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門川市長記者会見(2012年4月25日)

ページ番号120749

2012年5月8日

関西電力株式会社への株主提案

 この度,原子力発電に依存しない持続可能なエネルギー社会の実現に向けまして,本年6月に開催される関西電力の株主総会において,株主として提案を行うことといたしましたので,御説明させていただきます。
 福島第一原発の深刻な事故を契機といたしまして,我が国のエネルギー政策や電力システムの見直しを力強く早急に進め,原子力発電に依存しない電力供給体制をできるだけ早期に構築する。このことが,現在,国民的な課題となっております。
 一方,政令指定都市は,エネルギーの大消費地であり,持続可能な再生可能エネルギーの普及に大きな役割と責任を果たさなければならない。そういうことで,昨年7月に,私が政令指定都市に呼び掛けまして,指定都市自然エネルギー協議会を立ち上げ,国に対しまして,再生可能エネルギーの固定価格買取制度のより効果的な実施等に関する政策提言を行ってきたところであります。
 さらに本市は,再生可能エネルギー買取法の施行を踏まえ,本年7月に,全国に先駆けまして,メガソーラー(大規模太陽光発電所)を京都市伏見区に民間の力を得まして市有地に設置するなど,可能な限りの努力を今日まで続けてきたところであります。
 大規模集中型電源の脆弱性が明らかとなった今,当面の代替エネルギーの確保とともに,再生可能エネルギーを中心とした自立分散型電源の飛躍的な普及拡大と,市民や事業者による徹底した節電,省エネルギーの取組が求められていると思います。
 そのために,電力事業者においても,経営の透明性を高めることはもとより,発電事業者の自由な参加を促すため,これまでの発送電システムを抜本的に改めるなど,経営改革や事業形態の改革に取り組む必要があると思います。
 なお,原子力発電に依存しない電力供給体制が構築されるまでの間において,原子力発電所の稼働を行う場合は,(1)稼働しなければ電力の需要を満たすことができないという必要性を明確に示したうえで,(2)原子力発電の安全性を徹底的に確保し,(3)地域住民の理解を得て行う必要があると考えております。
 以上の考え方に基づきまして,京都市は,関西電力株式会社の株式419万株,率にして0.47%を保有する株主として,本年6月に予定されている株主総会において,次の内容によりまして,提案を行うものであります。
 1点目は,「経営の透明性の確保」についてであります。
 電力事業者の公益性に鑑み,経営や事業に関する最大限の情報開示を行うことにより,国民の信頼と経営の透明性を確保することを提案いたします。
 2点目は,「取締役の報酬の開示」であります。
 1点目と同様に,経営の透明性を確保する観点から提案いたします。
 3点目は,「脱原発依存」であります。
 原子力発電に依存しない,持続可能で安心安全な電力供給体制を早期に構築すること,また,それまでの間において原子力発電所を稼働する場合は,原子力発電所の安全性を完全に確保し,地域住民の理解を得たうえで,必要最低限の範囲で行うことを提案いたします。
 4点目は,「代替電源の確保」についてであります。
 原子力発電の代替電源として,再生可能エネルギーの飛躍的な導入による自立分散型電源の活用など,多様なエネルギー源の導入による発電事業の積極的な推進を提案いたします。
 5点目は,「事業形態の改革」についてであります。
 多様な主体の自由・公正な競争により,電力供給力の向上と電力料金の安定性化を図るために,発電部門や送配電部門の分離に向けた事業形態の改革に取り組むことを提案いたします。
 6点目は,「電力需要の抑制」についてであります。
 電力需要の抑制のために,ピーク時に料金が割高になる需要応答料金制の導入やスマートメーターの設置など,節電や省エネルギーの推進を促す新たな事業に積極的に取り組むことを提案いたします。
 なお,本提案は,本年3月27日の京都市会決議を十分に踏まえつつ,多くの株主や市民,国民の賛同が得られることに留意し,大阪市及び神戸市との3市共同提案を目指してきたものであります。項目の1,2,6は,3市共同提案としてまとまりました。項目の3は,神戸市との共同提案になります。項目の4,5は大阪市との共同提案を行う方向で協議を進めております。
 項目の3につきまして,大阪市の提案につきましては,京都市が目指す,原子力発電に依存しない社会を可能な限り早期に構築するという方向と一致するものであります。ただし,先にも申し上げましたように,京都市といたしましては,より多くの株主や市民の皆さんの理解を得られるように,先の京都市会で議決されました決議を踏まえた表現で提案するものであります。そのことについて,神戸市の御理解も得られたということであります。
 このほか,大阪市が提案されております「再就職受入の制限」については,「天下り」は厳しく否定されるべきものでございますが,専門的な技術者など真に必要な人材がおられる場合は,それを採用すること,これは否定すべきでないと考えます。また,経営の透明性の確保につきましては,その趣旨は項目1の提案に盛り込まれており重なると思います。また,「取締役の定員を10名以内に変更すること」につきましても,取締役の人数は必要最小限とすべきものでありますが,10名以内とすることが妥当かどうかは,なお議論を要するということで,共同提案はいたしません。
 提案内容は以上でございます。大阪市,神戸市との共同提案も含め,最終調整を行いましたうえで,4月27日には,関西電力に提案書を提出いたしたいと思っております。
 また,この内容につきまして,京都市のホームページ等で公開し,広く,市民,国民の皆さんに,また,株主の皆さんにも理解を求めていきたいと考えております。
 私からは以上でございます。

