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門川市長記者会見(2012年6月6日)

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2012年7月5日

屋外広告物対策の抜本的な取組の強化について

 本日は,屋外広告物のことについてお話させていただきます。

 京都市では,50年後も100年後も,光り輝く京都であり続けることを目標にして,市民ぐるみで,新しい景観政策に取り組んでおります。この度,新景観政策の重要な柱として平成19年9月から実施いたしております,屋外広告物への規制や優良な屋外広告物を誘導する屋外広告物対策について,市内全域でのローラー作戦による指導など,「違反状態」ゼロを目指して,体制を強化して推進しますので,お知らせします。

 「いつまでも,日本に京都があってよかった。」と,賞賛していただけるまちであり続けるために,景観問題は,京都市民にとって,長年の大きな課題でありました。

 多くの市民の皆さん,事業者,経済団体と,市民ぐるみで議論を重ねまして,平成19年に,建物の高さ規制や全市的な建物のデザインの規制,また,眺望景観を守る,借景を守るといった,様々な景観対策に取り組むことになりました。市会で条例が全会一致で議決されました。その中で,歴史都市・京都をかたちづくる重要な要素と位置付けている屋外広告物についても,美しい品格のある都市景観を形成していくことを,多くの市民の皆さん,議会を含めて決意したところであります。

 この条例におきましては,現在,2千のビルにある屋上の広告物を全面的に禁止しています。また,地域の特性に応じて,大きさや色,表示できる高さや面積をきめ細かく,全国にも例を見ない基準を設定しまして,規制を行っているところであります。

 平成19年に条例が施行されましてから,市民しんぶんや行政区ごとの説明会などにより,この制度の趣旨の説明を,市民,事業者の皆さんにしてまいりました。そして,市内全域で屋外広告物が掲出されている箇所を総点検し,状況把握してきました。

 そして,平成26年8月末までの7年間を条例における経過措置期間といたしております。四条通や河原町通の繁華街など,屋外広告物が数多く掲出されている地域をモデル地域として,集中的な指導を行ってまいりました。また,チェーン店等に対しましても,重点的な指導に取り組んでまいりました。このモデル地域では,これまでに5,589事業所の指導をさせていただき,その結果,特に,四条通,河原町通,木屋町地区を中心とした第一次モデル地域では,是正率が89.9%に達しました。

 このように是正の指導を続ける一方で,優良な屋外広告物に対する表彰や補助を行うなど,良好な町並み景観形成に資する屋外広告物の普及促進にも積極的に取り組んでまいりました。京都のまちに合ったすばらしい広告物等を造っていただいています。こうした取組が,京都の景観に大きな影響を与えております。

 市民の皆さんはもとより,国内外の方々からも「すばらしい。これほどよく大胆なことが決断できましたね」,こんな驚嘆と賞賛の声をいただいております。一昨日も,国際会議場で開催された国際大ダム会議において,色々なお話しをしましたが,一番反応がよかったのは,屋外広告物の話をしたときでした。「電飾の広告がなくなります。」,「屋上の広告が全部撤去されます。」と言うと,そこで,拍手が起こるんですね。特に外国人の方からの拍手が多かったです。 

 しかし,新しい景観政策実施後4年9箇月が経過したのですが,市内全域の4万箇所余りの屋外広告物のうち,推定ですが約2万8千箇所が条例の新しい基準等に違反している状態にあります。以前の基準に違反しているものもございます。

 そこで,経過措置期間が終了する平成26年8月までに,市内全域の違反状態を解消し,すばらしい景観を形成していくために,一つは「屋外広告物制度の定着促進」,二つに「是正のための指導の強化と支援策の充実」,三つに「京都にふさわしい広告の普及促進」,これを三本柱に,これまでの取組を抜本的に強化いたします。

 1点目の「制度の定着促進」では,先ほど説明しましたけれども,さらに,市民しんぶんやあらゆる説明会等で,制度の周知徹底を図るとともに,事業者向けの相談体制を強化いたします。

