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門川市長記者会見(2012年8月1日)

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2023年4月12日

平成23年度決算概況(速報値)について

 本日は,平成23年度の決算の概況について御説明申し上げます。

 最初に決算のポイントでございます。併せて,京都市の財政の状況等についても御説明します。

 まず,1点目として,全会計の連結実質収支について,本市は平成19年度決算で373億円という過去最大,政令指定都市唯一の赤字を出しましたが,23年度決算ではこれが解消できたことです。

 2点目は,一般会計の実質収支についてであり,昨年,赤字を克服し,2年連続して黒字を維持することができました。

 3点目は,経営健全化を推進してきました公営企業についてです。地下鉄,市バスの両事業において,計画を上回る改善が実現でき,上下水道事業においても,厳しい中ですが,黒字を維持することができました。

 4点目は,京都市の借金である市債について,京都市が返済に責任を持つ実質市債残高において,全会計及び一般会計共に一層の縮減を図ることができました。

 しかし,財政の実態は厳しい状況にあります。一般会計については,黒字が維持できたというものの,当面歳入増が見込めない下で,社会福祉関係経費の増加傾向がますます強まり,続いていきます。通常の歳入では歳出が賄えず,行政改革推進債など「特別の財源対策」が必要という状態が続いております。

 また,収支は大きく改善しましたが,地下鉄,市バスの両事業は,多額の資金不足を抱えており,また,上下水道事業は,水需要の減少傾向が続く,依然として厳しい状況にあります。一層,行財政改革を徹底して進めていかなければならないと決意しております。

 それでは,ただ今申し上げた内容につきまして,データに基づいて御説明します。

 まず,冒頭に申し上げました全会計の連結実質収支についてですが,夕張市の財政破たんを契機として,地方財政健全化法が制定され,連結で決算を評価する制度ができました。その初年度である19年度決算の審議が,私の市長就任と同時期でありました。非常に厳しい中でございました。グラフに示しておりますとおり,地下鉄の巨額の累積赤字等の影響で,指定都市では唯一,373億円もの赤字を抱える状況にあったため,全庁挙げて,あらゆる改革に取り組んでまいりました。

 連結実質収支赤字の大きな要因であります地下鉄・市バスの両事業について,京都市会の議決をいただき策定した経営健全化計画に基づき,多くの市民の皆さんの協力も得ながら,積極的な経営による増収増客と徹底したコスト削減の取組を推進して,地下鉄事業では153億円,市バス事業では71億円の改善が図れました。また,上下水道事業においても,民間活力の導入,人員削減,効率的な組織の見直しを断行し,水道事業で51億円,下水道事業で133億円の経営改善が実現しました。

 こうした公営企業の経営改善と一般会計の黒字の維持により,連結実質収支について,373億円の赤字から,約80億円の黒字へと転換することができました。

 次に,一般会計の実質収支であります。

 これも,市長就任早々でしたが,リーマンショックによる過去最大の歳入減などによりまして,20年度決算では30億円という過去最大の赤字に転落しました。22年度で,ようやく黒字転換し,23年度は2年連続で黒字を維持し,その黒字幅を14億円に拡大することができました。

 それでは,次に,今回の決算に至った要因についてです。私が市長に就任したときは,市役所の職員は16,153人でしたが,24年4月では13,702人と,この5年間で1割を超える職員の削減を行ってきました。私の1期目のマニフェストでは1,000人削減,その後の財政状況,赤字転落を踏まえた,以前の未来まちづくりプランでは1,300人の削減を掲げましたけれども,23年度までに1,444人の削減を行いました。そして,「はばたけ未来へ京プラン」実施計画では,27年度までの4年間で700人を削減することとしていますが,それを前倒しで,今年度343人削減しました。ただし,これは,市立芸術大学の独立行政法人化による98人を含んでいますので,実質は245人の削減ということになります。市役所の職員は,昭和55年には2万人を超えておりました。したがって,その当時から,ずいぶん仕事が増えておりますけれども,3分の2の職員で仕事をしているということであります。引き続き,市役所があらゆる努力をして,行財政改革を徹底することが必要であり,職員削減に努めるとともに,一方で職員の能力,質を高める,そうした取組を進めてまいります。

