門川市長記者会見(2011年8月12日)
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2023年4月12日
陸前高田市の松の薪を使った取組の中止について
陸前高田市をはじめ被災地の皆さん,また,この間御尽力いただきました多くの皆さん,御心配いただいた多くの方々にお詫びの気持ちを込めまして会見させていただきます。
陸前高田から送っていただいた薪から検体を採り検査を致しました結果,放射性物質セシウムが含まれていることが確認されました。
野焼きにつきましては,国において基準が示されておりません。放射性物質が検出されないことを前提に五山送り火保存会をはじめ皆さんに御協力をお願いしてきましたので,今回は,陸前高田から送っていただいた薪を使用することを断念せざるを得ません。誠に残念な結果であり,心からお詫び申し上げたいと思います。
陸前高田市をはじめ被災地の皆さん,薪をお送りいただくのに御尽力をいただいた皆さんに,まずは心からお詫びを申し上げます。
また,そろって受入れを御決断いただきました保存会の関係者の皆さん,「きょうから始まる温CO知新プロジェクト」の皆さん,さらに多くの市民の皆さん,国民の皆さんに重ねてお詫び申し上げます。
今回の薪は,屋外に長期間野積みにされ,また,泥もかぶっていたとお伺いしております。そういった薪から放射性物質が検出されたのであって,被災地の産品が同様であるということではございません。
科学的知見に基づいて,冷静に一つ一つ判断することが大切であると考えます。今回のことが,被災地の産品に対する誤解につながることのないよう,私からも皆さんにお願い申し上げたいと思います。
京都市と致しましては,引き続き市民の皆さんと心を一つにして,被災地,被災者の皆さんの支援活動に全力を尽くしてまいりたいと思います。
私と致しましても,お詫びのため,すぐにでも陸前高田を訪ねたい気持ちでありますけれども,相手の御都合もありますので,今,考えているところであります。
質疑応答(要旨)
(記者)放射性物質が検出されたら中止するという今回の判断に対して,市民やこれまで協力いただいた保存会の方の理解が得られると思うか。
(市長)五山送り火の一つであります大文字保存会が,民間同士の交流の中で陸前高田の薪を使った護摩木を焚かれるということを決められました。そして,様々な経過があり,セシウムが検出されないにもかかわらず,中止されたことに対して,多くの市民の皆さん,国民の皆さんから厳しい御指摘をいただきました。私どもにもいただきました。
したがって,セシウムが検出されていないにも関わらず,焚かないことについては,私は良くないと考え,何本かでも京都に運んでいただいて,市役所前広場の「温CO知新プロジェクト」において,平和の祈りを込めて焚かしていただきたいということをお願いしましたが,8日に陸前高田市で「迎え火」としてすべて焚かれました。
それ以後,災害ボランティアネットワークなどの皆さんの御尽力により,向こうで作り販売しておられる薪を京都に送っていただけるということになりましたので,放射性物質セシウムが検出されないことを大前提に,市役所前で焚くと同時に,五山送り火保存会の関係者の皆さんに私の方からお願い致しました。五山が揃って受け入れていただくことになり,本当にありがたいことだと感謝しております。
しかしながら,今回,セシウムが検出された以上,これは本当に断腸の思いでありますけれども断念せざるを得ない。お詫び申し上げたいと思います。
(記者)大文字保存会が前回取り寄せた松の木と,今回の松の木は何がどう違っていたと理解されているのか。
(市長)私にはよくわかりません。
(記者)前回は現地で皮を剥いて持ってきた松の木で,今回はいわゆる薪だったと思うが,その違いはどうお考えか。
(市長)蒔を運んでいただいたボランティアの方々,そして災害ボランティアネットワークの方々が被災木で薪を作り,それを全国に販売されております。それを京都に送っていただける。こういう計画でございました。
(記者)大文字保存会が持ってきた薪は表皮を剥いていたからセシウムが出なかったのではないかという話がある。これは,表皮を剥いてしまえば使えるのではないか,もしくは,大文字保存会が薪を使わなかったという判断は正しかったのではという見方になると思うが,市長はどのようにお考えか。