 具体的には,市民しんぶん区版(6月15日号)での特集や実際に屋外広告物を掲出している全事業者(約4万箇所)にポスティングを行うなど,きめ細やかな周知を行います。

 また,事業者の方々の疑問,相談に対応するため,京都府広告美術協同組合の協力も得て,本日から「京都市屋外広告物相談窓口」を新設いたします。窓口では,制度の内容はもちろん,実際に必要な許可の申請方法まで,幅広い相談に応じるとともに,相談者の要請によりましては,現地調査もさせていただきます。さらに,平日の夜間や休日の相談にも対応するため,6月から9月にかけまして市内14の区役所・支所でブースを設けまして,順次,相談会を実施してまいります。

 2点目の「是正のための指導の強化と支援策の充実」ですが,市内全域で「ローラー作戦」による指導を本年10月から開始いたします。全市で禁止されている屋上屋外広告物や,人目につきやすい幹線道路沿いの広告物など,京都の景観に著しい影響を与える物件から重点的に着手いたします。指導に当たっては,必要な人員を確保し,法令に基づく警告や行政代執行も辞さない覚悟で取り組んでまいりたいと思っています。

 同時に,屋外広告物を是正するに必要な看板の除却や,改修を行う事業者等への支援策として,現在の中小企業融資よりも低利の,新たな融資制度を創設するために,いま検討に入っております。

 3点目の「京都にふさわしい広告物の普及促進」では,優良屋外広告物の顕彰制度の充実や,これまでから実施しております補助金交付制度の充実を図り,基準を満たすだけでなく,優秀なデザインの看板等が京都のまちを彩るよう対策を積極的に推進してまいります。

 また,基準を満たさないものでありましても,その表示が歴史や文化を体現しているほか,公益性のあるもの,慣例によるもので,市民感覚として景観上支障がないと判断できるものは,審議会に諮り特例的に認めていく特例許可制度を適正かつ積極的に活用します。

 さらに,特例許可制度の運用基準を具体化し,ホームページなどで市民に明らかにするとともに,京都の景観にふさわしい屋外広告物の普及に努めてまいります。

 屋外広告物は,日常的に多くの市民の皆さんの目に入り,市民の皆さんの感覚や感性にも影響を与えるものであります。例えば,auや三菱東京UFJ銀行は全国統一の看板ですが,京都市内だけは京都にふさわしいデザインにしていただいています。有名な話なのですが,コカコーラは世界中,赤地に白抜きの看板であります。しかし,これは従前から京都市内だけは,白地に赤抜きの看板となっており,世界の方が来られて,びっくりされます。京都市内だけは,京都の景観に合うように変えておられる。

 京都にふさわしい広告物景観について,市民ぐるみでさらに研究を深めていくために,主要ターミナルでのチラシの配布や強化月間の取組を通じた啓発,事業者や市民で構成する研究の場を設けてまいりたいと思います。さらに,京都市としても,今年度から新たに屋外広告物対策の担当部長,担当課長,担当係長のポストを設置し,各1名増員いたしました。従前から取り組んできた優秀な職員と共に,京都の未来のために,全力を挙げていきたいと思っております。

 早速,本日午後6時から,都市計画局の職員100人が,河原町三条や京都駅など7箇所でチラシの配布による啓発を行います。

 経過措置期間はあと2年2箇月余りでございます。看板などの屋外広告物は事業者の皆様にとって「顔」であり「命」とさえ言えるものであります。その大切な看板を京都にふさわしいものにしていただくことで,事業者の皆様の屋外広告物が京都のまちと一体となってさらに輝き,その広がりが京都の都市格の向上につながる。私はそのように確信いたしております。

 市民の皆さん,事業者の皆さんの,御理解,御協力をよろしくお願いしますとともに,京都市も一丸となって努力し,私たちの誇りであります,この素晴らしい京都の景観に更に更に磨きをかけ,50年後,100年後にしっかりと引き継いでいく決意でおりますので,よろしくお願いします。私からは以上であります。

質疑応答(要旨)

<報告案件に関する質疑>

(屋外広告物の融資制度及び特例許可制度について)

