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市長記者会見(2001年10月17日)

ページ番号13417

2023年4月12日

平成13年10月17日 桝本市長定例記者会見資料

はじめに

 

 本日は,伝統産業の振興を図るとともに,京町家の保全・再生及び界わい観光の振興のため,新たに実施いたします「京ものブランド町家工房事業」につきまして,その概要をお知らせいたします。

 

「京ものブランド町家工房事業」の概要

 

 京都におけるものづくりは,平安京造営以来の長い歴史と伝統を有し,偉大な先人たちの進取の気風とたゆまぬ努力により,これまで京都の繁栄を支えてまいりました。
 現在におきましても,西陣織,京友禅,京焼・清水焼,京仏壇・京仏具をはじめとする格調高い伝統工芸品の数々は,全国の皆様にいわゆる「京もの」として親しまれており,伝統産業は「ものづくり都市・京都」における基幹産業であり,京都のまちの発展にとりまして,誠に重要な役割を担っております。
 しかしながら,長期にわたる不況や生活様式の変化等により,伝統産業製品の需要が落ち込み,また,後継者の確保が困難になっているなど,伝統産業を取り巻く状況には大変厳しいものがございます。
 京都市ではこれまでから,伝統産業の活性化を図るため,生産・流通・人材の確保・育成など,多方面にわたる振興策を講じてまいっておりますが,さらに取組を強化するため,京都の歴史・文化の象徴である京町家の魅力を生かした「京ものブランド町家工房事業」を実施することといたしました。この事業の実施に際しまして私は,観光客の皆様だけでなく,京都市民の皆様,そして,とりわけ若い方々に,京町家という京都独特の空間におきまして,「ほんもの」の伝統工芸品に触れ,親しんでいただける,楽しい賑わいの場にしたいと願っております。

 

 本日は,拠点となる京町家や事業内容について皆さんにご説明いたします。詳細はお手元の資料をご覧ください。
 本事業は,伝統的な生活空間を今なお有し,界わい景観にとりましても重要な意味を持っております「京町家」を京都市が借り上げ,改装を行ったうえで,「創る」「観る」「語る」の3つの場として活用しようとするものでございます。
 まず,拠点となる京町家についてでございます。建物の規模や状態,交通アクセス等の観点から検討し,所有者の方のご協力をいただけることとなりましたのは,下京区四条通西洞院にございます,通称「四条京町家」と呼ばれている,明治末期に建てられた町家でございます。この建物を「京都市京もの町家工房」(仮称)として改装いたします。
 この町家の所有者のお一人は,京町家を生かした活動を独自に展開されるなど,京町家の保全・再生に大変熱意を持っておられ,今回の事業実施に当たっても深い御理解をいただいております。
 次に,「京もの町家工房」で実施いたします事業内容についてでございます。
 一つ目の「創る」は,若手・中堅の伝統産業従事者が結集し,京都の伝統工芸品の高い品質を生かした新しい商品の企画・開発や展示・販売,これまで脚光を浴びていない伝統工芸品の発掘や再評価により,「京ものブランド」を再構築し,新たな需要を開拓しようとするものでございます。
 二つ目の「観る」では,京町家のしつらえを生かし,四季折々の伝統工芸品の展示を行い,伝統産業の奥深い魅力を堪能していただくとともに,新しく開発した商品を展示し,市民や観光客の皆さんの反響を商品づくりにフィードバックいたします。さらには,周辺に京町家が集積する界わいの観光拠点としても活用いたします。
 三つ目の「語る」では,伝統産業従事者をはじめ,市民や観光客の皆さんが集える場として,喫茶等の憩いのスペースを用意するとともに,セミナーや製作実演,体験教室などを開催し,伝統産業の情報の受発信や意見交流など,活気のある賑わいを生み出す場にしてまいりたいと考えております。
 事業の運営につきましては,デザイン企画やマーケティングに強い「総合プロデューサー」を中心として,伝統産業従事者,学識経験者,市民の代表の方等にお願いして「四条京町家運営委員会」(仮称)を立ち上げ,その指導と助言の下で,具体的な運営につきましては,伝統産業界の団体にお願いする予定でございます。
 今後は,事業内容の細部について更に検討を行うとともに,改修工事に着手し,平成14年3月末のオープンに向けて準備を進めてまいりたいと考えております。
 京都が全国・世界に誇る伝統産業の再生と振興を図るため,今後とも,「京ものブランド町家工房事業」のほか,現在,取組を進めております「伝統産業の日」をはじめ,あらゆる観点で多様な事業に取り組んでまいりたいと考えております。

 

 私からは以上でございます。

 

(市長記者会見資料)

 

