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門川市長記者会見(2009年5月12日)

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2023年4月12日

平成21年5月12日門川市長記者会見

入洛観光客数5000万人達成について~ 目標年次である平成22年より2年早く達成 ~

 皆さんこんにちは,今日は平成20年の入洛観光客数をとりまとめましたので,その結果を御報告申し上げます。5,021万人を数え,「5000万人観光都市」目標年次でありました平成22年より2年早く実現することができました。
 平成20年は,下半期の世界規模での金融危機や円高の影響もありまして,12月には対前年比で減少に転じましたものの,京都の底力を発揮し,11月まではプラスを維持し,年間トータルで1.5%増の5,021万人を記録いたしました。
 特に外国人の宿泊者数は,5年連続で過去最高を更新し,平成15年に約45万人であったものが,昨年は94万人,対前年比で1万人,1.1%増,5年間では倍を超えました。
 また,国別では,通貨が大幅に下落いたしました韓国からの宿泊者数が,7万2千人から4万人にと,44.3%減少するということもありましたが,オーストラリアや欧州からの宿泊者数は堅調に推移しました。
 とりわけ,ドイツは4万1千人で43.6%の増,フランスについては5万5千人,26.8%増,フランスは6,7年前,1万3,4千人でしたけれど,それからみると3倍を超える増加であります。要因といたしましては,第3次ジャポニズムということが世界で言われております。そして,クールジャパン,これはある意味ではクール京都ではないかとも思います。日本食,マンガ,ポップカルチャー,伝統文化など,日本の文化に対する関心が欧州で高まってきている。その象徴が京都であると思います。
 また,修学旅行生は将来のリピーターとして京都ファンに繋がるものでありますが,少子化や地域間競争が非常に激化しております。海外への修学旅行も増えています。そのような中で,積極的な誘致活動が功を奏し,前年と比べまして5千人,0.5%増の101万人となりました。ちなみにこの10年間で,修学旅行対象生徒数は426万人から356万人と16%減少しております。一方,京都への修学旅行生は,10年前96万人,昨年101万人,5%増,と少子化の中で,逆に増やしています。
 5000万人達成の要因は様々であると思いますが,「京都・花灯路」,「源氏物語千年紀事業」などオール京都で取り組んだ成果,さらに体験学習型観光事業「京都おこしやす大学」の取組,そして将来の京都ファンを創出する修学旅行の誘致に長年に亘って取り組んできたこと,国のビジット・ジャパン・キャンペーンと連携した外国人観光客誘致策や海外情報拠点の設置などが実を結んだものと考えております。
 また,ほんまもの嗜好,ゆとりや癒しなどの文化的,精神的な充足感が求められる中,全国的な京都ブーム,更には,欧米を中心とする日本ブームなどの追い風もあったと考えています。
 今回の「観光客5000万人の達成」は,市民の皆様をはじめ,寺院や神社,観光関連団体,経済界が心を一つにして,オール京都で取り組んできた大きな成果であります。京都の持っております優れた地域力,文化力,歴史力,さらにそれを支えます人間力,そのものにほかならない。改めてその力の大きさをひしひしと感じておりますし,感激しているところであります。ご協力いただいた多くの皆様方とともに喜びを分かち合い,更なる前進へ決意新たに取り組んでいきたいと思っています。
 しかしながら,昨年の9月15日のリーマンショックに端を発する100年に1度の不況により,さすがの京都も年末来影響を受けはじめ,今年4月の主要ホテルの客室稼働率が前年比マイナス6.7%と厳しい状況になっております。もっとも昨年4月の客室稼働率は95%と,予約しようとしても断られるといった状況であったものが,今年は88.3%ということです。東京でみますと88%という数字は驚異的な数字でありますが,影響を受けていることは事実です。一方で,3月の東山花灯路は,前年108万7千人に対して,114万8千人でした。さらに12月から3月に行っています「京の冬の旅」の非公開文化財特別公開の拝観者数が,一番厳しい状況の下で行われたにもかかわらず,前年の23万3千人から本年は33万6千人と,対前年比144%を記録しております。このように非常に好調を維持しているもの,前進しているものもございます。しかし,油断はできません。より一層京都観光に磨きをかけていかなければならないと決意を新たにいたしております。
 また今日大きな問題となっています新型インフルエンザ対策ですが,私どもは市民の皆様の安全を確保していくと同時に,こうした非常事態だからこそ,国際観光都市・京都として,観光客の皆様が安心して観光していただけるよう,常に万全の体制を整え,特に「おもてなしの心」を市民の皆様とともに十分に発揮していきたいと思っております。

