市長記者会見(2003年4月2日)
ページ番号13545
2023年4月12日
平成15年4月2日 桝本市長定例記者会見資料
はじめに
さて,本日は,今年度最初の記者会見でございますので,年度当初に当たっての私の思うところを簡潔に申し上げ,「特殊災害対策車」の配備と「JR山陰本線 京都~二条駅間及び花園~嵯峨嵐山駅間の複線・高架化」についてご説明を申し上げたいと思います。
1 年度当初に当たっての所感
はじめに,年度当初に当たっての私の所感でございます。
早いもので,私が京都市長に就任いたしましてから8年目の春を迎えました。
2期目を振り返ってみますと,4年連続のマイナス予算編成,1割以上もの予算規模縮小を余儀なくされるという厳しい環境の中にあり,昨年度は,市政改革と「選択と集中」を徹底し,新規施設建設の凍結や全職員に及ぶ給与カットなど緊急対策1年目の厳しい取組を全庁挙げて取り組んでまいりました。
一方,こうした厳しい状況の中においても,「安らぎ 華やぎ 京都21推進プラン」に掲げる施策・事業を着実に実行し,さらには,3月の「第3回世界水フォーラム」や「京都・花灯路」,「伝統産業の日」の事業の成功に象徴されるように,重要な政策を推進し,大きな成果を挙げることができました。
そして迎えた平成15年度は,私の2期目の総仕上げとなる重要な節目の年度でございます。
大変厳しい前年を上回る極めて逼迫した財政状況の中,市民の生活を守り,将来の京都の発展に道筋をつけるため,福祉と教育を最重点政策に位置付けるとともに,環境を基軸とした「課題直視の重点配分型予算」を編成いたしましたが,こうした市政を実現するため,昨日付けで,本市の最重要課題の一つである子育て支援やスーパーテクノシティ構想が目指すものづくり都市などを推進するための組織改正を行い,あわせて「選択と集中」を反映し,主要・重点政策を着実に実行できる人事異動を行ったところでございます。
新鮮で磐石な新しい執行体制のもと,引き続き,私自身が先頭に立ち,全職員が一丸となって,市民の皆様へのお約束を着実に実行し,厳しい中でも希望の光が見える一年にしてまいりたいと年度当初に当たり決意を新たにしているところでございます。
2 「特殊災害対策車」の配備
次に,「特殊災害対策車」の配備についてでございます。
災害が複雑多様化し,核物質(Nuclear)や生物剤(Biological),化学剤(Chemical)による,いわゆるNBC災害の発生が危惧される中,より適切な危機管理体制の構築が求められております。
京都市におきましては,これまで,消防隊が使用する化学防護服などの保護具や有毒ガス検知装置などの資器材を整備し,災害に備えてまいりましたが,毒劇物,危険物,核燃料物質,放射性同位元素などの漏えい,飛散,流出などへの対応力を一層強化するため,現場活動に必要となる装備や資器材を積載した「特殊災害対策車」を本日から救助隊に配備し,運用を開始してまいります。
この「特殊災害対策車」による主な活動内容は,NBC災害の疑いがもたれる現場におきまして,測定用機器を活用した検知・測定活動をはじめ,資器材や薬品を活用し,汚染拡大の防止や除染活動を行うことでございます。
車両及び積載資器材につきましては,お手元の資料に概要を掲載しておりますので,ご覧いただきたいと存じますが,この車両は,消防ポンプや容量500リットルの水槽も装備し,通常の消防車同様,消火活動にも有効に活用できる機能を有しており,NBC災害を含む幅広い災害に対応できるものでございます。経費は8,400万円で,車両本体3,500万円,装備等4,900万円です。
本日,このあと,「特殊災害対策車」を披露いたしますので,是非ご覧いただきますようご案内申し上げます。
本市におきましては,これまでNBC災害が起こったことはございませんが,今後とも,あらゆる災害に対応できる体制の構築を図り,147万人の京都市民の皆様の安全が確保できるよう万全を期してまいる所存でございます。