質疑応答(要旨)

<報告案件に関する質疑>

(脱原発依存について)

記者

 今回の提案のうち,特に社会の注目度が高い3番目の提案(脱原発依存)が多くの株主や国民の理解が得られると判断した理由,大阪市の可及的速やかに全原発を廃止することは,理解が得られにくいと判断した理由は何か。

市長

 各種世論調査等においても8割の国民の方々が脱原発依存社会を支持しておられます。また,電力供給体制に大きな影響力がある国民の方々はもとより,産業界においても非常に理解が深まっていると思っております。株主総会において,世論の盛り上がりを活かし,これに依拠して,関西電力の経営方針を大転換させることが大事だと私は思いますので,多くの国民の共感や理解が得られる表現で提案します。このことについて,神戸市の合意もいただきました。
 同時に,私のマニフェストでも使ってきた表現でございますが,京都市民の意思を代表すると言ってもいい京都市会から,ほぼ同趣旨の決議を3月27日にいただきました。この表現との統一性も持たせました。繰り返し言いますと,各種の世論調査で8割を超える支持が得られ,産業界の方々の賛同もあるのではないか,さらに京都市会の決議の表現にも合致していることが,株主総会で大きな影響力があると思い,こういった表現にさせていただきました。基本的な方向性は,大阪市の提案と変わっていないと思いますが,表現として多くの国民や市民の理解を得られることが大事だと思っています。

(第46条(脱原発依存)に係る大阪市提案について)

記者

 大阪市の言っている可及的速やかに原発を廃止することは現実的ではないと考えているのか。

市長

 気持ちは一緒であります。ただ,多くの国民の理解が得られる表現にさせていただきました。もう1つは,大阪市の提案の中に,例えば会社を有限責任にするようにという項目がございます。重大な事故が起こっても,会社の経営に有限の責任があるとしています。これが今の日本の法体系のもとで可能かどうか議論が必要だと思います。どんな事故が起こっても会社の経営が持続できるような体制を作ると書いておられますが,そういう補償は日本ではまだありませんし,そういう法体系もないと思っております。大阪市の提案が何を守ろうとされているのか,株主を守ろうとしておられるのか,会社を守ろうとしておられるのか。福島の問題では,東電の責任が徹底的に無限に追求される,同時に国の責任が追及される,こういうことで今安心安全のためにと,あらゆる努力がされているわけです。会社の責任を有限とする提案は,なお議論を要するのではないかと思い,この項目については,独自提案をさせていただきたいということであります。

(大阪市・神戸市との協議について)

