スマートフォン表示用の情報をスキップ

門川市長記者会見(2009年2月4日)

ページ番号57619

2023年4月12日

平成21年2月4日門川市長記者会見

はじめに

平成21年度予算は,門川市政の初めての通年予算であります。予算の編成作業が最終段階に入りました。本日,予算案の概要,特徴,また,私が特に重点をおいた点について御説明させていただきます。

なお,予算案全体につきましては,後日,担当から御説明申し上げます。

平成21年度当初予算(案)の概要

アメリカ発の金融危機に伴う景気の悪化,このことによりまして,雇用不安がますます増幅するなど,社会経済状況が極めて不透明であります。
 このような中で,来年度予算は,厳しい状況である市民生活,また京都経済のセーフティーネットをしっかりと確保しつつ,「京都の未来のまちづくりを本格的に展開する予算」として編成いたしました。 
 一般会計の予算案の総額は,6,940億円で,肉付補正後の今年度予算と比較して,44億円,0.6%の増となります。
 予算編成にあたっては,本市の厳しい財政状況を踏まえまして,徹底した事業の見直しと選択を指示し,市民生活を守り,将来の京都のまちづくりにとって必要な事業にポイントを当てた編成作業を行ってきました。
 一方で,秋以降の急激な景気後退による雇用,経済,市民生活への影響を考慮し,緊急の対策を講じる必要が生じたため,中小企業への融資枠の拡大のための預託金を169億円増額したほか,雇用対策事業に8億円,あるいは妊婦健診の公費負担の拡充に,今年度の肉付補正予算からさらに10億円,また国民健康保険料の負担増を抑えるために,一般会計からの財政支援の増額に5億円,障害者自立支援給付費の増額に27億円など,市民生活を守る施策にしっかりと配慮しました。このことによって,増額予算となったものであります。
 公営企業を含む全会計の予算総額については,1兆6,518億円と前年度と比較して3%の減となっています。
 予算編成にあたっては,環境の観点から清掃工場など既存の施設をできるだけ大切に,長く使うなどの創意工夫のほか,行政と市民の皆様が知恵をしぼって,効率的効果的な事業構築を図る,まさに,ハード事業から,より一層ソフト事業中心の予算への転換を大胆に図っています。
 歳入の根幹をなします市税収入は,景気の急激な減速に伴う法人市民税の減などにより,5年ぶりに前年度を下回る見込みとなったものの,地方交付税や臨時財政対策債の確保により,一般財源等収入の総額は,ほぼ前年度並みの3,889億円を確保できる見込みであります。 
 このことと,行政運営の更なる効率化による職員数の大幅な削減,平成23年度までに当初の見込みを増やしまして,1,300人削減します。さらに本年1月からの課長級以上の職員の給与カット,市長20%,副市長12%,課長級以上5%,更には来年度21年度から,全職員の給与カット,政令指定都市でトップ水準の給与カットを行うなどにより,給与費を5%と大幅にカットしました。こうした市役所が率先した行財政改革の取組等が相まって,何とか財源確保の見通しが立ったというのが実情であります。
 また,政策推進と財政の健全化を両立させることが,私の基本姿勢であります。市債の発行額については,国が返済に責任を持つ臨時財政対策債を除くと,前年度と比較しまして103億円下回る487億円と大きく減少させることができました。
 これによりまして,一般会計の臨時財政対策債を除く市債残高は前年度を112億円下回る見込みとなり,これまでで最大規模の減少幅となります。
 また,公営企業を含めた全会計の市債残高においては,275億円減少となり,国が責任を持ちます臨時財政対策債を含めましても,88億円減少させることができました。
 20年度の肉付補正後において,現行の財務会計制度となって以来初めて,全会計の市債残高を減少させることができましたが,これに引き続き,来年度予算においても,減少させることができ,財政の健全化に着実に取り組んできた成果であろうと思います。
 一層厳しい状況でありますが,行財政改革に手綱を緩めずしっかりとがんばって,将来の世代に過度の負担を先送りしない,そういうことも念頭において予算を編成できたと思っています。
 さて,未来のまちづくりプラン,市民の皆様に企画段階から積極的に参画いただき,数多くの御意見をいただきました。そして,策定されました23年度までの市政運営の羅針盤であります。
 このプランを着実に力強く推進していくために,予算の編成にあたって,次の3点に重点をおきました。

