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共同記者会見(2011年10月31日)

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2023年4月12日

京都産業育成コンソーシアム共同記者会見

山田知事

 今,事務局から報告がありましたように,今年,この京都産業育成コンソーシアムを設立して,できる限り,京都府,京都市,そして商工会議所,さらには工業会,皆力を合わせていこうと思っています。それぞれの機関を持っておりますので,調整して,オール京都として力が出せるようにするため,この産業育成コンソーシアムが設立されました。
 既に情報サイト等ができまして,今,確実に役割を果たしていると思いますが,来年度に向けて,さらに力を合わせて事業を増やしていきたいということで,今回,いくつかの合意ができたわけであります。
 認証・評価制度は,今,比較整理をしている段階でありますので,これから,どういうところがダブっていて,どういうことで共同化をするかということなど,検討していかなければならない点は多々ありますが,こうした方針をしっかりと出して,みんなで研究していこうと思っています。
 それから,京都ブランド,メード・イン・京都ということは,名前をどうするのかは,これから事務局で詰めますが,まさに「京都もの」ということを明確に打ち出して,地域間競争の時代に打ち勝つため,この4者で統一した形でのブランド化を図るということは大変強力な,「京都もの」の戦術,戦略ができるのではないかと期待しております。
 また,グリーンイノベーションにつきましても,これからの時代において,やはり新しい持続可能型再生エネルギーというものが重要になります。それをいかにして都市において取り組むかということが本当に大きな課題になっておりますが,それについては今,もちろん京都大学や,京都市もやっておりますし,学研のスマートグリッドもやっています。岡崎地区の方もいろいろとされているという話もありますので,こうした成果をうまく持ち寄った形にして,より連携を深めた形でグリーンイノベーションを展開し,さらに事前に予算をお互いに見せ合って,重複やさらに連携を深めるためのものをつくり上げ,効果的にやっていこうということであります。
 これからも,この育成コンソーシアムを中心に,まさにオール京都での中小企業支援を含めたものができることは,やはり京都ならではの取組ではないかなと思いますので,今日はいい決定ができたと感じております。

門川市長

 山田知事と同感ですので,重複するコメントは避けますが,縦割り行政,二重行政を徹底的に排除して,府市更には京都商工会議所,京都工業会と政策を融合していく。常に融合と共汗,共に汗をかく,そうした取組を力強く進めていきたいと思います。こういうオール京都体制を組めるのが京都の強みだと思っています。
 中小企業の支援策の推進に当たっては,顧客である中小企業の視点に徹底的に立ち,重複施策をなくして,より効率的,効果的な産業政策の推進,そして,わかりやすく,利用しやすい,政策を再構築していきたいと思っています。
 知恵産業の推進については,京都商工会議所で行われている施策と本市の産業施策とは合致しており,本市においても,昨年,開所した京都市産業技術研究所に,「知恵産業融合センター」を創設し,さらに,京都産学公共同研究拠点「知恵の輪」をつくるなどの取組により,着実な成果を上げつつあります。引き続き,府,市,京都商工会議所,京都工業会とも知恵を出し合いながら,より一体化したものとなるよう進めていきたいと思っています。
 グリーンイノベーションについては,3点ございます。
 一つは,京都環境ナノクラスター,これもオール京都で進めており,非常に大きな成果を上げています。本事業関連の売り上げ等も予定の1.3倍ということで,国の評価もAランク評価を受けています。本事業は,来年度で終わりますので,これをどのように発展させていくかということにつきましても,京都産業育成コンソーシアムの役割が大きいと思います。
 二つ目は,このたび採択されました,らくなん進都における経済産業省の「技術の橋渡し拠点」,これもグリーンイノベーションに大きな役割を果たします。
 また,国が創設される環境未来都市構想に9月に応募しましたが,これもグリーンイノベーションに貢献するものです。先ほど山田知事から話がありましたように,京都市も岡崎地区において,経済産業省の「スマートコミュニティ構想普及事業」の採択を受け,スマートコミュニティ構築に向けた調査に取り組むこととしており,こうした取組や知恵を持ち寄って,一体感を持ってやっていくということが非常に大事だと思います。
 最後になりますが,顧客重視の視点を持った中小企業支援については,京都商工会議所が中小企業支援の様々な取組を進めておられます。特に,経営支援は,京都市も実施しており,これまでから一定の重複事業がございました。こうしたことは,京都商工会議所からも御要望いただいており,抜本的に再構築し,再強化を図ることも進めてまいりたいと思っています。今,京都商工会議所と京都市,京都府,京都工業会とも連携し,一体的な取組にしていくことが,中小企業の視点に立って一番大事だと思っています。なかなか厳しい社会情勢の中で,そういった視点を大事にして,政策を進めていきたいと思っています。