記者

 これまで大阪市や神戸市とどのように協議を進めてきたのか。また,今後のポイントは何か。

市長

 関西広域連合の会議で橋下市長にも会いましたし,神戸市長とはいろいろな場で意見交換をしてきました。そして議論を重ね,実務者段階での協議をしていきましょうということで,多くの項目で一致点が見出せたと思っています。同時に,方向性についても基本的には,ほとんどの項目で一致していると思います。ただ,先ほど申しましたように市会の決議や,多くの国民の理解が得られる表現,京都市として大切にしたいことがあります。この部分については,独自にないしは,ある部分では神戸市さんと一緒に提案し,発送電の分離については,神戸市さんは乗れないとおっしゃるので,大阪市と共同で提案するという結果になったわけです。各都市の主張,論理の積み重ねの経過がありますので,それはそれでいいのではないかと思います。なお,わずかですが時間がありますので,調整できるところがあれば調整していきたいと思っていますが,たくさんの議論を重ねて,ここまで至りました。

(第46条(脱原発依存)に係る大阪市提案について)

記者

 大阪市の「可及的速やかに」という表現は,国民や市民の広い理解が得られないという理解でよいか。

市長

 方向性は,神戸市,京都市共同提案と同じであります。しかし,先ほど申しました,有限責任の項目とかトータルとして,京都市が神戸市と共同提案させていただき,より市民の理解を得られる表現にしていこうということであります。

記者

 最終処分方法の確立などその他の項目について,大阪市と同じ意見なのか。

市長

 方向性については一緒ですが,なお議論が必要な部分もあると思います。例えば,使用済み核燃料を50年間冷却し,その後地下300m以下の堅固な入れ物の中に数万年保存というようなことが国際的に言われていますが,それらについて株主提案するまでにそれをしっかりと検証することはできませんので,当面の対応として,議論の余地があるので提案しないということであります。

記者

 大阪市の提案は,事実上すぐに再稼動を認めさせない内容になっていたと思うが,そこに京都市が乗れない理由は何か。

市長

 再稼動を認めさせないために書かれているという風に私は理解したくないですが,法的に可能なのか,例えば有限責任などは,なお国民的な議論が必要だと思います。例えば,発送電の分離については,発電部門あるいは送電部門を売却など,適切な方法において事業形態の革新を図るという例示であり,どういう発送電の分離が最も良いのか国民的な議論が必要だと思います。1つに決めた形にしているわけではなく,京都市,神戸市,大阪市の3市が2月に提案した内容に沿っているわけです。これについて,京都市は乗りますよ,神戸はちょっと待ってくださいとなったわけです。基本的な方向としては一緒ですが,現時点でどういう方法があるかということについて確認できないことは京都市は独自にやらせていただくということであります。

記者

 再稼動に対する大阪市の態度の違いが,表現の違いに表れているのか。

市長

 そうとは限りません。私たちは再稼動について,第1点は,電力需給状況,2点目に安全性の確認,3点目に地域の理解,この3点が絶対大事だと思っています。ただ,学問的にも,また法的にも可能性がしっかりと議論できていないことについては,同調はせず,独自で,また京都市会で議決された表現で提案させていただくということです。

記者

 大阪の「可及的速やかに」という言葉と京都市の「できるだけ早期に」というのは同趣旨なのか。また,再稼動については,生活や経済状況に著しい影響が出ないようにという趣旨なのか。

市長

 そうですね。京都市会で議決された表現,また私が今までから発言してきた言葉を踏襲してきております。そう違わないと思っていただいたらいいと思います。再稼動については,生活に影響があるから,安全性が確認されないにかかわらず,再稼動して構わないということではありません。あくまでも需給状況と安全の確認と住民理解,どれを優先するということではなく,この3つが絶対条件です。

(3市共同提案について)

記者

 3市で結果的に別れる項目が出てきたことをどう考えるか。

市長

 私はそれぞれの都市がコンセンサス作りのために尽力され,そして3市で協議し,多くの項目や方向性において一致できたと思っています。株主提案の表現が変わっても,これはやむを得ないのではないかと思います。株主提案の期限まであと2日あり,一致するための努力はしますが,なかなか難しいのではないかと思います。提案提出後,株主総会までは8週間ありますが,多くの提案について方向性が一致しましたし,3市合同提案の項目もあります。一致できなかった分については,京都市・神戸市案に,大阪市さんが賛成していただければありがたいなと思います。