 1点目は,「雇用対策,中小企業支援とセーフティーネットの強化」であります。
 厳しい経済状況の下,特に市内中小企業への影響はとりわけ大きいことから,私を本部長とした緊急経済・雇用・生活対策本部を設置するなどスピード感を持った対応に努めているところであります。京都市中小企業支援センターでは,体制を強化して相談に応じておりますが,セーフティーネット保証の「5号」認定件数は昨年10月31日,緊急対策本部設置以降で5,379件,昨年4月からだと6,337件と前年度に比べまして約8倍にも上っております。指定業種を拡大したこともありますが,中小企業の厳しさを物語っているなと感じています。
 このような中で,誰もが安心して暮らせるまちづくりを推進するため,来年度予算においても,まず第1に緊急雇用対策と中小企業支援,それに加えて,子育て支援や障害者支援,防災施設の整備などセーフティーネットの強化を重点におきました。

 2点目は,「次世代に向けた環境共生のまちづくり」であります。
 先日全国約1,800の自治体の中から,厳正に選ばれまして,「環境モデル都市」の認定を受けました。全国で13自治体であります。
 これを新たなスタートとして,京都議定書誕生の地の誇りと使命感を持って,京都ならではの地域力を活かした,また京都ならではの景観に配慮した,環境共生のまちづくりに,新たに設置する環境政策局を筆頭に取り組んでまいりたい。
 「DO YOU KYOTO?」を合言葉に,市民ぐるみで全庁を挙げて低炭素社会の構築に向けて取り組むなど,50年後,100年後の京都の未来を見据えた取組を推進してまいります。

 3点目は,「歩いて楽しい『歩くまち・京都』の推進」であります。
 京都市のシンボルプロジェクトのひとつであります。自動車中心から公共交通中心への転換を図り,「人が主役の魅力あるまちづくり」を推進していきます。
 自動車流入抑制などの実施に向けた検討を進め,自動車交通の抑制と一体となった歩行者の快適な移動空間の確保によるまちの賑わいの創出を目指し,歩道の拡幅や駐輪場の設置拡大など,歩いて楽しいまちを実感していただく取組を強力に進めてまいります。
 その他,本年度予算において,新たな市政改革,市政創造の取組として,事務事業の見直しや市民と直接対話する第一線の現場であります区役所からの提案事業を幅広く盛り込みました。 
 具体的には,戸籍事務の電算化により事務の効率化と市民の利便性の向上に努めるとともに,各行政区の地域の実情に見合った地域主体の取組である区長提案事業を昨年の15件から24件へと大幅に増やしました。私は,地域主権時代のモデルを京都からつくっていく,そのように申しておりますが,その一番の主役は区民と区役所であると思います。従って,地方分権といいますけれど,組織内分権,どんどん区の機能を強化して,区民と区役所が一緒にまちづくりをしていく,そんな予算にしました。