立石会頭

 私からは,特に産業育成にかかわる関係者が,この時代の転換期,あるいは社会構造の変化を的確に認識した上で,これから進むべき京都産業のあり方についての意識やビジョンを共有化して,とりあえず地域としてのしっかりした連携体制と長期的な視点で,京都の持てる力を結集していく,コンソーシアムの役割は大変意義深いと思っております。
 今回,緊急の円高対策が追加されましたが,確認した「今後の重点方針」においては,私としては,知恵産業による京都の企業育成を図っていくことを最重点の取組として認識を一つにできたことは大変心強いと思っております。
 既にこのコンソーシアムにおきましては,知恵産業推進共同プロジェクトを取組の一つに掲げて,成長志向の中小企業を応援する施策について,体系的な整備を今進めてもらっております。
 もう一つ,グリーンイノベーションにつきましては,その先進都市を目指して,チャレンジしていくことは必要不可欠なテーマだと考えておりまして,京都では,それにこたえられる環境志向型の企業が,大企業から中小企業に至るまで大変裾野広く集積している強みがございます。ぜひその強みを活かして,この京都から全国に発信できる先導的なプロジェクトの育成を,産業育成コンソーシアムのもとに展開することができれば非常にありがたいと思っております。今回,具体的なプロジェクトの選定と予算の共同,あるいは調整を来年度から実行していただくという府,市のお話がございましたので,大変楽しみにいたしております。
 なお,一つ加えますと,京都ブランドの発信でございますが,今,日本商工会議所としても,中小企業の国際化を元年として,今年,掲げております。京商としても,それを受けて,この中小企業の国際化,特に中国を含むアジアへの生産,あるいは販路開拓等に,進出する企業の,中小企業を後押ししていきたいということになるわけですが,中小企業はどうしても,企業の現地での認知度に弱さがございます。そこは,京都ブランドをつけていただくことが,支援戦略の非常に大きなテーマになるのではないかと思いますので,そういう意味では,ぜひこのロゴを作成して,世界に発信することを,今回,合意できたことは良かったと思います。

服部会長

 今日,2回目の産業育成コンソーシアムの会をやっておりますが,ここに再々言っておりますように,大変力強い,将来性ある中身で合意できたことを非常に喜んでおります。
 知事から言われなかったので,ちょっと私から申し上げますが,この6カ月で一番実績を上げたのが,この中小企業の人材育成メニューというホームページです。事務局の話によりますと,延べ3,000名のアクセスがあったということで,一体化した人材育成プログラムを皆様に見ていただけたのかなと思います。
 私は,重複することがあるので,グリーンイノベーションと中小企業支援だけ,少しお話ししますが,グリーンイノベーションにつきましては,環境という問題,エネルギーの問題を含めて重要性が非常に大きいわけですが,一方,京都には,これに関与した研究,大学の先生方もたくさんおられます。これを何とか,府,市結集してやれる場が欲しいというのが願いでございます。私が代表をしております京都産業エコ推進機構,御承知のようにけいはんなにエコハウスをつくりまして,来年度はもっと実用試験もやろうかと考えておりまして,研究会も立ち上げることになっております。そういうものを,京都府知事もお話しになりましたように,京都市にも同じようなものを,または,それの延長線のものをつくって,お互いに情報交換して,最後には連携ができることになれば大変うれしく思います。
 また,この中小企業支援策は非常に重要であります。いろいろな視点がございますが,一つはやはり産学連携,これもたくさんやらせてもらっているのですが,少し中小企業に焦点を合わせたような連携ができればいいかなと思いますし,御承知のように,京都は中小企業のものづくりネットワークが大変たくさんできているわけです。そういうものも府,市,あるいは商工会議所の協力を得て,一層強いものにする。それが,実際の産業育成コンソーシアムの非常に重要な役割かなと思っております。これからもよろしくお願いしたいと思います。

質疑応答(要旨)

