と特徴,さらに私が特に重点を置いた点につきまして,御説明申し上げます。

 厳しい社会経済状況でございます。市民の皆さんのいのちと暮らしを守る,中小企業,京都経済の活性化,安心安全,子育て支援や教育,また,未来の京都を切り拓いていくための課題は山積しています。一方,新しい政権発足に伴う国の緊急経済対策等の大型補正予算や地方交付税の減額等を含む来年度予算の編成などがあり,京都市予算の編成にとって大きな激動がございました。そのような中で,私自身が4回東京に足を運ぶとともに,市役所を挙げて国に対して様々な要望,政策提言を行い,徹底して国の有利な財源を確保しつつ,京都の潜在力,強みを発揮して,市民の安心安全,経済の活性化,雇用の創出,文化の振興等を図るため,限られた時間の中で大変なスケジュールでございましたけれども,全力投球して予算編成をいたしました。

 さて,京都市においては,東日本大震災発災後,直ちに被災地支援に全力で取り組むととともに,防災対策の総点検を行い,130項目に及ぶなすべきことについての提言をいただき,橋りょうの耐震化,あるいは学校や様々な社会インフラの安心安全対策を計画的に進めてきたところであります。また,国に対して抜本的な財政措置を要望してきました。このような中で,今回の緊急経済対策を好機と捉え,積極的に財源を確保し,安心安全のために必要な公共投資をしっかりと京都で実施していきます。さらに,これを地元の企業に可能な限り発注し,安心安全の取組と京都経済の活性化,雇用の創出をつなぎます。こうした取組に特に意を用いた積極予算とし,さらに2月市会に提案する24年度補正予算と来年度予算を一体化して編成したところであります。また,財政規律にも十分留意をしています。子どもや孫の世代に大きな借金を残さないため,京都市として可能な限りの努力をしています。同時に,「はばたけ未来へ 京プラン」,あるいは昨年私が市民の皆さんにお約束しました2期目の121項目のマニフェスト,これらを着実に推進していく予算案として編成いたしました。

(予算案の特徴)

 予算案の特徴ですが,「福祉」,「中小企業を含めた経済の活性化」,これらに十分な意を用いると同時に,今申し上げました国の緊急経済対策の有利な財源を積極的に確保し,市民生活とくらしを守る防災・老朽化対策を中心とした公共投資予算をしっかりと確保し,25年度当初予算と合わせ,切れ目なく執行していきたい。このように思っております。公共投資の予算額は,補正予算と25年度の当初予算合計で総額714億円となります。平成24年度予算に対しまして32%,175億円の増となります。

(予算の規模)

 さて,次に予算の規模でございますが,全会計の形式的な予算規模は総額1兆6,788億円で,前年度と比較して,343億円,2.0%の減となっております。しかし,これは,今までしっかりと確保してきました中小企業融資制度預託金の融資実績を踏まえた130億円の減,24年度の特殊な要素でありました国の施策としての高金利債の借換完了による561億円の減を除きますと,実質的には24年度と比べまして来年度予算は348億円の増額予算となっております。一般会計の総額も7,366億円で,前年度比15億円,0.2%の減でございますが,ただ今説明いたしました中小企業融資の預託金130億円の減を除きますと,実質的には対前年度比115億円の増額という積極予算になっております。さらに,国の緊急経済対策分として編成した補正予算115億円を合わせまして,積極予算を編成し,京都経済の活性化,雇用の創出に取り組んでまいりたいと思っています。

(予算編成における重点課題)

 予算編成における重要課題として5点申し上げます。1点目は,「力強い京都経済の再生と雇用の創出」であります。2点目は,「福祉,医療,子育て支援,教育などの充実」であります。3点目は,「東日本大震災を教訓に,既存インフラ・公共施設の老朽化を踏まえ,着実に推進する防災・老朽化対策」であります。4点目は,「環境にやさしい循環型社会,暮らしに息づく文化芸術,コミュニティの活性化など京都ならではの地域の魅力の向上」であります。5点目は,「都市の魅力を高める「歩くまち・京都」の推進,個性と活力あふれる都市づくりなど未来の京都への先行投資」であります。とりわけ,「経済の活性化と雇用の創出」,「福祉,医療,子育て支援,教育の充実」,「防災・老朽化対策」,また,幅広い環境問題の取組,そして文化芸術の振興,これらに力を注ぎました。

