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門川市長記者会見(2011年8月11日)

ページ番号106257

2013年9月24日

陸前高田市の松の薪を使った取組の実施について

 東日本大震災の発生から5箇月を迎えました。改めまして,お亡くなりになられた方々に心からのお悔やみを申し上げますとともに,被災された方々にお見舞い申し上げます。そして,市民の皆さんと心を合わせて被災地,被災者の方々への支援活動に全力を尽くしてまいりたい。決意を新たに致しております。
 そうした中で,京都五山送り火の一つであります大文字保存会が,大震災の津波で倒れた陸前高田の松を使った薪を護摩木として,震災で亡くなられた方々の慰霊も含めて焚かれるという計画がございました。これが様々な事情で変更となり,現地において「迎え火」として焚かれましたことについて,京都市民の皆様をはじめ,被災者,また全国の方々から,大変多くの御批判,御心配の声を頂戴致しております。
 大文字保存会において,犠牲者慰霊という人の命と心に寄り添うという誠に大切な営みであることを十分に踏まえられたうえで,様々な事情を勘案しながら協議に協議を重ねられ,その結果としての苦渋の判断であったと松原理事長からお伺いしております。
 私どもと致しましては,陸前高田の皆さんと大文字保存会の民間同士のお取組であるということもあって,保存会の御判断に委ね,率直に言って,京都市としての主体的な取組が不十分な面もございました。多くの方に寂しい思いをさせてしまいました。傷つかれた方もおられます。改めて,心からのおわびを申し上げたいと思います。
 私は,何としても,犠牲者の慰霊と復興への祈願,そして陸前高田をはじめとする被災地に対する風評被害を防ぐための取組が必要である,そのように考えておりました。多くの市民の皆さんからも,被災地の方々の心と京都市民の願い,祈りを重ねて,何らかの形で陸前高田の松で作った薪を京都で焚きたい,そういうお声がございました。
 また,京都市の災害ボランティアネットからは,陸前高田で松の薪を作っておられる方々との深いつながりがあり,その松を京都に送っていただけるというお声もございました。一方,昨年から,戦争の悲惨さと平和の尊さを次世代に伝えていくことを目的として,先人への慰霊と感謝,そして「平和を愛する心」が育まれるよう願いを込めたイベント「きょうから始まる温CO知新プロジェクト」が,終戦記念日である8月15日に開催されています。今年は,その平和への祈りと東日本大震災でお亡くなりになられた方々の鎮魂と復興祈願を含めた取組にしようということが決まっておりまして,その取組の中で,陸前高田の薪を,願いを持って,祈りを込めて焚きたい。そんな希望も寄せられました。
 そうした多くの方々のお心をいただいて,500本の陸前高田の薪が,今日3時には,こちらの方に着くことになりました。さらに,五山送り火関係者の中からも,何とかしたいというお声も聞かせていただいたので,多くの市民の皆さんの声を代表致しまして,私から,五山送り火連合会の方々に,昨日お願いをしました。昨日の夜に,大文字保存会を除く四山の保存会では,陸前高田の松で作った薪を焚くことをお決めいただきました。そして,ほんの先ほど,大文字保存会の松原理事長さんから,迎え火として陸前高田で焚かれた護摩木から願いをすべて写しとった護摩木と新たに送られてくる薪を併せて,大文字送り火で焚かせていただきたいというお返事をいただきました。陸前高田で津波に倒れた松で作られた薪が京都の伝統行事であります,送り火で五山そろって焚いていただけること,非常にありがたく思っております。改めまして京都市として,市民の皆さんと心を合わせて,亡くなられた方に対する慰霊と,そして被災された方々,地域に対する復興支援を力強く進めてまいりたい。同時に風評被害を断固たる決意で防止するため引き続き,あらゆる手立てを講じてまいりたい。そのように思います。

