門川市長記者会見(2011年9月21日)
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2023年4月12日
「京都市観光案内標識アップグレード指針」の策定・整備について
この度,「歩いて楽しいまち・京都」の実現に向けまして,観光客や市民の皆様に「わかりやすい」そして「京都の町並みに調和した」観光案内標識(サイン)の整備につきまして,その考え方を示した「京都市観光案内標識アップグレード指針」を策定し,これに基づきまして整備を進めていくことにしましたので報告させていただきます。
京都市では,昨年3月に新たな観光振興計画「未来・京都観光振興計画2010+5」を策定し,世界が共感する観光都市,「5000万人観光都市」から「5000万人感動都市」の実現を目指しまして,旅の本質を追求する7つのプロジェクトを力強く推進しております。
中でも,京都のよさを歩いてじっくりと堪能していただく「歩いてこそ京都」プロジェクトでは,昨年度に学識者や交通事業者等からなる「観光案内標識アップグレード検討委員会」を設置し,車の案内に比べまして十分でなかった歩く人の視点を重視した,観光案内標識の在り方を抜本的に見直すため,「わかりやすい」,「京都の町並みに調和した」観光案内標識を検討し,議論を進めて参りました。
指針の概要について説明致します。指針の目的は,「歩く観光」を推進するため,観光客や市民の皆様を対象に,「歩くこと」,そして「公共交通利用」の促進を目指すものであります。指針すべてに共通するキーワードは「シンプルで,わかりやすい」ということであります。
指針は,サインを設置するための「ガイドライン」,その運用において検証や活用の仕組みを示した「マネジメントシステム」,整備実施計画である「推進事業計画」の3つからなります。
まず,デザインの特徴について説明致します。
デザインについては昨年10月~11月まで公募を行い,42作品の中から優秀賞に選ばれた作品を基に製作致しました。
デザインのコンセプトは,「京都の景観に調和するシンプルで洗練されたデザイン」であり,京都を直接イメージさせるデザインではなく,景観を引き立て,調和するものを選びました。
サインに記載する情報については,「情報が多すぎてわかりづらい」との声を受け,日本語,英語の2箇国語表記を原則とし,誰が見てもすぐ内容が分かるように,対象を文字以外に図記号で表記したピクトグラムも使用致しました。できるだけ情報を絞り込み,利用者に分かりやすいものと致しました。
また,すべてのサインに,北,南など方位を示すマークを表示するとともに,現在地から目的地までの所要時間の表記を取り入れました。
サインの種類は,4種類に分類されます。1つ目は,看板型の周辺案内地図である「案内サイン」,2つ目は,観光名所や最寄りの駅などの方向と時間を矢印(⇒)で示す「誘導サイン」,3つ目は,京都の特徴である碁盤の目状の中心市街地において方位や目的地がつかみやすい「通り名サイン」,そして,4つ目が,通り名のサインと観光名所とを併せて示す「通り名」,「誘導」の複合サインであります。
マネジメントシステムにおいては,指針の42,43ページに示しているように,指針の運用に当たりましては,他の分野・技術との融合を図るために,静止画や映像などを表示できる電子情報板や公衆無線LANなどICT(情報通信技術)の導入や,通り名の紹介,さらに,現在地の表示に,無電柱化に伴いまして設置された変電機の地上機を活用するなどの具体例を盛り込んでおります。
今後,サインの整備に当たりましては「観光案内標識アップグレード推進事業計画」に基づきまして,地下鉄などの公共交通機関の利用の促進や地域の特性を配慮しつつ,観光客の多いエリアを優先して整備を進めていきたい。そのように思っています。
今年度は,まず2つのモデル地域,一つは「中心市街地(三条通・高倉通・四条通烏丸)」と,もう一つは「周辺観光地(南禅寺・永観堂エリア)」で課題の抽出を行いつつ設置を進めて参ります。さらに,京都の新たな観光資源となる水族館が立地する梅小路公園を含む「京都駅周辺エリア」と観光客が多い「東山」での整備も予定致しております。
今年度の予算は6,200万円で,概ね140箇所の整備を計画しております。今後5年間でエリアごとに整備を進めていきたいと思っています。
