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門川市長記者会見(2008年12月8日)

ページ番号54053

2011年12月7日

平成20年12月8日門川市長記者会見

「京都未来まちづくりプラン(案)」の策定及び市民意見の募集について

 皆さんこんにちは。本日は,今後4年間の市政運営の羅針盤となります「京都未来まちづくりプラン」の案を策定しましたので,その内容を御説明させていただきます。
 このプランでは,1200年を超える悠久の歴史を誇る京都のまちが,その「文化力」「地域力」なによりも「人間力」,それらを「京都力」として融合して,新しい地域主権の時代のモデルとなるものをこの京都から創っていきたい。そのキーワードは,市民の皆様との「共汗」であり,また政策の「融合」であります。そうしたことで,京都の未来をしっかりと築いていくための政策を掲げております。
 同時に,既に何度か説明しておりますように,今後3年間で964億円もの財源不足の解消を図っていかなければなりません。財政の健全化と両立をさせていく。歯をくいしばってでも福祉や教育,中小企業,市民生活を守り抜く覚悟で,職員の総数の削減や給与カットなど人件費削減に取り組むなど,厳しい課題を克服しつつ,京都の未来のまちづくりに責任を持つ行財政改革の道筋を明らかにいたしております。
早い段階で,市民の皆様の意見を聞こうということで,プランの骨子を7月に作成し,1,000件を超える御意見を頂きました。
 それらを受けまして,徹底した市民参加のもとに,24回に及びますサマーレビュー,夏の総点検を通じ,また全庁挙げて侃侃諤諤の議論をして,プラン(案)を策定してまいりました。
 市民の皆様と共に汗する「共汗」,そして縦割り行政を打破し,局を越えて政策を「融合」させていく。そういう新たな発想による政策立案のために,敢えて時間をかけました。貴重な時間であったと思います。非常に有意義な議論ができたと考えております。そしてプラン(案)が完成いたしました。
 この(案)に基づきまして,2回目のパブリックコメントを行い,更に政策の磨き上げを行って,確定させていきたいと思っております。
 それでは,策定の基本的な考え方,そして京都市の置かれている現状,特に財政状況,更にはプランの要点について,パワーポイントを使いながら説明させていただきます。
 まず,プラン策定の基本的な考え方ですが,今申し上げましたように,厳しい状況の下でありますが,147万市民お一人おひとりが「住んでて良かったね。」と言える京都の未来を創っていきたい。市民の皆様との「共汗」,政策の「融合」,これを大切にして,京都市政が果たすべき役割をきっちりと明確にしていきたい。そして今地方の時代と言われておりますが,地域主権時代をこの京都から創っていこう。そうしたことを高ら かに宣言いたしております。
 次に,本市の置かれている状況であります。
 京都市は,例えば基礎自治体の財源の大きな要素であります固定資産税についてみると,お寺,神社,大学等の教育機関,あるいは市域の4分の3が山林であることから,収入額が少なく,このため,非常に財政基盤がぜい弱であります。
 平成19年度の決算では,一人当たりの市民税が,他の指定都市平均と比べて16,600円少ない,隣の大阪市と比べますと,79,000円少ない。京都市トータルでは,指定都市平均で比較しますと毎年240億円少ない。隣の大阪市とは1,100億円以上少ない。このような厳しい状況であります。
 従って,国の地方交付税に依存せざるを得ない京都市の財政基盤でありますが,この5年間で507億円,実に39%もの地方交付税が削減されました。全国平均の24%の削減に比べて非常に厳しい状況であります。
 また,この間の市税収入の増は321億円です。営営として人員削減や様々な行財政改革をしてきましたが,こうした効果が吹っ飛ぶような地方交付税の削減であります。
 次にこういう資料(概要版3ページ下)を作ってみました。非常によく分かっていただけるのではないかと思いますが,平成12年度を見ると,市税と地方交付税等の一般財源収入,地方自治体が自由に使えるお金です。これが,平成12年度の4,205億円をピークにどんどん減ってきまして,19年度では384億円減っています。
