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門川市長記者会見(2009年9月1日)

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2011年12月12日

平成21年9月1日門川市長記者会見

はじめに

 まず,京都市とボストン市と姉妹都市提携50周年を記念しまして,8月24日から30日まで,ボストン市での記念事業に参加しました。ボストン市にとって京都市は,最も古い姉妹都市であり,また全米で最も歴史のある姉妹都市のひとつであると聞いています。
 ボストン市の主催で開催された記念式典では,トーマス・メニーノ市長と,新たな協定を締結しました。50年間もの交流を重ねた両市の友好関係を再確認するとともに,文化・教育・産業,また観光の分野での相互の交流をさらに推進し,先端産業や医療についての相互の共同研究を進めていくという協定を結ぶことができました。
 また,京都は全国で一番学生が多く,人口の1割が学生ですが,ボストンは何と人口の25%が学生であり,雇用も25%が大学関係というまちであります。こうした点から,京都の大学コンソーシアムとボストンのフェンウェイコンソーシアムとの間で交流協定を締結することができました。学術研究,教育活動,さらに留学生の交換について,力強く推進していきたいと考えております。京都市の留学生を1万人に倍増していこうという取組,大学のまち京都の推進とも,軌を一にしたすばらしい協定を結ぶことができたと思っております。
 さらに「歴史都市の保存・再生をテーマとした共同シンポジウム」を開催しました。新しい景観政策について,ボストンでも大変な興味を持っていただいています。京都市の寺田景観創生監等が出席して,パネルディスカッションを行いました。またボストンのまちも非常に古い建物を大事にしながら再生されております。典型的なのが,刑務所の跡を,そのまま建物を使って,レストランとホテルにされている。これに取り組んでこられた建築家の話も聞き,現場も見せていただきましたが,「ここまでされるか。」ということで驚きもし,参考にもさせていただきました。
 また,ハーバード大学を訪ね,フォースト学長と懇談をさせていただきました。非常に印象的だったのは,ハーバード大学での日本からの留学生数が,かつて4番だったのが7番に落ちたと。大幅に減っている傾向について,向こうも気にしておられ,どのような受け入れ態勢を採るかということを研究しておられました。原因を聞かれたのですが,少子化があると同時に,経済状況やどちらかと言えば,最近の若者の内向き志向,こうしたことが要因ではないかと。京都も大学のまち京都として,留学生を増やしていく,相互に留学生を増やす取組をしましょうと。こうしたことを確認してまいりました。また,ハーバード大学の研究者等との懇談もさせていただきました。日本のお風呂を研究しておられる方ですとか,京都の喫茶店を研究し,ボストンに京都の喫茶店のようなものを作っていきたい方,あるいは錦市場を研究されたりとか,京都に,日本に興味,関心を持っておられる方が非常に多くて,専門的な研究をされていることに驚きました。
 ボストンで連日,日本の文化,京都の文化のすばらしさに触れました。ボストンこども博物館には,30年前,姉妹都市提携20周年を記念した「京町家」,西陣から移築したものがそのまま使われております。仏壇から家具まで揃っており,博物館には年間60万人が訪れるという状況であります。こうした記念事業は大事だな,文化交流が大事だなということを改めて実感いたしました。
 この件については,以上であります。