3 JR山陰本線の複線・高架化
次に,JR山陰本線の複線・高架化についてでございます。
JR山陰本線は,京都市域と京都府中部・北部を結ぶ幹線鉄道であり,通勤・通学に加え観光面におきましても重要な役割を果たしている鉄道でございます。
京都市では,その輸送力増強と利便性の向上,さらには,周辺の慢性的な交通渋滞の緩和を図るため,京都~園部駅間の全線複線化と京都市域区間の高架化を是非実現したいと,JR西日本や京都府と連携を図りながら,これまで,二条~花園駅間の複線・高架化を行ってまいりました。
残る京都~二条駅間と花園~嵯峨嵐山駅間の複線・高架化事業の具体化につきまして,JR西日本及び京都府と協議を重ねてまいりました結果,このたび,整備内容や費用負担などにつきまして,大枠の合意に至ったところでございます。
整備区間は,計約6.7km,5箇所の踏切を除却いたします。整備事業費は全体で約183億円,京都市の負担は約95億円を見込んでおり,整備内容や費用負担などにつきましては,お手元の資料をご参照ください。今後は,JR西日本及び京都府との応分の負担,並びに国・府の補助を活用しながら事業を進めてまいることといたしており,できるだけ早期に工事協定を締結し,平成20年度の完成を目指して取組を進めてまいる所存でございます。
府市協調で取り組む本事業は,本市交通の円滑化と渋滞緩和,さらには,京都全体の活性化に寄与するものと大きな期待を寄せているところでございます。
私からは,以上でございます。
(市長記者会見資料)
平成15年4月2日
京都市
消 防 局
総務部施設課
212-6649
警防部消防救助課
212-6733
「特殊災害対策車」の配備について
~NBC災害への対応力を強化~
災害が複雑多様化し,NBC(Nuclear「核物質」,Biological「生物剤」,Chemical「化学剤」)災害の発生が危惧される中,より適切な危機管理体制の構築が求められています。
京都市では,これまでに化学防護服などの保護具や,有毒ガス検知装置などの資器材を整備してこれらの災害に備えてきましたが,この度,こうした災害への対応力をより一層強化するための装備や資器材を積載した「特殊災害対策車」を下記のとおり配備しますので,お知らせします。
記
1 導入の目的
毒劇物,危険物,核燃料物質,放射性同位元素等の漏えい,飛散,流出などNBC災害の発生に備え,災害現場活動の方針決定に必要となるガスや化学物質を採取し,分析を行うための最新鋭の測定用機器をはじめ,現場活動に必要な資器材などを積載した消防自動車を配備することにより,NBC災害に対する消防活動体制の強化を図る。
2 運用開始日
平成15年4月2日
3 配備先
上京消防署 北野消防出張所
(NBC災害を担当する救助隊が配置されているため)
4 特殊災害対策車による主な活動内容
(1)物質等の検知,測定活動
(2)応急的な汚染拡大防止活動
(3)被救護者及び汚染区域に対する除染活動
5 車両及び主な積載資器材などの概要
○車両の概要
全 長 | 7.2m | 消防ポンプ | A2級,高圧噴霧装置 |
---|---|---|---|
全 幅 | 2.3m | 水槽容量 | 500リットル |
全 高 | 3.2m | 発電・照明装置 | 2.8KVA,600W×2灯 |
乗車定員 | 6 名 | 風向風速計 | プロペラ式 |
○主な積載資器材などの概要
区分 | 名 称 | 用 途 等 |
---|---|---|
測 定 用 機 器 | 可搬型 ガスクロマトグラフ質量分析装置 | 採取したガス・液体を約7万種類のライブラリーから検出し,品名及び濃度を特定する。 |
ケミカルサーチシステム (化学災害対処プログラム) | 約7,000種類の化学物質のデータが検索でき,化学物質に対する対処方法を表示する。 | |
生物剤検知装置 | 炭疽菌,リシン,ペスト,ボツリヌス菌毒素,ブドウ球菌を検出する。 | |