記者

 一部で3市共同提案がまとまらなかったことにより,どのような影響があるとお考えか。

市長

 まとまった方が良いとは思いますけれども,株主総会において,ある部分は3市共同で,またある部分は独自に提案することにより,関西電力の経営方針の変更に大きな影響を与えるということについて大きな差はないと思います。

(株主提案が可決される見通しについて)

記者

 可決には3分の2以上の賛同が必要になるが,見通しはどうか。

市長

 率直に言いまして,国民的な世論の盛り上がりだと思います。先ほども少し申しましたけれども,産業界あるいは国民も含めて,再稼動を強く求めるという声よりも,安心・安全を確保してからだという声が大きく盛り上がっている。このことに,関西電力の経営者は耳を傾けるべきです。また,株主の方々に対しても,こうした世論の盛り上がりをもってこの提案を可決していただけるように努力して参りたいと思っています。何よりも国民的な世論だと思います。

(第46条(脱原発依存)に係る大阪市提案について)

記者

 矢田神戸市長は昨日の記者会見において,大阪市の提案に乗らない理由として,非常に性急で市民生活,地域経済を守るという観点からみると現実的ではないとおっしゃっていた。市長は矢田市長の認識とも少し違うのか。

市長

 矢田市長と以前に少し話しをしましたけれども,その際には京都市の提案に対して,少し慎重でおられましたが,議論をしまして,京都市の提案に乗っていただいた。御判断に敬意を表したいと思っています。
 多くの市民,国民の理解を得られる表現で株主提案される方が,かえって迫力があるのではないかという考えや方向性は,矢田市長も一緒だと思います。国民の8割が支持をしていることが一番の根拠になる。株主の利益は国民の利益と一致しなければならない。国民の声を代表して提案するようなものにしていきましょうということで,私も矢田市長も同じ考えであります。

(大阪市が検討している社外取締役について)

記者

 大阪市が検討している社外取締役に市の特別参与を送り込む議案についての市長の見解は。

市長

 大阪市が提案しようとされている方は,エネルギーの需給問題に非常に精通されている方で立派な方と聞いています。その提案にどのように対応するかについては検討したいと思っています。
 京都市から別の人を提案するという考えはありません。大阪市の提案された方について検討して,態度を決めたいと思っています。

(国の原発政策について)

記者

 政府は大飯原発の再稼動方針を示したが,そのことに対しての見解と政府に対するアクションは何かお考えか。

市長

 政令指定都市で構成する指定都市自然エネルギー協議会を立ち上げて,脱原発依存のための政策提言をしてきました。私自身が会長としてそうした取組をする中で,今回は関西電力への株主提案を27日に行います。
 そのことを政府に説明すると同時に,同趣旨の要望をこの機会に国に対しても行いたいと考えています。関西電力だけではなく,国のエネルギー政策が厳しく問われていると思います。

(提案書の提出について)

記者

 提案書は27日に市長が持参するのか。

市長

 私自身は日程的に行けませんので,代理の者に行かせたいと思っています。

(株主へ賛同を呼びかける手法について)

記者

 幅広い賛同を得るために,ホームページへの掲載以外に,何かお考えか。

市長

 様々な方法を考えたいと思います。神戸市や大阪市と相談していきたいと考えております。

(第46条(脱原発依存)に係る大阪市提案について)

記者

 大阪市が提案されている,46条について賛同できない理由は。

市長

 先ほど理由として例示しました有限責任制度について,京都市として,様々な方に見解を問いました。また,実務的に大阪市にも問うてきました。議論したうえで,最終的な文言として大阪市でまとめられたものと理解していますので,それ自体を批判する気はありません。
 なお,私どもとしまして,どういう影響があり,実現が可能なのかを議論する必要があるということが,このたびの46条に係る大阪市の提案に同調できない一つの理由です。

記者

 京都,神戸の共同提案の「原子力発電所の安全性の確保」と大阪市提案の「あらゆる事象についての万全の安全対策」は意味が違うのか。

市長

 あまり意味は変わらない。先ほどから申し上げているとおり,基本的な方向としては同じであります。ただ,有限責任や最終処分方法などの内容については,もう少し議論を深める必要があるので,今回の株主提案には含めていません。