重要事業の内容

それでは,特に重点の3本柱につきまして,その中から4つの事業について私から概要を説明させていただきます。

なお,詳細につきましては,記者会見終了後,担当課より御説明申し上げます。

<雇用対策,中小企業支援とセーフティーネットの強化>

(雇用対策と中小企業支援)
 まずは,「雇用対策」であります。
 直ちに雇用創出に向けて取り組むとともに,引き続き切れ目なく来年度も継続していくため,20年度2月補正予算と21年度当初予算の双方に計上いたします。
 国の交付金を活用し,約680人の雇用創出を目指しております。
 雇用創出の事業として,松くい虫などの害虫の被害を受けた樹木の調査・伐採・搬出作業,また保育所に設置する滑り台,ジャングルジムといった遊具のペンキ塗り,観光地や不法投棄の多い山間部周辺での美化活動など,36の事業を実施してまいります。
 中小企業支援につきましては,新規事業として,京都経済の中核を担い牽引役となっていただく企業を支援・育成するための「企業経営おうえんプロジェクト(仮称)」を展開します。
 このプロジェクトでは,新たな3つの取組として,
 1つは,相談窓口への来所を待つことなく,京都市の方から200社を目標に,積極的に現地現場主義で企業の現場を訪問し,有望な企業の発掘や課題の把握等を行う。
 そして2つ目は,「企業経営おうえんアドバイザー(仮称)」を置いて,発掘した企業のパートナーとして経営から財務,さらに広報・販路開拓まで幅広い分野に目を配りながら,継続して適切な支援を行っていく。
 3つ目は,「アドバイザリーボード(仮称)」を設置して,企業経営おうえんアドバイザーがより的確な支援策を講じられるよう,深く高度な見地からの助言を行う。
 あわせて,昨年私が市長就任時には800億円でありました新規融資枠を,2度にわたって補正をしまして,現在 1,300億円としましたが,更にこれをほぼ倍増となります1,500億円まで拡大することで,金融支援に万全を期してまいります。
 京都には,すばらしい中小零細企業がございます。その企業の値打ちを企業経営者が必ずしも知っておられるとは限らない。そういうところへ積極的に出向いて行って,企業の価値を見つけ,課題を見つけ,そして応援し,同時に金融支援もきっちりやっていこうということです。
 これらの緊急の課題である雇用創出,中小企業支援によって,市民生活に最も身近な仕事をしています基礎自治体としての京都市の役割をしっかりと果たしていきたい,そのように思っております。
(障害者就労支援推進事業)
 次に,障害者の就労支援推進事業であります。
 新たに障害者の就労を促進するための2つの事業に取り組み,京都市が率先して障害のある人が生きがいを持って働ける職場づくりを推進していきたい。
 「障害者職業能力開発プロモート事業」は,新規にプロモーターを2名配置して,就労を希望する人の適性を踏まえた職場実習先の開拓や,企業と福祉施設双方を対象とした職場見学等を行います。あわせて「京都市障害者就労支援推進会議(仮称)」を設置し,福祉施設,ハローワークなどによる就労支援のためのネットワークを構築していきたいと思っています。
 また「障害者職場実習・チャレンジ雇用推進事業」では,障害者の中でも企業への雇用率の低い,知的あるいは精神障害者を対象に,約2週間,市役所で職場実習をしてもらう,京都市が自らそうした場を提供する。また,職場実習の受入れによる経験を活かして,臨時的任用職員としての採用を京都市が率先して実践する。そして,企業等における知的・精神障害者の雇用拡大を目指していきたい,そのように思っています。

<次世代に向けた環境共生のまちづくり>

次に「次世代に向けた環境共生のまちづくり」におきましても幅広い事業を予定しておりますが,「太陽光発電普及促進事業」を御紹介いたします。
 京都市では,地球温暖化対策の一環として,自然エネルギーの利用を促進するため,平成15年度に太陽光発電システムを設置する場合,その費用の一部を一律で助成する制度をつくっております。
 「環境モデル都市」としての取組を本格始動させるため,来年度は「温室効果ガスの削減」と「京都らしい景観の創出」,これを併せて実現するために,正に政策を融合した取組の1つとして,景観規制区域において景観に配慮した太陽光発電システムを設置される場合には,1kW当たり8万円の助成を行うということであります。
 この地域は,京都市の市街化区域面積の95%に当たります。市内のほとんどの地域が,受給対象になると考えていただいたら結構です。
 その他の地域におきましても,従前の助成単価1kW当たり4万5千円を5万円に増額します。 
 景観に配慮した標準的な戸建ての住宅向け太陽光発電システム,平均の太陽電池容量3.3kWで考えますと,これを設置した場合,京都市の助成額は15万円程度から30万円近くに大幅に増加いたします。多くの方々に活用していただきたいと思います。