 それでは,主な重要施策・事業の中から,いくつかの事業に絞って,御説明させていただきます。

 1つ目の重点は,経済の再生,雇用の創出でございます。都市の成長の源泉となる経済の力強い再生と雇用の創出に向けまして,京都府,経済界,大学などオール京都の体制で,京都の強みを徹底して生かした政策を力強く推進します。

 中小企業を支援する取組といたしまして,海外展開を目指す中小企業を対象に,展示商談会の開催など販路開拓支援を強化します。特に,京都市の「京もの海外市場開拓事業」と京都商工会議所の「京都コネクション事業」を一本化することにより,対象を伝統産業だけでなく先端産業も含めた幅広い中小企業支援の内容として拡充し,予算も約3倍増額をしてまいります。

 次に,新産業の創出であります。京都大学の山中伸弥教授がノーベル賞を受賞されたことを契機に,国際戦略総合特区制度も活用しながら,大学・病院・企業間のコーディネート活動を充実させますとともに,京都市独自の革新的な医療技術に対する研究開発助成を拡充することで,中小企業へのビジネスチャンス,京都発のライフイノベーションの創出を一層促進してまいります。

 次に,企業の誘致でございます。京都への企業誘致を更に促進するとともに,市内中小企業の積極的な設備投資,市外への転出を防止するために,企業立地促進助成制度を拡充いたします。具体的には,今までの補助エリアを全市に拡大し(住居系地域の工場を除く。),これまで先端産業分野の企業であれば5年間,それ以外の企業であれば2年間としていました助成期間を,企業集積を目指す「らくなん進都地区」などでは1年間延長するなど支援を強化していきたいと思っています。同時に,東京の外資系企業を新たなターゲットとして,セミナーや視察ツアーの開催など,市内への企業誘致に向けた積極的なセールスを展開したいと考えています。

 次に,雇用対策といたしましては,厳しい雇用情勢を踏まえまして,国の交付金を活用した緊急雇用創出事業について,総額10億6千万円,44事業を計上し,約800人の雇用を創出します。

 なお,雇用対策事業につきましては,国,京都府,経済界としっかりと連携した取組も推進してまいります。

 2点目の大きな重点は,「福祉,医療,子育て支援,教育などの充実」であります。

 まず,子育て支援の取組につきましては,来年度は保育ニーズの高い地域での保育所の新設等を計7箇所で行いまして,395名の保育所定員増を確保します。また,お子たちを持たれる保護者の多様なニーズに対応するため,延長保育,一時保育,病児保育事業の実施箇所を拡大するとともに,京都府内で初めての導入となりますグループ型小規模保育事業,保育所実施型家庭的保育事業,これらを合わせて4箇所で25年4月から開始します。これら保育サービスの充実に向けて7億3千2百万円を計上いたしております。

 さらに放課後の子どもたちの居場所づくりの充実に向けまして,土曜日・小学校の長期休業期間の学童クラブ等の開始時刻を,現在の午前8時半から午前8時とし,実施時間の拡大を行いますとともに,新たに2箇所の地域学童クラブへの補助を行います。 

 これらの取組に加えまして,障害のある子どもの放課後・通学支援の充実を図ります「ほほえみネット事業」を新たに実施するなど,子育ての多様なニーズにこたえた支援策を拡充してまいります。

 次に,高齢者福祉の拡充であります。高齢者の方々がいつまでもいきいきと健やかに暮らしていただけるように,市内7箇所に,広域型の特別養護老人ホームや地域密着型の認知症高齢者グループホームなどを整備し,214名の定員増を確保するために,5億7千9百万円を計上いたしております。

 そのほか,市民生活の安心安全を最優先と捉えまして,烏丸線の3駅に,来年度からの3年計画で,総事業費9億5千万円で可動式ホーム柵を設置いたします。

 3点目の重点の「防災・老朽化対策」でございます。

 東日本大震災を教訓に,防災対策総点検委員会からいただいた130項目に及ぶ提言を具体的に来年度の施策に生かすために最大限の努力をいたしております。まず,今年度中に策定いたします「京都市地域防災計画原子力災害対策編」に基づきまして,情報伝達体制の強化など原子力防災体制を万全なものにしてまいります。また,観光地として,観光客等の帰宅困難者対策が極めて大事であります。最大のおもてなしは,こうした安心安全対策であります。清水・祇園,嵯峨・嵐山地域において,地区避難誘導計画を先導的に策定するなど対策に取り組んでまいります。

