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門川市長記者会見(2008年9月26日)

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2011年12月7日

平成20年9月26日門川市長記者会見

相国寺・金閣・銀閣名宝展 -京都における禅と美術-」と関連行事のパリ開催について

門川京都市長

 皆さんこんにちは,門川大作です。いよいよ「相国寺・金閣・銀閣名宝展-京都における禅と美術-」と関連行事がパリで開催されます。今日は,有馬頼底(ありまらいてい)猊下ありがとうございます。可児達志(かにたつし)理事長と共に説明させていただきたいと思いますが,詳しい内容はそれぞれ有馬猊下,また可児理事長からご説明申し上げますので,私からは,この名宝展の意義,あるいは私の思いなどについて,まずご説明申し上げたいと思います。
 この展覧会は,来月15日からパリ市立のプチパレ美術館にて開催いたします。この美術館は1900年に第5回のパリ万国博覧会が開催された,歴史と伝統を誇る格式あるパリを代表する美術館でございます。京都とパリの姉妹都市盟約50周年,そして日本とフランスの交流150年を記念して様々な企画を進めてまいりました。京都発の企画として,パリの皆さんに,日本の精神文化の象徴であります,京都の文化,芸術,とりわけ「禅」の真髄,本物(ほんまもん)の禅文化や禅芸術を体感していただきたいと考えております。
 パリ市にとりまして,京都市はローマに続く2番目の姉妹都市ということであり,また,京都にとりましては,最初の姉妹都市であり,50年に亘って,いろんな交流を深めてまいりました。
 先だっては,パリ市からブロッセル副市長がお越しになられました。いろいろお話しをさせてもらい,いろんな行事を催させていただきましたが,今,パリ,フランスでは,禅をはじめとしまして,マンガ,食文化,柔道等々,大変な日本ブームであるということをお聞きしました。
 源氏物語のフランス語版で,8万円の本が,3ヶ月で3,500冊完売したということです。
 それから京都在住のフランス人作家のバルベリさんが,日本人を主人公にしている「優雅なハリネズミ」という本が,105週間に亘って,フランスでベストセラー,1位か2位を維持しているという空前の日本ブームであります。
 そうした機会に,京都の持つ和の文化,その真髄を理解いただけたらありがたい,絶好のタイミングであると思っております。
 この企画に有馬猊下をはじめ,相國寺また承天閣美術館の関係者に大変なご尽力を賜りました。さらに,国際文化交流財団の可児理事長をはじめ,また凸版印刷など多くの方々の御理解を賜りました。今回特に,国宝級を含む名宝の数々は当然でありますが,禅文化の実演・体験,そしてパリで初公開となります金閣・銀閣のヴァーチャル・リアリティ映像が大きな反響を呼ぶものと確信しております。京都に伝わる歴史と伝統,その奥深いものと京都,日本の最先端の科学技術が融合した作品であります。
 私自身も,10月25日からパリへ渡って,ドラノエ市長やパリの方々と交流を深めてまいりたいと思っています。同時に日本,フランス交流150年を記念して,ナンシー市で日仏自治体交流があり,そこで私は「環境モデル」について,京都の取組等を講演してきたいと思っております。
 さらにパリは,交通政策が非常に先進的であります。2万台の自転車を用意し,会員制で乗れるというような,新しい制度ができておりますし,景観政策でも世界のトップであります。そうしたことも学んでまいりたいと思っています。
 私からは以上でございます。