「歩くこと」は,環境にやさしい移動手段であり,歴史と伝統,文化,芸術を五感で堪能できる最も贅沢な観光スタイルであると思います。「歩く観光」の充実のために,今後,民間事業者等がサインを設置される際につきましても協力を求めつつ,京都から全国のモデルとなるような観光案内標識の在り方を求めていきたい,そして発信していきたい。そのように思っています。
質疑応答(要旨)
<報告案件に関する質疑>
(民間事業者等への要請について)
記者 民間事業者が設置するサインについて協力を求めるというのは,デザイン基準についてなのか。
市長 民間事業者が公の道路に設置される場合は,京都市の許可が必要ですので,このガイドラインに従って設置をお願いしていきます。同時に,民有地で設置される場合についても,デザインを統一し,京都の町並みや景観を維持,向上させていくために,このデザインを活用していただけるよう要請していきたいという趣旨です。
(新しい標識の感想について)
記者 今回のアップグレードされた観光案内標識を見ての市長の感想は。
市長 京都のまちは,比較的案内標識が多い方だと思っていましたが,非常に分かりにくいという指摘もあり,デザインもバラバラでした。時間をかけて,また市民意見も募集して作りましたが,非常にすっきりした,分かりやすいものになったと喜んでおりますし,民間事業者の協力も得て,可能な限り早期に充実を図っていきたいと思っています。
(整備計画について)
記者 今回のアップグレードは,既存のサインを取り替えていくということなのか。
市長 必ずしもそうではありません。たとえば,南禅寺,永観堂エリアなど岡崎地域は比較的案内板が多いですが,比較的案内標識が少ない岡崎地域の東の方を先に実施して,いずれ今あるものも差し替えていきたいと思っています。
記者 今回の指針に合致しないものは撤去するのか。
市長 新しいサインを充実させることを優先させつつ,同時に古いものは撤去していきたいと思っています。
記者 5年間でいくつ設置するのか。
市長 支柱から建てるサインは,コストが掛かりますが,電柱や壁などに付けるものは安いので,700~800箇所程度ということになります。さらに,ロータリー,ライオンズ,ソロプチミストなど,公の性格のあるスポンサーの協力を得て,設置していきたいと思っています。
記者 いつから取替えを行うのか。
市長 12月から「中心市街地」と「南禅寺・永観堂エリア」の2つのエリアで設置したうえで,課題や改革できるもの,中身の表示の仕方,価格等について検証し,来年度に生かしてまいりたいと思っています。可能な限り早く設置していきたいと思っています。
(京都特有の地名表記について)
記者 カーナビゲーションシステムでは京都の通り名は出ないという問題があるが,今回の指針でそういった問題への配慮ができるのか。
市長 私は通り名を示して,「上る」,「下る」,「西入」,「東入」,そして町名を書く,これは非常に分かりやすい,京都の伝統であり,京都ならではのものであると思います。カーナビゲーションシステムで出にくいということもありますが,特に観光案内の場合は,通り名を示して場所を確定させるということは非常に合理的だと思います。
(2箇国語表記について)
記者 言語表示をあえて日本語と英語に絞った理由は。
市長 京都市においてもこれまで4箇国語で表記してきましたが,昨年の12月に市民の方や外国人にヒアリング調査をしたところ,情報が多すぎて分かりにくい,日本語と英語の2箇国語が良い,という意見が9割になりました。したがって,2箇国語表記とさせていただきました。
記者 公共の施設においても2箇国語表記を行うのか。
市長 あくまでも原則です。中国人の方が非常にたくさん来られる施設等については,中国語で表記するなど,施設,目的に合わせた柔軟な対応をしていく必要があると思いますが,統一的な指針としては,2箇国語表記を原則としたいと思っています。外国の方も通り名,場所,方向までは日本語と英語で分かる時代になってきています。インターネット等の普及によって,英語が国際語になってきたということも言えるのかもしれません。
(民間事業者等への補助について)
記者 民間が設置する場合の補助は考えていないのか。
市長 補助については,考えておりませんが,民間事業者の広告付き案内標識を考えております。
今回改めて実感しましたが,通り名の表記や仁丹の表記以外はほとんどが自動車のための標識です。御池通でも自動車で通っているときは,通り名,行き先が非常に分かりやすいが,歩いているとそういう表記がなかなか見つけられないのが現実です。京都も含めて日本全体が,自動車中心になっており,歩くという視点,歩行者の視点に立った案内標識がいかに不足していたかということを実感しました。歩くまち京都,公共交通優先の京都を今回の指針をもってしっかりと進めていきたいと思っています。