 次に耐震化対策でございます。橋りょうの耐震化,老朽化した上下水道の管路の更新・耐震化,市営住宅の耐震改修など,市民生活,経済活動を支える重要な都市基盤の整備に向けて引き続き取り組みます。さらに,京町家・木造住宅を対象とした耐震改修支援事業の助成件数を倍増するなど,思い切った予算措置を行い,災害に強いまちづくりを進めてまいります。

 4点目の重点であります「環境にやさしい循環型社会,暮らしに息づく文化芸術,コミュニティの活性化など京都ならではの地域の魅力の向上」であります。これらによって,将来にわたり京都の都市格を向上していくために多彩な施策を実施してまいります。

 環境の取組では,岡崎地域におきまして,京都ならではのスマートコミュニティの構築に向け,エネルギーのネットワーク化に対応した省エネシステムや小水力発電を導入するほか,京都市動物園で活用するエネルギーの実証事業を進めてまいります。また,家庭ごみの減量化が大きな課題であります。「雑がみ(包装紙,紙箱など)」の分別,リサイクルが大きな課題であります。新たな仕組みを作るために大規模な社会実験を行ってまいります。

 次に,文化芸術では,3点について説明させていただきます。まず,世界遺産についてであります。昨年11月,ユネスコの世界遺産条約採択40周年記念最終会合が京都で開催され,「京都ビジョン」が世界に発信されました。京都として誇りに思うと同時に,しっかりと役割を果たしていきたいと決意を新たにいたしております。また,世界遺産「古都京都の文化財」については,平成26年度に,登録20周年の節目の年を迎えます。京都の文化遺産を人類の財産として未来に引き継ぐために,シンポジウム等を開催いたします。さらに,京都には多くの世界遺産がありますが,それ以外にも世界遺産と同等の文化遺産がたくさんございます。それらの追加登録に向けた研究会を実施し,市民の気運を高めていく。そうした取組にも予算を措置しております。

 2点目が,京都市独自の無形文化遺産制度の創設であります。例えば,京都では,「五山の送り火」は市の,「六斎念仏」は国の無形民俗文化財になっております。しかし,「京都市民にとって,最も大切な無形文化遺産は地蔵盆ではないか。」という声もあります。あるいは花街の伝統的な行事や「京料理」もすばらしい無形文化遺産です。しかし,これらは現在の国の文化財保護制度のもとで,文化財に指定・登録するためには非常に難しい問題があります。例えば,一つは,固定的な保護団体がない。「地蔵盆」と言いますと,町内会であったり,マンションの自治会であったり,様々な団体が継承しています。あるいは,概念がきちっと固定化されていない。時代と共に変化していきます。ただ,この変化も非常にいいことであります。不易流行。変えるべきは変える,変えないところは変えない。こうした市民の知恵で守られてまいりました。こうした時代と共に変容しながらも,世代を超えて京都に伝わる,市民の生活の中に伝わる身近な文化を守る京都市独自の制度を創設していく必要があると考えます。時あたかも和食のユネスコ無形文化遺産への登録が審査される年であります。日本の食文化を象徴する「京料理」,これをまず一番に,同時に「地蔵盆」や「花街の文化」,これらを取り上げていきたいと思っています。また,幅広く市民の方々から,「これを残したい。」,「これを残さなければ,京都が京都でなくなっていく。」,こうしたことも提案をいただきながら,同時に将来的には,そうしたことも国の制度として保存するよう,国への政策提言も行っていきたいと思っています。

 3点目は,京都市美術館についてでございます。昭和3年に京都で挙行された昭和天皇御即位の御大礼を記念して,多くの市民の方々,経済界の方々が協力されてできたのが,京都市美術館であります。東京都美術館に次ぐ日本で二番目の大規模公立美術館であり,また,市民が協力して造り上げたという歴史がございます。長年にわたって市民に親しまれ,さらに,芸術文化都市・京都の象徴でもございました。25年度には,開館80周年を迎えます。この大きな節目を迎えるに当たりまして,記念展や記念式典を実施いたしますとともに,これからの美術館に求められる役割,機能,これらを検討し,将来構想を策定してまいります。特に,岡崎地域の活性化に向けて事業を今進めております。動物園7箇年計画は,折り返し点にきました。京都会館の再整備にも着手しました。次は,美術館です。市民の皆さんと共に知恵を絞って,将来の芸術文化都市・京都のけん引役となる施設にしていくために,構想を練っていきたいと思っています。