記者

 大阪市提案の「可及的速やかに」という内容に賛同できないのは,即座に原発を廃止せよという考えが含まれているからか。

市長

 京都市会の決議の文言と同じにしたということだけです。京都市会の表現と合わせるのが,私の責務であると考え,優先しました。

記者

 46条の提案について,大阪市を説得するために,大阪市の橋下市長との間,あるいは事務方でどのような調整をされたのか。

市長

 実務的に議論を積み重ねてきましたけれども,大阪は,府市の有識者会議で議論を積み重ねてこられたので,それを踏襲していきたいという意志が強いように感じました。それはそれで大阪市の御意思だろうと思いましたので,可能な限り3市で歩調をそろえたいと思いましたが,こういう結果になりました。
 なお,再生可能エネルギーやスマートメーターの部分は大阪市が京都市の提案を全面的に採り入れてくれました。これらについて敬意を表したいと思います。

(第46条に係る他市への働きかけについて)

記者

 46条について,大阪市にも京都市の対案は示されたのか。

市長

 もちろん示しました。

記者

 京都市の提案に神戸市が乗ったのか。

市長

 神戸市は独自に案を持っておられたが,ほぼ京都市の提案について御理解をいただきました。

(京都市独自提案について)

記者

 共同提案以外で京都市独自に提出する議案はあるのか。

市長

 今のところございません。

(大阪市の提案に対する態度について)

記者

 大阪市単独の提案になった場合,京都市としては賛成するのか。

市長

 社外取締役など各項目について議論して決めていきたいと思います。しかし,46条については,大阪市と共同提案できないので棄権し,京都市独自の提案をすることになろうかと思います。

(大飯原発の再稼動について)

記者

 大飯原発の再稼動が大きな問題になっているが,京都市の現時点での意見を伺いたい。

市長

 関西電力はもとより,政府としてさらに国民の理解を得る努力をなすべきだと思っています。現時点での再稼動については理解できません。更なる努力を求めたいと思っています。

記者

 再稼動に理解できない具体的な理由としては,国民の理解ということだけか。

市長

 福島原発の教訓がきっちりと生かされていない,あるいは恒久的な取組がまだできない中で,暫定的な対応で,当面の安全性確保に万全を期すことができるのかが,現時点の説明では理解できないと思っています。さらに,根本的な電力の需給状況についても,更なる情報開示と説明責任を果たす必要があると思います。

<その他の質疑>

(亀岡市で発生した交通事故への対応について)

記者

 亀岡市内で起こった交通事故に関連して,京都市として何らかの対応を考えているのか。

市長

 すぐに情報交換や対策等を,各局・教育委員会で行いました。教育委員会においては,18日にすべての学校に対して,通学路の安全対策等について総点検を指示し,さらに23日の事故を受けて,24日に再度の総点検,注意喚起を行っています。京都市内の市道・府道は,京都市建設局が管理していますが,建設局に対して,教育委員会と連携して通学路の総点検を行うよう指示しており,すでに取りかかっているところであります。

記者

 具体的にはどういう点検か。

市長

 通学路をすべて確認し,地域のみなさんと一緒に安心安全の取組を進めてきているわけですが,歩車分離のできていない所,あるいは,過去に事故の起こった所の現状について,総点検を進めています。なお,学校ではすでに独自に点検を行っていただいています。

記者

 点検の結果を受けて,通学路の安全対策という面で,予算がかかってくると思われるが,どのようなスケジュールで整理をしていくのか。

市長

 緊急性を十分判断して,可能な限りスピード感をもってやっていきたいと思っています。同時に,安全対策ができていなかったから起こった事故なのかということもあります。したがって,ハード面の対策も大事ですが,ソフト面の対策をなお強化しないといけないと思います。これについては,京都府警や多くの市民の皆さんに活躍していただいている子どもの見守り隊などとの取組と連携を図りたいと思っています。

(祇園で発生した交通事故への対応について)