 次に,歳入の根幹を成す市税,地方交付税等の状況についてです。

 リーマンショック以降,景気後退の影響を受けまして,21年度決算で過去最大の税収減になりましたが,23年度決算では,徴収率の向上や法人市民税が堅調に推移し増収となり,3年ぶりに前年度から増となる2,486億円を確保することができました。

 一方で,臨時財政対策債を含む実質的な地方交付税については,三位一体改革の行われました平成15年度以降の大幅な削減により,ピーク時から500億円の削減がありましたが,21年度以降,国に対するあらゆる要望等も反映された結果,増加に転じ,1,000億円台を確保することができました。

 ただし,これは臨時財政対策債の増によるものであり,交付税そのものは減少しております。交付税の法定率の引上げ等,国が措置すべきものは,きっちりと国の責任で措置していただく必要があります。後の交付税で臨時財政対策債は国が責任を持つということを言われていますけれど,そういうことではなしに,きっちりと地方交付税で措置されるよう,引き続き,国に要望を強めてまいります。

 次に,23年度市税収入の増加の要因となっている市税の徴収率についてです。

 多くの市民の方々に御協力,御理解いただくとともに,公平性を確保するため,根拠のない滞納は認めないという取組が大事であります。特別対策本部を設置し,本庁はもとより,とりわけ区長,担当区長が区役所の職員と共に全力を挙げて,滞納債権の回収に努めてくれました。この結果,政令指定都市の中でもトップクラスの徴収率を維持しています。さらに23年度は過去最高の徴収率となり,対前年度比で0.2ポイント増の97.2%になりました。特別対策本部を設置する以前の6年度は91.9%でしたので,5.3ポイントの徴収率の向上で,これを1年間で見たときの増収効果は130億円であります。京都は,横浜,名古屋と並んで政令指定都市でトップの徴収率となっています。

 次に,本市の連結実質収支の改善の大きな要因になりました地下鉄についてです。地下鉄は開業31年目になりましたが,この間,現金収支の赤字が続いていましたが,28年目の21年度決算において現金収支の黒字化を実現しました。これが,京都の都市規模における地下鉄経営の今日的な最大の課題と言っても過言ではありません。そのような中,昨年度当初は,東日本大震災等の影響を受けて,乗客は減少し,厳しい状況でしたが,その後,全庁挙げた増収増客の取組,地下鉄開業30周年を記念した沿線での集客のイベント,あるいは歩くまち京都,公共交通優先の取組等に対する,市民の皆さんの様々な御理解を得まして,それらが実を結び,1日当たりの旅客数は,前年度から4千人,前々年度から7千人の増となる33万4千人となりました。これは,平成22年3月に市会で議決いただいた健全化計画を6千人上回るものであります。

 また,「コトチカ御池」の開業など駅ナカビジネスの拡大,あるいはコストの削減など,あらゆる努力をいたしまして,この結果,現金収支の黒字につきましては,前年度から12億円拡大し,55億円を確保することができ,健全化計画を40億円上回る結果となりました。市民の方々に地下鉄経営の厳しさを分かりやすくということで,1日当たりの赤字額をお示しし,みんなで使っていただければ「宝」,使わなければ「赤字の山」ということを申し上げてきましたが,こうした努力によりまして,18年度に1日当たり4,600万円の赤字であった経常収支が,23年度決算では1,800万円の赤字となり,現金収支の大きな黒字化により,経常収支につきましても,赤字額は5年前より60%削減することができました。しかし,まだまだ巨額の赤字を抱えていることは事実であります。地下鉄経営に当たりましては,長期的な視野に立ち,歩くまち京都,公共交通優先のまちづくり,あるいは地下鉄沿線の活性化,まちづくりそのものをしっかりと考え,同時に,更なるコスト削減,また,利便性の向上,お客さんに愛され喜んでいただける地下鉄づくりを行っていく必要があります。こうした考えに基づき,高い設定でありますけれども,30年度の1日当たり5万人増客の目標に向かって,あらゆる努力を積み重ねていきたいと思っています。