 その一方で,高齢者対策,あるいは子育て環境の整備など,福祉・教育等の政策を重点的に取り組んでまいりました。また国の制度のいろんな改革がございました。従いまして,義務的経費は,平成12年度と比較しまして,344億円増えております。実は人件費は,平成12年度と19年度を比べますと,12年度は1,421億円であった。19年度は1,275億円と人件費は行財政改革でこの間150億円減らしているのですが,扶助費,例えば生活保護,保育所運営費,医療給付費,あるいは国民健康保険,介護保険,老人保健等々の繰出金がぐっと伸びてきている。それでかつてですけれども,一般財源収入と義務的経費とでは,700億円くらいの差があったのです。それが12年度以降ずっと縮まってきまして,とうとう19年度では義務的経費が一般財源収入を上回り,52億円のマイナスとなりました。これが京都市の置かれている厳しい財政構造であります。
 あちこちで話をする時にこの辺を説明しているんですけれども,多くの市民の方々が,ここまで厳しいという状況は,十分知らなかったとのことです。我々はきちっとした説明責任を果たして,これをどうしていくのだということをやっていかなければならないと思っています。
 そこで当面,964億円の財源不足をどう解消していくか。まず人件費の削減,職員を,私のマニフェストで掲げました1,000人を超える削減をし,170億円カットしよう。加えて事務事業の見直し,投資的経費の抑制,公営企業に対する繰出し金の削減で200億円。あと政策経費につきましても「共汗」と「融合」ということで,20億円削減していこう。そして市税徴収率の向上や利用予定のない土地等の売却,これで140億円。そして,勧奨退職等行いまして,退職手当債を活用して,204億円を確保する。それで,734億円の財源を確保しますが,なお230億円足らない。これについては,緊急の人件費抑制ということで,賃金カットを行います。そしてあらゆる行財政改革を推進することに見合いまして,国から認められる「行革債」を活用する。それで964億円を生み出していきたいと考えております。
 次にそれでは今後の市債残高はどうなるかということであります。全会計の市債残高につきましては,18年度以降減少してきております。これは決算ベースであります。20年度初めて予算ベースにおきましても,93億円減らすことができましたから,20年度の決算では,更に減ると思っております。後ほども説明しますし,この資料(本冊)の53ページに書いておりますが,一般会計におきましても市債発行額を極力抑制していこう。19年度は799億円,20年度は728億円市債を発行しておりますが、目標としては2割程度削減し600億円ベースに市債発行額を抑えて,一般会計においても,特別会計においてもトータルとして,市債残高を減らしていく。次の世代に加重な負担を掛けないよう に努力していきたいと思っております。
 国が返済に責任を持ちます「臨時財政対策債」につきましては,昨今の経済状況等で発行額が変動する可能性がありますので,これについては十分国の政策を見極めつつ,トータルとしての市債残高の削減,これは不退転の決意で取り組んでまいりたいと思っております。
 次に,「京都未来まちづくりプラン」のひとつの柱であります「政策推進プラン」であります。こうした財政の見通しをきちっと見定めた上で,マニフェストで掲げました124の施策をはじめとしまして,平成23年度までの4年間に取り組む必要がある施策・事業を盛り込んで作成しました。
 プランでは,市民の目線に立ち,マニフェストに掲げました「いのち」,「環境」,「知恵」,「ひと」,「刷新」の5つの京都力向上策を柱に,29の基本方向に沿って,135の施策項目を掲げております。経費の総額はおよそ3,100億円を見込んでおります。なお別に中小企業金融支援等の2,500億円を加えると約5,600億円になります。
 主な特徴は,次の3点であります。
 各事業に,市民の皆様と「未来の京都」の姿を共有し,その実現を目指します「共汗指標」というものを設定します。