化学剤検知器 | 神経剤,びらん剤,血液剤などを検知する。 | |
有毒ガス検知装置 | 各種有毒ガスを検知管で検知する。 | |
放射線測定器 | β線・γ線・X線の放射線量を測定する。 | |
個人線量計 | 個人への被爆線量を積算する。 | |
防 護 ・ 保 護 | 化学防護服 | 気密型防護服で空気呼吸器を着装して着用し,有毒な化学物質,細菌等から人体を保護する。 |
放射線防護服 | 放射能による人体への被爆・汚染を防止する。 | |
応 急 処 置 | 中和剤散布器等 | さらし粉や消石灰を散布し,消毒・中和する。 |
危険物漏えい防止器材 | 危険物等の漏えい事故において,漏えいを防止,処理する。 | |
そ の 他 | 金属火災用消火器 | ナトリウム,マグネシウム等の金属火災の消火に対応する。 |
除染シャワー | 可搬式シャワー設備で活動後の防護服などを除染する。 |
* 消防活動用に消防ポンプや容量500リットルの水槽,除染活動用に高圧噴霧装置,夜間活動用に発電・照明装置,避難・防御対策用に風向風速計なども備えている。
(市長記者会見資料)
平成15年4月2日
京都市
建設局街路部立体交差課
222-3853
JR山陰本線 京都~二条駅間及び花園~嵯峨嵐山駅間の複線・高架化について
京都市においては,JR山陰本線の輸送力の増強と一層の利便性を向上させるとともに,踏切による山陰本線周辺の交通渋滞の緩和を図るため,これまで,JR西日本や京都府と連携を図りながら,二条~花園駅間の複線・高架化を行ってきました。
残されていた山陰本線京都~二条駅間及び花園~嵯峨嵐山駅間における線路の複線化と一部区間の高架化につきまして,JR西日本及び京都府と協議を重ねた結果,下記のとおり,大枠の合意に至りました。
今後は,JR西日本及び京都府と事業計画について詳細な協議を行い,工事協定を締結し,平成15年度に工事着手できるよう取り組んでまいります。
記
1 整備目的
(1)JR山陰本線を複線化することにより,輸送力の増強と利便性の向上を図る。
(2)高架化に伴い,踏切を5箇所除却することにより,慢性的な交通渋滞の解消を図る。
2 整備概要
(1)整備区間
約6.7km
(内訳)京都~二条駅間 約3.3km
花園~嵯峨嵐山駅間 約3.4km
(2)整備内容
複線化区間 | 高架部分の構造 | 踏切除却個所 |
---|---|---|
京都~二条駅間 (約3.3km) | 高架橋形式 ・現在の高架橋を拡幅する。 | |
花園~太秦駅間 (約1.7km) | 高架橋形式 ・現在の地平から高架化する。 | 第二下立売街道踏切 城北街道踏切 蜂岡踏切 |
太秦~嵯峨嵐山駅間 (約1.7km) | 盛土嵩上形式 ・現在の低盛土から高盛土 へ嵩上げする。 | 中又踏切 油掛踏切 |
3 整備事業費(概算)
約183億円(京都市負担額約95億円)
(内訳)複線化事業費 約86億円(京都市負担額 約21.5億円)
負 担・・・JR西日本:京都市:京都府=2:1:1
高架化事業費 約50億円(京都市負担額約30億円)
負 担・・・京都市。国の補助を予定
関連事業費 約47億円(京都市負担額 約43.5億円)
事業内容・・・嵯峨嵐山駅の駅舎の橋上化,自由通路の設置等
負 担・・・京都市。京都府の補助を予定
4 工 期
平成20年度完成目途(平成15年度以降,順次工事着手,工事着手後概ね5年間)
<参考>JR山陰本線 京都~園部駅間の複線化事業
JR山陰本線 京都~園部駅間全線の複線化のうち,府下は1市2町域(亀岡市,八木町,園部町)約16.1kmで,工期は工事着手後概ね5年間。
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京都市 総合企画局市長公室広報担当
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