(市長)セシウムが検出されないにもかかわらず,京都で焚けないという判断は,私は理解できません。根拠の無い判断だと思います。
そして,さきほども申し上げましたように,すべての被災地のものについて「これは大丈夫。」「これは大丈夫ではない。」ということを,ここで私から申し上げる訳にはいきません。
今回は薪を運んできて,五山の送り火,さらには市役所前で焚かしていただこうという計画でございます。その薪からセシウムが検出された限りは断念せざるを得ないということです。
(記者)あくまで前回と比較してではなく,今回の薪で放射性物質が出てしまった以上は断念せざるを得ないということか。
(市長)はい。
(記者)今回の薪は,どういう状態で置かれていたのか。
(市長)五箇月前に津波であちこちに流されて倒れていた松を,ボランティアの方々が集められ,薪にされた。そして,それを災害支援の一環として販売されている。私の承知しているのはそういうことであります。倉庫に入れられていたのではなく,野積みにされていたということは聞いております。
(記者)いつどこのボランティアが薪にされたのか。
(市長)様々なボランティアグループが活動されているというふうに聞いていますが,よく承知しておりません。
(記者)今回の件で陸前高田には,市長が謝りに行かれるという話があるが,検査結果の報告などをしているのか。
(市長)しています。
(記者)それは市長がしているのか。
(市長)私からではないですけれども,担当者から,陸前高田市にも,また中心になっていただいた方にも,お世話になっておりますので,お詫びも含めて連絡させてもらっています。
(記者)中心になっていただいた方とは。
(市長)災害ボランティアネットワークの方が仲介していただいています。そうした方々に連絡させていただいています。
(記者)燃やす場合の放射性物質の基準値は分からないのか。薪の表面を削れば検出しないのに中止するのは,むしろ放射能の風評被害を助長するのではないか。
(市長)まず,国が野焼きをする場合の基準を定められておりませんので,京都市独自で判断することはできないというのが実態です。
そして,薪として運んでいただき購入したものであります。その松の木から作る様々な生産品は安全なものになっていくとは思います。
今回,頂戴した薪を五山の送り火にという計画をしてきました。その薪に放射性物質セシウムがあるかどうかで判断したいと話をしてきましたので,断念せざるを得ないという訳でございます。
(記者)表皮を削らないのか。
(市長)薪として購入して,その薪を燃やすということで話をしてきています。
(記者)削らずに中止することを向こうの人はどう思うか,市長はどのようにお考えか。
(市長)冒頭から申し上げていますように,お詫びする以外にないと思います。
(記者)放射性物質が検出されたから中止にするという判断を,もう一度市長から説明していただきたい。
(市長)検出されないことを前提に,五山送り火の関係者の皆さんにもお願いをしてきました。そもそも検出されなかったにもかかわらず,送り火で焚かないということに対して多くの市民の皆さんが悲しみ,また,御批判をいただきました。
そして,検出されないことを前提にもう一度,陸前高田からの薪を使いたいという願いで出発した訳でございます。検査して出れば断念せざるを得ないというのが前提でした。
(記者)安全性が確保できないということか。
(市長)安全であるかどうかについては,国が基準を示していただく以外にないと思います。これが危険であると私どもとして断定していません。
ただ,今回の出発点は,セシウムが検出されなかったにもかかわらず,大文字で燃やさないのはおかしいのではという市民の皆さんのお声でした。みんなで何とかしたいという声が寄せられ,それはセシウムが出ないことがすべて前提での声であります。そして,そのことを前提に五山の方々にもお話させていただき,御理解いただけたということであります。
(記者)食品の放射性物質と比べて低い値だが,それにもかかわらず中止される理由は。
(市長)国が基準を示されない以上,京都市独自で「これは高いから,低いから。」という判断を科学的な知見に基づいて出来ない。担当から大学の先生にも尋ねました。「これは大丈夫です。」という太鼓判を押していただけたら良かったのですが,そういう状況ではないということでございます。