記者

 低利融資制度の創設はいつになるのか。また,特例許可制度は既にある制度か。その具体化について,市長はどのようにお考えか。

市長

 融資制度につきましては,現在,庁内で研究しており,9月議会に補正予算を提案したいと思っています。したがいまして,9月議会で可決されましたら,速やかに実行できるよう努力したいと思っています。

 特例許可制度は現在もございます。老舗の店のケヤキでできた大きな看板など新景観政策の基準を超えていても,誰が見ても明らかに認めて良いと思うものについては,美観風致審議会に諮ってしっかりと議論していきたい。昭和にできた看板であっても,既に歴史的・文化的な価値があるものもございます。したがいまして,そういうものは申請していただいて,審議会にかけて,そして許可した事例を積み重ねていくことが大事ではないかと思っています。

(強化月間について)

記者

 強化月間は,毎年何月という感じでお考えか。

市長

 第一弾として,市民しんぶんや相談窓口の開設,すべての区役所・支所での相談会の開催とこれから集中的に周知啓発に取り組んでいきたい。その上で,ローラー作戦に入る直前の9月と半年後の来年3月に強化月間を設定して,一層取組を強化したい。ローラー作戦は,10月から入り,数十名の京都市職員を重点配置しまして,全力を挙げていきたいと思っています。

(屋外広告物の違反要因について)

記者

 経過措置期間が4年ほど経過して,いまだにこれだけの違反があるということは,周知が足りていないのか。あるいは,資金的な面で達成できていないのか。どのような要因があるとお考えか。

市長

 両方だと思います。1点目は,やはり周知が徹底していないという面もあります。経済界やあらゆる団体等と連携しながら周知徹底に取り組みたいと思います。京都市自身が大幅に人員削減している,非常に厳しい人員体制の中で,これだけの人員を割いて,夜も土日も相談会を開催しようと,そのように市役所職員が一丸となって頑張っていきたいと思っています。

 2点目は,7年間の猶予期間があり,そこまでに間に合えばいいと考えておられる方もかなりおられるかと思います。看板は外せるものですから,長期の工事期間がいるというものではありませんので,この2年3箇月あまりを有効に生かして,事業者の方々に御理解,行動をお願いしていきたいと思っています。

 さらに,そのための融資制度も新たにつくる。また,誘導する姿勢だけではなく,良いものを作り上げていきましょうという取組も進めていきたいと思っています。非常に伝統的な看板もあれば,新しいデザインの優れたものもございます。ある方がこのようにおっしゃいました。「どんなに美術が好きな人,絵画が好きな人でも,一箇月に一回美術館に行くのは多い方だろう。美術館に行っても,絵を観ている時間というのは1時間や2時間である。」と。ところが,まちの景観,まちの看板というのは,毎日見ているものです。これがどれだけ感性に影響を与えているか。京都の新しい屋外広告物政策とは,歴史都市,文化芸術都市の京都ならではの政策であるということであります。京都全体がそういうまちになっていくことを目指したいと思います。

<その他の質疑>

(大飯原発の再稼働について)

記者

 関西広域連合が大飯原発の再稼働を事実上容認するという声明について,どのようにお考えか,また,関西電力が株主提案について反対すると取締役会で発言していたが,それについての見解は。

市長

 5月19日に行われた関西広域連合の会合で,細野担当大臣が,大飯原発の再稼働に対して,「特別な監視体制を構築し,同時に原子力規制庁の発足後に福島原発の分析を踏まえた新たな安全基準を策定し,大飯原発を含めたすべての原発に適用する。」という発言がございました。暫定的なものとして,原子力規制庁が発足後に新たな安全基準を設けて,中立的な機関によって福島原発の事故を総括し,教訓をしっかりと生かした安全基準を作っていく。こうしたことを前提に広域連合として声明が出されたと認識しております。本来なら原子力規制庁を発足させ,新たな安全基準を作り,第三者機関の専門家による判断のもとで再稼働するのがあるべき姿ですが,特別な体制を組むということ,暫定的な再稼働であり,新たな基準ができればしっかりと再点検するということを前提にした関西広域連合の判断については,これしかなかったのではないかと感じています。