 次に,コミュニティの活性化であります。京都ならではの地域力を活かした区民によるまちづくりを支えるため,本年度から市民に一番近い行政機関である区役所の機能強化を図り,区民の皆さんのまちづくりを区役所が支援していく「区民提案型支援事業」を始めました。区民と区役所が共に汗をかく「共汗型事業」も含め,おおよそ300の事業を力強く進めていただいております。この予算を2千万円増額し,区長裁量の下に,更に充実させていきたいと思っています。地域主権時代にふさわしい区政を推進する原動力にもなると考えております。

 5点目の重点は,「都市の魅力を高める「歩くまち・京都」の推進,個性と活力あふれる都市づくりなど未来の京都への先行投資」であります。

 まず「歩くまち・京都」の取組では,四条通において歩道拡幅工事を実施するとともに,路上での荷捌き車両の削減のための具体的な仕組みづくりに取り組んでまいります。また,京都駅南口駅前広場の整備に向けまして,詳細設計を実施しますとともに,先行いたしまして2基の地下機械式駐輪場(約400台分)を整備いたします。八条口側の歩道に駐輪場を設けておりますが,それをまず地下化して再整備しやすい条件を作ってまいります。

 また,3点目は,駅のバリアフリー化事業の推進であります。JR太秦駅,阪急大宮駅のバリアフリー化に着手してまいります。また,JR山科駅のホームからの転落を防止するために,点状ブロックを整備する事業に対して京都市から補助するなどの安心安全対策を進めます。

 都市づくりの取組といたしまして,幹線道路ネットワークを整備し,緊急輸送道路をはじめとする避難路・輸送路の確保による防災機能の強化を図るとともに,これらが京都経済・地域経済の活性化に資するように取り組んでまいります。

 さて,こうした施策・事業を進めていくに当たっては,これを支えることができるしっかりとした財政基盤の確立が欠かせないところであります。来年度予算は政策と財政健全化を一体として推進することに留意した予算といたしました。 具体的には,総人件費の削減につきましては,人員削減などにより,平成20年度と比較して,実に161億円,13%の削減になります。また,事業の見直し等による財源確保によりまして,京プラン実施計画で定めた歳入歳出の主要な4分野ごとの目標をすべて遵守いたしました。さらに,公営企業の計画を上回る健全化による繰出金の削減も含めまして,平成24年度の98億円を大幅に上回る118億円の財源をねん出することができました。

 さて,特別の財源対策であります。様々な行政課題がある中で,市税や地方交付税などの通常の歳入だけでは必要な歳出を賄えない場合に,「特別の財源対策」を実施してきました。これについては,100億円程度にするという目標を掲げており,達成できる見通しでございましたが,予算編成の最終段階で,地方公務員給与削減を目的とした地方交付税の減額という国の異例な措置により,結果的に131億円となりました。

 なお,市債の発行額でございます。冒頭にも申しましたが,子や孫の世代に大きな借金を残さない。これが私の一番大事にしている財源対策等の一つであります。国が返済に責任を持つ臨時財政対策債を除いた,京都市民が実質的に返済しなければならない市債の残高については,全会計で 289億円,一般会計では141億円を前年度から削減させました。ピーク時と比べますと全会計で2,300億円,一般会計で350億円もの大幅な削減となっております。引き続き,努力していきたいと思っています。

 全会計を通じた財政の健全化ということが大きな課題でありますが,着実に前進しております。市バス・地下鉄の両事業におきましても,増収増客,あるいはコスト削減に引き続き取り組んでまいります。市バス事業につきましては,平成25年度予算における資金不足比率は15.6%と,経営健全化基準の20%を下回ることになり,健全化計画よりも2年前倒しで経営健全化団体から脱却できる見込みとなりました。