 次に,重点的に取り組む4つの重点分野を設け,優先的に予算を配分します。
 一つ目は,「いのち・暮らし,安心・安全を支える施策,セーフティーネット」であります。二つ目は,「地球温暖化対策,環境問題」であります。三つ目は,「『歩いて楽しいまち』の実現と地下鉄,市バスの増収増客に寄与する策」であります。四つ目は,「未来の京都への先行投資,京都の新たな魅力を創造し,都市格を向上するための施策」であります。決して縮小均衡になってはならない。苦しい時ほど未来への投資はきっちりとしていきたいと考えております。
 特徴の3点目は,縦割りを排し,より効果的で無駄のないものとするため,4つの重点分野ごとに11の融合モデル(素案)を設けました。
 また,2月に公表予定の年次計画編では,個々の施策・事業について,年次計画,必要経費,共汗指標等を示していきたいと考えております。
 次に5つの京都力向上策の一つ目は,「いのち」を大切にするということであります。
 子育てや福祉,保健,防災,生活安全などのあらゆる分野で,「いのち」を徹底的に大切にすることを目指して,具体的には,平成21年度から学童クラブの時間延長を開始する。そして,放課後まなび教室を全学区に拡大する等に取り組みます。
 また,平成23年度には,生後4箇月までの乳幼児のおられる家庭訪問率,現在40%ですが,それを100%に向上させるなどを共汗指標として掲げています。
 二つ目は「環境」への高い志を共有することです。引き続き「DO YOU KYOTO?」プロジェクトや,生ごみの分別収集による新たなエネルギー生成モデル事業を全国に先駆けて実施していく。更には,「環境家計簿」取組世帯数を5万世帯にまで拡大する。また,京(みやこ)エコドライバーズ登録者数を平成22年度までに6万人にまで増やすなど,具体的な指標を掲げて,全力を投入してまいります。
 次に「知恵」を活かし活力を高めるということであります。厳しい社会経済状況でありますが,京都にはすばらしい「知恵」がございます。あらゆる産業界や大学,さらに市民の皆様と知恵を重ね合わせて,様々な取組をしていきたい。「ものづくり都市」,「大学のまち」等を背景に,京都ならではの「知恵」を活かした取組を進めまして,活力を高めていきたいと思っております。
 中小企業金融支援として,融資枠を拡大する。更に,「コンテンツビジネス研究会」を活用して,コンテンツ産業の充実を力強く推進していきたいと思っています。
 共汗指標としては,観光ボランティアの人数を現在の150人から平成23年度までに1,000人に増やしていく,あるいは,知恵シルバーセンターの登録者数を3万人にまで拡大していくなどを掲げております。
 次に, 「ひと」を育て,まちを元気にすることであります。子どもからお年寄りまで,また段階の世代の方々が,定年退職を迎えていかれます。そうした方々が,いきいきと地域に根ざし,またあらゆる力を融合する役割を果たして,活躍していただく。さらに,大学のまち京都,学生支援,そうした取組を進めていきたいと思っております。
 また「未来まちづくり100人委員会」を運営し,京都ならではの政策提言と実践を合わせて推進していきたいと思っております。
 次に「刷新」であります。徹底した市役所改革を進めていきたい。不祥事根絶,これは当然でありますが,同時に職員のモチベーションを高め,市民への奉仕を徹底していく。そうした取組を更に磨きを掛けていきます。
 また「同和行政終結後の行政のあり方総点検委員会」,今精力的に進めていただいていますが,年度内にきちっと答申をいただき,全ての答申について全力を挙げて断行してまいりたいと考えております。
 次に,ここでは11の融合モデルの素案を掲げております。私は常々,縦割りと二重行政,これが行政最大の問題であると申しております。同時に,行政主導型の仕事が問題である。徹底して政策を「融合」させていこうということで,いくつかのモデルを掲げております。
