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門川市長記者会見(2008年12月17日)

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2023年4月12日

平成20年12月17日門川市長記者会見

「木の文化を大切にするまち・京都」市民会議の設置について

 まずは,「木の文化を大切にするまち・京都」市民会議の設置について,御説明させていただきます。京都議定書誕生の地として,また自然と共生してきた日本の歴史,伝統を今も大事にしている京都としての誇りに賭けて,市民ぐるみで環境問題について様々な取組を今日まで展開してきました。新たに「木の文化を大切にするまち・京都」市民会議の発足であります。
 本市は,4分の3を占める森林,この森林は,二酸化炭素の吸収源として温室効果ガスの削減に貢献するとともに,山紫水明と言われる京都の美しい自然景観を形作ってきました。また,京町家に代表される木造家屋は,そこで営まれてます門掃きや打ち水,あるいは坪庭等々,生活習慣も含めまして,環境に優しいライフスタイルの象徴として,今全国はもとより世界から大きな注目を浴びております。ニューヨークでの京町家サミットでも賞賛を受けたところであります。
 市民会議におきましては,こうした京都のまちに息づきます「木の文化」の特徴と,伝統を守りつつ常に新しいものを取り入れようとしてきた進取の気風を持つ京都人の知恵を活かして,京都ならではの低炭素社会づくりに向けた方向性や具体的な取組を検討していただくこととしています。
 この「木の文化を大切にするまち・京都」の構築は,一つは「歩くまち京都の推進」,もう一つは「ライフスタイルの変革」,さらにもう一つは「イノベーション,技術革新」,それらと並んで環境モデル都市を目指す京都市のシンボルプロジェクトの一つであります。
 市民の皆様や幅広い分野の学識経験者,事業者の方々などに企画段階から御参画いただき,共に知恵を出し合い,目標を共有して実践へとつなげていきたいと考えています。市民会議では,3つのテーマ別にチームを設置して,議論を深めていただくこととしています。
 一つ目は,京都の景観と調和した省エネ建築物の認証基準「CASBEE(キャスビー)京都」の策定を検討していただくことであります。「CASBEE」は,一般的に建築物の環境性能を評価する物差しとして運用されておりますけども,「CASBEE京都」では,特に景観への配慮や二酸化炭素の削減といった要素に重点をおいた京都ならではの独自の基準づくりをお願いしたいと考えています。
 二つ目のチームでは,モデル住宅「平成の京町家,低炭素景観ハイブリッド型住宅」の開発に取り組んでいただく。民間事業者が進めておられます最新の技術を集めた「省CO2推進事業」に京都ならではの景観の要素を加えた現代版京町家を開発,建設していくということであります。
 三つ目のチームでは,日々の暮らしやまちづくりの中で「木の文化」を大切にするために,今,何ができるのかを議論していただく。例えば,市内産木材の活用,壁面・屋上の緑化,植栽などに市民参加の輪を広げていく方法や,木のおもちゃに親しむ等,子どもの頃から木の文化を大切にする心を育むなど,たくさんのアイデアの提案を待って,京都ならではの取組を進めていきたいと思っています。
 また,後ほど御説明申し上げますが,「間伐材を利用した横断防止柵の整備」,ガードレールについては,なかなか厳しいところもありますが,出来る限りのことをしていきたいと思っております。市民会議の議論と並行して,間伐材による横断防止柵を整備することで,得られる成果,あるいは課題を市民会議に還元させていきたいと思っています。
 この3つのテーマを基に,専門性の高い,また市民感覚に根付いた議論をしていただき,脱温暖化への取組を更に加速させていきたいと思っています。私は,古き良き京町家,これを出来るだけ守っていく,同時に新しい京町家が建ち並んで,まちのあちこちに緑が溢れる。そして,そこに暮らす人々が季節感を大事にする,環境に対して心した生活をされる。伝統を活かした生活をされる。そんなことを京都モデルとして,市民ぐるみで推進していきたいと思っています。来年1月から2箇月に1回のペースで開催していただき,3つのチームで積極的な議論を重ねていただいたうえで,来年秋頃には,最終答申をまとめていただきたいと考えています。
 市民参加を推進していくということで,市民委員の公募も致しますので,多くの市民の皆さんの応募をお待ちしております。