<歩いて楽しい『歩くまち・京都』の推進>

続きまして「歩いて楽しい『歩くまち・京都』の推進」についてであります。これにつきましても多様な取組を予定しておりますが,そのひとつとして「御池通シンボルロード」の取組を紹介させていただきます。
 環境にやさしいまちづくりの象徴として,また,市民参加事業の象徴として,御池通シンボルロードを捉え直したいと思っています。御池通の堀川から御池大橋までの1.7キロを「四季の花ストリート事業」として,花と緑でいっぱいにし,間伐材を使用した花壇の設置などを行うとともに,企業等のスポンサーから協賛金を募り,市民サポーター等には花壇の世話をしていただく,市民ぐるみで取り組んでいく。環境都市の象徴の取組としていきたいと思っています。
 併せて,自転車の駐車場の整備については,現在「まちかど駐輪場」のモデル実施をしておりますが,アンケート結果や地元関係者の意見を踏まえつつ詳細を決定していきたい,そのように思っています。

最後に

最後になりますが,市役所あげてこの間,行財政改革に取り組んできました。とりわけ,大幅な人員削減,また5%にも上る給与費のカットなど,まず市役所の職員が率先して大粒の汗をかこう。同時に市民の皆さんと汗をかきながら,この厳しいときを乗り切っていきたい。
 厳しい財政状況の下でありますけど,同時に未来への展望はきっちりと開いていきたい。そのために,様々な京都のまちの強みを活かした事業を展開してまいりたい,そのように思っております。
 予算(案)の全体は後ほど,担当から御説明申し上げます。どうぞよろしくお願いします。
 私からは,以上です。

質疑応答(要旨)

(予算が増額となった理由)

記者

「秋以降の急激な景気後退による対策を講じたため,予算規模は増額」とある。どこかの時点で方向転換をされた,(景気後退への)対策が必要だという舵を切られたと思うのですが,そのあたりのことについて伺いたい。

市長

率直に申し上げて,向こう3年間で964億円の財源不足といえども,これだけ景気が冷え込むときには,セーフティーネットをきっちりと確保しなければならないと判断しました。
予算の増額の最大の要因は,融資枠拡大のための169億円の預託金の増額です。これを除けば,減額予算になります。平成20年度当初予算で800億円だった中小企業の新規融資枠を1,500億円にまで拡大した。景気後退で,資金ショートにより中小企業の経営が行き詰まることがあってはならないと考えた。

記者

当初は百数十億円減額のマイナス予算を見込んでおられたということか。

市長

そういうことです。

更に言えば,京都市が独自方式を採っている障害者の(サービス利用)支援策です。障害者が自立するために,京都市独自の方式で福祉サービスの利用者負担額の軽減措置を行っていますので,多くの方に利用いただいている。そのことによって,財政支出は増えるわけですが,これについても予算はきっちりと確保している。これも27億円の予算増となっています。

(歳出の見直し)

記者

市債残高を減らすため既存の歳出を見直されたのではと思いますが,どういう点に重きをおいて削減されたのか。

市長

当初の予定では,クリーンセンターの一つを来年度から建て替えることになっていました。専門家等が十分に調査し,なお3年間は十分に使えることが判明したので,できるだけ長持ちさせることにした。例えば,そういうことです。

記者

不要不急の案件を見直したということ,市民生活に影響の出ない部分を見直したということか。

市長

そうです。

(予算総額500億円減の理由)