 関西電力への株主提案につきましては,京都市は,大阪市,神戸市と7項目の提案を行っております。これはできるだけ早く原子力発電に依存しない社会を構築するために,発送電の分離なども含め,また再生可能なエネルギーの促進も含めて提案したものであります。大阪市の提案については,事実上すべての原発を直ちに止めなければならないという内容になっておりますが,原子力政策は安全を大前提に,短期と中・長期とに分けて考えなければならないと思います。そこで,京都市としては,大阪市の提案には賛成できないということで,神戸市と一緒に独自の提案をさせていただきました。これは,京都市会の決議の考え方をきっちりと踏襲したものであります。また,多くの市民,国民のコンセンサスを得つつある提案であると私は思っております。関西電力の取締役会での株主提案に対する否決については,非常に残念に思っております。多くの国民,市民の皆さんと世論を盛り上げるよう,なお努力していきたいと思っています。

(節電対策について)

記者

 今夏の節電については,現段階でどのように考えているのか。

市長

 事業者としての京都市役所は15%を目標に,できるところはさらに高い目標を掲げて実行していきます。そして,市民の皆さんにも,節電について,環境問題も含めて,呼びかけているところであります。ただ,15%という目標は原発を再稼働しないことを前提としていますので,例えば,生産現場などから,15%を要請されてもできませんという悲鳴のようなものが聞こえていることも事実であります。それについては,京都府とも協調し,国の推移も見守りながら,できるだけ早く対応していきたいと思っています。

記者

 事業者には,原発が再稼働しても15%の節電を求めていくのか。

市長

 事業者にどのように求めていくかについては,今後検討して参ります。

(大飯原発の再稼働について)

記者

 大飯原発の再稼働をめぐって,京都府と滋賀県が限定的な再稼働をするようにと提言しているが,市長は再稼働のあり方はどうあるべきだとお考えか。

市長

 細野担当大臣が,副大臣を配置して,特別かつ,暫定的な監視の下に,再稼働をさせる。そして原子力規制庁の早期発足を目指し,専門家による判断をしっかりと行って,大飯原発も含めて再稼働を検討していく。これは,今回の再稼働が暫定的な措置であるということを実質的に物語っていると思われます。したがいまして,早く国が原子力規制庁を発足させ,専門家による中立的な安全評価を得て,市民が安心する対応をしていくことが何よりも大事なのではないかと思います。

記者

 市長が考える「暫定的」とは何か。

市長

 暫定的というのは,原子力規制庁ができて,中立的な第三者機関が評価するまでの間で,それを急ぐべきだと思います。

記者

 それは,橋本市長が発言しているようなピークカットのためであるとか,夏の間だけであるとかそういった意味か。

市長

 9月までという話もありますが,それを待たずに,前向きな議論が進んでいるようですので,早く原子力規制庁を発足させて対応していくべきだと思います。

(大飯原発の再稼働について)

記者

 大飯原発の再稼働について,先ほどの発言で「関西広域連合の判断については,これしかなかった。」とおっしゃったが,その理由は。

市長

 これまで私は再稼働について3点申し上げてきました。

 一点目は,再稼働の必要があるのかどうか。関西電力が夏を越せないというのは本当かということでした。これについては,政府機関及び関西広域連合として独自に設置した委員会が,関電の数字がほぼその通りであるということで,この夏を乗り切るのは非常に厳しいということでした。必要性の部分でそうしたことが分かりました。

 二点目は,地元の同意を得るということです。関西広域連合でも言っておりますし,私もそのように思っています。

 三点目は,第三者の安全管理,安全確認です。政治的な判断ではありません。これについては今申しましたように,あくまでも第三者の機関による安全管理が必要になるわけですけれども,それが出来るまでの間,政府によって特別な体制を組んで安全管理に万全を期す。

 以上のことを評価されて,暫定的なものとして広域連合としてやむを得ないという判断であったと思います。それに私も同意するということでございます。

(大飯原発の再稼働について)

記者

 立地自治体などが,関西の自治体に苦言を呈していることについて,どのようにお考えか。

市長

 この間の議論の中で立地自治体と周辺自治体の対立のような形に国民の皆さんの目に写っていることについては残念だと思います。

 なお,国や関西広域連合,そして立地自治体も含めて,安全確保という思いは一緒ですので,これらの関係者によって意思疎通を図るよう努力していただきたいと思います。

(関西電力への株主提案について)