 次に,市バスについてです。市バス事業につきましても,年度当初,東日本大震災の影響を受けまして非常に厳しい状況でしたが,徹底した利便性の向上,そのためのダイヤの充実,またコスト削減等に取り組んでまいりました。約10年前の平成12年度は,単年度52億円の赤字でありましたが,今年度は,健全化計画を16億円上回る29億円の黒字となりました。ただし,バス路線全74系統のうちの7割が赤字であります。20系統あまりで黒字を維持し,あとの7割を運営しているのが現実であります。都市における路線バスの経営は,どこも厳しさを増しております。大阪市では,大改革という名において,路線を廃止していく。こんなことが今,議論されています。京都市においては,市民の皆さんの御理解も御協力も得ながら,例えば,河原町通では3~4分ごとに走らせるといった利便性の向上を図っています。また,バス待ち環境も良くしていくなど,そうした積極的な経営により,さらに市民の皆さんに喜んでいただける市バスにしていく。お客さんあっての市バスです。そうした取組の下に,都市で路線バスの経営に展望が開けているのは京都だけだと,全国的にも評価していただけるまでになりました。しかし,まだ累積の赤字もございます。京都市の都市の機能として,市民,あるいは観光客の皆さんにとって,市バスは大きな役割を果たしていますので,更に努力していきたい。同時に市バスだけではなく,地下鉄,私鉄,私鉄バスを含めた連携,結節点の充実といった取組も進めてまいりたいと思っています。

 次に,上下水道事業についてです。節水意識の高まり等を背景とした水需要の減少により,厳しい状況でございます。いい面もあるわけですけれども,水道料金収入は対前年度比7億900万円,下水道使用料も5億5,200万円の減収となりました。しかし,職員給与費,物件費,支払利息等の削減などの対策を講じたことにより,水道事業で7億円,公共下水道事業で9億円の黒字を維持することができました。

 今後も,水需要の減少傾向は続きます。また,基本水量以下の使用者が増えておられます。そうした中で,水需要の構造の変化に合わせた上下水道料金の在り方について,昨年から上下水道料金制度審議委員会を設置し,社会状況に対応した料金体系の検討を進めていただいています。

 また,将来にわたって安心・安全な水道水を安定的に供給するのが京都市の責務であります。琵琶湖疏水をはじめ,先人たちの多くの遺産によって,今,維持されていると言っても過言ではありません。今後,これらを維持していくためには,多額の経費が必要であり,とりわけ配水管の更新のスピードアップ等の必要がございます。そうしたことも,今後,審議委員会並びに議会等でも議論いただきたいと思っています。

 次に,本市が実質的に返済に責任を負う市債残高です。

 依然として厳しい経済状況の下で,「特別の財源対策」であります行政改革推進債の発行等を続けており,あらゆる資金手当を総動員して予算を編成しているのが実態です。

 一方で,将来世代に過度の負担を残さないことを重視し,高齢化等による稼働年齢層人口の減少に併せて,市債残高も減らしていく。こうした方針を打ち出しております。また,必要な社会資本整備はしっかりと進めながら,トータルとしての投資的経費を抑制していく。そうした取組も行っています。

 その結果,市債残高は,全会計で22年度末から339億円減となる1兆9,088億円,一般会計では22年度から166億円減となる9,651億円と着実に縮減できました。

 また,市債残高の縮減のために,新規の市債発行を抑制する取組をこの間進めてまいりました。例えば,23年度決算において,全会計で新たに888億円の市債を発行し,1,227億円を返済しましたので,差引339億円の縮減となりました。一般会計では,416億円の市債を発行し,582億円を返済しましたので,166億円の減少となりました。引き続き,あらゆる努力を行い,次の世代に大きな借金を残さない取組を進めてまいります。