 また,地下鉄事業も増客やコストカットなど様々な取組を行い,計画を上回って経営健全化が進んでおります。まだまだ大変な借金があり,茨の道でありますけれども,なお努力してまいります。こうした状況を踏まえ,地下鉄事業の経営健全化計画の上半期に当たる平成25年度までに予定していた5%相当の値上げにつきまして,あらゆる努力により見送りましたが,26年度についても実施を見送ることとします。27年度以降につきましては,今後の経営健全化の進ちょく状況,社会経済情勢を踏まえまして,毎年度,実施の有無を判断してまいりたいと思っています。

 なお,消費税の増税が実施された場合には,国の方針に基づきまして,増税分を運賃に適正に転嫁します。これは当然のこととして実施してまいります。どのような形で消費税を運賃に転嫁するかという内容については,今後,検討してまいります。

 結びになりますが,以上が来年度予算の概要でございます。本予算案に盛り込んだ取組について,京都の持つ「地域力」,「文化力」,「人間力」,これを最大限に生かす市民の皆さんとの「共汗」と,徹底して行政の縦割りを打破する政策の「融合」をキーワードに,市民目線に立って,推進してまいりたいと思います。厳しい時代であればあるほど,京都の長年の知恵が生かされなければならない。そのように思っています。未来創造型予算として,予算を編成しました。しっかりと議会でも議論していただき,この厳しい時代に,京都から未来を展望してまいりたいと思います。以上でございます。

質疑応答(要旨)

(自己採点について)

記者

 予算編成について,市長の自己採点とその理由は。

市長

 2期目2年目の予算編成であります。早くから準備し,あらゆる知恵を総動員して編成しました。90点はつけられると思いましたが,国の緊急経済対策等に大きく依存していることも事実でありますので,85点といたします。

(最重要政策について)

記者

 今回の予算編成の柱となる考え方,最も重要な政策は。

市長

 福祉,教育,子育て支援は大事であります。同時に,若い人の働く場,雇用の場の確保も大事であります。したがって,経済の活性化,雇用の創出,これらを重点といたしました。

 「京都で子育てして良かった。」「京都で学んで良かった。」という声はよく聞くようになりました。しかし,若い人の働く場が大事であり,これが京都にとって最大の課題ですので,中小企業の支援を含め,安心・安全対策など,あらゆる取組を雇用の創出につなげていくことに最大の意を用いました。

(公債償還基金の取崩しについて)

記者

 公債償還基金を目標よりも31億円多く取り崩しているという捉え方でよいか。

市長

 結構です。ただし,「特別の財源対策」のすべてが基金の取崩しではありません。行政改革推進債も含めてであります。

記者

 取崩しによる事業の断念や縮減はあったか。

市長

 それはありません。公債償還の3年分は絶対に確保するということを京プラン実施計画で定めていますが,公債償還基金は,900億円近く,約3.7箇年分の残高がございますので,取崩しに問題はありません。

 なお,このようなことが続かないように,将来の担税力を高めていく取組,すなわち中小企業の活性化や雇用の創出を最優先に予算編成いたしました。

(地方交付税交付金について)

記者

 地方交付税交付金の減額について,改めて思いを聞かせてもらいたい。

市長

 かつて,私が市長に就任したとき,職員は約16,150人でした。現在,約13,700人になっています。市立病院が独立行政法人になったことで,600人ほど減りましたが,実質約2,000人の職員をこの5年間で削減してきました。そして,人件費を市長就任時から13%,ピーク時から言いますと23%削減しました。この間,国の人件費は,3%ぐらいの削減でした。さらに,市長就任早々に税収減により,81億円の臨時の給与カットも実施しています。東日本大震災の財源対策が必要であることは否定しませんが,地方が,中長期に渡って,財政プランを確立するために,血のにじむような努力をして人件費を削減しています。今年,一般財源で人件費を11億円削減し,どんどん比率を下げながら,文化や福祉,教育の充実,都市基盤充実のための予算を確保してきました。そうしたことを見ないで,国が人件費を7.8%削減したから,地方交付税交付金を減額するというのは,地方交付税の趣旨ではないと思います。

 引き続き,京都市は,国を上回る徹底した行財政改革に取り組んでいく覚悟をしております。

(公共投資の拡大について)