記者

 株主提案の賛同票を得るため,何かされるのか。また,株主総会には出席されるのか。

市長

 厳しい日程なので,出欠については,まだ決めていません。

 株主提案については,京都市会における議決,あるいは,あらゆる世論調査でも多くの方が,脱原発社会をできるだけ早期にと求められていることを根拠に提案を行いました。したがって,何よりも,福島原発事故を契機に,幅広い国民の皆さんの世論というのを高めていく以外に方法はないと思いますので,そうした面で引き続き努力していきたいと考えています。

(陸前高田市から取り寄せた薪の処分について)

記者

 市会において,陸前高田市から取り寄せた薪の処分の早期解決に関する決議がなされたが,市長は決議をどのように受け止めて,具体的に,いつ頃までにどのように解決していきたいとお考えか。

市長

 市民の皆さんの安心の確保と被災地・被災者への思いをしっかりと踏まえながら,できるだけ早く解決していきたいと思っております。

 ただ現在,周辺に一切心配がない状態で保管されておりますので,直ちに対応しなければ被害が出るということでは全くございませんので,御心配していただかなくても良いのではと思います。適切な方法を検討しております。

記者

 今年の五山の送り火までに解決は厳しいのか。

市長

 それはまだ分かりません。

(陸前高田市から取り寄せた薪の処分について)

記者

 今年の送り火までには,薪の処分について解決したいとお考えか。

市長

 できるだけ早くという気持ちは持っておりますが,あまり期限を切らないで英知を集めたいと思っています。

 五山送り火は,御先祖様を送る行事です。鎮魂と復興への願いを込めて,本年も,五山の送り火の関係者の方々がそれぞれで取り組まれます。京都市もしっかりと連携して取り組んでまいりたいと思っています。ただ,それと五山の送り火で去年一緒に焚かしていただこうとしたことを直接結び付けて,何かしなければならないということではないと思います。あの薪は京都市の責任で取り寄せたものであり,京都市において適切な方法を選択する必要があると考えています。

(大都市制度について)

記者

 先日民主党政権が,大阪維新の会が掲げている大阪都構想のような大都市制度に関して理解を示す動きがあったことについて,市長の見解は。

市長

 地方自治の在り方,地方自治体の在り方については,今,私たちは政令指定都市として,道州制を視野に入れた大都市制度を研究しています。

 また,大阪は大阪都構想,名古屋等は中部で,新潟は新潟で各々構想されており,九州でも新たに研究をしようという動きがございます。

 先だっての指定都市市長会議でも,多様な在り方を研究するのが望ましいというまとめをしました。主流は特別自治市制度であります。しかし,政令指定都市がすべて特別自治市制度でまとまらなくても良いということを確認しました。それぞれの都市の成り立ちも違いますので,色々な形があっても良いのではと思っています。

(生活保護の不正受給について)

記者

 京都市の生活保護受給者が,不正受給で逮捕された。政府でも生活保護法改正の動きが出ているが,現行制度の問題点は何だと思うか。また,今後どういう姿勢で制度を運用していくのか。

市長

 京都市として,また政令指定都市として,先だっては近畿市長会として,国に対して,現行の生活保護制度について,実施主体である市町村長に権限がないなど様々な課題の早期の改革を度々申し入れてきました。ようやく国が動き出したと思っています。しかし,まだスピードが遅いというのが,本音であります。

 私は,市長就任早々に庁内のプロジェクトチームを立ち上げ,警察も含めた不正受給摘発のための協議会を発足させ,3年前から悪質な不正受給事案の告発を行っております。今回の逮捕も,告発段階での広報は止められており,逮捕の段階で報道されましたが,私共が調べ,不正を明らかにして,告発した事案であります。