平成22年京都市観光調査及び平成22年度京都観光総合調査の結果

 続きまして,平成22年の入洛観光客数と平成22年度の観光客の満足度,感動度などの結果がまとまりましたので報告させていただきます。
 平成22年の観光客数は4,955万人となり,長引く景気低迷や一昨年の新型インフルエンザの影響から着実に回復し,対前年比5.7%増となりました。これは,過去最高の5,021万人を記録した平成20年に次ぐ,過去2番目に多い観光客数であります。また,これに伴い,観光消費額も6,492億円と過去2番目に多い額となりました。
 特に外国人の宿泊者数でございますが,平成15年に始まった国のビジット・ジャパン・キャンペーン以降,京都市では,国と連携しながら,牽引する取組を主体的に進めてまいりました。そうしたことから,平成22年は,過去最高の98万人となり,対前年比で20万人,率にして25.5%の増加となりました。京都の魅力を世界各地で理解していただき,どんどんと外国から京都に来られて,京都に泊まっていただいています。訪日外国人全体では,アジアが7割,欧米が3割ということですけれども,京都は欧米・オセアニアが7割,アジアは3割ということでございます。この10年単位で見ますと,例えば,フランスから京都に来られて泊まられる方が9倍になっています。同じくドイツは4倍,イタリアは10倍というように特にヨーロッパからの宿泊者が増えています。アメリカも,また中国も増えております。
 修学旅行生については,一昨年は新型インフルエンザの影響で9年ぶりに100万人を切りましたが,この少子化,あるいは修学旅行が海外に向く,あるいはそれぞれの都市間の激しい競争があるわけですけれども,おかげ様で100万人台に回復することができました。これは,交通事業者,あるいは宿泊業者等と心を合わせて様々な取組を進めてきた結果であります。
 次に,観光客の満足度あるいは外国人観光客の動向等を把握するために,昨年新たに実施した「京都観光総合調査」についてでございます。京都観光に「大変満足」あるいは「満足」と評価された方が,日本人では7割,外国人では8割を超えました。また,感動度では,約8割の方が「京都観光に感動があった。」と回答されました。非常に満足度,感動度が高い結果であり,更にそれを高めていきたいと思います。
 一方で,「残念なことがあったか」という問いに対しましては,道路渋滞などの「交通状況」や,「電車・バスなどの公共交通関係」につきまして,18.6%と一番多く挙げられました。
 また,京都観光の拡大につながる,「友人に勧めたい」あるいは「また訪れたい」というような回答が,42.8%,56.1%と,最も高い結果となりました。東日本大震災で,この間,京都観光も非常に厳しい状況にありますけれども,おかげ様で国内観光は6月になって大きく盛り返してきました。例えば,主要ホテルの6月の宿泊稼働率は対前年度比2%増になるなど,復活してきております。ただ,訪日外国人観光客は,対前年度比36%減ということで依然として厳しい状況にあります。だいぶ戻ってきましたけれども,しっかりと取り組んでまいりたいと思います。東日本大震災等を含めて,これから日本が観光立国として復活していくために京都が持っております伝統,文化,自然,和の精神あるいは「いやし」,「気づき」,「希望」,あるいは環境問題,こうしたことが本当に大切なことだと思っています。旅の本質をしっかりと求めまして観光振興に取り組んでまいりたい,そのように思います。

第26回国民文化祭・京都2011「きもの無料乗車」の実施及び京都市公式ガイドブック「@KYOTO」の発行

 もう一点は,いよいよ開幕まで3箇月を切った「第26回国民文化祭・京都2011」についてでございます。
 開幕当日(10月29日)には,全国から集まるマーチングバンド隊等が,京都市のシンボルロードであります御池通をパレードし,華やかにオープニングを飾る「都大路オープニングパレード」が開催されます。市民の方にも観光客の方にも,ぜひきもので参加してほしいということで,その日につきましては,きものを着ておられる方は,市バス,地下鉄の乗車料を無料とする取組を進めていきたいと思っています。そのことによって,京都の和の文化を感じてもらう。更には,厳しい状況にありますが,和装振興にも役立てていきたいと思っています。
 もう一つは,京都市の公式ガイドブック「@KYOTO」が完成しました。京都市が主催します13の事業と共に,この9月,10月,11月の3箇月間に開催されます様々な文化イベント情報を満載致しております。きもの無料乗車を御利用いただくために必要な乗車券も載せさせていただいています。さらに,京都にございます博物館施設連絡協議会加盟施設にこのパンフレットを示すことによって,記念品の進呈や様々な優待を実施していただけるということであります。この国民文化祭,多くの市民の方々の御理解を得て準備を着実に進めてまいりました。さすが「文化芸術都市・京都」だと全国の方に感動していただき,同時にこの国民文化祭を通じて,すばらしい文化が次の世代につながり,さらに,全国,世界に発信できるように取り組んでまいりたいと思います。