記者

 財政健全化を進める中,公共投資の拡大を図る理由は。

市長

 橋りょうの耐震化を進める5箇年計画を策定しました。5年以内に50あまりの橋の耐震化などを行うものです。現状では,仮に京都で震災が起きた時に,救急隊や支援物資が入って来るための道が確保できないわけです。そのため,これまでから国に対して財源対策を強力に求めてきました。この取組を実施していきたいと思っています。

 5年計画ですけれども,実際20年計画です。京都には,2,800の橋があります。大阪は八百八橋と称されるほど橋が多いと言われていますけれども,大阪の比ではありません。京都は,大阪市が左京区の中にすっぽりと入る程に大きな都市であります。震災の時に,一つの道を確保して花背まで行く。京北まで行く。西京の端まで行く。この一本の道を確保するために,当面150億円の予算が必要です。これを実行するために,予算を確保します。

 さらに,例えば,学校の体育館,避難所については,基本的な耐震はできていますが,新しい耐震化基準を満たし,避難所としての機能を充実させるための予算が必要です。

 また,平成24年度で計画していた事業の半分しか国の認証を受けられませんでした。このため,阪急の立体交差化事業も減額補正しなければならなかった。こうした事業にようやく活用できる。これくらいのレベルです。京都で新たな高速道路を造るとかいうレベルではありません。命を守るための橋の耐震化など,待ったなしでやらなければならない事業について,予算が全く足りなかった。こうした事業に,ようやく満額ではなく,少し予算が計上されるというのが実態であります。

 緊急経済対策ですので,24年度の補正予算と25年度予算で実施する。繰越は1年しか認められないだろうと言われています。安心安全のための事業は,予算の総額を拡充していく必要があるということで,かねてから国に対して要望していたものが,緊急対策として少し明かりが見えた程度です。

 例えば,民間保育所の5割は耐震補強ができていません。公立の小中学校は100パーセント耐震化ができました。しかし,大事な命を預かる保育所ができていない。そこで,民間保育所に耐震診断を促進する助成制度を独自に創設します。このために大変な額の予算が必要ですけれども,現在,国において明確な方針が示されていません。しっかりと命を守るために,必要な公共投資は大事だと思います。

 なお,これらのために一般財源はほとんど使っておりません。国の財源を最大限に活かして予算編成をしております。

(市税収入について)

記者

 市税収入が増えている理由は。

市長

 これは税制の変化等によるものであります。地方税法人分などは大きく減っておりますので,厳しい状況に変わりはありません。

記者会見資料(平成25年2月5日)

行財政局(財政部財政課 電話222-3291)

平成25年度当初予算(案)について

1 平成25年度予算(案)の基本姿勢

(1)現下の我が国,京都市を巡る厳しい社会経済情勢と,東日本大震災と既存インフラ・公共施設の老朽化を踏まえ,京都経済をはじめとする都市の活性化と安心安全を最優先に,国の緊急経済対策に呼応した積極予算として,24年度2月補正予算と一体的に編成

(2)財政規律に留意しつつも,「はばたけ未来へ京プラン」実施計画を着実に推進

2 予算(案)の特徴

~平成24年度2月補正予算と一体となった公共投資予算の確保~

 国の緊急経済対策の有利な財源を積極的に確保し,市民の生命と暮らしを守る防災・老朽化対策を中心とした公共投資予算を2月補正予算で大幅確保,25年度当初予算と合わせ,切れ目なく執行

<国の緊急経済対策の活用>

(1)公共投資の拡大(一般会計。2月補正予算額については変動の可能性あり)

   24当初539億円   

   →24・2月補正(国の緊急経済対策分)115億円+25当初599億円=計714億円(32%増)

(2)国からの有利な財源の確保

  全会計で国庫支出金47億円を追加確保,25年度収入として今後見込む「地域の元気臨時交付金」を含め80億円程度の財源を確保

 

※国の緊急経済対策に積極的に対応することにより,橋りょうの耐震化や幹線 道路ネットワークの整備などの複数年事業の前倒し実施,市営住宅や学校などの施設の維持更新経費の増額,Jアラート(全国瞬時警報システム)の自動起動装置整備などの新規事業の実施が可能となりました。

3 予算(案)の規模

(1)全会計の予算規模は,24年度から343億円の減であるが,中小企業融資制度預託金の減(△130億円)と24年度の特殊要素である公共下水道事業などにおける高金利債の借換え終了(△561億円)を除くと,実質的には24年度を348億円上回る予算