 いくつかの問題が今の生活保護制度にあろうかと思います。

 1つは,就労支援にもっと重点を置き,働ける年齢層の方については働いてもらう,そのための支援体制を強化するということです。労働行政というのは,基本的に国及び都道府県行政ですが,ハローワークに福祉事務所等に来てもらうという制度を京都市が全国の積極的に推進し,今般3箇所の福祉事務所等に来ていただくことになりました。さらに,キャリアカウンセラー等を設置して,徹底した就労支援を行い,生活保護世帯数が京都市も伸びていますが,平成22年度の生活保護世帯数の伸び率は,政令指定都市の中で,最下位になり,これらの取組の効果も出てきています。

 もう1つは医療費の問題であり,なかなかチェックができません。チェックするために大変な費用も掛かっており,努力しているわけですが,生活保護費の半額が,京都市でも全国でも医療費です。必要な人に必要な医療をしっかりと保障することを前提にしながら,仕組みを変えていかなければならない。したがって,医療保障をきっちりと生活保護の中に組み込んだうえで,完全な無料というのは適当ではないのではないかと思います。これは,政令指定都市の市長会としても,2年前に国に求め,近畿市長会においても,先だって国に求めました。そうした改革を実施しなければならないと思います。憲法で保障する健康で文化的な生活のために,生活保護制度は極めて大事な制度であります。同時に,この制度が国民の信頼を失っていく,あるいは健全な日本人の勤労意欲を阻害していくことにならないように必要な人に必要な生活保護をきっちりと受けてもらう。同時に,不適切なものについては許さないという姿勢で,断固として取り組んでいきたいと思っています。

(今後の公営交通について)

記者

 京都市の公営交通100周年を迎えるが,市長は公営交通にどのような将来図を描いているのか。

市長

 今年は,公営交通100周年という記念すべき年であります。京都はそもそも民間によって日本で最初に路面電車が通ったまちであります。その後,京都市電が走り,自然に一元化していきました。その市電が走ってから100年が経ち,今,地下鉄と市バスは,公営交通として市民生活の中で,そして観光都市・京都で大きな役割を果たしています。

 この間,歩くまち京都,公共交通を大事にしていこうという取組を進めてきました。市バス,地下鉄だけではなく,民間の鉄道やバスとの連携も深まってまいりました。地下鉄の経営は厳しい中ではありますが,市民の皆さんの御理解,そして交通局を含む全市挙げての取組によって市バスも含めて経営が大きく改善されてきました。これからも市民生活,観光都市・京都を支える足として,更なる努力をしていきたいと思っていますし,市民の皆さんの御理解も求めていきたいと思っています。

(地下鉄の延伸について)

記者

 東西線の太秦天神川から西への延伸は断念したままなのか。

市長

 短期的,中期的には断念していますが,長期的な夢としては,誰が考えてもあった方がいいと思います。しかし,1つは,現在の国の都市交通,地下鉄の建設に対する補助制度の現状では無理と言わざるを得ません。2つ目には,地下鉄の経営改善が当面の最大の課題だということです。昨日も藤本大阪市交通局長と話しましたが,大阪市の地下鉄は1年で250億ぐらいの黒字があります。戦前に通った,減価償却の終っている路線が稼ぎ頭としてたくさんあります。京都市は5年前,年間160億を超える赤字でした。ようやくその赤字を4年かけて半分にしました。現金収支は,地下鉄開業以来,赤字続きでしたが,28年目の21年度決算において黒字になりました。

 なお,西京区,洛西地域も含めまして公共交通の利便性を向上させるため,市バス,私鉄バスを含めた連携を強化しています。例えば,バス停や時刻表を一元化していくといった取組が大きく進み,洛西ニュータウンもすいぶん便利になってきました。そうした取組もなお続けていきたいと思っています。

(大阪市職員の刺青調査について)

記者

 大阪市で職員の刺青を調査するという話があるが,市長は,公務員が身体に刺青を入れる行為についてどう考えているのか。

市長

 率直に言って,私は刺青が好きではありません。京都ハンナリーズの応援によく行きますが,会長の理念で,刺青はしないことを前提とした雇用契約を結ぶということを徹底しておられます。素晴らしい理念だなと思っています。大阪での不祥事の発端は,福祉施設の職員が刺青を見せびらかしたというとんでもない話であります。大阪市は大阪市で,大阪市の課題に取り組まれたらいいと思います。