次期京都市観光振興推進計画(仮称)の策定委員会の設置と「市民委員」・「市民・全国京都ファンアイディア」の募集について

 このように,試練に直面しつつも,市民の皆様とともに熱い想いで取り組んできた観光政策,100を超える政策を推進してきました。その成果が結実しました今,ポスト観光客5000万人構想に向けた新たな観光振興ビジョンの策定を当初の予定より一年前倒しで行いたいと考えております。そのために,幅広い分野からの方々に委員をお願いして「次期京都市観光振興推進計画」,仮称でありますが,その策定委員会を立ち上げることといたしました。
 観光はまさに「都市の営みの総和によるもの」であります。文化,宗教,芸術,学問,食文化,産業,景観,都市計画,交通,環境政策,あらゆる分野の総和が問われております。これからの京都の命運はまさに観光にかかっていると言っても過言ではないと思います。
 そこで,この委員会では,観光客誘致や受入環境の更なる充実といった分野に留まらず,未来の京都を見据え,更に国際社会における日本の役割,京都の役割といったことも踏まえまして,あらゆる分野からの検討をお願いしたいと考えております。検討に際しては,京都ならではのより質を重視したものにしていきたい,従って,量的な観点に加えまして,
 ひとつには,「歩いて楽しい観光」など,環境モデル都市にふさわしい「環境共生型観光」,ふたつには,文化,宗教,芸術,着物,食文化など,京都ならではの和の精神に触れて,感じていただける「心が癒される観光」,3つには,「大人が楽しめる」だけでなく,新たな魅力の創出によりまして,子供が家族と一緒に「楽しみながら学べる観光」,例えば,梅小路公園に計画されております水族館,鉄道博物館など新たな観光資源の創出ということも大事であります。さらに4点目としては,京都ならではの「大学のまち」としての「知の集積」を生かした取組も,大学と,あるいは大学コンソーシアムと連携して,より充実していきたいと思います。5つ目は,伝統産業から先端産業まで,「ものづくりのまち京都」であること,また,マンガ,映画,音楽をはじめ,あらゆるコンテンツ産業が京都には充実していること,そうした京都の強みを生かした観光,6点目としましては,市民の皆様が自分たちのまち,京都の魅力を再発見し,再認識し,その上でおもてなしの意識を発揮していく,向上させていく,そのような「市民による京都再発見」を目指す観点も大事だと思います。これらの観点から,質的な充実を目指していきたい。また宿泊観光客を増やしていきたい。そうした視点で取り組んで参りたいと思っています。
 この委員会での議論を京都市として,全庁挙げてバックアップしていく,そのために「観光振興プロジェクトチーム」を設置しまして,車の両輪で強力に推し進めて参りたいと思っております。
 委員につきましては,現在,各界の方々に御協力をお願いしておりますが,何名かの方について,御紹介申し上げますと,
 委員長には,観光立国懇談会委員の石森秀三(いしもりしゅうぞう)先生,観光立国懇談会の起草委員や「YOKOSO! JAPAN大使」選定委員会の座長を務められるなど,わが国の観光政策の中核を担っておられる方です。
 また委員には,エッセイストの麻生圭子(あそうけいこ)さん,東京育ちでありながら熱心な京都ファンで,京都の町家に暮らされ,京都の文化を発信しておられます。コピーライター太田恵美(おおたえみ)さん,京都市出身でJR東海のキャンペーン「そうだ京都、行こう。」のコピーを作成しておられます。舞妓さん,芸子さんが京都の優れた文化であります。五花街から宮川町の芸妓小桃(こもも)さんにお願いしたいと思っています。海外生活も非常に長く北京の中学校卒業と同時に舞妓になられた方であります。京都市在住のフランス人作家,パリから京都に移り住んでこられましたバルベリさんご夫妻,ご主人は写真家であります。お二人には先ごろ京都市の名誉親善大使をお願いしたところであります。また,星野リゾートの星野佳路(ほしのよしはる)社長,観光カリスマで嵐山の嵐峡館の再生も手がけられました。観光庁の神谷俊広(かみやとしひろ)次長,積極的に京都の観光振興に力を尽くしたいと心強いお声をいただいております。このように,非常に頼もしい方々ばかりでございます。
 多方面に亘るその道の第一線の方々にお集まりいただいて,議論を深め,京都観光を更に磨き上げていただき,素晴らしい計画ができるものと確信しております。
 また,委員会のメンバーとして,共に考え,共に知恵を出し合って計画を策定いただける市民委員を3名公募いたします。そのうちの一人は,「大学のまち・京都」,「学生さんのまち・京都」という視点にも立ち,若い人を代表して学生さんにお願いしたいと思っています。
 併せて,これからの京都観光に関する御意見,御提案を市民の皆様,また全国にいらっしゃる京都ファンの方々から広く募集させていただきたいと思っています。京都の魅力アップにつながるアイディア,京都観光の課題解決への妙案,あるいは京都の人間が気付いていない京都の魅力を全国の方々から示唆していただければありがたい,どんどんと御意見を寄せていただきたいと思っております。
 京都ならばできること,京都にしかできないことがたくさんあると思います。幅広い方々の御意見を聞いて,新たなステージに京都観光をもっていきたいと思っています。
 なお,100年に1度の経済危機,金融危機と今言われておりますが,1929(昭和4)年にアメリカ発の金融危機がございました。翌年から日本も昭和の恐慌となりました。その昭和5年に,京都市は初めて観光課を設置しております。昭和6年には,京都駅の京都市の観光案内所を拡充しております。京都市は昭和2年に,京都駅の観光案内所を設置しております。更に,昭和5年は,「鞍馬の火祭り」が不況で中止になった年であります。その時に京都市は,北山周辺,東山周辺,鴨川周辺を風致地区に初めて指定しました。今に繋がる京都観光のスタートは,昭和の金融恐慌の時であった。そして今,その先人たちの高い志と行動を見る時,私達は今こそ,京都の英知を集めて立ち上がっていくべきではないかと思っています。
 景観行政にも今,力を入れておりますが,あの金融恐慌の時に,京都の景観行政の土台を先人たちに作っていただいた。先人の熱い思いに応えられるよう取り組んでいきたいと思っています。
 私からは,以上です。