記者

全会計の予算総額が約1兆6,500億円ということで,今年度から500億円ほど減っているが,大きな原因は何か。

市長

上下水道事業などで,大型の投資がヤマを越えている。また,先ほど申し上げたように,できるだけ現在のものを有効に活用していくということが要因です。

記者

市バスを長持ちさせるといったこともありましたが,一般会計から他会計への支援も相当削られているのでしょうか。

市長

これは,未来まちづくりプランでも明らかにしています。
民間バスは比較的長く使っておられることからも,市バスは,今まで14年で更新していたものを18年まできっちりと整備しながら使っていくこととした。それにより,一般会計で補助していたバスの買い換えに掛かる経費を減らすといったことは進めております。

(プール制の減額理由)

記者

プール制のことですが,改めて,なぜこれを減らさなければいけないのか。

市長

私は,子育て支援を市政の最大の課題の一つに掲げてきました。後日発表しますが,来年度予算でも,子育て支援に関する様々な取組を展開していきます。 

保育行政は,大きく国の制度に依拠していますが,プール制においては,国の基準で人件費は140億円,そのうち国基準での保育料収入を除く約2分の1を京都市が負担しております。それにプラスして,公立の保育園と同じ給与を保障していく,また,よりきめ細かい保育のために,国の基準より人員を増員して配置していくということで,京都市独自で45億円もの予算を投入しております。更に,保育料を国の基準から大きく引き下げて全国でも低いレベルにするため,28億円の予算を投入するなど,保育の充実に,京都市独自で総額80億円を超える税金を投入しています。

そうした中,京都市は,徹底して市職員の人員削減に取り組んできました。更にはこのたび,全職員の給与カットに取り組みます。来年度予算だけでも,人件費は5%のカットです。人員を減らし,給与をカットし,手当を減らしております。

今回の5億円という削減額は,プール制の財源185億円のうちの3%弱であります。そのことについて,多くの保育関係者,市民の方々に御理解いただけると私は確信しております。

まず市役所の職員が率先して大粒の汗をかく。同時に,この危機を乗り越えるために,みんなで汗を流そうということです。しかし,歯をくいしばっても保育料は値上げしないこともお約束しております。保育所の職員にだけ,3%弱のことを求めているわけではございません。様々なところで,市民の方々に御負担をお願いしていることは事実です。

この財政危機を乗り越えていかなければ,京都市が財政再生団体に陥ってしまう。営々と築き上げた努力の全てが無になってしまいます。同時に私は,子どもたちの未来のために巨額の借金を更に増やすことは,するべき選択肢ではないと思います。そのことも踏まえて,私は市民の皆様に御理解賜れるものと思っています。

様々な方から激励をいただいています。保育関係者の方からの激励もいただいています。

記者

プール制の運営,保育園全体の運営の中に,まだ見直せる余地がどこかにあるということか。

市長

みんなで知恵を出しましょうということです。かつて京都市は,2万人を超える職員がいました。様々な取組をして今,1万6千人を割り,更に1,300人減らし,給与や手当のカットもします。 

プール制については,今まで手をつけてこなかった。私はプール制そのものは維持していこうと思う。しかし,それを聖域にしたり,3%弱のカットもしてはいけないとまでは考えていません。それをすれば保育水準が瓦解するとは思っていません。障害のある子どもに対する保育の手立てなど,新たに考えていることもあります。

(予算編成の所感)

記者

今回の予算は,市長が最初から最後まで,携わった初めての予算だと思います。予算編成について,難しさなども含め,所感は。

市長

まずは,財源不足であります。地方分権,地域主権時代といったことが言われていますが,財政的には地方分権になっていない。それどころか,三位一体改革も含めて,政令市であり,かつ,財政基盤が脆弱な京都市にとって,危機的な状況になっている。やはり,国へ制度改革を強く迫っていかなければならないということを痛感しました。
同時に,この半年の経済危機のあおりで,「縮み志向」になってはいけないと。京都市の予算の規模は小さい。しかし,例えば,中小企業支援のプロジェクトを新たに起こしていく。あるいは,和装産業活性化の取組を行っていく。京都市と幅広い市民・業界団体とが協働し,京都の強みを最大限に活かした取組の芽を出していく。そうしたことに意を用いました。