(2)一般会計も,上記預託金の減(△130億円)を除くと,実質的には24年度を115億円上回り,24年度2月補正(国の緊急経済対策分)115億円を含めて,積極予算として編成

                                       (単位:億円,%)

予算規模の状況

平成25年度
(案)

平成24年度

対前年度増△減
(増△減額)

対前年度増△減
(増△減率)

全会計

16,788

17,131

△343

△2.0

一般会計

7,366

7,381

△15

△0.2

特別会計

7,120

6,983

+137

+2.0

公営企業会計

2,302

2,767

△465

△16.8

<主な増減要素>(単位:億円)

[一般会計]

  •  中小企業融資制度預託金:△130(24年度:1,100→25年度:970)
      ※25年3月末の中小企業金融円滑化法の期限到来を見据えた「中小企業緊急経営
  •  あんてい融資」などにより,事業内容充実
  •  社会福祉関係経費(児童手当除く):+61(24年度:2,252→25年度:2,313)
  •  京都会館再整備:+26(24年度:3→25年度:29)
  •  ハンナリーズアリーナ(京都市体育館)改修:+15(24年度:-→25年度:15)
  •  上京区総合庁舎整備:+9(24年度:3→25年度:12)

[全会計]

  •  高金利債の借換え:△561(24年度561→25年度:0 )
      (水道事業△26  公共下水道事業△224  地下鉄事業△29  市公債△282)

