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共同記者会見(2011年5月26日)

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2011年12月2日

京都市と国際交流基金パリ日本文化会館との国際文化交流促進のための協力に関する覚書の調印式

門川市長挨拶

 国際交流基金は,世界に22箇所の在外拠点を持ち,日本文化の発信や様々な国際交流事業を展開しておられます。中でも,パリ日本文化会館は日本が海外に有する文化交流施設の中でも最大の規模です。また,国際交流基金の国内唯一の支部が京都にあり,一昨年,京都市国際交流会館にその拠点を移されたところです。
 この度,パリ日本文化会館の館長に就任された竹内先生は,京都に非常に縁が深い方で,京都大学の教授であり,本市の産業科学技術推進委員会の委員にも御就任いただいています。また,常に着物を着用されるなど,日本文化への深い造詣をお持ちです。その竹内先生がパリ日本文化会館の館長に着任されたことを機に,今回の覚書を取り交わすことができたことを大変嬉しく思います。
 京都には,「ものづくり都市」,「文化芸術都市」,「精神文化の拠点都市」,「大学のまち・学生のまち」と様々な都市の特性がありますが,姉妹都市として友情盟約を締結して53年目を迎えるフランス・パリとは共有できるものがたくさんあります。パリ日本文化会館前の広場には「京都広場」という名前が付けられています。
 本日も,京都が誇る伝統産業の文化芸術品を並べておりますが,今回の覚書の交換を機に,パリからヨーロッパ全域,そして世界に向け,日本の,京都のすばらしい伝統,芸術,ものづくり,先端技術,更には,これらの融合した姿や暮らしの美学,人間の生き方などあらゆるものを発信していきたいと思っています。
 現在,東日本大震災の影響により,ヨーロッパからの観光客は激減し,国際会議の開催も厳しい状況となっています。これを打破するには,まずは正確な情報を的確に発信することが重要です。そうした意味においても,今回の覚書の交換は大きな一歩であり,今後も,竹内館長をはじめパリ日本文化会館の皆様には,御協力をよろしくお願い致します。
 京都市としても,全庁を挙げたプロジェクトチームを設置し,様々な取組を展開していきたいと考えています。どうぞよろしくお願い致します。

竹内館長挨拶

 今回京都市が,新たな連携先として,パリ日本文化会館に着目していただきましたことに大変感謝しております。
 私は,7年ほど京都に居を構えておりますが,その間に,お茶席,お寺や老舗,職人さんたちの作業場を回り,その中に息づいている日本文化の原点に当たるような考え方を数多く発見いたしました。京都の文化には,日本文化を考えるヒントがたくさん詰まっています。
 奈良・平安時代に出来上がったひらがな文化は,人のこころを自然のなかの豊かな色彩や景色に投影していく面白さと,洗練された感性を常に意識していく生き方を京都に残してくれました。中世から室町時代にかけては,世阿弥や茶の湯の世界を通じて,日本の美を表現する「型」というものが確立していきました。今や,その型を通じて,日本文化の本質を読み解くことができます。そして,祇園祭をはじめとして,町衆,つまり市民の力で,文化を継承していく努力が,いまなお続けられていることにいつも尊敬の念を持っております。
 これらの歴史的流れを一定の論理に組み立て直して,世界に発信したいと考えておりましたところに,今回のパリ日本文化会館の館長というお話をいただきました。
 それに加えて,会館の方針として,日本の伝統技術が,先端産業の形成にどのように役立ってきたのかという点にも着目したいと思っております。 
 京都の産業は,西陣織や清水焼などの伝統を踏まえながらも,いまや,ナノスケールにまで広がる環境測定技術,医療技術,新エネルギー分野等へ広がっていると考えますと,これらの発展の背景には一貫したものがあるのではないかと思っております。
 あえて言えば,その背景に,職人文化に流れる精神,つまり自然の動きを大切にする姿勢や,材料に対する優しいまなざし,材料の変化に対して細心の注意を払う科学的姿勢などがあるのではないかと思います。また,現状に満足せず,常に高いものを目指すという追求心が革新性を産み出していると考えられます。
 文化というものは,常に変化し,発展していくものです。したがって,「物」として見る視点と,「物」が作られた背景を一緒にして説明することが大切です。これを,フランスをはじめ欧州に向けて,届けることに努力していきたい所存です。
 二番目の柱として,日本文化の発信や伝達方法は,あまりよく研究されていません。ましてや,3月11日の東日本大震災以降,日本に対するイメージが,傷ついた状態にあります。一方で,日本人の道徳に感嘆している人々には,日本の文化の素晴らしさをいち早く伝えなくてはなりません。この場合には,自国の文化と比べながら理解できるように,ひとつの判断の物差しをくっつけたほうでいいと思います。
 そのためには,日本の文化が,世界の国々の文化と繋がって発展してきたことを見せることだろうと思います。禅や庭園技術,浮世絵,世界に羽ばたいていった蒔絵の技術は,世界中の方々が鑑賞しています。昨今,外国の方のほうが,京都,日本の文化に関心を持たれる方が増えてきましたし,ドナルド・キーンさんをはじめ,本当に本質的なことを分かっていただける方が出てきております。
 したがって,文化作品は,日本だけに置いておくのではなくて世界の人達と鑑賞することを通じて,理解しあえる土壌ができていくのだろうと思います。そう考えますと,日本の美をどう演出するかということが大切で,文化作品を作った人とは別に,メッセージを引き出して演出するという作業をする人が必要なのだと思います。
 会館としては,このプロデュース,演出のところに,今後とも知恵をしぼっていきたいと考えております。