質疑応答(要旨)

<報告案件に関する質疑>

(陸前高田の薪の受入について)

記者 大文字保存会を含め五山揃って受入の了解を得られたことについて,どのようなお気持ちか。

市長 多くの京都市民の方々の願い,また全国から寄せられたお声を踏まえまして,五山送り火で陸前高田の薪を焚けないか,それぞれの保存会にお願いをさせていただきました。
 色々な経過がある,色々なお考えの方がおられる中で,京都市民の皆様の願いをしっかりと受け止めていただきました。送り火は400年を超える伝統の行事であります。御先祖さんの御霊を送ると同時に被災地,被災者への復興への願い,犠牲者への慰霊を込めて,被災地の松で作られた薪を使っていただけることは本当にありがたいことであり,感謝の気持ちでいっぱいであります。

記者 今回二転三転したが,一連の動きについて,市長のお気持ちはいかがか。

市長 冒頭にも申し上げましたように,大文字保存会の方々にとっては本当に苦渋の御決断であった。同時に,陸前高田に行かれて,護摩木に書かれた祈り,願いを写し取って来られ,それを保存会の護摩木に全部写しかえる。そうした丁寧な取組をされております。それは尊いことだと思います。
 同時に,やはり風評被害を防がなければならない。このことも大切なことであり御理解をいただきたい。そして,最初は大文字保存会だけの取組でしたけれども,五山揃って焚いていただける。さらに,市役所前広場で市民グループの方々が平和への祈りを重ねて焚いていただけることはありがたいことです。
 この間,先ほども申しましたように私どもの取組について,不十分な点がございました。送り火は400年以上続く地域の行事でありまして,宗教的な行事でもあります。地域の方々が主体的に物事を決めてこられた。そのことは尊重しなければならない。
 同時に,大文字,また五山の送り火というのは,京都はもとより,全国,世界の方々に大変よく知っていただいている行事にもなっております。それらを踏まえまして,私どもも率直に意見交換をして,これからも伝統を守りながら市民の皆さんのお気持ちにしっかりと応える。そうした取組を進めて参りたいたいと改めて決意致しております。

記者 大文字保存会の方から,薪を受け入れる旨の御連絡を受けたときに,大文字保存会の方はどのようなことをおっしゃっていたか。

市長 昨日,今朝と私自身からもお願いしておりますし,担当の部長等からもお願いしております。それに対して,先ほども申しましたように,陸前高田で書かれた祈り,願いを書き写す。同時に,新たに陸前高田から送られてくる薪を燃やさせていただきますということをお聞きして,お礼を申し上げてきました。

記者 不十分な点があったと先ほどおっしゃったのは,具体的にどういうことか。

市長 やはり,京都市としての考え方をより明確にして,はっきりとオープンにお願いしたらよかった,と私自身が今感じています。

記者 それはどの段階か。

市長 大文字保存会が中止の決定をされたときです。常にまじめに丁寧にやっておられ,これだけ伝統のある行事であります。地域の行事でありますが,宗教的な色彩もある。御先祖さんをお盆に,浄土にお送りするという400年を超えて続けてこられた行事であります。そこに,私ども行政としてどこまで関与すべきか,この辺が,文化財保護行政として関わっているわけですから,非常に難しい面もあったと思います。この度いただいた市民の皆様のお声,お気持ち,そうしたことを踏まえたとき,我々として,もう一度反省して今後の取組に生かさなければならないと思います。

(陸前高田から受け入れる薪について)

記者 新たに500本の薪を持って来る費用はいくらぐらいか。購入費用は,どのように負担するのか。

市長 薪そのものは厳密に聞いていませんが,1万数千円と聞いております。意を体してこちらに送ってもらいましたが,輸送費がもう少し必要だと思います。
 五山送り火の協賛会というものがあります。あるいはボランティアグループの方々がカンパをしたいといおっしゃっていますし,市役所の職員もカンパしたいと申しております。そちらの方が多くなると思います。義援金として被災地に送りたいと思っているくらいです。税金は使わないこととしております。

(薪の放射能検査について)