(記者)今回の中止決定は,放射性物質が少しでも出たら回避するような動きを誘発するのではと思うが,その危険性について,市長はどのように思われるか。
(市長)私は,早期に国において基準を示していただきたいと思います。その基準をしっかり踏まえた対応をしていく。
(記者)放射性物質が少ないものも控えようという風評につながるとは思わないか。
(市長)今回は,五山の送り火という民間の方々が行われる事業であります。それに対して放射性物質が出ないことを前提にお願いした極めて特別なケースであります。そのことを御理解いただきたい。
放射性物質が出ないにもかかわらず中止された大文字保存会も「もう一度焚きましょう。」と決断されました。他の四山も放射性物質が出ないことを前提に皆さんと相談されて,いろんな意見があったようですけれども,送り火で焚こうと決めていただいた。「この値までが安全だから焚こう。」ということが議論されたわけではありません。例えばこういう数値だったら大丈夫とか,大丈夫ではないというわけではなく,ゼロではなかったから中止にしました。ですから,もし国に安全基準を示していただいていたら,私から説明をして,またお願いに行くことになると思います。「放射性物質が出ないのに,中止したということは許されない。」,こういう議論が市民から沸いてきて,そして五山の皆さんに御決断いただきました。
この経過を御理解いただき,そしてこれが特別なケースであることを,私どもとしてしっかり説明していきたいと思っております。
(記者)前回は,皮を剥いてきれいにしてあった薪から放射性物質が検出されないのに,燃やさなかったのは理解できないとおっしゃった。今回は,表面を取れば検出されないだろうというのが検査の結果だった。同じ薪なのに結論が違うことについて,どのように整理されているのか。
(市長)お詫び申し上げる以外ないのですけれども,薪をボランティアの方々の協力を得て京都に送ってもらう。その薪について放射性物質があるかどうかを検査してもらう。そして,放射性物質が出ないのであればそれぞれの五山の送り火で燃やしていただく。こういう経過でお話をしてきました。これがすべてです。申し訳ないですが,現地で護摩木に加工して焚きますといって始まっているわけではりません。
(記者)それは,前回の大文字保存会が判断したことは正しかったということではないか。
(市長)私は,とんでもないと思います。今回,保存会は,京都市の要請を受けて,セシウムが出なかったら焚きましょうと御判断をいただいた。前回は,私は蒸し返したくないですが,セシウムが出ていないにもかかわらず断念された。
今回は,薪を運んできて,薪を五山の送り火で焚いていただきたい。その前に京都市が責任を持って検査機関で検査させてもらいます。そういう流れで話を進めてきました。ですから薪から放射性物質が出たら,これは五山の送り火の方々に話をしてきた経過とは違うわけです
(記者)経過は違うが,薪は同じではないか。
(市長)セシウムが検出されたのとされていないというのは全く違います。
(記者)薪そのものは表面を削って放射性物質がゼロと,表面があって放射性物質が出ているものと同じはずだが,何故判断が分かれるのか。
(市長)今回は薪を運んでくる。その薪を焚いていただきたい。その前に薪の放射性物質の有無を検査しますということを送り火保存会の皆さんに説明をして,お願いもしてきました。その前提ががらりと変わるわけです。
(記者)放射性物質が検出されたから中止という前提ではなくて,もう少し幅を持たせるべきだったとは思わないか。
(市長)災害ボランティアネットワークの方々が集めていただいた薪を京都に送ってくださろうとされ,その薪を京都で検査しますと話をさせていただきました。そして,それを五山の送り火で焚いていただこうということで,私どもは進めてきました。京都市の事業としてやるものではありません。保存会それぞれがやられるものです。
残念なことに放射性物質が出た以上は,私どもはそうした前提でもってお願いをしてきましたので,お詫びして断念せざるを得ない。経過から申し上げて,我々として幾重にもお詫び申し上げたいと思います。