「ブロードバンド・ゼロ地域」の解消

 次に,「ブロードバンド・ゼロ地域」の解消に向けた京都市としての全力を挙げた取組について説明させていただきます。
 京都市の山間地域で,高速インターネットが利用できない,いわゆる「ブロードバンド・ゼロ地域」がかなりございます。国の経済危機対策交付金なども活用して,これの解消に全力を挙げたいということでございます。
 京都市域は,ご案内のように4分の3が山間地域であり,その中に,ブロードバンド・ゼロ地域がございます。具体的には,右京区の京北の一部,あるいは左京区の花脊,そして北区の雲ヶ畑などであります。京都市の市域の面積は,828平方キロと非常に広く,左京区だけで大阪市より広い市域であります。その中で,62平方キロがブロードバンド・ゼロ地域であり,そこに524世帯,1,245人の市民がお住まいであります。
 情報インフラの整備は,今日の情報化社会において最も大切ではないか,地域住民の皆様の文化的な生活,利便性向上のためにも,また地域間格差の是正のためにも,こうした山間地域にこそ情報インフラを整備しなければならないと認識しております。
 また京北や花背に出かけまして,おむすびミーティングなど開催させていただいた時に,非常に要望が強い,極端に言いましたら,道路の整備も大事だが,今の若者にとっては,インターネットが使えるかどうかは,決定的な要素であると。切実な声として聞かせていただきました。
 こうした状況の下で,ブロードバンド・ゼロ地域の解消に向けて,厳しい財政状況の下ではありますが,全力投球したいと考えております。
 整備方法としましては,かねてからこれらの地域の皆様から携帯電話の繋がるエリアを拡大して欲しいという強い要望がございます。それと併せて実施するため,携帯電話事業者と協働して,携帯電話の高速データ通信の手法を採ることといたしました。
 施設整備の内容は,京都市が新たに8基の鉄塔施設を整備します。そして鉄塔と携帯電話会社の中継施設を結ぶ伝送路,光ファイバですが,うち5基分を京都市において整備し,残り3基分は,携帯電話事業者に整備していただきます。
 また,現在,近隣地域に鉄塔施設がある,あるいは地域内に鉄塔施設が既にあるけれども高速データ通信に対応できていない地域があります。これらにつきましては,NTTドコモさんに強力にお願いいたしまして,NTTドコモさんのご英断の下に,必要な整備を行っていただくこととなりました。
 京都市の総事業費は9億4,400万円でございます。国の交付金4億7,900万円を活用したいと考えております。
 京都市として,当初予算に4,600万円の予算を組んでいますが,新たに9月市会に8億9,800万円の補正予算を提案したいと思っております。
 ブロードバンド環境を整えることで,山間地域の皆様に,都心部の方々と同じように世界と繋がるインターネットを快適に使っていただく。そして音楽や動画,さらには京都市等からの防災や疾病予防といった安心・安全に関するニュースもきちっとお届けできる。いわば「情報のライフライン」として活用していただき,快適に暮らしていただける。そんな条件作りを進めていきたいと思っています。
 高齢化・過疎化が進展していますが,そうした地域で人口が流出していかない,さらには若者が定着するためにも,重要なことだと思っております。
 なお,このために既に2名の専任の係長を配置いたしました。人員体制も整えて,あと1年半,来年度中に整備を完了したいと考えております。
 私からは以上であります。

質疑応答(要旨)

(衆議院議員総選挙の結果への感想)

記者

衆院選の結果についての感想は。

市長

 市民生活も中小零細企業の経営も極めて厳しい状況の中,多くの市民,国民が変化を望まれた結果であると感じています。したがいまして,新たな政権においては,景気対策などに万全を期していただきたいと思います。
 また,今回の選挙において,「地方分権」「地域主権」が各政党から訴えられました。極めて重要なことであります。地域主権元年となるような新しい取組をお願いしたい。市民生活や地場産業は厳しく,日本の社会で東京一極集中が進む中で,地方財政も極めて厳しい状況にあります。三位一体改革の影響等により,京都市に対する国の地方交付税は1,300億円から800億円まで減っている。そんな中,地方自治体が市民の皆様と一緒に活力あるまちづくりをしていくことができるような権限と税財源の移譲を,公約に基づいて実行していただきたい。そして,なにより,国民の期待に応えていただきたい。

(新政権に対する期待,不安)