 最後に,今後の財政運営についてです。

 20年前の平成3年度における社会福祉関係経費は926億円,市税収入は2,583億円でした。この市税と地方交付税等を合わせた一般財源収入は3,399億円であり,社会福祉関係経費の一般財源収入に対する割合は,27.2%でした。一般財源収入が最も多かった平成12年度では,社会福祉関係経費も伸びたため,その割合は30%を少し超えました。その後も社会福祉関係経費は伸び続けまして,24年度予算では3年度の2.5倍になりました。一方で市税収入はほとんど変わらないか,減収に転じています。三位一体改革により地方に税収を回してもこういう結果です。そして,臨時財政対策債,地方交付税も含めた一般財源収入も減少に転じています。これが基礎自治体の基本的な財政構造であります。黒字を維持していると言いましても,極めて厳しい財政状況であり,国家財政も同様の状況にあるということです。

 今後も,円高や欧州の債務危機,あるいは中国経済の先行きなど,色々なことが懸念されております。そうした中で,日本経済の東京一極集中がどんどん加速し,富裕層が東京にどんどん集中していく。所得税を地方に率で戻しても,東京や横浜は高所得の人が多いから,非常に税収が多くなる訳ですけれども,地方は非常に厳しい状況にあります。一方で,高齢化等については,京都は全国のトップを走る都市の一つであり,社会福祉関係経費の増加傾向等が続くのは確実であります。そうした中で,福祉,教育等をしっかりと維持し,守っていくことを考えますと,綱渡り的な財政運営が続くということであります。この10年間,行政改革推進債等,特別の財源対策に依存して財政運営してきたわけですけれども,こうしたことから脱却し,しっかりと足腰の強い財政運営をしていくためになすべきことは大変多くございます。将来にわたって財政を持続可能なものにしていくためには,都市の成長戦略をしっかりと支える財政基盤をつくる「財政構造改革」が今求められています。

 本年3月に,京都市の都市経営の基本となる「はばたけ未来へ京プラン」に掲げます「重点戦略」と「行政経営の大綱」を推進するための実施計画を策定いたしました。実施計画に掲げます,歴史都市京都の品格,都市格を高め,魅力を更に深めていく取組,地域資源と都市のインフラを生かした個性と活力あふれるまちづくり,観光やMICE戦略の推進,また,新たな産業の創造と中小・ベンチャー企業の支援など,多彩な成長戦略を,京都の強みを生かして,強力に推進していく。また,大学のまち・学生のまち,そういった京都の強みを生かしていく。こうしたことをしっかりと推進していきたいと思っています。そして,経済の活性化,雇用の創造,雇用機会の拡充,こうした取組にも力を注ぎまして,将来の税収増につなげていきたいと思っております。

 また,大都市税財源の制度の見直し,拡充を国に要望していく。また,社会保障と税の一体的な改革,これも待ったなしだと私は思います。同時に,京都市としましても更なる行財政改革を徹底し,「住んでいてよかった。」,「京都を訪ねてよかった。」と実感していただける京都づくりに引き続きまい進してまいりたいと思っています。

 

質疑応答(要旨)

<報告案件に関する質疑>

(連結実質収支の赤字解消について)

記者

 連結実質収支の赤字を解消したことの意義は。

市長

 財政健全化のスタートラインに立ったということだと思います。

記者

 どのように理解すれば良いのか。

市長

 全会計の連結実質収支の公表を平成19年度決算から開始しました。過去,夕張市の一般会計はそれほど厳しくありませんでしたが,別の会計で大幅な赤字があり,ふたを開けたら破産ということになりました。こういうことにならないように,財政を連結で見る。それを国のものさしで評価する。そして,もし厳しかったらまずイエローカードが出る。その次にレッドカードが出る。こういうことでした。