(記者)放射性物質の検出結果が出たから市長が中止を判断したのか。それとも外部の専門家に意見を求めて判断したのか。
(市長)専門家にも担当者からお伺いしたが,国の基準が示されていないため,責任を持って見解を出せないということでした。今回は先ほどから申しているとおり,京都市には独自の基準がございませんので,国の基準がない以上京都市が独自に基準を作って判断することはできません。また,判断できるだけの検査機関,科学機関も京都市にはございません。大学の権威ある方々が大丈夫だとおっしゃったら別です。また,私共はそもそも放射性物資は検出されない場合に焚かしていただくことを前提に進めてまいりました。
(記者)安全性を確保するために検査したのか。
(市長)放射性物質があるかないかの判断をするために検査しました。
(記者)ごく微量であっても中止するのか。
(市長)何をもって微量と言うか別ですが,セシウムがこれだけ出れば断念せざるを得ません。
(記者)焚く,焚かないで二転,三転していると,京都の信頼を失墜させるのではないか。
(市長)お詫びしたいと思います。お詫びする以外にありません。同時に,本当に市民の方々が被災地のみなさんの支援活動に懸命に取り組まれておりますし,多くの京都市職員も,被災地に行って支援活動をさせていただいております。そうした取組の中で,信頼を回復していきたいと考えております。
(記者)別の形で祈りを届けることは考えているか。
(市長)保存会をはじめ,この間御尽力いただいた「きょうから始まる温CO知新プロジェクト」や市民の皆さんからの幅広い御意見を頂いて,被災地に対する心の繋がる取組を改めて展開していきたいと思っています。
(記者)大学の専門家などに結果についての見解を求めたか。
(市長)見解を聞きましたが,検証されていないため,今の段階では見解を示せないということでした。
(記者)今回の判断でいくと,被災地の瓦礫などの撤去についても京都市は国が判断を示さない限り受け入れないという判断になると思うが,いかがか。
(市長)そういうことではありません。京都市の環境政策局で被災地の一日でも早い復興を願って,瓦礫等については受け入れるということを申し上げております。ただ,その時には国が責任をもって,この基準に基づいて焼却炉で燃やしても大丈夫だということを示していただきたいということを言っております。その基準に基づいて説明し,市民の理解も得たうえで,受け入れたいと思っています。国から,受け入れてほしいという正式な要請はまだ来ていませんが,要請されるときには安全基準を示してくださいと言っています。安全基準はありませんが,燃やしてくださいということでは受け入れられません。
焼却炉には色々な装置が付いています。野焼きとは違います。ただし焼却場で燃やすときも,どんな物でも受け入れますということではありません。安全であるかどうかは京都市では判断できないので,国において早期に示していただきたいということであります。
(記者)中止の判断は,京都市と保存会で決めたことなのか。
(市長)私共は保存会に要請するときに京都市で薪を確保して,京都市の責任で検査をして,放射能物質がないことを前提にお願いしてきました。その前提が崩れました。それぞれの保存会に決めていただくのではなく,京都市の責任において決断しなければならないと思います。なお,薪を届けていただいた関係者の皆さんには,薪として焚かしていただくということを言っていますが,それ以上の議論はしておりません。
(記者)今回の判断により,京都全体のブランドイメージの低下につながると思うが,いかがか。
(市長)まず,大文字の送り火保存会が,セシウムが出ないにもかかわらず,断念されたあと,五山の送り火保存会の皆さんで相談され,大文字保存会も含めて,セシウムなどの放射性物質が出なければ,陸前高田市の薪を焚くということをお決めいただきました。これは,大きな前進であったと思います。残念ながらセシウムが出たことについては,本当に申し訳なかったと思います。引き続き支援活動等を通じて,信頼を回復していきたいと思っています。
(記者)市長は被災地の方にどのようなお詫びを伝えたいと思っているか。