質疑応答(要旨)

(「5000万人」に次ぐ新たな目標)

記者

「5000万人」に次ぐ新たな目標は。

市長

 12年前,観光客数は3800万人台であった。そこで,量的なものに明確な照準を当て,オール京都で努力してきた。非常にわかりやすい目標であったと思います。
 次の目標をひとことでいうことはなかなか難しいが,5000万人構想を市民ぐるみで,オール京都で推進していく中で,自ずと質的なものを求めなければ量的なものも求められないということを実感しています。そうした(質を求める)取組の例が,大学と連携した「おこしやす大学」や,「源氏物語千年紀事業」であったと思います。
 先ほどもいくつかの視点を申し上げましたけれども,「見る観光」から「ふれあう観光」へ,例えば,「伝統産業に直に触れていただく」,「着物を着ていただく」,あるいは「京都で結婚式を行っていただく」といった視点もあるでしょう。定年を迎えられる団塊の世代の方々に,京都で再度学んでいただくという視点もあるでしょう。お寺,神社といった宗教的なことの「ほんまもん」にもっと奥深く触れていただく。あるいは京都には,茶道,華道,香道や,伝統音楽である雅楽,弦楽から京響に代表されるクラシックまで,様々な音楽文化があり,それに触れていただく。
 こうした多様な視点がありますが,あえて一言でいえば,「見る観光」から「ふれあう観光」へ,「学ぶ観光」へ,「癒される観光」へ,「モノをつくりだす観光」へといった視点ではないかと私自身は考えていますが,これについては委員会の中で幅広い議論をしていただきたいと思っています。

(新型インフルエンザを巡る京都市の対応,国や府との連携)