(市税収入減少の影響について)

記者

市税収入が昨年の肉付予算以降,38億円減少することについて,どのように見ているか。今後3年間の「京都未来まちづくりプラン」に掲げた施策を進めるに当たって,支障が出るのか。京都府では,数百億円の法人税の減収を見込んでいるが,これについてもどうか。

市長

前回も説明しましたけれども,都道府県と基礎的自治体である市町村では,税の構造が大きく違いますので,そもそも京都市における法人市民税収は,例年400億円程度に止まっており,税制上の違いがあります。
今後3年間を見通した時に,なお厳しい状況が出てくることもあろうかと思います。しかし,これだけは予想できませんので,最新の情報をもって予算編成をしました。今後については,京都市だけでできることと,つまり,より効率的な財政運営を執行していくことも大事ですが,同時に全国の自治体が縮小傾向の予算を組んだら日本の経済の復活もないわけですから,国に対して必要な財源措置を強力に迫っていく必要があると思っています。

(予算の命名について)

記者

この予算に名前を付けるとしたらどういったものになるか。

市長

「セーフティーネットと未来志向予算」。両立させていくということです。「知恵と汗の予算」とも言えます。

(市税収入の見通しについて)

記者

市税収入の見通しだが,何か前提としている経済成長率など,具体的な数字はあるか。

市長

個人市民税は,前年度の収入に基づいて推定していますし,法人市民税は,毎年行っている企業に対するアンケート調査に基づいています。

記者

アンケート調査については,対象企業を増やすとか時期を前倒しにするとか,特別な工夫はあったのか。

市長

毎年11月の末に実施しておりますので,いろいろな状況が反映されていると思います。それプラス,様々な要素,為替の相場などを勘案して見込んでいます。

(予算の評価について)

記者

市長の理想とする予算編成が仮に100点とすれば,今回は何点を付けるか。

市長

90点を付けます。

記者

10点はどの辺りか。

市長

正直言って財源不足ですね。これはもうこれほどの財源不足,地方交付税の減額が大きな要素ですけれど。

記者

そういった外からの要素以外では,自分の満足いく予算編成ができたということか。

市長

そうですね。人員削減から給与カットから,さまざまなところに御無理もお願いして,苦渋の選択をしましたけれども,同時にしっかりと未来を展望していく予算ができたと思っています。

(外郭団体の資金運用について)

記者

外郭団体の資金運用についてお伺いするが,市としては,直接的な対応を取られていないと思うが,今後如何か。

市長

外郭団体といっても,独立した組織として民間の人材,知恵,あるいは活力,そうしたものを活かして,自立的に運営していただくべきものであり,それぞれの外郭団体が主体性を持って判断し行動していただく,これが基本だろうと思います。ただ,京都市もそうでありますように,金融商品の活用等については,それぞれが基本理念と指針をきちっと持って行動することが大事だと思います。それがないところについては,きちんと作っていただく,そういうことを指導しております。

記者

今回の協会については,そういった指針がないということですが,それを作るように指導するということですね。

市長

そうです。

(雇用に繋がる環境施策について)

記者

重点政策で『環境』を挙げているが,アメリカだとオバマ大統領が雇用と環境を組み合わせた重点政策を取り上げている。来年度の京都市の環境政策で,雇用に繋がる予算を盛り込んでいる事業はあるのか。

市長

間接的には雇用に繋がりますが,松くい虫などの害虫の被害を受けた樹木の調査や伐採などは,環境保全に直接繋がります。環境の視点から見れば環境問題でありますし,雇用の視点から見れば雇用対策であります。特に配慮したのは,縦割り行政に陥りやすい各施策を融合させていこうということです。

また,先程の景観配慮型の太陽光発電設置に対する助成制度,これも景観配慮型の開発に積極的に取り組んでおられる企業の中には,京都の企業も含まれていますので,そうしたことにも意を用いました。

市長記者会見資料

お問い合わせ先

京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

フッターナビゲーション