(市長)私としてはすぐにでも行きたい気持ちでいっぱいであります。ただ,相手の都合も聞かせていただくということを申し上げました。被災地の方々に申し訳ない気持ちでいっぱいであります。せっかく陸前高田で集めていただいた薪を五山の送り火で天に届けたかったわけですが,断念せざるを得なかった。ただその一点にお詫びを申し上げるばかりであります。
(記者)ここまでの経緯で反省すべき点があるとしたら,どこか。
(市長)第一ボタンの掛け違いという言い方は,不適切かもしれませんが,ひとつの民間団体の宗教的な色彩のある400年続く伝統行事,コアになる方々がしっかりと伝統を守りながら,みんなでコンセンサスを得ながら続けてこられた。その伝統行事と京都市行政の関わり方の難しさを感じました。あらゆる意味において,歴史都市の宿命のようなものがあります。行政がどこまで関われるのか,今回のことを十分に教訓にしていきたいと思っています。
(記者)関与しすぎたと思うか。
(市長)当初からもっとオープンに話をできれば良かったと思います。社会的に影響のある事業の場合は,当初の段階で,五山全山で議論するなど,オープンに話をすれば,展開は違ったかなと思います。私共も反省して,今後の教訓にしていきたいと思っています。
(記者)陸前高田市の瓦礫から1400ベクレルほどの放射性物質が検出されたということを把握していたか。
(市長)私自身十分に承知していませんでした。
(記者)陸前高田市に置いてあった物から検出される可能性は全くないと思っていたのか。
(市長)不十分な認識だったと思います。
(記者)今は知っているのか。
(市長)今日知りました。福島から190km以上離れており,私も4月の初め,また6月にも宮城県を訪ねていますが,陸前高田市は福島との距離が倍ほどあるところですので,そこの薪から放射性物質が出る可能性が高いという認識には立っておりませんでした。これもお詫びしたいと思っております。
(記者)陸前高田市の放射性物質が問題になっていることを知らずに放射性物質が検出されれば中止するという基準を作ってしまったことについて責任を取るのか。
(市長)最初の薪については,8日に現地で迎え火として焚かれました。そこからボランティアの方々に,陸前高田市の薪を送っていただくようお願いして,薪が着いたのが11日です。陸前高田市の瓦礫から放射性物質が出たことと,同時進行で起こっている問題です。こういう議論をする前に問題が出ていれば,別の対応があったと思います。いずれにしても認識が不十分であったことについては,お詫びしたいと思います。
(記者)検出されることを想定していなかったのか。
(市長)念のためという意識で,安心していただくためという意図でもって検査をしておりました。
(記者)そもそもどういう状況か把握していなかったのではないか。
(市長)陸前高田市の瓦礫から放射性物質が出たということは10日のニュースで見ました。災害ボランティアネットワークの方々を通じて,陸前高田の薪を運んでいただきたいとお願いしたのが9日です。そして10日には現地を出発していたわけです。
(記者)薪が陸前高田から来たものかどうか確認していたのか。
(市長)災害ボランティアネットワークの方々に仲立ちしていただき,津波に遭った陸前高田の松を割り木にされ,支援の一環として販売されている物を送っていただきました。そのボランティアの方々を通じて送っていただいていますから,それを信頼しております。
(記者)薪がどのような形で保管されていたのか把握していたのか。
(市長)災害ボランティアネットワークの方々が,現地のボランティアの方々と連携を取って,こちらに運んでいただきましたので,いつどこで薪にされたか,どこにあった松なのかということは,私は把握しておりません。
(記者)市長が陸前高田市長に明日謝罪に行きたいと連絡したところ,陸前高田市長は拒否したという話が出ているようだが,どのように受け止めているか。
(市長)そこまではまだ聞いておりませんが,陸前高田市長には申し訳ないことをしたと思いますし,是非お詫びに行きたいと思っています。陸前高田の方々が悲しい思いをされている,その気持ちは私自身痛いほど感じております。幾重にもお詫びする以外にないと思います。
(記者)お詫びを拒否されたことについては,陸前高田市長の怒りが大きいと感じているか。
(市長)そうですね。
(記者)陸前高田市長には何と言って断られたのか。