 一例は「食」についてであります。京都市では,保健福祉局で,衛生面からの様々な食の安全・安心の問題,あるいは家庭への啓発等は保育所を中心に一生懸命やっております。教育委員会では,学校現場で,あるいは PTA,生涯学習の立場でやっております。産業観光局では,生産や流通の視点で,様々な食文化の発信をしております。また食を切り口に環境問題についても様々なことが考えられますし,また京都は観光都市でありますけれども,食文化は大きな観光のキーワードです。それらを融合した「社会全体で,京都全体で取組む『食』のモデルづくり」を進めていく。そうした政策融合事例を書かせていただいております。これをさらに市民の皆様の意見を聞いて,練り上げていきたいと思っております。
 それから次にプランの目標であります。政策の推進と行財政改革,「改革」という言葉が,非常に色あせてきました。私は,改革というと何か縮減するようなイメージがあるので,「改革・創造」としました。どんどんこの厳しい時代だからこそ,新たに創造できるのだということで,「行財政改革・創造プラン」と位置づけております。
 ここでは,市民感覚・民間経営感覚による行政運営を確立していく,それから京都の未来に責任を持つ財政運営を確立していく。この2つの目標を掲げ,7つの推進項目に沿って24の改革を具体的な項目に分けて,全庁的に進めてまいります。
 この中に,市債残高の減少を目指して,発行額の20%削減を目標として掲げております。
 まず一つ目の項目は,「行政運営手法の改革」としまして,時代の要請に即して,市民とのより一層の「共汗」,政策の「融合」,これを進めていく。そしてこれらのための新たな予算編成システムについても今研究しておりますが,導入していきたいと思っております。
 次に「歳出構造の見直し」であります。まずは,市役所内部の取組として,より効率的な業務の執行,徹底した事務事業の見直し,かつて京都市は2万人の職員でしたが,それが今は16,000人を割りました。それからさらに1,000人を超えて削減させていく。その一方で,新景観政策等で人員が必要な部分も増えています。非常に厳しい中ですが,1,000人を超える職員の削減をはじめ,総人件費の削減に取り組みます。
 そして,厳しい財政状況の中にあっても,子育て支援や福祉・教育,これにはきっちりと配慮する。国基準に比べまして,保育料は7割に設定しております。財政再生団体になれば,17,000円の保育料が26,000円になってしまうということになりますが,歯を食いしばっても保育料は値上げしない。そうしたことも明らかにいたしております。
 次に,「歳入の確保」であります。市民サービスを安定的に提供していくために,市税徴収率をさらに向上させていく。あるいはネーミングライツなどで広告料収入を増やしてく。様々な知恵を活かして,歳入を確保していきたいと思っています。
 四つ目の項目は,「市民サービスの改革」であります。「総合案内人」を全ての区役所・支所に配置する。あるいは,「笑顔・親切・ていねい・てきぱき!」を合言葉に,民間企業並みのサービスを提供する取組をより推進していきたいと思います。
 五つ目の項目は,「庁内の改革」であります。
民間企業の人事担当者,学識経験者等から意見をお聞きしまして「新たな人材育成方針」を策定し,運用してまいります。さらに市民から信頼される市役所づくりを力強く推進していく。そうしたことに取り組んでまいります。
 推進項目の六つ目,七つ目は,「公営企業・特別会計の改革」と「外郭団体の改革」であります。これらについては,今新たな計画の策定を進めておりますが,とりわけ,地下鉄につきましては,1日当たり4,300万円の赤字を生み出しております。1日当たり5万人の乗客の増加に取り組んでいこう。そうしたことも掲げております。
 さらに外郭団体につきましては,統廃合等,現時点で必要性の根本に迫った改革を進めている。また,補助金等の削減も進めてまいりたいと考えています。
 そして進ちょくの管理であります。プランの進捗状況につきましては,定期的に点検して,各年度の予算にきっちりと反映させる。そして,市民の皆様に情報公開していく。説明責任を徹底していくために,プランの進捗状況をホームページ等で公開していくことを明らかにしております。
 なお,これらにつきまして,1月13日まで市民意見の募集を行い,さらに磨きをかけまして,確定させていきたい。そのように考えております。
 私からは以上でございます。