記者 放射能検査は京都市がするのか。もし放射能物質が検出された場合は,どうするのか。

市長 念のために,薪500本すべてを削りまして検査します。今回は,京都市の主体的な判断によって検査します。前回は,大文字保存会が検査されております。もちろん,放射性物質が検出された場合につきましては焚くことは致しません。

(今後のスケジュールについて) 

記者 市民にはいつ書いてもらうのか。

市長 検査が終わると同時に,割り木を削って字が書ける状態に加工しなければなりません。現在,その段取りをしています。
 「きょうから始まる温CO知新プロジェクト」をはじめ,多くのボランティアの方々から「私たちも参加したい」との声が寄せられており,そうした方々と相談して日時を決定したいと思います。

記者 およそいつ頃で調整しているのか。書くのは無料か。

市長 13日,14日,15日で調整しており,無料で書いていただきます。
 また,五山送り火連合会においても,犠牲者の慰霊と被災地の復興祈願ということを色々と議論しておられ,すべての山で黙祷を捧げてから点火することなどを計画しておられます。

(薪の放射能検査について)

記者 放射性物質が検出されなくても市民からは不安の声が寄せられると思うが,それでも燃やすのか。

市長 検査で検出されなければ勿論です。
 科学的な知見に基づいて最善の判断をしていくことが重要であり,科学的な知見があるにもかかわらず,それと異なる判断をするのは風評被害につながります。
 このままでは被災地の産物が他都市で使われない,食べられないということにつながるのではないかと多くの市民の皆様に心配いただいています。科学的な知見を集めて冷静な行動をとることが私たちの役割だと思います。例えば,京都市の中央市場では被災地産の食料品を取り扱っていますし,京都はお酒どころですが,色々な催しで被災地のお酒で乾杯するなど,様々な取組が進んでいます。

(福島県伊達市からの依頼について)

記者 昨日,福島県伊達市から今回の一連の騒動に関する依頼文が寄せられたようだが,何か対応するのか。

市長 私たち行政は仕事できっちりと応えていくのが大事だと思います。見解を求めていらっしゃるようでしたら,出させていただきます。

(送り火保存会との関わりについて)

記者 「保存会等に適切な指導を」ということに関してはいかがか。

市長 京都の伝統行事の進められ方,行政との関わりということについて,多くの国民の皆様に十分御承知いただいていない部分があるように思います。京都市にお電話を頂戴した中にも,「京都市が決定した」,「京都市がけしからん」という声が沢山ありました。五山の送り火は京都を代表する行事でありますが,あくまでも地域の保存会の方々が意思決定されるものです。私たち行政は,「指導」ではなく「要請」,「お願い」しかできません。

記者 今後このようなことが起こらないように京都市として何か行う考えはあるか。

市長 それぞれの保存会が今回のことを十分教訓にされると思いますし,私どもも教訓にしたいと思っています。現に,今回陸前高田から運ばれる薪を燃やすということを判断されたのが何よりの証ではないかと思います。

(受付について)

記者 薪を書くのは先着順か。

市長 はい,先着順になります。京都市民の方は勿論,被災地から避難されてきた方,観光客の方,外国人の方,どなたでも結構です。

(送り火保存会との関わりについて)

記者 京都の伝統行事に関する保存会と行政との関わり方について,今回京都市はどのように関与してきたのか。

市長 要請を継続してきました。
 放射能を心配する声がありますから,検査してほしいということも話していました。担当者は,検査の結果「検出されず」ということでしたので,大文字で焚いていただけるものと思っていたようですが,この辺の十分な意思疎通があったのかどうか。どちらに非があるというような言い方は止めたいと思います。冒頭にもお詫びさせていただきました。色々な経過も含め,この度保存会に御英断いただいたことに感謝する限りです。

記者 不十分な点があったというのは具体的にどういうことか。

市長 京都市として強い意志を持って説得に入っていたかどうか,そういうことをすべきだったということです。

記者 それは中止の連絡があってからということか。

市長 いいえ,当初からです。民間同士のプロジェクトでしたが,初めから五山揃ってやっていただくということを考えてもよかったのかなと思います。あらゆること含めて教訓にしたいと思います。

(薪の放射能検査について)