(市長)直接は知りません。その前に,災害ボランティアネットワークの方々の支援で松を運んでいただき,改めて五山の送り火並びに「温CO知新プロジェクト」で焚かしていただくことを計画し要請しておりますということは,陸前高田市長にお話させていただいております。
(記者)市長は昨日の会見で風評被害を絶対出してはいけないと言っていたが,放射性物質が検出されたら中止するという基準を設けたことが風評被害を助長するのではないか。
(市長)私共はこの薪が安全であると判断をする力を持っておりません。同時に今回は,前回の大文字の送り火で出なかったにもかかわらず断念したことに対する多くの方々の怒りの声,市民の方々が何とかしたい,五山の送り火の方々も何とかしたいという声を受け,セシウムが出ないことを前提に進めてきました。したがって,出た限りは,断念せざるを得ない。これはお詫びするしかございません。
風評被害というのは,根拠なく判断することです。今回の判断が被災地の産品にも当てはまるものではなく,特別なことであるということを申し上げておりますので,安全でないということを申し上げているわけではございません。安全であるかどうかは,国において,きっちり判断できる基準を示していただくようにお願いしたいということであります。
(記者)今回の判断により,新たな基準を作ってしまったのではないか。
(市長)そうは思いません。これは先ほどから申しておりますように,お詫びしなければなりませんが,出ないということを前提に,民間団体である五山送り火保存会の方々,「温CO知新プロジェクト」の実行委員会の方々に要請したことでありますので,出た以上は断念せざるを得ない,これは特別なケースであります。このことをきちっと私共も説明していきたいと思っています。
(記者)今後,京都市の判断が前提になるとは考えないのか。
(市長)これは特別なケースであるということを繰り返し説明していきたいと思っています。
(記者)根拠が無いにも関わらず,セシウムが出ないという前提で被災地の薪を持ち込んでしまったと思うが,いかがか。
(市長)セシウムが出た以上,残念ですが,今回は特別なケースとして断念せざるを得ないと思いますし,申し訳なかったと思います。
(記者)判断する基準がないにもかかわらず,500本の薪を京都で燃やせるという判断は,今思えばいかがか。
(市長)原発から190km以上離れており,8日から10日の段階では,陸前高田市の瓦礫の放射性物質の問題がありませんでしたが,判断が甘かったという御批判,御指摘はしっかりと受け止めなければならないと思います。
(記者)今,市内にある500本は今後どうするのか。
(市長)専門家の意見を聞いて,京都市で適切に対処したいと思います。
(記者)そもそも陸前高田市で検査されて持ち込むということは検討しなかったのか。
(市長)急なお願いとして,ボランティアの方々に500本送っていただいたというのが実態であります。
(記者)時間がなかったということか。
(市長)そうです。同時に京都市の責任において検査すべきだと思っておりました。
(記者)前回の検査と違う結果が出たことの原因をどう考えているか。
(市長)前回の物はどういう形で検査したかを詳しくは承知していませんが,今回は私たちの責任において受け取り,検査しましたので,今回のことについてしか申し上げられません。
(記者)検査機関は同じか。
(市長)同じです。
(記者)検出方法は違うのか。
(市長)同じものだと思います。
(記者)検査は同じなのに違う結果が出るということは,前回の検査から時間が経過しているため,薪がひどい状態になっていたといったことは考えられないか。
(市長)申し訳ありませんが,よく分かりません。
(記者)大文字保存会の方々や連合会の方々にお詫びしたのか。
(市長)それぞれ担当から第一報の電話を入れて説明し,お詫びしています。
(記者)市長が出向いてお詫びしないのか。いつごろになるか。
(市長)時間を作ってお詫びに行きたいと思います。
(記者)いつ頃行くのか。
(市長)相手の都合もありますし,相談して行きたいと思っています。
(記者)薪は現在どこに保管されているのか。
(市長)京都市の倉庫において保管しております。
(記者)今後いつぐらいを目途に処分方法を決めるのか。
(市長)現時点では,決まっていません。