質疑応答(要旨)

記者 具体的な連携・協力について,何か考えていることはあるか。

市長 まずは,京都の様々な伝統産業品や芸術品の「ほんまもの」をパリ日本文化会館で展示していただくこと。そして,京都の魅力を紹介するDVDを多言語で作成し,それを来館者に見ていただくことを始めたいと思っています。
 また,民間レベルでの様々な交流について,京都市と日本文化会館が連携しながら,取組を進めていきたいと考えています。例えば,去年ルーヴル美術館の漫画を京都国際マンガミュージアムで展示する展覧会を開催しました。これは在京都フランス総領事館に骨を折っていただきましたが,今後は京都市とパリ日本文化会館が連携することによってそうした民間の交流を深めていきたいと思います。

記者 DVDはどの様に作成するのか。

市長 庁内でプロジェクトチームを立ち上げ,作成したいと考えています。竹内館長にも内容を見ていただいたうえで,それをフランス語化したいと思います。
 的確に日本・京都の文化がパリを通じてヨーロッパ全域に発信できるようにするには,現地に拠点があるということが非常に大事になります。

館長 今,お話にありましたように,もので見るところと,DVD等で見る方法があり,作成の背景や時代の背景,技術などはコンピューターグラフィックのような形で説明しなければわからないものがたくさんあると思います。
 今フランスでは教育機関で日本語を勉強している若い方が約16,000人いると言われています。また高等教育だけで約6,300人の方が,正式に日本語を専攻して学んでいます。その他,プライベートな語学学校などを含めますと,その2倍程度の方が日本語を勉強しているというふうに考えますと,かなり大量の情報を届けないと間に合わないという状況です。この背景には漫画の影響がございますが,DVDのような形で文化的関心にいかに応えるかという点が大事なポイントだと思います。
 それから,こちらが発信したい情報と向こうが関心をもつ情報をつき合わせて,編集機能を発揮すればさらに情報が伝わりやすい形にできると思います。その意味で,これからは文字情報以外の,映像情報や立体的な技術の情報などをセットにして,モダンな日本の姿というものを出せればよいなと思っております。

市長 双方で作り上げていくということです。フランス人が何を求めているか,何に関心を持っているかを拾い上げ,同時に,DVDを見ていただいた反応を踏まえて,パリ日本文化会館と京都市とが一緒に作り上げていきたいと思います。
 また,日本料理や京料理に対するフランス人の関心は非常に高まっており,フランス料理に日本料理が影響を与えていっているという状況などもあります。

館長 今の提案について,私が大変期待していることは,フランス料理については,日本でも十分にハイレベルなものがいただけます。フランスに行ってフランス料理を食べなくてもいいくらい良いものが日本にあります。逆に日本料理は,日本での修業のチャンスが少なかったせいか,ヨーロッパあるいはアメリカでは,良いものが何なのかわからない状態で,質の低下を招いてしまっているという状況があります。
 もちろん一部にはいいものもありますが。やはり日本料理の世界でも,海外で日本料理のスタンダードを伝えていくといった作業がかなりあるように思います。

市長 『クールジャパン』と言われているものの「ほんまもの」を正しく発信する役割を果たしていきたいと思います。
 ジャズはアメリカから発信されて世界を席巻したのではなく,フランスから発信され,そして世界にブームを起こしたと言われています。そういう役割を果たしていきたいと考えています。

館長 世界の文化活動の大きさを考えますと,パリから発信するというのは,パリの市民だけではなく,そこからヨーロッパ全域,あるいは全世界に向けた情報発信につながるという可能性があります。その点からいくと,まだまだ日本の文化の存在感や目に触れる機会は圧倒的に少ないわけで,規模的にもこれからもっと増やしていく必要があると思います。
 それから,言葉を通じて説明するための,セミナーや会議,あるいはフランスの地方を回る講演キャラバン隊を考えておりまして,現場で若い学生さんとやりとりをするネットワーク型の交流を考えております。
 そういった意味でパリに留まらず,フランス全域,ないしは将来的にはアフリカやアラブにも情報を伝えていくことを視野に入れたいと考えております。今,中東が変わりつつある中で,日本の産業文化を伝えることは,彼らにとっても新しい生き方や産業発展の姿を考える上で大きなヒントになると思います。また,西洋の考え方と違う産業発展のパターンを示すことは,日本の政策にとっても大事なポイントかと思います。

館長 最後に,会館の短い歴史14年間の中で,今回のような形で,日本の都市と連携するという形は初めてのケースでございます。そういう意味でチャレンジであり,市と会館というマッチングがどういう形になるのか,国際交流基金の立場からみても,大いに期待しているところでございます。そして,文化の出し手として,地域全体が動いていただけるということは,これからの新しい国際交流のあり方の手本となります。日本全域,東北,関西,九州などそれぞれの都市が自分達の眠った資産をパリに持ち寄り,オリンピックのような形で賑やかにせめぎ合うことができれば,来館者にとっても「そうか,日本の文化はこんなに色々あるのか」という驚きが生まれると思います。その意味で京都は第1号。まず1つのモデルを作ったということをぜひ今後とも着目していただきたいと思います。

お問い合わせ先

京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

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