平成13年10月17日
京都市
産業観光局商工部伝統産業課
222-3337

 

~京ものブランド町家工房事業~
京都市京もの町家工房(仮称)の設置について

 

 京都の伝統産業を取り巻く厳しい状況を打開するため,伝統産業製品の新たな需要開拓,伝統産業従事者の育成,「京ものブランド」の発信と界わい観光の振興を図る「京ものブランド町家工房事業」について下記のとおり決定しましたのでお知らせします。
 今後は,平成13年度末のオープンを目指して準備を進めてまいります。

 

 

1 事業趣旨
伝統産業の振興を図るとともに,京町家の保全・再生及び界わい観光の振興のため,本市が京町家を借り上げ,改装を行ったうえで,次の事業を行う。
ア 伝統産業製品の新たな需要開拓
イ 伝統産業従事者の育成
ウ 「京ものブランド」の発信と界わい観光の振興

 

2 事業概要
(1)施設名  京都市京もの町家工房(仮称)
(愛称)四条京町家
(2)所在地・所有者
所在地:京都市下京区四条通西洞院東入郭巨山町9-1ほか
(通称)四条京町家  延べ358.31㎡(明治末期建築)
所有者:小泉光太郎氏ほか
所有者の小泉光太郎氏は,京町家の保全・再生に強い関心を持っておられ,当該京町家についても,解体の危機にあったところを自ら買い取り,「四条京町家」として,京町家に関する様々な活動に場を提供されています。
とりわけ,自ら主宰される「町家塾」においては,ボランティアの市民とともに,京町家の生活文化や伝統を学ぶセミナーや体験,交流の活動に積極的に取り組んでおられます。
(3)事業内容(「創る」「観る」「語る」の3つの柱で構成)
ア 「創る」(「京ものブランド」再構築の場)
デザイン企画やマーケティングに強い総合プロデューサーの指導の下,異業種の若手・中堅の経営者・技術者が結集し,「京ものブランド」として,京都のものづくりの技術を生かした新たな商品やこれまで脚光を浴びなかった価値の高いすぐれた伝統工芸品の企画・販売戦略等を行う活動拠点とする。
イ 「観る」(発表の場)
(ア)魅力ある「京町家」を活用しながら,現代の生活様式にマッチした「京ものブランド」として,実用的な新商品の企画・展示発表・販売を行う。その際に市民や観光客から得られた反応・批評を新たな商品づくりにフィードバックする。
(イ) 四季折々の演出を行う中で,京町家のしつらえを生かし,京・歳時記事業(伝統産業「京の職人さん」雇用創出事業)により製作された最高級調度品としての伝統工芸品の展示を行い,市民や観光客に公開し,京都の町衆文化の奥深さを堪能していただく。
*京・歳時記事業
国の緊急地域雇用特別交付金を活用し,府・市協調事業として,平成11年度から3年間にわたって実施。優れた伝統工芸技術保持者の緊急雇用の確保と人材活用を図るため,「京・歳時記」をテーマとした工芸品の製作を委託している。
(ウ)近隣の京町家に関する観光情報の提供などにより,京町家のネットワークづくりを進め,界わい観光の拠点としても活用する。
ウ 「語る」(交流の場)
(ア)若手・中堅の経営者・技術者をはじめとして,伝統工芸品に興味を持つ人々が集える場として幅広く開放し,普段単独で仕事をすることの多い職人が,より広い視野で仕事を進められるよう支援する。
(イ)若手・中堅の経営者・技術者が,ITを活用した伝統産業に関する情報の受発信を行うことにより,情報収集,意見交流を行う。
(ウ)伝統工芸品の製作実演や,市民や観光客を対象とした体験教室を実施し,使い手である市民や観光客と作り手である職人との交流を深め,伝統工芸品の良さをよく知ってもらうとともに,直接職人がニーズを把握することにより,商品づくりに生かしていく。
(エ)市民や観光客に対して伝統工芸品に関する各種セミナーを実施し,伝統工芸品の良さを広く市民にアピールするとともに,伝統産業従事者向けのセミナーを実施し,従事者の意識の向上を図る。
(4)運営方法
企画・製作・販売等に関する総合プロデューサーを中心として,伝統産業に関わる若手・中堅の経営者・技術者,学識経験者や「京もの」に関心を持つ市民代表等からなる「四条京町家運営委員会」(仮称)を立ち上げ,その指導と助言の下,伝統産業界の団体が事業の企画・運営を行う。
(5)今後の予定
早急に「四条京町家運営委員会」(仮称)を立ち上げ,改修工事に取組み,平成14年3月末の開設を目指す。

お問い合わせ先

京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

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