記者 民間事業者に協力を求めていくのは今日からか。
市長 そうです。
記者 5年間の予算額はどの程度を見込んでいるのか。
市長 今年がモデル地域での実施も含めて6,200万円,あとの4年間でそれぞれ5,000万円,約2億6,000万円でやっていきます。<その他の質疑>
(四条通の歩道拡幅について)
記者 昨日(9月20日),四条通の歩道拡幅についての説明会があり,具体案が見えない中で説明会をされても困るという話があった。今後地元にはどう説明していくのか。
市長 これまでから地元の皆様には丁寧に説明してきましたし,今後も引き続き丁寧に説明を続けていきたいと思います。新たな取組ですので御心配になる部分もあるかとは思いますが,一人ひとりにきっちりと御理解いただけるように取組を進めていきたいと思います。
現在,3月11日の京都マラソン当日の徹底したマイカー自粛を呼びかけていますが,これについても,歩くまち・京都,公共交通優先のまち・京都の実現に向けてのひとつの大きな社会実験になると考えており,全力を尽したいと思います。
記者 公共交通優先の道路にする一方で,一般車を締め出すことはないということだが,どのように整合性をとっていくのか。
市長 一方的に規制するのではなく,マイカーが自覚的に四条通に入ってこないように啓発を徹底的に努力していくということだと思います
記者 これまでから,啓発を努力するという方法では問題が解決していない。啓発だけで事足りるのかというのが市民の率直な感想だと思うがいかがか。
市長 やってみたいと思います。
例えば,近年若い人達のクルマ離れが加速しているということもあります。また,観光で京都を訪れた方のうち,感動したという方が日本人で7割,外国人は8割に達する一方,一番の苦情は渋滞であります。長期的な話としては,日本でまだ成功事例のないロードプライシングということも検討していかなければならないと思っています。
規制から入るのではなく,まずは歩くまちの取組を進めていきたい。その取組の延長に四条通の歩道拡幅を位置付けていきたいと思います。
記者 11月の都市計画審議会の前には,まちづくり委員会で報告があるらしいが,一般市民向けの報告・説明は今後どうするのか。
市長 設計を進めると同時に市民の皆様への説明も順次実施していきます。
記者 説明会をするということか。
市長 説明の仕方はこれから研究していきます。色々な方法があろうかと思います。
記者 具体的な設計が固まれば,何らかの形で説明するということか。
市長 はい。
記者 それは都市計画審議会前か。
市長 タイミングについてはもう少し関係者と協議していきたいと思います。
(大阪市長選挙,京都市長選挙について)
記者 大阪市長選挙への平松市長の出馬についてどう思うか。
京都市長選挙に対する現在の考えは。
市長 平松市長はかねてから出馬への強い意向を示しておられました。選挙が近づいて決断されたということで,既定の方針通りだと思います。現在,大阪において,府・市で激論をしておられますが,京都では,徹底した府市協調のもと,二重行政を打破し,政策を融合させ,市民の皆様と共に,地域主権時代,地方分権時代のモデルを作っていきたいと思います。
私自身は,就任以来3年半が経過しましたが,市民の皆様にお約束したマニフェストを,極めて厳しい財政状況の中,9割を超えて実施・着手することができました。残りの任期も,様々な課題に全力で挑戦していきたいと思います。また,市民の皆様と共に作った「はばたけ未来へ!京プラン」のスタートダッシュの年であり,力いっぱい今与えられた職責を果たしていきたいと思います。
(節電の取組について)
記者 明日(9月22日),関西電力の節電要請が終わる。市役所は設定した目標を達成することができたが,市民の取組はどう評価しているのか。
市長 市役所が節電の取組を率先垂範しようということで,すべての現場で最大限の努力をし,目標を達成することができました。例えば,地下鉄では,運行本数を間引くことなく,あらゆる工夫により節電を実現しました。これは本当によくできたと思います。同時に,市民の皆様,経済界の皆様にも大変な努力をしていただきました。それらの成果については,関西電力さんの方で分かりやすく,モチベーションが高まるような形で開示をしてほしいと思います。できれば,学区や行政区ごとに開示していただきたい。京都市では,「エコ学区」という取組を始めましたが,学区ごとに努力が見える化できるようにしていただきたいと思っています。