記者

 祇園の事故について,ガードレール等が無い場所だが,そういった場所は観光地でもたくさんあると思われる。京都市として,何らかの点検を考えているのか。

市長

 物理的にガードレールが設置可能な場所等については措置してきましたが,あの事故は,横断歩道を突破した訳ですから,ガードレールがあれば防ぐことができた事故なのかどうかということについても,あらゆる角度から専門家も含めた議論が必要だと思います。なお,精神的に打撃を受けた方がご近所にもたくさんおられまして,東山区役所が中心になってカウンセラー,医師等の相談会を開催するなど,取組をすでに進めております。

記者会見資料(平成24年4月25日)

関西電力株式会社への株主提案について

環境政策局地球温暖化対策室 電話222-4555

1 基本的な考え方

 福島第一原子力発電所の深刻な事故を契機として,我が国のエネルギー政策や電力システムの見直しを進め,原子力発電に依存しない電力供給体制をできるだけ早期に構築することが,国民的課題となっている。
 一方,政令指定都市は,エネルギーの大消費地であり,持続可能な再生可能エネルギーの普及に大きな役割と責任を果たすべく,昨年7月,本市の呼び掛けにより指定都市自然エネルギー協議会を設立し,国に対して,再生可能エネルギーの固定価格買取制度のより効果的な実施に関する政策提言を行った。さらに本市は,本年7月1日の再生可能エネルギー買取法の施行を踏まえ,全国に先駆けて大規模太陽光発電所を誘致するなど,持続可能な再生可能エネルギーの普及拡大に率先して取り組んできた。
 大規模集中型電源の脆弱性が明らかとなったいま,当面の代替エネルギー確保とともに,再生可能エネルギーを中心とした自立分散型電源の飛躍的な普及拡大と,市民や事業者の徹底的な節電や省エネルギーの取組による地産地消のエネルギー社会の構築が求められる。
 そのためには,電力事業者において経営の透明性を高めることはもとより,発電事業者の自由な参加を促すため,これまでの発送電システムを抜本的に改めるなど,経営改革や事業形態の革新に取り組むことが必要である。
 なお,原子力発電に依存しない電力供給体制が構築されるまでの間において,原子力発電所の稼働を行う場合は,(1)稼働しなければ電力の需要を満たすことができないという必要性を明確に示した上で,(2)原子力発電の安全性を徹底的に確保し,(3)地域住民の理解を得て行う必要がある。

2 提案内容

 以上の考え方に基づき,本市は,関西電力株式会社の株式419万株,率にして0.47%を保有する株主として,本年6月に予定されている株主総会において,別紙の内容により提案を行う。
 本提案は,関西電力から提出された回答書の内容や平成24年3月27日の京都市会決議を十分に踏まえつつ,多くの株主や市民の賛同が得られることに留意し,大阪市及び神戸市との共同提案をめざしてきたものであり,別紙項目の1,2,6は3市共同提案を,3は神戸市との共同提案を,4,5は大阪市との共同提案を行う方向で協議を進めている。

(別紙)