記者 検査の結果は今日中に判明するのか。

市長 厳密な検査をしていますので,結果が出るまでは丸一日かかります。一刻も早くということで,こちらへ運び込む前に既に専門家の方に採取していただいています。市役所に到着してからでは遅くなりますので。

(大文字保存会の受入計画の中止について)

記者 大文字の送り火で薪を燃やさないというのは風評被害だと考えているか。

市長 これがこのままになれば,風評被害を助長することになりかねない。私の心配した一つの理由がそれであります。保存会の方が苦渋の選択をされ,丁寧に,迎え火として現地で焚かれました。同時に,祈りの言葉を写し取っておられます。ただ,検査の結果,放射性物質が検出されなかったにもかかわらず京都で燃やさないということは,私は良くないと思いますし,風評被害になりかねないと思います。

記者 今回の件で風評被害になりかねないことを起こしたことについて,どう考えるか。

市長 冒頭にお詫びしています。

(送り火保存会との関わりについて)

記者 保存会との関わり方を今後どうするのか。

市長 これからじっくりと考えていきたいと思います。400年を超えてつながり,続いてきているということは,地域の関係者の一人一人の強い願いとコンセンサスを大事にしてこられたということであり,その時々の為政者は関与できなかった。第二次世界大戦のときに中止される前は白い服を着てされたと聞いています。あらゆる時代の変遷を通じて,守られてきた伝統行事であります。そこで主体的に守り,考えてこられた方々の御意思を尊重することは大事なことであります。たとえ人数が少なくても,その伝統行事には,意思決定をする資格のある方が地域におられるわけです。それを大事にしていかなければ,伝統行事の意味がなくなる。
 例えば,祇園祭ですが,見学のために山鉾に女性を乗せられる山鉾もあれば,絶対に女性に乗ってもらっては困るという山鉾もあります。これは一つ一つの山鉾の保存会が議論して決めていかれるわけですから,それに行政がどう関わるかという難しい問題があります。京都には1000年を超えるような様々な行事があります。その精神を生かして,それぞれの関係者が主体的に判断をされる,それを尊重しながら,同時に社会的な影響も含めて,行政が意見を申し上げるところは意見を申し上げる,こんな関係を深めていきたいと思います。

記者 今回は社会的な影響を考えると,関わり方が薄かったということか。

市長 はい。オープンな場で議論し,当初から五山全部で取り組めたら良かったなという気もします。今回のことは教訓にしていきたいと思います。

(京都産の薪を焚くことについて)

記者 被災者が被災地で書いた物を燃やすわけではないので,批判をかわすためのパフォーマンスではないかという声もあるが,どう思うか。

市長 大文字保存会の方々は,被災地の方々のお心をしっかりと受け止められて,現地で迎え火として焚かれました。同時に,そこに書かれた願い,祈りを写してこられまして,大文字保存会の方々が,その願いを送り火で焚くという取組をされています。最大限の努力をされていると思います。そこにプラスして,多くの市民の方々が,被災者や犠牲者への祈りと,そして風評被害につながらないようにという願いを私たちに届けられました。今回の取組は,あくまでも市民の皆さんの願いに基づく取組であります。

(送り火に関する申し入れについて)

記者 村山祥栄氏から送り火について申し入れがあったが,どうするのか。

市長 担当で対処させてもらいます。

(薪の放射能検査について)

記者 放射能への不安について,どのように考えているか。

市長 先ほどからも申し上げておりますように,科学的な知見を集めて,冷静に判断していくことが大事だと思います。

(観光調査結果の発表について)

記者 平成23年の観光調査結果はまだ出ないのか。

市長 今年の分はまだ出ません。京都市では,非常に厳密な調査を過去からしております。例えば,鉄道,高速道路,宿泊施設などにおいて厳密に調査をしています。毎年今頃の時期に,前年度の結果を発表できます。今年の分は,主要ホテルの稼働率,京都駅の観光案内所の利用率,あるいは二条城のように京都市の管理している施設のお客さんの数,といったものは速報を出せます。

記者 半年単位や月単位の結果も出ないのか。

市長 月単位では,今申し上げたようなものの数値しか出ません。

(入洛観光客数について)