有馬猊下

 今,市長さんから縷縷お述べいただきましたのですけど,私どもがこの度お受けしましたのは,先ほどお話のように,やはりフランスで非常に禅に深い関心をお持ちいただいているということと同時に,今調べましたら,パリ市に3つの坐禅堂があるそうであります。そういう意味で,フランスで禅に非常に深い関心を持っておいでのように承っております。
 このお話をいただきました時に,何があっても全面的にご協力をいたしたいということで,何でも仰って下さいと言ったら,何でも仰ってこられまして,国宝及び重要文化財,件数は約79件,ところが双幅物(そうふくもの:二点で対になったもの)がございます。あるいは国宝四幅対(よんふくつい:四点で対になったもの)です。こういうものを入れますと約100点,これら全てが重要文化財クラスのものばかりでございます。
 ここにございます伊藤若冲描きますところの「釈迦三尊像」,これは若冲が渾身全霊を込めてお描きいただきました。それを相国寺にご寄贈いただきましたものです。これに追随しまして「三十幅動植綵絵」をお描きいただいたのですが,明治22年に明治天皇に献上いたしました。御承知の昨年,120年振りの里帰りをいたしまして,大変な大盛況でございました。非常にありがたい次第なのですが,これが参ります。恐らく,海外は初めてではないかと思います。
 同時に,鎌倉時代の「墨蹟」,これはもう実際,中国の宋,元時代のものがかなり出ます。
というのもこれはもう中国にもございません。日本にだけ伝わったもの。どうしてかといいますと,日本には茶道というものがございます。「茶の湯の掛け物は,墨蹟を第一とする。」という風に利休が言っておるわけです。
 そういう意味で,非常に茶の湯の世界で大切に日本に伝えられた。中国にはなくて日本には全部それがございます。これもかなりの数があちらへ参ります。と同時に,京都の若冲はもちろんのこと,有名な円山応挙,この円山応挙の重要文化財の「孔雀図」,夫婦の孔雀が岩の上に立っている有名なものが参ります。それから「大瀑布図」,これは4メートルもする滝を描いている,これも参ります。それからやはり,日本はあくまでも茶の湯でございますので,茶の湯の道具「野々村仁清」,あるいは様々な茶道具,日本茶道文化の一番の象徴が茶杓だと言われております。それからまた,特徴といたしましては,禅宗文化をやるからには,「向こうで坐禅会を是非ともやりたい」と申しましたら,プチパレ美術館のシャザール館長が「是非お願いします」と,広い美術館を隈なくご案内いただいて,広い広間がありまして,「ここを坐禅の会場にお使い下さい」とシャザール館長に仰っていただいて,その場所でいたします。わざわざ畳を用意いたしまして,それに対する座布団もちゃんと支度をする。それから,銀閣寺に足利義政公が制定されました「無雙真古(むそうしんこ)流」という,日本でも最も古いお花,これもいたします。向こうにホールがございまして,すり鉢型のホールで一番底に舞台がある,ちょうどいいホールなのです。そこで花方が出張しまして,1ヶ月以上やるのではないかと,思っております。それとお茶です。オープニングセレモニーに裏千家の大宗匠,鵬雲斎宗匠がお呈茶をしていただきます。そして異例中の異例でありますけれども,私どもから御開山夢窓国師の木像が参ります。この前で,お茶を献じて,そして御開山様にお勤めをいたし,お経をあげる。よく許可したものだと皆さん仰られる。しかし,禅宗文化にお経は付きものであると,これもお許しをいただいて,恐らく海外では初めてであろうと思います。御開山様にお勤めをいたします。これも室町時代に制定いたしましたお香,聞香です。お香も志野流香道家元の若宗匠蜂谷宗匠に来ていただいて,いたします
 そういう意味で,坐禅,お花,お茶,お香と現在,室町に制定された日本文化の典型的なものが全て,このパリで行われると,恐らく大変なブームになるのではないかと思っております。
 皆様もぜひパリまでおいでいただいて,実際に見ていただくと大変よろしいのではないかと思います。どうもありがとうございました。

門川京都市長

 少し補足しますと,フランスから京都へ来られている観光客ですが,平成14年に1万3千人の宿泊者が,5年間で3倍以上の4万4千人となっています。それが加速するのではないかと思っています。
 パリで京都の本物をみていただいて,是非京都へ,本物の金閣寺を見ていただきたいと思います。