関西電力への株主提案の内容について

 関西電力株式会社の定款一部変更に関し,以下の議案を提案する。
関西電力への株主提案の内容について
 提案の内容提案理由等
1第1章 総則
(経営の透明性の確保)
第6条
 本会社は,可能な限り経営及び事業に関する情報開示をすることなどにより,需要家の信頼及び経営の透明性を確保する。
電力事業者の公益性に鑑み,経営や事業に関する最大限の情報開示を行うことにより,国民の信頼と経営の透明性を確保する必要がある。
(大阪市と同旨)
2第4章 取締役及び取締役会
(取締役の報酬の開示)
第25条
 取締役の報酬に関する情報は個別に開示する。
電力事業者の公益性に鑑み,経営や事業に関する最大限の情報開示を行うことにより,国民の信頼と経営の透明性を確保する必要がある。
(大阪市と同旨)
3第7章 脱原発依存と安全性の確保及び事業形態の革新(新設)
(脱原発依存)
第46条
 本会社は,原子力発電に依存しない,持続可能で安心安全な電力供給体制を可能な限り早期に構築する。
2 前項の規定による電力供給体制が構築されるまでの間において,原子力発電所を稼働する場合は,既設の火力発電所等の活用による必要な供給力の確保と電力需要の低減に努めるとともに,原子力発電所の安全性の確保と地域の住民の理解を得た上で,必要最低限の範囲で行うものとする。
平成23年3月11日に発生した東京電力福島第一原子力発電所の深刻な事故を踏まえれば,ひとたび原子力発電所で大事故が発生すれば,市民生活や経済活動への影響は過酷なものとなることは明らかであり,原子力発電に依存しない,持続可能で安心安全な電力供給体制を可能な限り早期に構築していく必要がある。第1項の規定による電力供給体制が構築されるまでの間において,原子力発電所を稼働する場合は,既設の火力発電所等の活用による必要な供給力の確保と電力需要の低減に努めるとともに,原子力発電所の安全性の確保と,地域の住民の理解を得た上で,必要最低限の範囲で行う必要がある。
4(代替電源の確保)
第47条
 本会社は,原子力発電の代替電源として,再生可能エネルギーなどの飛躍的な導入による自立分散型電源の活用や天然ガス火力発電所の新増設など,多様なエネルギー源の導入により,新たな発電事業を積極的に推進することにより,低廉で安定した電力供給の役割を担う。
原子力発電の代替電源として,再生可能エネルギーの飛躍的な導入による自立分散型電源の活用などを積極的に推進する必要がある。
(大阪市と同旨)
5(事業形態の革新)
第48条
 本会社は,電気事業を営むにあたって,多様な主体の自由・公正な競争により,原子力に代わる多様なエネルギー源の導入を促進し,供給力の向上と電力料金の安定化を図るため,必要な法制度の整備を国に要請し,可及的速やかに発電部門もしくは送配電部門の売却等適切な措置を講ずる。
多様な主体の自由・公正な競争による電力供給力の向上と電力料金の安定化を図るため,発電部門や送配電部門の分離を進めるため,事業形態の革新に取り組む必要がある。
(大阪市と同旨)
6(電力需要の抑制と新たなサービスの展開)
第49条
 本会社は,経営体質の強化を図るため,スマートメーターの活用やデマンドレスポンスの実施などを通じて電力需要の抑制に努めるとともに,節電・省エネルギーの推進を契機とした新たなサービス事業を積極的に展開する。
電力需要の抑制のため,需要応答料金制の導入やスマートメーターの設置など,節電や省エネルギーの推進を契機とした新たなサービス事業を積極的に展開する必要がある。
(大阪市と同旨)

<参考>その他の大阪市の提案

その他の大阪市の提案
提案の内容共同提案しない理由
第1章 総則
(再就職受入の制限)
第7条
 取締役及び従業員等について,国等からの再就職の受け入れはこれを行わない。
・「天下り」は否定されるべきものであるが,専門的技術者など真に必要な人材は否定すべきでない。
・経営の透明性確保の趣旨は,第6条の提案に盛り込まれている。
第4章 取締役及び取締役会
(取締役の定員)
第22条
 本会社の取締役は10名以内とする。
・取締役の人数は必要最小限とすべきであるが,10名以内とすることが妥当かどうかは,なお議論を要する。
第7章 脱原発と安全性の確保及び事業形態の革新(新設)
(脱原発と安全性の確保)
第46条
 本会社は,次の各号の要件を満たさない限り,原子力発電所を稼働しない。
(1)論理的に想定されるあらゆる事象についての万全の安全対策
(2)原子力発電所の事故発生時における賠償責任が本会社の負担能力を超えない制度の創設
(3)使用済み核燃料の最終処分方法の確立
2  本会社は,脱原発社会の構築に貢献するため,可及的速やかに全ての原子力発電所を廃止する。
3 前項の規定により原子力発電所が廃止されるまでの間においては,他の電力会社からの電力融通や発電事業者からの電力調達により供給力の確保に努めるとともに,電力需要を厳密に予測し,真に需要が供給を上回ることが確実となる場合においてのみ,必要最低限の能力,期間について原子力発電所の安定的稼働を検討する。
・大阪市の「脱原発」に関する提案については,本市が目指す,原子力発電に依存しない社会を可能な限り早期に構築するという方向と一致している。
・ただし,本市としては,より多くの株主や国民の理解が得られるよう,先の京都市会で議決された決議を踏まえた表現で提案することとした。

お問い合わせ先

京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

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