質疑応答(要旨)

(プラン案作成に予定より時間をかけた理由について)  

記者

敢えて,時間をかけたということだが,予想よりかかったかなというのが報道陣の感想である。どの辺りが一番の原因か。

市長

まとめ上げること自体,実務的に早くしようと思えばできる訳ですけれども,ひとつは,全庁的に情報,危機感を共有する,また,同時に使命感を共有するために時間を取りました。これは,私自身の反省も含めてですが,京都市財政がここまで厳しいとは,私自身,市長に就任するまで認識しておりませんでした。特別会計も含めた情報を全職員と共有する必要がある。これが一点であります。
もう一点は,政策の「融合」であります。私自身,国の教育再生会議や中教審等,国の改革論議にも参画してきましたが,その場でも省庁の縦割りということを本当に痛感しました。京都市でもそうなっていないかということを徹底して議論して,政策の融合を目指しました。市民一人ひとりが,健康に配慮して日常生活の中でできるだけ歩くように心掛ける。自動車を使わずに公共交通機関を利用していただく。「歩くまち京都」をみんなで目指していけば,身体は健康になり,なおかつ地下鉄の赤字が減らせる,国民健康保険の赤字も減少する。政策の融合とは,京都市の取組によって,そうしたところまで持って行くということですね。
あるいは,環境問題と観光政策,食文化とを繋げていく。そうしたことをきっちりと進めていく。これに関連する取組事例としては,地域に密着した食育活動を担う食育指導員を新たに養成するための検討会議を,先日,予定より前倒しして立ち上げることになった事例があります。私自身のマニフェストでは,「いのち」「環境」「知恵」「ひと」「刷新」と5つの視点で未来の京都を描いていますが,政策の融合は,縦割りの政策を横から串で差し込むような形で検討し直そうとするもので,正にそのことに時間をかけて議論したのです。
3点目は,9月に始まった100年に一度と言われる金融危機に端を発したこの社会経済状況の激変であります。財政への影響については予測不可能ですので,今回のプランには具体的に反映させていません。しかし,これ以上縮小均衡にもって行っては駄目だということも踏まえて,生の経済の状況なども勘案しながら練り上げてきました。
あと,敢えて言えば,アセットマネジメントということで箱物建設をできるだけ縮小していこうと,次の世代に借金を残さないために,使えるものはできるだけ長く使おうということで,南部クリーンセンターを延命しながら投資的経費を抑えていく。それが技術的に可能かどうかも慎重に検討しました。

(プラン案における市民負担について)

記者

市民の直接の負担になるものについて,使用料,手数料については一部検討される候補があるようだが,先日の保育料については3年間値上げしない等の方針を打ち出された。改めて,今回のプラン策定に当たって,諮問機関についてはどういうスタンスで取り組もうかということも踏まえて,今回のプランの中身についてどういう内容を検討されているのか。

市長

正直言いまして,議論は何度も行きつ戻りつしました。他の政令指定都市と比べて,相当手厚い行政を今まで積み重ねてきています。その一つひとつが,どれだけの効果があるのか,市民に喜んでいただけているのか。保育料は見直そうかという意見もありましたが,やはり,歯を食いしばってでも,この厳しい社会経済状況の下で守っていこうという結論を出しました。
そして,もちろんその一方で,財政再生団体に陥ってしまっては大変なことになりますので,職員の給与をカットしていこう。そして自ら大粒の汗を流そう。その上で市民の皆様にも必要最小限の負担増は御理解を得ていこう。先立って申しましたプール制については,全国唯一45億円の予算を投入して維持してきた制度で,今後も大事なこととして維持していこう。しかし,財政支援のあり方については,もう一度,関係者とともに見直していこう。あと,学童クラブにつきましては,保護者,学童保育関係者の願いである「時間延長」は行います。同時に受益者負担ということで,それに伴うものについては負担していただこう。サービスは増やし,それに伴う負担はお願いしようと。そういうことであります。
また,他都市の施設や民間と比べて利用料が非常に安くなっている京都市の施設については,それを見直していくこととしていますが,具体的には,これからの予算案作成の中で確定していきたいと思っております。

(保育料及びプール制について)

記者

金曜日,議会でお話になったと思うが,何故,保育料の現行水準を3年間維持することにしたのか。その代わりにプール制の見直しを選んだのはなぜか。3年間は値上げしないということだが,つまり逆に解せば,それ以降は引き上げの可能性はあるということか。

市長

これは,3年間のプランですので,3年間のことを掲げています。3年間は歯を食いしばっても値上げしないと。正直に言います。値上げ止むを得ないかなという議論もしました。保育関係だけで,国の基準を上回る施策の経費総額は,81億円に上ります。それらについて見直して,財政再生団体に陥ることを阻止しようということも議論になった訳ですが,やはりこの厳しい経済状況,更に私はいのちを大事にしたい,新しく誕生する子ども達の命を守りたい,あるいは少子化対策として保育を充実させていかなければならない。3人目の保育料無料化なども掲げました。そうしたことも踏まえて何としても3年間は保育料を値上げしないことを決断致しました。同時に,全国で唯一の「プール制」は,先人達が民間保育園の保育の質を維持向上していくために作ってこられた素晴らしいものであります。京都が誇るべきものであります。これもその枠組みは何としても維持していこう。財政再生団体になったら直ちになくなります。しかし,今一度知恵を絞って,この財政補助のあり方について検討させて欲しい。そういうことであります。市役所全体でも人員を減らし,人件費を減らし,あらゆる手当てを削減して,一生懸命汗をかいた上で民間保育園に対してもお願いしたいということであります。