記者

新型インフルエンザを巡るこれまでの市の対応について,あるいは府や国との連携も含めて,気づいた点は。

市長

 平成17年から,こうした事態に備えて取組を進めて参りました。保健福祉局や消防局,保健所,衛生公害研究所,市立病院が,これまでの取組の成果を遺憾なく発揮している。また,産業観光局や行財政局もきびきびとした対応ができていると実感しています。
 感染者の近くにおられた方々については,安全確保のため,同意を得た上で,ホテルに停留していただいています。しっかりとフォローができている。今までは,京都のおもてなしの心を発揮できたと考えています。
 ただ,これからどういう事態が発生するのかわかりません。観光客への危機管理ということも含めて,より充実させていきたいと考えています。
 すでに御承知のとおり,京都市は,震災対策でも外国人や観光客への対応を充実してきており,毎年行っている,9月1日,1月17日の防災訓練でも,国際交流センターや観光協会,外国人通訳の方に協力していただく体制もできています。
 今回の一連の対応を,市民と観光客の安全を守っていく取組を充実する機会にしたいと思っています。この次期観光振興計画の議論の中でも,そうしたことを議論していただけると考えています。
 また,国からの情報提供も大分改善されてきました。国にも府にも,的確な情報を速やかに送っていただけるよう,引き続き申し入れていきたいと思っています。

記者

今後,国内や府内,市内での感染が懸念されますが,それに向けての市の取組は。府などは保健所への臨時雇用も検討されていますが。

市長

現在,万全の体制で取り組んでおります。政令市初のマニュアル「京都市新型インフルエンザ対策マニュアル」を4月24日に策定し,それに基づいて取り組んでいます。京都市は,市民の安全を守るため,現場の第一線で仕事をしている機関であり,必要に応じて職員を重点的に配置するといったことも含め,万全の対応ができる体制づくりを進めていきたい。

記者

今のところ,臨時雇用などは考えていないのか。

市長

はい。今,幹部職員はじめ担当の職員たちは,徹夜状態が続き,睡眠不足でがんばってくれています。それらの職員の健康管理については,しっかりしていかなければなりません。交代で休むようにと促してはいますが,なかなか臨時雇用で補える仕事が直接行政ではないのが現状です。

(「ふれあう観光」について)

記者

今後は「ふれあう観光」ということだが,これまで取り組めていなかったのか,それとも充実させるということか。もう少し詳しく。

市長

これまでも京都市は,(「ふれあう観光」について)全国の都道府県や都市が取り組んでいる以上のことを進めていると思います。しかし,京都には,他にも深いものがもっとあります。それらを観光客に体感していただくことが大事だと思います。京都に5回も10回も来られている京都ファンの方々が,また京都に来て,例えば,座禅を組まれたり,お花を生けられたり,京焼・清水焼のろくろを回したり,大学で特別講義を受けることができる。こういった取組を深め,進化させていきたいと思っています。

記者

座禅やろくろの体験というのは,これまでからあると思うが。

市長

 確かにあります。例えば,座禅を組む体験をされる方も増えてきています。更に,そういう方向に誘導していきたいということです。一泊二日や日帰りで来られる方が多くおられますので,そういった方に長期にわたり宿泊していただき,「ほんまもん」に触れていただく。そうした取組に重点を置いていきたいということです。
 一方で,ホテルの稼働率が95%ということは,見方を変えれば(キャパシティが)足りないとも言えます。京都に泊まれないから滋賀や大阪に泊まった,あるいは日帰りにしましたという方もおられるのではと思います。そういう受け入れ体制も含めて,質的な充実,量的な充実を図っていきたいと思います。

(「5000万人」達成のメリット,効果)

記者

観光客が5000万人を超えたことによるメリット,効果について,市長はどう捉えているか。

市長

和風迎賓館が御所にできたことで,度々,外国からの賓客をお迎えしますが,皆さん京都の文化,歴史,産業を絶賛されます。先日も,ブルガリアの大統領が来られましたが,帰り際にこういうことをおっしゃいました。「初めて日本に来たが,忙しい中,無理をして京都まで来て良かった。東京だけで帰国していたら日本を誤解するところでした。」と。
 このように,日本の歴史,伝統,文化,日本人の心を全国,更には世界の人に感じていただけることが京都観光の最大のメリットではないかと思います。
 同時に,現在の厳しい経済情勢の下で,多くの観光客に来ていただけることは,雇用の創出,あるいは伝統文化,伝統産業の活性化に繋がることもメリットとして挙げられます。私はいつも着物を着ていますが,この千年を超える京都の着物産業も,京友禅の出荷量が最盛期の3.4%,西陣織も最盛期の十数%という状態になっています。これは和の文化の発信が京都観光の大きな役割のひとつであると思いますし,それにより,伝統産業の匠の技を持つ方々が,仕事を確保でき,道具を確保でき,次世代に繋げていくことができる。千年を超える伝統文化,伝統産業が戦後の数十年の間に壊滅してしまうことになっては大変であります。衰退を食い止めることも京都観光の大きな役割であると思います。