間伐材を利用したベンチや横断防止柵の整備について

次に,間伐材を利用したベンチや横断防止柵の整備であります。
 先程申し上げましたとおり,市民会議で議論していただく森林資源の活用に関連した京都市の実践行動として,来年度,世界遺産であります二条城の周辺で,既設の鉄製の横断防止柵を,木製のものに換えていきたい。そしてさらに,京都の木を使っていきたいと考えております。景観上もイメージアップになるのではないかと思っております。
 またそこで,木製の耐久性,あるいは維持管理上の課題等についても検討して,市民会議に還元させていきたいと思っています。
 今まで,花背小中一貫校の整備や,あるいは下京中学校,下京中学校では子どもたちが花脊の市有林に行きまして,自ら木を切って,それを乾かして,床材,腰板などに使ったりしている。そうした取組を進めてきましたけれど,より一層推進していきたい。来年には,通水式を行います堀川のベンチなどにも木製のベンチを作っていく。そうした取組も進めていき,市民会議と共に木の文化を振興させていきたいと思っています。
 私からは以上でございます。

質疑応答(要旨)

(市民会議での課題について)

記者

今回の市民会議では,基本的に木をいかに有効利用するかが重要ということだが,木を供給する側の役割はあるのか。

市長

まず木が利用されない,需要が無いというのでは森がだめになってしまう。だから最大の課題は,需要の喚起だと考えています。そして,木の良さをみんなで感じてもらおうと思っています。
 今日も局区長会で指示しましたが,かなり思い切って意図的に実施していかなければ,なかなか進んでいきません。例えば,消防法や,建築基準法との関わり,耐久性の問題などが原因となって木が使われない,あるいは,使われても外国の輸入材の方がどんどん使われています。そんな中,まず最大限に注視すべきは,地域産の木を活用することです。同時に,道路に街路樹をもっと増やしていく,あるいはしっかり間伐して森を守っていくなどの取組も総合的に実行していかなければならないと思っています。

(交際費の使途基準について)

記者

先日,市会議員のパーティーや新年会等に交際費が使われていたという報道があった。複数の職員が同じパーティーに参加していた事実についての市長の所見と,今後,交際費の使途基準を厳格化するなどの見直しをされるかどうかについて,お聞かせいただきたい。

市長

議員との懇親会は,議員の皆様との懇親という意味もありますが,同時に,幅広い市民の方が参加されている場に本市の職員の代表が参加し,交流するという意義のあるものです。最高裁においても,その費用に交際費を充てることは適法という判決が確定しています。したがって,そのこと自体は問題ないと考えております。
 また,基準につきましても,本市において基準をつくり,その下で執行してきております。そして交際費は,平成14年の予算額で9000万円だったものが,今年度予算額は2900万円と7割近いカットをしてきております。こうした状況にはありますが,今日の厳しい財政状況等に適応したあり方については,より人数を絞るなど,市民感覚に基づく見直しが必要だと考え,既に指示しているところです。

(交際費の使途状況の公開について)

記者

京都市のホームページにおいて市長等の交際費は開示されていないが,今後,執行状況等をホームページで公開することをお考えか。

市長

情報公開制度が有効に機能しておりますので,現在でも申請されると適正に公開するようにしております。何についてホームページで公開するかについても,今後検討していきたいと思っています。

(市有地の管理について)

記者

京都市交響楽団の練習場の敷地を,近隣住民の方が駐車場として個人的に使用にしているという事案が判明したことについて,市長のご見解は。

市長

やはり市有地は,京都市民共有の財産ですので,正当な理由無しに使われている状況は是正しなければならないと思っています。あの事例につきましては,地域の方々がかなり関わって施設を造ってきたという,そもそもの歴史的な経過があるようです。しかし,そうした過去の経過はあっても,現時点で市民の感覚に基づき,公正かつ厳正な公有財産の管理は必要ですので,万全を期して参りたいと考えています。