記者 5000万人に届かなかったことについてどう考えているか。

市長 5000万人に一歩届かなかったことは,やはり長引く不況の影響が大きいと思います。ただし,1月,2月は旅館の宿泊客数が伸びました。ですから順調に行けば,今年は5000万人に回復すると思ったところに東日本大震災が起きましたので,もう一度原点に帰って ,「5000万人観光都市」から「5000万人感動都市」へ,京都の観光のあらゆる魅力,強みを生かしながら,ビジット・ジャパン・キャンペーンを京都から牽引していきたいと思っています。おかげさまで,これだけの大震災がありましたが,京都に色々なホテルが建設されるという新しい動きもありますので,頑張っていきたいと思っています。

(外国人観光客について)

記者 外国人観光客については,「量」から「質」に方針を変更するのか。また,京都観光における外国人観光客の位置付けは。

市長 量を確保し,質を向上させるということです。量も大事です。ただし,5000万人の次は6000万人という量を求めていくのではなく,量を確保しながら,質を高めていく。観光客の不満をなくし,感動度や満足度を高めていく,こんな取組を力強く進めていきたいと思っています。外国人観光客ですが,欧米から来られる方が非常に多く増えている,京都の奥深い魅力を感じていただいていると改めて実感しています。全国,世界等に置いている観光拠点等で,これからもどんどん発信していきたいと思っています。
 ただし,外国人の中でアジアから来られる方々が増えてはいるが弱い,他都市と比べると弱いということについては,例えば大阪は非常にアジアに強いですから,大阪と京都が連携する,関西と連携するような取組も必要だと思います。ただ,非常に安い宿泊施設でディスカウントしているところがあります。それに行政も補助金を出し,地域間競争が起こっているようなところがありますが,私は京都の素晴らしい魅力を感じてもらう,そして都市間競争において,ディスカウント競争にならないということが大事だと思います。ディスカウントしていくと,そこに働く人がどんどん季節労働者になってしまい,サービスの質を向上させることになかなか繋がらない。観光で雇用の機会を拡充していくことも私は京都観光の大きな役割だと思います。そうした意味において,やはり観光に従事される方の労働生産性が高まっていくことも踏まえた京都観光にしていきたいと思っています。

記者 外国人観光客を取り戻していくために何が一番必要か。

市長 一つ一つの国の国民性,何を求めておられるか,マーケティングをしっかりとしていく,それに尽きると思います。そして京都には色々な要素があります。伝統産業もあれば,先端産業もある,あるいは大学のまち,音楽のまち,京響等があります。国ごと,あるいはお客さんお一人お一人のニーズをマーケティングして,それに合った京都観光の魅力を演出していく, また新たな観光を創造していくことが大事だと思います。
 また連携も大事であります。オーストラリアからの宿泊客数が約8倍になっています。北海道と連携しています。オーストラリアの夏は日本の冬です。北海道でスキーをされて,京都の伝統文化を感じて帰られる,こういう取組をすることで約8倍になりました。そういう取組もしっかり進めていきたいと思っています。

<その他の質疑>

(次期市長選について)

記者 中村和雄さんが市長選への出馬表明をされたが,何かコメントはあるか。

市長 特にございません。

記者会見資料(平成23年8月11日)

「平成22年京都市観光調査」及び「平成22年度京都観光総合調査」の結果について

産業観光局観光部観光企画課 電話222-4130

産業観光局観光部観光振興課 電話222-4133

第26回国民文化祭・京都2011「きもの無料乗車」の実施及び京都市公式ガイドブック「@KYOTO」の発行について

文化市民局文化芸術都市推進室国民文化祭推進課 電話366-1495

 京都市では,「第26回国民文化祭・京都2011」(以下「国文祭」という。)の開幕に合わせて,京都市内で「都大路オープニングパレード等が開催される開幕日に,きもの姿の方に市バス・地下鉄を無料で御利用いただける「きもの無料乗車」を実施しますのでお知らせします。
 また,国文祭京都市主催事業や秋の京都の文化芸術イベント等の情報を掲載した『京都市公式ガイドブック「@KYOTO」』を発行しますので,併せてお知らせします。

1 きもの無料乗車
⑴実施目的
 
開幕日の「都大路オープニングパレード」の沿道を華やかなきもの姿で彩ることにより,京都らしさを創出し,“京都ならでは”の国文祭とします。
 また,観光客の皆様にも着物姿で市バスや地下鉄を無料で御利用いただき,錦秋の京都を楽しんでいただきます。