(これまでの行財政改革の成果について)

記者

「歯を食いしばって」という言葉が聞かれるが,行財政改革は平成7年度から行われていると思う。今回のプランは今後3年間のものだが,これまでの取組をどのように考えているか。

市長

私は,今日の都市経営戦略会議でも話していたのですが,国では失われた10年と言われていますが,この間,京都市では,懸命な行財政改革が行われてきました。例えば,平成12年から人件費がどれだけ減っているかを見ても分かるとおりです。同時に,いろんな施策を充実してきたが故に市民の皆さんに喜んでいただいていることではありますが,義務的経費が増えてきた。更に予想外のこととして大きく二点あるのは,地方交付税のあまりにも極端な削減です。これは想定外です。もう一つは,私は,去年,市長選に立候補を表明しました時には,戦後最長の景気回復期にあると言われていました。これから徐々に景気が回復し,全国的にも京都においても税収も増えていくのではないかと,考えられていました。マスコミ等でもそのように報道されている時期がありました。それが一転したのです。そういう中で,更なる人員削減と苦渋の選択ではありますが給与カットを断行し,徹底した見直しを行う一方で,新たなコンテンツ産業を育てるなど,未来へのしっかりとした展望を開いていきたい。私は開けると確信しています。

(イベント事業の見直しについて)

記者

イベント事業の見直しについてだが,花灯路などいくつかイベントを具体的に挙げているが,イベントの見直しに際して,これは残すこれは止めるという基本的な基準,ポリシーはあるか。

市長

中身は大事にしよう。形式的なことはできるだけ止めていこう,これが基本スタンスです。花灯路も素晴らしい事業です。しかし,予算と労力を使っている訳ですから,オープニングセレモニーは止めよう,例えばそういうことであります。

(人件費削減の内容について)

記者

細かい数字の確認だが,人件費の削減で170億円を捻出されると思うが,確か1,000人の削減で110億円であったと思う。残りの50億円も主に人員の削減で賄おうとしているのか。そうならば,400人か500人の上積みの人数になると思うが,如何か。

市長

手当ての削減もあります。もう一つは,人員の積み上げはまだ確定していません。丁寧に積み上げを指示しております。1,000人を相当上回る削減数にしたいと思っていますが,人を削減して結果としてコストが減らないという削減の仕方もあります。従って,コストが削減できる人員削減でなければならない,ということもあります。従いまして,人数を減らすことが目的でなしに,人件費,場合によりましては物件費も含めて検討しています。人数を減らしたけれども委託費でそれ以上の経費がかかっているということではいけませんので。その点で現在は人数を明確にできません。また,退職勧奨を実施致します。その状況も含めて確定させていきたい。どんなことがあっても3年間で170億円人件費を削減する。加えて,特別な措置としての50億円の削減。トータルの人件費の削減は,220億円になると思います。
 

(地下鉄経営健全化計画について)

記者

もう一点,京都市の今一番の大変な問題は,地下鉄改革だと思うが,来年度に経営健全化団体になると,議会監視の下で新たに経営計画を策定しなければならない。そういう事情があって,このプランでは地下鉄事業について余り触れられていないのか。

市長

そのとおりです。一般会計そのものは大変であります。地下鉄は地下鉄で大変な事態であります。交通局は地下鉄,市バスも含めまして,今,プランの策定を急いでおります。同時に有識者会議をできるだけ早く立ち上げて,プランの案を発表すると同時に,有識者会議で幅広い方々の意見を集めて計画を策定したい,そのように考えています。

(地下鉄の増客対策について)

記者

地下鉄に絡んでですが,今日のプランの中で,地下鉄5万人の増客というのが上っているが,実現可能なものなのか。

市長

オール京都市の政策の中で,地下鉄の増客増収に繋がる政策を行っていく意味で5万人という目標を掲げて全力投球していこう,そんな意味であります。地下鉄全体については,健全化計画を策定します。

(社会経済状況とプランの変更について)

記者

先程,社会経済状況の激変について触れられた際,予測が不可能なので具体的には反映させていないということだったが,今後の市税収入の減少等によっては,プランに変更を加えるなど,何か想定しているか。