この間の皆様の節電の取組に対する感想としては,非常に関心が高く頑張っていらっしゃるところと,そこまでいっていないところとの温度差があるように感じました。すべての皆様に関心を高めていただけるよう,様々な取組を今後も進めていきたいと思います。
また,ある事業者の話ですが,既にKES等の取組をされ,一昨年と昨年で20%の節電を実現しておられました。そこから更に15%というのは並大抵のことではありません。このように,これまでから努力をしておられたため効果が現れにくかったケースや,初めて節電に取り組んだため高い効果が現れたケースなど色々あるかと思います。しっかりと検証し,今年の冬,来年の夏とこれからも厳しい状況が続きますので,取組を進めていきたいと思います。また,京都府ともこれらについて目標が一致するように協議していきたいと思います。
記者会見資料(平成23年9月21日)
「京都市観光案内標識アップグレード指針の策定・整備」について
産業観光局観光部観光企画課 電話222-4130
京都市では,「歩いて楽しいまち・京都」の実現に向け,現在の観光案内標識(以下「サイン」という。)の在り方を抜本的に見直し,観光客や市民の皆様の視点に立った「わかりやすい」,「京都の町並みに調和した」サインを検討するため,学識者や交通事業者等からなる「観光案内標識アップグレード検討委員会」を平成22年度に設置し,議論を進めてきました。この度,サインの整備の考え方を示す「観光案内標識アップグレード指針」を策定しましたのでお知らせします。
今後は,指針に基づいた整備を推進し,京都から全国のモデルとなるサインの在り方を発信していきます。
1 「観光案内標識アップグレード指針」の概要
(1)目的
「歩く観光」を推進するため,「歩く観光客・市民」を対象に,「歩くこと」と「公共交通利用」の促進を目指す。
(2)キーワード
「シンプルで,わかりやすく」
(3)指針の構成
ア ガイドライン(サインシステム,配置計画,情報計画,デザイン)
イ マネジメントシステム(運用計画)
ウ 観光案内標識アップグレード推進事業計画
2 デザインの特徴
(1)「京都の景観に調和するシンプルで洗練されたデザイン」
※公募デザインコンペ(応募42作品)の優秀賞に補作,修正を加え決定
(2)2箇国語表記(日・英)とピクトグラム(※注)の使用等により,情報量を絞り込み
(3)全てのサインに,方位を示すマークを表示
(4)目的地までの所要時間を表記
(※注)ピクトグラム・・・誰が見てもすぐ内容が分かるよう,対象を文字以外の図記号で表したもの
(5)主なサインの種類(添付資料参照)
添付資料
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3 マネジメントシステム
他の分野・技術とも融合しながら運用するため,今後の運用方法,検証,フィードバックなどを定めた運用計画の中に,活用の具体例を記載した。
(1)ICTの活用
将来的には,デジタルサイネージ(電子情報板),公衆無線LAN(無線インターネット通信)アンテナ,QRコードなど,ICTの導入も視野に入れて,活用方法を検討する。
(2)地上機の活用
無電柱化に伴い設置された地上機を利用して,京のわらべ歌を用いた通り名の紹介や現在地の表示を行う。
4 観光案内標識アップグレード推進事業計画
今後,サインの整備を進めるに当たっては,地下鉄など公共交通機関の利用の促進や地域の特性に配慮しつつ,観光客の利用の多いエリアを優先して,順次整備を進めていく。
5 平成23年度予算額
62,000千円(140箇所程度整備予定)
参考資料
現在の観光案内標識数,観光案内標識アップグレード検討委員会名簿(ファイル名:sankou1.pdf サイズ:147.71 キロバイト)
モデル地域の整備(ファイル名:sankou2.pdf サイズ:335.05 キロバイト)
京都市観光案内標識アップグレード指針(p1~13)(PDF形式, 4.05MB)
京都市観光案内標識アップグレード指針(p14~24)(PDF形式, 3.34MB)
京都市観光案内標識アップグレード指針(p25~38)(ファイル名:25-38.pdf サイズ:6.63 メガバイト)
京都市観光案内標識アップグレード指針(p39~45)(ファイル名:39-45.pdf サイズ:3.99 メガバイト)
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