(記者)今回の薪は購入したのか。
(市長)そうです。
(記者)市の倉庫とはどこで,どういう状況なのか。
(市長)最終的な場所を選定中で,現在は運んできたトラックの中です。
(記者)民間の貸し倉庫で保管しているのか。
(市長)いいえ,市の施設で管理しています。
(記者)今回出た値について,国の基準がないとはいえ,食品の基準に比べれば,同じ量を食べたとしても問題ないレベルであるにもかかわらず,それでも中止する理由は。
(市長)詳しいことは分かりませんが,飲料水,牛乳等は200ベクレル,それから肉等は500ベクレル,今回の検査結果は1130ベクレルでございます。セシウム134と137を足した結果であると聞いています。私共は食べることと,燃やすことは性格が違うと思います。したがって,薪を燃やすことが安全ではないとは言いません。ただ,大学の先生も含めて燃やしても大丈夫だという判断はいただけませんでした。ですから,国民が安心するために,国が基準を示していただかない以上は我々で判断を下すこともできませんし,大学の先生も大丈夫だとは言わないわけです。これから息の長い支援活動が必要ですが,国の責任において,個々の基準をお示し願いたいと思います。
私共は瓦礫の放射性物質が安全であれば,市民の皆さんに説明して受け入れますと言っています。しかし,その時には,市民の皆さんが安心されるように,国の責任において,基準を明確にしてくださいとお願いをしています。申し訳ないですが,京都市が独自にそれだけの判断をする力は持ち合わせていません。御理解いただきたいと思います。決して危険とか安全でないと言っているわけではございません。
(記者)判断できない京都市が薪を持ってきたことの責任はどう考えているか。
(市長)被災地からの色々な物産,物品の支援をやっております。被災地の野菜や魚を中央市場でもどんどん売り出しております。その時にサンプル検査は必ずします。被災地のものは一切だめだということを言っているのではなく,被災地の物を取り寄せて,市民の皆さんに復興の支援も含めて,食べたり使ったりしていきましょうということを率先して京都市もしていますが,今回は事例が特別なケースであるということを御理解いただきたいと思っています。
(記者)国の基準がないことが分かっていたにも関わらず,検出されたから国に基準を示せというのは責任転嫁ではないのか。
(市長)経過から言いまして,申し訳ないことがいっぱいありますので,ひたすらお詫びしたいと思っています。ただ,基準は国が示していただきたい。今回は,苦渋の選択として中止を判断しました。
(記者)基準について国に相談したか。
(市長)これまでから担当から国に対しては,焼却炉で燃やすことについて,基準を示して欲しいということは言ってあります。今回の薪については問い合わせていません。
(記者)国に問い合わせるべきだったのではないか。
(市長)今回は安全であるかどうかというよりも,大文字保存会がセシウムが検出されなかったにもかかわらず中止されたことに対して,多くの市民の皆さんから,「何とかして欲しい。」,「送り火で焚かないというのはあまりにも寂しい。」,「残念である。」という声が私たちのもとに届きました。そして,セシウムが出ないことを前提に進めてきました。その点を御理解いただきたいと思います。同時に今後被災地の支援活動をしていく中で,被災地からいろいろな物を購入し,活用していく,そのためにも早く基準を作っていただきたい,このようにお願いしています。
(記者)陸前高田市長が,市長の訪問を断ったと言っているようだが,どう受け止めているか。
(市長)陸前高田の皆さん,陸前高田市長が大変心を痛めておられることはしっかりと受け止めて,反省し,お詫び申し上げなければならないと思っています。
(記者)市長が陸前高田市長に連絡を取ったのではなく,担当が連絡したのか。結果は聞いたのか。
(市長)陸前高田市長が私の訪問を断られたことは,私も今聞いたことです。私が一方的に行くこともひとつの方法ではありますが,是非ともすぐに駆けつけたいという気持ちを持っていることを担当に伝えましたので,担当が陸前高田の方に連絡を取ってくれたのだと思います。
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