可児理事長

 京都国際文化交流財団の可児達志でございます。
 この度,「相国寺,金閣,銀閣名宝展」の展覧会に,主催の一員として,門川京都市長,有馬賴底猊下のお手伝いをさせていただいております。
 本展覧会の意義や内容につきましては,今,門川市長並びに有馬猊下の方から,特に詳しくお話がございましたので,私が申し上げることはございませんが,このすばらしい展覧会の関連行事について,若干のご説明をさせていただきたいと思います。有馬猊下のご説明と重複するかもしれませんがお許しいただきたい。
 そもそも展覧会を企画いたしました際に,有馬猊下は文化財を展示することも大切ですが,パリの人たちに日本文化の精神的支柱である禅を感じ,禅に触れる機会をつくって欲しいとご希望されました。その場におられた京都国立博物館の館長であられます佐々木館長も強く共感されまして,禅文化,禅技術を,芸術を体感できる展覧会にすべきであると言われました。
 北山文化,東山文化から生まれた多くの日本の伝統文化を紹介し,体験できるような様々な関連行事を行うことになりました。大変バラエティに富んだすばらしい展覧会になることと思っております。
 まず,先ほども猊下からお話がありましたように,坐禅会を行いまして,パリの人たちに坐禅を体験していただきます。そのために,たたみ20畳,座布団などを既に船便で送っております。その会場には,金閣寺法水院床の間の伊藤若冲の筆によります複製を展示させていただきます。また,銀閣寺は生け花の無雙真古流の本山でもございますので,銀閣寺花方の佐野様に大会期間中の大部分,生け花を活けていただき,入館者に日本の生け花を紹介し,週3回程度ワークショップを開き,希望者に生け花を体験していただきます。茶道は,裏千家前家元の千玄室大宗匠が,10月15日の開会当日,プチパレ美術館において,パリ市民の参加者の前で,献茶会を挙行してくださり,またこの式典には,シラク前大統領もご出席の予定です。裏千家ではパリ支部の協力で,会期中の2ヶ月間,毎週木曜日に茶道のワークショップを開催し,本格的な茶道を希望者に体験していただきます。また,武者小路千家では,現在アメリカに留学中の千宗屋若宗匠が11月にパリにお越しいただき,講演とワークショップを開催していただきます。同様に,香道は志野流香道の家元,蜂谷宗玄家元と蜂谷宗苾若宗匠が,講演とワークショップを開催していただきます。
 お花,お茶,お香ともに,パリの大人はもちろんのこと,特に子どもたちとふれあい,日本文化の素晴らしさを伝えたいと希望されており,プチパレ美術館だけでなく,地元の学校にも出向いて,ワークショップをされる計画もあると聞いております。また,他には,宮田まゆみさんという「笙(しょう)」の演奏家と銀閣寺花方佐野玉緒さんによる演奏と生け花のコラボレーションもございます。それから,京都の写真家森谷洋至さんが禅寺の修行などを撮影された作品8点を展覧会場アプローチに展示し,僧侶の日常を写真で紹介します。その写真の下には,ミラノ在住で,デザイナーの松村さんの禅をイメージした作品を展示いたします。
 そして最後にご紹介するのが,先ほどもお話がありましたヴァーチャル・リアリティ映像で製作しました金閣,銀閣です。パリまでもちろん本物の金閣,銀閣を持ってはいけませんので,有馬猊下の許可を得て,凸版印刷の協力により,より本物に近く,またハイビジョンの4倍の解像度で,超高精細な映像を大画面に映し出し,パリの人たちに金閣,銀閣に没入しているような体感をしてもらう趣向でございます。あたかも金閣,銀閣を訪れたかのような感覚になり,展示される名宝と重ね合わせ,理解を深める手助けになると存じます。またこの映像をご覧になった方は,必ずや本物の金閣,銀閣を見たくなり,京都に来られることは,必定であると確信しております。皆様にはこのあと,小さい画面ではありますが,この金閣,銀閣をご紹介させていただきます。また,銀閣は,有馬猊下のアイデアで,創建当時の漆に塗られた銀閣が再現されております。銀閣寺といいますけども漆塗りの銀閣寺であったそうであります。ヴァーチャル,仮想ですのでこういったことも簡単にできて,この展覧会を通じて,日本の技術力の高さをフランスのみならず,ヨーロッパに示してまいりたいと思っております。また,今後,このヴァーチャル・リアリティ映像を京都の学校教育,観光推進に役立てたいと念願しております。まずは,有馬猊下の御許可を頂くのが,先でありますが,門川市長ともご相談して進めてまいりたいと存じます。有馬猊下並びに門川市長にお願いを申し上げ,御挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

質疑応答(要旨)

(実演,体験を組み合わせた展示について)

記者

 お花や坐禅などを組み合わせることによって,美術的な展示と比べて,特にどのようなことをフランスの皆様に感じてもらえる,感じてほしいと考えておられるのか。

猊下

 室町時代にできたものは,お茶,お花,お香,これらは最たるものである。鎌倉時代に中国から受け入れた禅は,坐禅をするということ。坐禅をして煩悩,妄想をきれいに取り払って,心をきれいにしていただく。生まれたままの人間性を取り戻すというのが禅の生き方であります。それを皆さんで体験していただきたいということ。
 フランスの人たちから,日本の寺院,しかも禅宗寺院でどういうことをやっているのかに興味があり,これを紹介していただけないかと聞き及びましたので,室町時代に形成されたお茶,お花,お香を十分に堪能いただけるような企画をいたしましょうと言って,日本に帰ってきてから皆で相談しましたところ,フランスの皆様も興味を惹かれるのではないか,是非やりましょうという話でした。
 禅宗の中でも,室町時代に宋から受け継いだ「純禅」は,日本でしかやっていない。中国でも宋時代の禅は全くない。忠実に守ってきているのは,日本の禅宗寺院だけであります。そういうことを未だにやっているのだということも向こうの皆様に知っていただければありがたいという思いであります。

市長記者会見資料

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