記者

 緊急円高対策が1番目に入っていますが,円高の昨今の状況と,政府の対策への評価,もしくは今後に対することを,山田知事と立石会頭にお聞きします。

山田知事

 今日,ようやく介入があって,79円まで戻ったという話を聞きましたが,京都だけではなくて,全国知事会でも,円高対策の特別のPTを作って要請をしていました。しかしながら,一向に円高が改まらない状況で,大変厳しい状況が続き,各企業もかつてない非常に難しい状況にあります。ようやく重い腰が上がったのかなという感じがしておりまして,私どもは8月に,そういうPTを作って申し入れて,10月末かという感じはあります。しかしながら,ようやく本格的な対策に向けて足取りが出たということは歓迎をしたいと思います。
 ただ,私どもがやっている京都産業育成コンソーシアムを通じて,やはり競争力の強い中小企業をしっかりと作り上げていかないと,産業拠点の流出を招き,ひいては国内の疲弊を招くと,引き続き危惧を持っておりますし,79円で適当だとはとても思えません。引き続き,ユーロ安もありますので,こちらの方もいろいろあるとは思いますけど,ぜひとも国内産業が生き残れるような,そういう的確な円高対策をとっていただきたいと思います。

立石会頭

 私のほうからは,今の円高水準では,たびたび言われておりますように,外需依存度の高い日本の製造業にとっては,耐えがたい,いわゆる耐え得る限界を超えているという捉え方をしておりまして,今回,そういった意味では,政府・日銀が為替介入を実施したということは評価できると思っております。
 ただ,今回の円高は,御承知のとおり,米国の量的な緩和第3弾というQE3の実施,あるいは,イタリア国債入札の不調による欧州不安の再燃などのリスク回避のための円買いによるものでありまして,今回の単独介入による抑止効果というのには限界がどうしてもあると考えております。
 しかし,手をこまねいていては,今,6重苦に苦しんでいる日本経済が破綻しかねないという危機感を持っております。それにタイの洪水被害,あるいは,この冬の電力供給不安など,外部環境が極めて不透明な中で,少なくとも今後の円高に対しては,政府・日銀が断固防止するという意思表示を世界に向けてやっていただく,明確に発信していただきたいと思います。場合によっては,さらなる為替介入,金融緩和も辞さない覚悟で対応していただくということが,非常に強く求めたい内容でございます。

記者

 まず,2番目の評価・認証制度の共同化について,京都府,京都市でそれぞれ認証制度,例えばベンチャー認定をそれぞれの立場でしていると思うが,そういったものがオール京都で一本的にお墨つきを得られ,中小企業のモチベーションが上がるような認定制度を設けられるという意味なのか,両行政のトップに聞きたい。もう1点は,先ほど,円高対策でものづくりの京都から,他の国に,アジアの国に行く懸念もある中だが,主に工業会の立場からもあわせて円高対策,必要性を服部会長からお聞かせいただきたい。

山田知事

 基本的にはそのとおりですが,それぞれの制度の違いもありますので,今,比較整理をしておりまして,その中でまとめられるものはまとめていくことを,今日,合意したわけであります。ですから,明日から一本になるというわけではないのですが,その方向で,この育成コンソーシアムの事務局には京都府も京都市も入っておりますから,そこで検討を始めるということであります。

記者

 来年度中にはできるということでよいか。

山田知事

 全部が一本ということはありませんができるだけ共同化していくのを,来年度にも,いくつかできればいいなと思っています。

門川市長

 京都市では意欲ある経営革新に取り組む中小企業に「オスカー認定」,また,次代の京都を担うベンチャー企業には「Aランク認定」として支援してまいりました。京都府とは,これまでから一定のすみ分けはしていたわけですが,これらについて,もう少し中小企業の方々にとって分かりやすく,制度の融合など,さらに磨き上げていくということも含めて,このコンソーシアムで,あるべき姿をしっかりと議論し,京都の制度としてふさわしい内容にしていきたいと思います。
 それから,円高の問題は,ものづくりだけではなく,観光に大きな影響をこれから与えていくと考えております。日本全体ではアジアからの観光客が7割ですが,京都市に泊まられる観光客は,7割が欧米です。ようやく東日本大震災,福島原発から立ち直って,これからというときに,ユーロ安・円高というのは非常に大きいダメージを与えますので,これについてもしっかりと国に要望していきたいと思っています。