⑵実施日
 
平成23年10月29日(土曜日)
※当日は,国文祭開幕日です。マーチングバンドや,全国の若者による郷土芸能などで御池通を行進する「都大路オープニングパレード」等が開催されます。

⑶実施内容
 きもの姿の方は,市バス及び地下鉄に乗車・降車する際に「きもの無料乗車券」を御利用いただくと,乗車が無料となります。
※「きもの無料乗車券」は,京都市公式ガイドブック「@KYOTO」に掲載しています。

2 京都市公式ガイドブック「@KYOTO」
発行目的
 
国文祭の更なる周知はもとより,世界に誇る「文化芸術都市・京都」の多彩な魅力を広く発信します。これ1冊で京都の文化を堪能していただけます。

発行日
 平成23年8月22日(月曜日)

発行部数等
 
30万部,A5判,84ページ,オールカラー

主な配布先
 市役所,区役所・支所,市営地下鉄駅,京都総合観光案内所「京なび」,京都館(東京),本冊子に掲載の各施設,京都市内各旅館,ホテル,大学,書店,銀行 など

掲載内容 
ア 国文祭イベント情報
 京都市域で開催される全ての国文祭イベントを網羅しています。

イ 秋の京都の文化イベント情報
 本市主催の文化イベントをはじめ,広く市民等から募集した協賛事業「応援イベント(204件)」など,9月から11月までに京都市内で開催される主な文化イベント情報を網羅しています。

ウ 文化施設によるおもてなし情報
 京都市内の主な文化施設(68施設)で本ガイドブックを呈示していただくと,記念品進呈や入館料の割引等のサービスが受けられます。

エ スタンプラリー
 11月5日(土曜日)・6日(日曜日)の2日間,京都市内の国文祭会場に設置されたスタンプを集めた方(各日先着200名様)に国文祭オリジナルトラフィカ京カード(500円券)をプレゼントします。

オ きもの無料乗車券

カ その他
 イベントカレンダー,交通情報,イベント会場マップ等,京都市内の散策に便利な情報を掲載しています。

【参考】
1 「都大路オープニングパレード」について
⑴概要
 全国からのマーチング隊をコアパレード隊とし,若者による郷土芸能披露や府民による華やかな踊り,活力あるパフォーマンスで盛大にパレードします。
 また,市役所前広場では,「日本を元気に!文化ステージ(仮称)」を同時開催します。

⑵開催日時
 
平成23年10月29日(土曜日)午前11時~午後5時
 (御池通での行進自体は,午前11時~午後1時) 

⑶パレードコース
 
御池通(西洞院通~寺町通)約1.2km

⑷パレード隊の構成
ア 歓迎パレード隊(京踊り子隊,平成男きもの組等)
イ コアパレード隊・スペシャルパレード隊(マーチングバンド,バトントワリング,全国から参加の若者による郷土芸能等)
ウ フェスティバルパレード隊(府内の若者によるパフォーマンス隊)

⑸主催
 
文化庁,京都府,京都府教育委員会,第26回国民文化祭京都府実行委員会

⑹出演者
 
約3,000名

2 国文祭開幕までの京都市の主な取組について
⑴京都市主催事業への子どもたちと被災者の方々の招待
ア 概要
 子どもたちにレベルの高いステージ等を鑑賞してもらい,文化芸術の魅力を体感していただくとともに,東日本大震災において被災された方々に少しでも元気を取り戻していただくため,京都市主催事業に京都の子どもたちとその保護者及び被災者の方を無料招待します。

イ 受付期間
 平成23年8月1日(月曜日)~19日(金曜日)

⑵京都市主催事業に係るチケット発売及び事前申込制の事業への参加申込受付
 
平成23年9月1日(木曜日)発売・申込受付開始

⑶プレイベント「市民ライブフェスタ」
 概要
 国文祭開幕を直前に控え,音楽,ダンス及び伝統芸能等,約20組の市民の皆様が京都駅前広場の特設ステージで自慢のパフォーマンスを披露します。

イ 開催日
 平成23年10月16日(日曜日)

ウ  会場
 京都駅前広場

お問い合わせ先

京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

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