 ご記憶の方もおられると思いますけれども,5年前,京都市も「第二の夕張」になるのではないかと懸念されていました。政令指定都市の中で唯一,373億円という巨額の連結赤字でした。その原因について,例えばものすごく大きい要らないビルをつくってしまい,極端な投資をしたことによる赤字転落ということではありません。地下鉄の整備等,都市基盤として必要なことを,計画に基づいてオープンにしっかりと進めてきたにもかかわらず,これだけの赤字が出ました。無茶苦茶な財政運営をしてきたなら,それをやめたらすぐに改善します。

 京都市は大阪市に比べて都市の規模にしますと,1千億円くらい市税収入が少ない。その中で,「第二の夕張」になるのではないか。どうするのかということでした。その最大の要因となる取組が,冒頭に申しました,1割を超える職員削減です。そうしたことを含めて,あらゆる努力をし,ようやくスタート台に立ったということです。

(市税収入増について)

記者

 市税収入が34億円増となった理由は。

市長

 平成23年度は,法人市民税が堅調に推移しました。そして,非常に厳しい状況でありますけれども,市税徴収率が向上したことなどが大きいと思います。

(収支比率についてについて)

記者

 収支比率はまだ出ないのか。

市長

 今回はまだ概算です。収支比率には複雑な計算式が必要ですので,後ほどということになります。

(市税収入増について) 

記者

 市税収入の増加は,徴収率の増加分によるのか。

市長

 法人市民税が堅調に増加したことによるものです。

記者

 どのような分野の業績が良かったのか。

市長

 平成23年度は,京都の上場企業等がリーマンショックから立ち直って,経営が改善した年でした。しかし,これが今年度は円高等により厳しくなっています。

記者

 今年度の見込みは。

市長

 甘い見通しはしていません。法人市民税は前年度の実績が反映されます。逆に赤字だと返還せねばなりません。

<その他に関する質疑>

(災害廃棄物の広域処理について)

記者

 宮城県の災害廃棄物処理に関する計画を受け,国もこれ以上新たな要請先を増やさないとしているようだが,京都市の今後の対応は。

市長

 被災地の一日も早い復興にお役に立ちたいということと,市民の皆さんの安心・安全を両立させるため,オープンな場で,専門家に徹底して議論していただき,被災地のがれきを京都市のクリーンセンターで試験焼却して,安全を確認したうえで受け入れていきたいとしていました。国からの正式な通知はまだですが,先だって宮城県の状況が大きく前進し,これ以上の広域処理は必要ないという連絡をいただきました。

 京都市の検討委員会の専門委員の先生方にも,京都市の焼却施設を見てもらうのと同時に,被災地のがれきや焼却の状況等を,2班に分かれて環境政策局の職員と共に視察していただきました。特に可燃物については,仙台等がよそのがれきも引き受けていく予定であり,処理が大きく前進しているということでした。

 委員の方には,現地が何を必要としているのかということも見ていただいておりますので,8月3日に第2回の専門家委員会を開催し,現地での視察や関係者からの聞き取りを報告していただき,被災地への支援に生かしていきたいと思っています。

(陸前高田市から取り寄せた薪の取り扱いについて)

記者

 がれきを受け入れない場合,被災地から取り寄せた薪の皮はどうするのか。

市長

 被災松については,いくつかの市民グループの方々から,色々な利用の仕方を御提案いただき,検討,取組を進めようとしています。残った皮については,専門家の意見も聴きながら,市民の皆さんに安心していただける取組をしっかりと進めていきます。

 当初から,被災松の問題と災害がれきの受入れを関連付けて考えてはおりませんので,別の問題として粛々と進めていきたいと思っています。

(災害廃棄物の広域処理について)

記者

 可燃物の処理は目途が立ったが,コンクリートや金属などの不燃物は,現地で大量に堆積しており,処理に目途が立っていない。京都市として何らかの形で協力していく考えはあるか。