4 予算編成における重要課題

(1)力強い京都経済の再生と雇用の創出

(2)福祉,医療,子育て支援,教育などの充実

(3)東日本大震災,既存インフラ・公共施設の老朽化を踏まえ,着実に推進する防災・老朽化対策

(4)環境にやさしい循環型社会,暮らしに息づく文化芸術,コミュニティの活性化など京都ならではの地域の魅力の向上

(5)都市の魅力を高める「歩くまち・京都」の推進,個性と活力あふれる都市づくりなど未来の京都への先行投資

*とりわけ,(1),(2),(3)と,(4)のうち,「文化芸術の振興」の4点に力点

【主な施策・事業】

(1)力強い京都経済の再生と雇用の創出

 1 中小企業の海外展開支援:36,000千円

 2 ライフイノベーション創出支援事業:90,604千円

 3 戦略的企業誘致の推進:183,960千円

 4 メディア向けコンシェルジュ機能の創設:23,100千円

 5 雇用対策事業:1,060,000千円

(2)福祉,医療,子育て支援,教育などの充実

<福祉・子育て支援>

 1 保育所待機児童ゼロへの取組と多様な保育サービスの充実:731,852千円

 2 放課後の子どもたちの居場所づくりの充実:29,200千円

 3 「ほほえみネット」(障害児放課後支援・通学支援):18,900千円

 4 介護基盤整備助成:578,650千円

<医療・保健>

 5 父子家庭への支援施策の拡充:110,800千円

<教育>

 6 御所南小学校の整備:194,600千円

 7 いじめ・不登校対策の充実:199,307千円

<安心・安全>

 8 烏丸線可動式ホーム柵の整備:247,000千円

 9 京都動物愛護センター(仮称)の設置:268,200千円

(3)東日本大震災,既存インフラ・公共施設の老朽化を踏まえ,着実に推進する防災・老朽化対策

<防災>

 1 原子力防災体制の充実:15,200千円

 2 災害時の帰宅困難者対策の推進:22,000千円

<耐震化> 

 3 市庁舎整備基本計画の策定:50,800千円

 4 いのちを守る都市基盤防災・減災対策プロジェクト:2,160,146千円

 5 老朽化した上下水道の管路の更新・耐震化の推進:8,748,000千円

 6 民間社会福祉施設の耐震化促進:81,200千円

 7 市営住宅ストック総合活用事業:650,700千円

 8 既存(民間)建築物の耐震化対策の強化:296,500千円

(4)環境にやさしい循環型社会,暮らしに息づく文化芸術,コミュニティの活性化など京都ならではの地域の魅力の向上

<環境>

 1 岡崎地域公共施設間エネルギーネットワーク形成実証事業:38,000千円

 2 花と緑あふれるまちづくり~緑視環境向上プロジェクト~:435,600千円

 3 包装紙等の雑がみの分別リサイクル拡大に向けた社会実験:11,000千円

<文化芸術>

 4 「古典の日」の推進:20,500千円

 5 祇園祭後祭の復興支援:3,000千円

 6 世界遺産「古都京都の文化財」追加登録に向けたシンポジウム等の開催:2,000千円

 7 市民が残したい無形文化遺産制度(仮称)の創設:4,400千円

 8 京都市美術館の将来構想策定,開館80周年事業:20,000千円

<コミュニティ活性化>

 9 京都ならではの地域力を活かした協働型まちづくり「区民提案・共汗型まちづくり支援事業予算」の充実:230,100千円

<スポーツ>

 10 府市協調で進めるスポーツ施設整備に係る基本計画等:10,000千円

(5)都市の魅力を高める「歩くまち・京都」の推進,個性と活力あふれる都市づくりなど未来の京都への先行投資

<歩くまち>

 1 「歩いて楽しいまちなか戦略」の推進:436,000千円

 2 京都駅南口駅前広場の整備:167,500千円

 3 「歩いて楽しい東大路」歩行空間創出:50,000千円

 4 駅等のバリアフリー化の推進:29,000千円

<個性と活力あふれる都市づくり>

 5 幹線道路ネットワークの整備:5,411,196千円

 6 梅小路公園の魅力向上と下京区西部エリアの活性化:499,400千円

予算編成における重要課題

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5 財政の健全化

(1)財政運営の目標,予算配分目安額の遵守

 1 総人件費の削減,事業見直し等による財源確保など歳入歳出の主要な4分野ごとに実施計画で定めた財政運営の目標を遵守し,更に,公営企業に対する繰出金の削減も含め,平成24年度の98億円を上回る118億円に上る財源を捻出

 2 1により,局横断的な予算枠である政策的新規・充実事業予算枠,給与費枠,投資枠,消費等枠のいずれにおいても,予算編成通知で定めた予算配分目安額の範囲内で予算を編成

(2)特別の財源対策

 市税や地方交付税などの通常の歳入だけでは必要な歳出を賄えない場合に活用する「特別の財源対策(公債償還基金の取崩し等)」については,本市予算編成の最終段階で,国において,地方公務員給与削減を目的とした地方交付税等の減額という異例の措置がとられたため,131億円となりました(実施計画の目標は各年度概ね100億円)。

 

                                             (単位:億円,%)
一般財源収入の状況

区分

25年度(案)

24年度当初

対前年度増△減
(増△減額)

対前年度増△減
(増△減率)

市税

2,407

2,388

+19

+0.8

地方譲与税・府税交付金

251

267

△16

△6.0

地方交付税・臨時財政対策債

1,033

1,044

△11

△1.1

地方特例交付金その他

22

22

一般財源収入総額

3,713

3,721

△8

△0.2

(3)実質市債残高

 全会計・一般会計とも,国が返済に責任を持つ臨時財政対策債を除いた実質市債残高を,24年度に比べて減少させ,ピーク時から比べても,大幅に縮減

<実質市債残高>

  • 全会計
     24年度:1兆8,947億円→25年度:1兆8,658億円 (△289億円)
       ピーク時(14年度:2兆957億円)から約2,300億円削減
  • 一般会計
     24年度:9,622億円→25年度:9,481億円 (△141億円)
       ピーク時(20年度:9,832億円)から約350億円削減

 

(4)全会計を通じた財政健全化

 1 市バス事業

   平成25年度予算における資金不足比率が経営健全化基準である20%を下回り,健全化計画よりも2年前倒しで経営健全化団体から脱却する見込み

 

 2 地下鉄事業

   5万人増客に向け,経営健全化計画を上回る旅客数(342千人/日)を見込むなど,計画を上回る収支改善となり,経営健全化計画で25年度までに予定していた地下鉄の運賃改定を,26年度においても見送り(ただし,消費税の増税が実施された場合については適正に転嫁)

平成25年度予算案と経営健全化計画との資金不足比率比較

25年度予算案

25年度計画

計画からの改善状況

市バス事業

15.6%

29.4%

13.8ポイントの改善

地下鉄事業

55.4%

73.6%

18.2ポイントの改善

 

 

 

お問い合わせ先

京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

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