(平成21年の入洛観光客の見込みについて)

記者

入洛観光客数は昨年12月の対前年比が減少している。新型インフルエンザの影響等もあることから,平成21年における5000万人の達成をどのように見込んでいるのか。また量的な目標は設けないのか。

市長

本年1月,2月,3月をみると,非常に厳しい数値がでています。観光という分野は最も経済活動からの影響を受けます。円高の影響をはじめ,不況になると娯楽的な支出が真っ先に削られます。また2年間という期限付きではありますが,高速道路の一律1000円施策が京都観光にどういう影響を与えるのか,こうした点を踏まえ,新しい計画の策定に取り組みます。

当面9月に,これまで懸命に誘致に取り組んできましたクールジャパン,今まで東京でしか開催されなかったものを,マンガミュージアムを中心に太秦映画村など京都において開催します。また10月10日から12月20日まで,商工会議所,府市協調のもと,多くの寺社や観光団体等を舞台に開催する「京都知恵と力の博覧会」にも力を入れたいと思っています。

記者

新計画策定に向け,どのように目標値を設定していくのか。観光客が増えても,実体経済に寄与していないのではないかという声もありますが。

市長

ホテルの稼働率が,かつて6割,7割だったのが8割,9割までになっていますので,この経済効果は誰がみても明らかです。お漬物,和菓子をはじめ京都の物販は,観光客のおかげで好調であると言えます。一方で,京焼き,清水焼あるいは着物に代表される和装産業,高級な京うるしなどには繋がっていない。これらにどう繋げていくかが,これからの課題だと思います。京料理屋や,室町,西陣地域の産業界が厳しい一方で,かつて京都の奥座敷と言われていたところが,観光客のおかげで元気だということもあります。やはり私は量的なものも大切だと思います。量か質かではなしに,量も質もだと思っています。

(京都観光における地下鉄利用について)

記者

地下鉄の利用率が伸びないと懸念されているなかで,観光客の増加と地下鉄利用者増とをどのように結びつけようとお考えか。

市長

冒頭に申し上げましたが,環境共生型の京都観光を推し進めていく。京都のまちは歩いてこそ,景色も人々の心意気も感じていただけるので,鉄道,地下鉄などの公共交通を利用していただき,「歩くまち・京都」を地道に推進していくことが大切ではないかと思います。

5000万という数字は大きいので,確かに地下鉄の利用者数に影響しますけれども,地下鉄利用者の中で観光客が占める割合は小さいです。やはり,定住されている方々が,マイカーから地下鉄,公共交通へ乗り換えていただけるよう取組を進めていくことが基本であると思います。

(新観光計画における観光組織の一元化について)

記者

先日,商工会議所の立石会頭が,京都府と京都市の観光組織の一元化について提言されていたが,どのようにお考えか。

市長

京都市は,直接行政の中で観光政策を進めています。京都市の観光案内所は昭和2年から長年にわたり積み重ねた取組があります。また,観光協会も旅館からホテル,お寺,神社,あるいは茶道,華道など,直接関わっておられる方々で組織され,長年にわたり営々とやってきていただいております。
 京都府は京都府で大切な役割をしていただいている。例えば,舞鶴の観光協会,宮津の観光協会,宇治の観光協会がそれぞれあり,その代表の方々が集まり京都府の組織をつくっている。ですから,京都市の観光協会と宮津の観光協会が一体になるわけにもいきませんし,代表組織と一体になるわけにもいきません。役割がそれぞれ異なるのではないかと思います。
 一方で,例えばオーストラリアからの宿泊観光客が7,8年前,数千人でしたのが,現在5,6万人に増えており,これは札幌市と連携したものです。今度は広島市と連携をした取組を考えています。このように観光行政は都市行政だと思います。フランスに行くとは言わず,パリに行くと言う。アメリカに行ってきましたとは言わず,ボストンに行ってきたと言う。中国に行ってきましたではなく,西安に行ってきました,上海に行ってきましたと言う。観光というのは,やはり都市行政ではないかと思います。
 「京都に行きます。」と言ったときに京都市が頑張る,そして源氏物語千年紀事業のように宇治市と連携し,大津市と連携し,というようなことをしていく。そうしたときに京都府が大事な役割を果たしていただけるのではないかと思います。

市長記者会見資料

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