記者

新しい政権に対する期待,不安は。

市長

 地域主権,基礎自治体重視ということを(公約に)掲げられた。これを具体的に施策の中で示していただきたい。これが最も大きな期待であります。同時に,地方財政が非常に厳しい。例えば,公共交通や国民健康保険は市民生活を守る重要なものであり,それらに対する施策の充実をお願いしたいと思います。
 不安としましては,「地域主権」「地方分権」を進めるとき,地域間格差をしっかりと調整していただかなければならないと思います。単純な地域主権,単純な税財源の移譲ということであれば,経済力の強い自治体ばかりが元気になります。地域に勝ち組と負け組をつくってしまいます。そうはならない改革をしていただかなければならない。
 これは,相当知恵を絞っていただかなければならないですし,政令指定都市の要望をじっくりと聞いていただきたいと思います。政令指定都市でも,横浜市や名古屋市のように経済力が非常に強い都市と,京都市のようにもともと財政基盤が脆弱な都市がありますから,きめ細かい配慮が必要です。これらにつきまして,声を大にして,オール京都で政府に要望していきたいと思っています。

(新政権への期待)

記者

 全国の知事,政令市市長に伺っているのですが,民主党が樹立する連立政権について,市長は期待されるか,しないか。その理由もお伺いしたい。

市長

現に,国民の意志として政権を担われたわけですから,その政権に期待するのは当然であります。私の意志ではなく,国民の意志として新しい政権ができた。地域主権時代ですから,その政権と連携し,地域の声をしっかりと反映した行政を行っていただきたいと期待していますし,要望も行っていきます。

(民主党の公約の中で実現を期待する政策)

記者

民主党が公約に掲げている政策のうち,とりわけどの政策の実現に期待するか。

市長

 税財源の移譲,権限の移譲です。
 政令指定都市の制度が発足したときに,都道府県から事務は移譲されたが,税財源は移譲されていない。したがって現在,都道府県に代わって財政支出している。これは,早急に解決していただくべき課題であると思っています。

(ブロードバンド・ゼロ地域の解消による地域振興の効果)

記者

 ブロードバンド・ゼロ地域の解消についてですが,これを行うことによる北部山間地域の振興,今後の展開について,どのようにお考えか。

市長

 「地域主権」とは,国と地方自治体との関係だけではなく,京都市と地域との関係にも当てはまると私は考えています。
 地域の現場へ出向くと,「京都市さん,何とかしてください。」と仰られる。そこで私は,「一緒に考えましょう。」と言う。しかし,地域の活性化に取り組もうとする時に,「携帯電話が繋がらない。インターネットが使えない。」では,どうしようもない。
 このように,(携帯電話やインターネットは,)基本的なインフラであります。確かに9億4,400万円のコストは高いが,道路整備に比べれば極めて安い。しかも,国の交付金と交付税措置のある起債を効率的に活用することで,結果的に京都市の実質負担は1億2千万円に抑えられる。この機会にやりきらなければならないと考えました。
 この情報インフラの整備をきっかけに,地域住民と一緒に,地域のまちおこしをしたいと考えています。

(新政権に対する要望)

記者

先ほど,オール京都で要望していきたいと仰られたが,具体的にどんなアクションをとっていくのか。

市長

 当選された方々はどなたも,京都のことを非常に大事にしていただける方々であります。党派を超え,京都の様々な課題について国政とのパイプ役になっていただけると思っています。

記者

指定都市市長会などで,何かアクションはとられるのか。

市長

 よく「地方六団体」と言われるが,指定都市市長会は入っていない。他方,日本の人口の約2割は,政令指定都市の地域内に住んでいます。
 そこでまず,指定都市市長会を地方六団体に加えていただき,政令指定都市を,政府がその意見をしっかりと聴かなければならない団体に,法律で位置づけてもらうためのアクションを起こしております。
 そして,新たに国に設置される組織へ政令指定都市の代表が参画できるようにしていただきたい。政令指定都市の声が国政に反映されるような仕組みを今,強力に要求しております。

お問い合わせ先

京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

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