記者会見資料(平成24年6月6日)

屋外広告物対策の抜本的な取組の強化について~市内全域におけるローラー作戦を展開~

都市計画局(都市景観部市街地景観課 TEL222-3474)

 京都市では,50年後,100年後も光り輝く京都であり続けることを目指して,市民・事業者・経済団体等,市民ぐるみでの長年の議論を踏まえ,建物の高さやデザインの規制強化などをはじめとする条例改正に対する市会での全会一致の議決をいただき,平成19年9月から,新景観政策を実施しています。

 その中で,歴史都市・京都をかたちづくる重要な要素として位置づけている屋外広告物についても,美しい品格のある都市景観を形成するものとなるよう,平成19年の条例改正では,屋上屋外広告物の全面禁止をはじめ,地域の特性に応じて「大きさ」,「色」,「表示できる高さ」など,全国でも例を見ないきめ細やかな基準を設定し,規制を行うとともに,平成26年8月末までを経過措置期間として,モデル地域での集中的な指導やチェーン店への重点的な違反是正の指導に取り組んできました。

 しかしながら現在,市内全域の4万箇所余りの屋外広告物のうち,推定で約7割,約2万8千箇所が条例の基準に違反しています(※)。

 そこでこの度,7年間の経過措置期間が終了する平成26年8月までに,市内全域の違反状態の解消に向け,相談窓口の開設などによる制度の定着促進,市内全域を対象としたローラー作戦による是正のための指導の強化と支援策の充実など,屋外広告物対策の抜本的な取組の強化を行いますので,お知らせします。

※ 平成22年度実地調査結果

  • 屋外広告物の状況                 約 40,000箇所
  • 基準違反(条例上明らかに違反しているもの) 約 28,000箇所
  • 手続違反(基準に適合しているが未申請)   約  7,000箇所

*京都市では,市内全域を屋外広告物禁止地域又は屋外広告物規制区域に指定しており,屋外広告物規制区域内で屋外広告物を表示する場合は市長の許可を義務付けている。詳細は別紙参照。

 

 

1 屋外広告物制度の定着促進

 制度の目的・考え方,内容について,市民や事業者の皆様に理解いただき,すべての広告物について適正な手続きを行っていただくために,本年6月から8月にかけて集中的な周知・啓発の取組を実施します。併せて,事業者に対する相談体制も整備します。

取組内容

  • 制度の周知

  ⑴ 市民しんぶん区版(6月15日号)の特集による周知

  ⑵ 経済団体・業界団体等への周知(会議や会報誌での説明)

  ⑶ 屋外広告物を掲出する事業者へのポスティングによる周知 [新規]

  • 相談体制の整備

  ⑴ 「京都市屋外広告物相談窓口」の開設 [新規]

    ア 内容 屋外広告物制度の内容や基準の説明,申請方法の相談,既存看板の確認や是正方法の相談など

     ※    相談窓口では,申請の受付は行いません。

    イ 形態 電話による対応(電話番号:417-0015)

    ウ 開設日時 6月6日~10月31日の午前9時~午後5時
      (土,日,祝日及び8月13日~8月17日を除く)

    エ 受託者 京都府広告美術協同組合

  ⑵ 区役所・支所での相談会の開催 [新規]

    ア 内容 屋外広告物制度の内容や基準の説明,申請方法の相談,既存看板の確認や是正方法の相談など
      ※相談窓口では申請の受付は行いません。

    イ 形態 区役所,支所での相談ブースを設けた相談会

    ウ 開設日時 平日:午後6時~午後8時,休日:午前9時~午前12時

開催日時

場所

平日開催日

休日開催日

中京区役所

6月26日(火曜日)

6月30日(土曜日)

上京区役所

7月 3日(火曜日)

7月 8日(日曜日)

下京区役所

7月10日(火曜日)

7月15日(日曜日)

左京区役所

7月17日(火曜日)

7月22日(日曜日)

東山区役所

7月24日(火曜日)

7月29日(日曜日)

醍醐支所

7月31日(火曜日)

8月 5日(日曜日)