服部会長

 ものづくりの工業会としての円高対策,まず,為替の介入につきましては,非常に評価しているんですが,もう少し時間を見ないと,本当に有効かどうかわからないと考えています。ということは,今後も引き続き円高であろうということで,会社はいろいろ対応する必要があろうかと思います。
 我々,360円から始まりまして,240円,210円,120円とやってまいりました。その時々で,ものづくりのみならず,いろいろな企業が努力をしてやってまいりました。もちろん円安になることを願うわけですが,もしもならないということも仮定して,ものづくり産業は考えなければならないと思います。
 大手の企業は,やはり需要が海外にありますから,ある程度出ていくのを止めることはできないと思います。ただ,大手企業の場合は,かなりのものを残しながら海外進出できる。
 問題は,やはり中小企業で,なかなか海外には出ていけない。いつも言っているのですが,中小企業に出ていけと言ってもなかなか難しいので,出ていくのなら効率のいい方法,または,出ていかないなら,もっとコストダウンして,安く売る努力をうまくしなさいと,それが大変重要な生き残り作戦であると思います。
 要は,円安になるだろうと思う安易な気持ちは捨てて,円高にどう対応するかを各自が考える必要があるというのが基本スタンスです。そのために中国に出ていったり,実際,中国の日系企業に行って,状況を探ってくるとかいうことを,今,やらせてもらっているわけです。

記者

 京都ブランドの発信について,両経済団体のトップにお伺いしたいが,例えば,大手の企業が利用すれば,知名度が上がりやすいと思うが,どう考えているのか。
 知事,市長にお伺いしたい。予算の共同調整は,この段階で決めるのは行政の手順として非常に早いと思うが,どう考えているのか。また,予算について,全く同じようなプロジェクトを,例えば7対3とかで分けるなども視野に入れているのか。また,それに対しての最終的なコストダウン効果をどう見ているのか。

立石会頭

 京都ブランドの御質問でございますが,大手企業は,どちらかというと,みずから企業ブランド,これを高める努力を従来からやっておりますので,それが世界,グローバルに浸透してきているという意味では,この京都ブランドを使うかどうかというのは,ケース・バイ・ケースだと思います。むしろ,これは日本で新しい試みだと思うのですが,その地域のブランド名をつける,これは京都だからできることかもわかりませんが,中小企業の現地の知名度,認知度の低さ,弱さを,それによって支援し,企業の信頼に結びつけてあげるということが商機拡大につながるということで,私は非常に全国で珍しいケースではないかと思っております。

服部会長

 現下で世界のブランドというと任天堂ぐらいで,恐らくほかの企業も,そんなに多く世界中でブランドとして確立できていると思いません。ですから,当然,中小企業はそうですが,大企業も同じようなことで,協力しながらやっていきたいと思います。
 くしくも10月に日伊,それから日豪の経済界の会合が2回ありました。改めて,彼らが余り京都を知らないということを本当に思いました。結構大手の会社の社長さんばかりなのですが,改めて我々がお話しして,京都の良さを知ってもらったというのがあるので,まだまだ知られていないということでありますので,今回の取組は非常に有効かなと思います。

山田知事

 予算についてですが,研究開発については,研究開発の中身を見ていきますと,これは共同でやった方がいいのではないかというものが出てくると思いますので,そこは調整ができると思っております。
 それから,スマートグリッドの研究などについて,それぞれ学研と岡崎地区でやっているわけですから,これの連携関係について予算を組めば,両方の成果を活かすことによって,よりコストダウンができるのではないかなと感じております。
 あと,エネルギーの地産地消などにつきましては,これは全体的な施策をやはり統一しないと,ばらばらになってしまうので,そこの調整を図っていきたいと考えております。各分野においても,具体策はまだこれからですが,この京都産業育成コンソーシアムに持ち寄って,そこで調整,共同化についての検討を進めていきたいと考えています。

門川市長

 観光振興事業等につきましては,府市,そして観光協会等を含めて予算の調整,共同化ということをやってきました。したがって,このグリーンイノベーションにつきましても,一つ一つの事業について性格が異なり,一律的にはいかないですが,今,山田知事の話にもありましたように,岡崎地区,けいはんなにおいて,二重投資にならないように調整していくことも含めて,丁寧に積み上げていきたいと思います。

記者

 ロゴはいつ作成するのか。製品につけるようなことまで想定しているのか。

山田知事

 これから予算について打合せをしなければなりませんので,実際に取り組むのは24年度になるかもしれません。大企業についても,今,会頭や会長からもかなり前向きな発言がありましたが,やはり無名の中小企業の支援というところが一番大きいと思いますので,製品にも貼れれば,売り込みのときに良いのではないかと思っておりますが,そうしたことも含めて,24年度に行っていくことになると思っています。

共同記者会見資料(平成23年10月31日)

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