市長

 関西広域連合において,がれきのうち可燃物について,安全確認したうえで引き受けようということで基準を作りました。可燃物でない物は関西では引き受けられないということが,専門家も含めた議論の結果でありました。可燃物でないがれきを京都の山に持ってきて埋めるということは不可能ですし,処理できないということをはっきりと国に対しても申しております。

(大都市地域特別区設置法案について)

記者

 大阪都構想に関する法案が可決の見込みになっているが,どう考えるか。

市長

 今,地方自治体の在り方が議論されています。私は,地方自治体の在り方には多様な選択肢があってもいいと思います。そういう意味において前進するということは,歓迎したいと思っています。同時に,私共は多くの政令指定都市と共に道州制も視野に,より自立した基礎自治体,大都市制度,特別自治市制度を研究し,国にも提言しているところであります。今回,そうしたことがしっかりと反映されなかったことは,残念です。日本の国の形を変えていくには,道州制を視野に入れなければならないと私は思っておりますので,国民的な議論を高めていく努力をしていきたいと思っています。

(大津市のいじめ自殺問題について)

記者

 大津市のいじめ問題について,教育委員会の在り方が問われている。教育長を経験している市長は,今の大津市の対応や教育委員会の在り方をどう考えているか。

市長

 大津市の今回の問題については,極めて残念であります。私が元教育長であるかどうかにかかわらず,詳細について承知していないので,細かく言うつもりはありませんが,大津市や滋賀県が,状況を判断し,改善すべき点があるならば,改革のプログラムを早急に策定し,実行されることが大事だと思います。いじめ問題については,見逃しのない観察,手遅れのない対応,心の通った指導の3点を,すべての学校,すべての教職員が徹底して行うことが重要です。子どもの発達段階においては,いじめがあるものだ,どこの学校でも起こりうるものだという認識が必要です。見逃しのない観察とは,子どものちょっとした仕草や身体の傷に気づく,そういう教師の感性を育てるということです。また,DV被害でも同様ですが,いじめを見つけたときに,しっかりと手遅れのない対応をしていくことが必要です。しっかりと見抜く,同時に学校がチームとして,その力を発揮する。さらに保護者としっかりと連携できる取組,そして心の通った指導が必要であります。この3点から見ても非常に残念な事態だと思っております。

 いじめの対応については,教育委員会において専門性に富んだ対応を行うことが重要であります。教育委員,教育長,そして専門職の指導主事,教育行政に精通した教育委員会の職員,これらが学校現場の教職員やPTAと一緒になって取り組むことが大切です。教育委員会だからできなかったのではなく,これは大津市の教育委員会の課題だと思います。1つの特異な現象でもって,教育委員会制度そのものを考えるのではなく,どこに原因があるのか,冷静に分析した議論が必要だと思います。教育長の任命責任は市長にあります。教育委員会の仕事についても,予算編成は市長の権限ですので,市長に大いに責任がございます。市長が議会の同意を得て,任命しているわけですから,首長と専門機関である教育委員会が十分連携したうえで,それぞれの役割を果たしていかなければならないと思います。

(養徳小学校プールでの事故について)

記者

 養徳小学校でのプールの事故について,今後の改善策は。

市長

 本当に残念な事故が起こりました。事故で亡くなられた児童の御冥福を心からお祈り申し上げるとともに,御両親をはじめ御家族に対し,学校設置者である市長として本当に申し訳ない気持ちでございます。

 教育委員会において,事故発生後ただちにすべての学校に対して,水泳指導における安全管理を徹底するように周知しています。夏休みに学校のプールを活用して,子どもたちに水泳をしっかりと学んでもらうことは,京都のいい伝統です。事故の際,3人の教師が,指導,監視に当たっていたにもかかわらず事故が起こったと報告を受けており,原因をしっかりと究明していく必要があると思います。そのうえで,安全対策をより徹底していかなければならないと思っています。

記者会見資料(平成24年8月1日)

平成23年度決算概況(速報値)について

行財政局財政部財政課 電話222-3291

市長記者会見資料

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