山科区役所

8月2日(木曜日)

8月 4日(土曜日)

西京区役所

8月21日(火曜日)

8月26日(日曜日)

伏見区役所

8月23日(木曜日)

8月25日(土曜日)

右京区役所

8月28日(火曜日)

9月 2日(日曜日)

深草支所

9月 4日(火曜日)

9月 9日(日曜日)

北区役所

9月11日(火曜日)

9月16日(日曜日)

南区役所

9月18日(火曜日)

9月23日(日曜日)

洛西支所

9月25日(火曜日)

9月30日(日曜日)

成果指標例

成果指標例

全事業者へのポスティングによる周知

約40,000箇所

2 是正のための指導の強化と支援策の充実

 新景観政策では,26年8月末までの7年間を経過措置期間としていることから,残り2年2箇月余りの間に,市内全域の違反状態「ゼロ」を目指し,市内全域でのローラー作戦など,是正指導を更に強化します。

 また,事業者を支援するため,既存の屋外広告物を条例の基準に適合させる除却,改修に必要な資金について,新たな低利の融資制度を創設します。

 なお,是正を行わない等の悪質なケースについては,法令に基づく警告や行政代執行などを含めた毅然とした対応を行います。

取組内容

  • 市内全域でのローラー作戦による是正指導 [新規]
     
    平成24年10月から,全面禁止している屋上屋外広告物や,人目につきやすい主要ターミナル・幹線や歴史遺産周辺から重点的に着手し,順次,市内全域で展開します。
  • 是正指導に従わない悪質な事業者に対する行政代執行の実施
  • 手続違反(基準に適合しているが未申請)の解消
  • チェーン店等に対する指導の継続実施
  • 屋外広告物の是正を促進する新たな低利融資の創設 [新規]

成果指標例

成果指標例

屋上屋外広告物(約2,000件)

解消

主要ターミナル・幹線沿いの違反屋外広告物(約7,500箇所)

解消

歴史遺産周辺の違法屋外広告物(約400箇所)

解消

3 京都にふさわしい広告物の普及促進

 より良い広告景観づくりのため,基準を満たすだけではなく,京都のまちにふさわしい優良な屋外広告物を一層普及促進するための取組を実施します。

取組内容

  • 優良広告物の顕彰制度の拡充 [充実]
    ※広告物のみで実施していた顕彰制度を,他の景観分野(建築物等)と連携した制度に改める。
  • 優良屋外広告物補助金交付事業の実施
  • 特例許可制度の運用基準の具体化による積極的活用 [新規]

成果指標例

成果指標例

優良屋外広告物に対する助成件数

10件(平成23年度3件)

4 市民・事業者との共汗による取組の推進

 京都にふさわしい景観について,市民ぐるみで議論を深めるため,広く情報を提供するなどあらゆる取組を実施します。

 また,全庁一丸となって効果的に取組を進めるための庁内組織を設置します。

取組内容

  • 市職員による主要ターミナル等の街頭でのチラシ配布 [新規]
  • 屋外広告物適正化強化月間の実施 [新規]
  • 市民や事業者で構成する議論の場の設置 [新規]
  • 「屋外広告物対策庁内連絡会議(仮称)」の設置 [新規]

<参考>これまでの本市の屋外広告物対策

  • 平成19年9月の新景観政策により,屋上屋外広告物の全面禁止,点滅式・可動式照明の全面禁止,道路への突出禁止(一部地域),高さ・面積・色彩の規制強化
  • 第一次モデル地域での指導(平成18年度から,四条,河原町,木屋町地区を中心に 1,622事業所を指導(是正率89.9%))
  • 第二次モデル地域での指導(平成22年度から,祇園地区,田の字地区(烏丸通,堀川通,河原町通,御池通,四条通及び五条通)を中心に3,967事業所を指導(是正率37.4%))
  • 飲食店,コンビニエンスストアなどのチェーン店への指導

屋外広告物に対する是正指導事例

(指導前)
屋外広告物に対する是正指導事例指導前
(指導後)
屋外広告物に対する是正指導事例指導後

記者会見資料【別紙】

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お問い合わせ先

京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

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