市長

国の政策がどうなるかが確定していません。米国発の金融危機に対応する取組として,これから国,府と京都市の政策をきちんと融合させていく必要があると思います。まず京都市として,京都市の甲斐性でぶれない計画をきちっと作っていくことが大事だと思います。同時に,これから個人市民税がどのように変動していくか,極端に言いましたら一つの会社の経営状況も大きく変わっていく可能性がある訳ですね。それを今の時点で一生懸命推定しながら,50億円,100億円の動きを把握しようとしても,あまり効果のないことです。従いまして,社会経済状況を見ながらこの政策が有効に機能しているのか,判断していく必要があります。私自身のマニフェストも進化するマニフェストですから,その時々の状況を見ながら柔軟に対応しなければならないと考えています。今回策定したプランを絶対的なものとして,あらゆる社会経済状況が変わってもこれだけで行くんだというものではないと思います。更に磨きをかけていかねばならないと思っています。

(斜久世橋線の建設について)

記者

新規の箱物については,南部クリーンセンターの工事は先送りするということだが,京都高速道路の「斜久世橋工区」については,予定どおり建設するのか。

市長

平成23年3月までにどんなことがあっても実施します。これはこのプランに入っていますし,そのことが,京都経済にとって大きな影響を与えると思っていますので,待ったなしだと思います。

(市民負担に対する市民への説明について)

記者

イベントの見直しやプール制の見直しなど,市民に若干負担をお願いすることになると思うが,市民の方にどのように説明していくのか。

市長

根本的に京都市の財政状況は極めて脆弱であります。同時に社会経済状況が厳しく,市民生活が非常に厳しい。中小企業が危機的な状況にある。そうした中で,京都市として,福祉や教育,中小企業支援等セーフティーネットはきっちり守っていく。セーフティーネットを有効に機能させていく。このことは断固として進めていきたい。同時に未来に対して展望を開いていくためにも,京都市職員自らが人員削減,給与カットを行ない,大粒の汗をかいて努力する。そして,市民の皆さんにその実情を知っていただき,必要最小限の受益者負担等についてはお願いしたい。そのためには,より一層京都市の置かれている状況について説明責任を果たし,市民の皆さんと一緒に危機感を共有し,同時に未来の目標を共有して,共々に責任も行動も共有していきたい。そのために市役所が先頭に立って意識と行動を改革していく。そのうえで,市民の皆さんにもお願いしていく。

(市民意見のプランへの反映状況について)

記者

骨子に係る市民意見の募集結果については,1,000件以上が寄せられたということだが,具体的にどの意見がどの政策に反映されているのかが分かりにくい。これから2回目のパブリックコメントを実施するとのことだが,寄せられた意見に対する回答については,どのように考えているのか。

市長

できるだけ丁寧にやっていく必要があると考えています。従いまして,お手元にお配りしております「市民意見募集結果」では,学童保育の時間延長とか,保育サービスの充実など,御意見に対する本市の基本的な考え方を御説明しています。あと,サッカースタジアムのことについては,多くの御意見が寄せられました。これについては,府,市,商工会議所含めて検討していくとしてプランに反映させていただいております。
2回目のパブリックコメントをしますので,その段階で更に丁寧にホームページ等で明らかにしていきたいと考えています。

(人員削減の方策について)

記者

人員削減について,先程,勧奨退職を実施するということだが,その規模が1,000人以上,1,400人になるか1,500人になるか分からないが,どういう手段で削減するのか。

市長

退職者を増やすということと,退職不補充,あるいは人員の適切な配置転換によって人員削減をしていくということです。

記者

新規採用を全くしないとか,かなり減らすということはないか。

市長

新規採用試験は行っていますし,それを止めるということはしません。これも一つの判断でありますけど,今月1日に開催された「京都21世紀教育創造フォーラム2008」で,トヨタの張会長に内部留保を取り崩してでも雇用不安の中で採用を続行して欲しいとお願いしました。やはり,去年一昨年の状況ならいざ知らず,こういうときに市役所も人数は予定よりも減らすということがあっても,採用そのものを止めてしまうことは良くないという判断をしています。

(勧奨退職について)

記者

勧奨退職についてだが,その時期や規模,特にターゲットに考えている部署,職種,などは決まっているか。

市長

今,検討しているところです。

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