記者

今回の事案を機会に,例えば,市有地あるいは市が管理する施設の敷地の管理の在り方を全市的に再確認するようなことをお考えか。

市長

それぞれの部署で厳正な管理が行われていると考えておりますし,市営住宅につきましても,明け渡し等には,厳格な基準を適用し,場合によっては裁判にも訴えてきています。今回のことは,異例で把握し難い,歴史的な経過があるケースだと思っています。

(2008年を振り返って)

記者

本年最後の記者会見ということでお伺いしたい。市長御自身も激しい選挙戦を戦って市長に就任された激動の年であったと思うが,2008年を振り返って,印象に残った出来事,そして,来年に向けての抱負は。

市長

良いことから申しますと,「源氏物語千年紀」など市民ぐるみで進めた京都ならではの取組が大きく花開きました。そして,厳しい経済状況にもなりましたが,京都観光が我が国はもとより世界各国から評価されている。更に,産学公の取組がより一層進み,国の事業認定を受け,桂イノベーションパークで新たに環境ナノクラスターの取組を強力に推進できるといった前進がありました。
 事業所や市民活動のあちこちの場,この1年,振り返れば1日も休むことなく,700ヶ所を訪ねさせていただきました。市民の方々が非常に志高く,京都のために,地域のためにと頑張っていただいている。そんな熱い志や行動に触れさせていただきました。
 一方で,年が変わって,原油高等により景況感が大きく変わりました。去年の12月16日に私が出馬表明させていただいたとき,マスコミ報道も,経済評論家の批評も,国の経済指標も,「景気は戦後最長の回復期にある。」となっていました。ただ,零細企業やワーキング・プア等の格差問題,労働分配率の問題があるとされていた1年前でした。年が変わって原油高。そして9月15日以降の100年に1度という金融危機。その中で,10月31日に直ちに中小企業支援のための緊急対策本部を設置し,中小企業の融資対策等に取り組んできましたが,1年でこれだけ劇的に変わるのかということに緊張感を持っております。また,地方交付税の大幅な減額などによる厳しい財政危機の中で,全職員の給与カット,千人を越える人員削減を進めていかなければならない状況にあります。しかし同時に,京都の地域力・人間力といった素晴らしい力も実感していますので,困難なときほどポジティブに頑張っていきたい,そんな決意を新たにしています。

(固定資産税の過徴収)

記者

南区役所で固定資産税の過徴収がありました。

市民と協調して市政を運営されている市長として,市がミスしたものをしっかり返さないということについて,見解をお聞かせください。

市長

平成9年度から,京都市独自に,容積率が300%以上の地域で,道路・公園等の都市計画が決定されている予定地について,その割合に応じて減額補正を行うという制度を実施してきました。道路については詳細な図面に基づき計算しているが,公園については詳細図面でなく概略を使用してきたため,こうしたことが起こっており,新たに公園についても詳細図面を使って計算することとしました。
 また,地方税法の規定では5年ですが,京都市が平成3年に定めた20年まで返還するという規定の文言「瑕疵ある課税処分」の解釈に議論があり,私から直ちに精査すること,検討することを指示しました。納税は,市民の皆様の理解が大事であることを踏まえ,十分に検討してまいりたいと考えています。

(今年1年を漢字1文字で)

記者

この時期恒例の月並みな質問ですが,今年1年を漢字1文字で表すと。

市長

「知」。「知る」,「知恵」の「知」です。

記者

その心は。

市長

京都の素晴らしさを改めて「知り」ました。同時に,あらゆる市民の「知恵」を集めて未来を切り開いていこう,そう思っています。更には,京都市政が置かれている状況を十分「知る」こと,その上で,みんなで「知恵」を絞って未来を展望することが必要だなと。「知る」ということと,「知恵」ということの「知」です。

市長記者会見資料

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京都市 総合企画局市長公室広報担当

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