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市長記者会見(2001年6月20日)

ページ番号13405

2023年4月12日

平成13年6月20日 桝本市長定例記者会見資料

はじめに

 

 本日は,次代を担う子供たちの健やかな成長に,深刻な影響を及ぼす児童虐待問題,この防止対策につきまして,新たに取り組みます全国的にも先駆的な2つの事業についてお知らせいたします。

 

大阪教育大学附属池田小学校における痛ましい事件に関して

 

 これに先立ちまして,先頃6月8日の大阪教育大学附属池田小学校における痛ましい事件について申し上げます。
 まずは,尊い命を奪われた8人の子供たちのご冥福を心からお祈りいたしますとともに,ご家族の方々に対しまして,お悔やみを申し上げたいと存じます。また,負傷された子供たち,教職員の方々の一日も早いご回復を願っているところでございます。
 一昨年12月,伏見区の小学校におきまして不幸な事件を体験いたしましたが,再び起こった異常な事件に,私は,言葉に言い尽くせない怒り,悲しみ,無念さで一杯でございます。
 京都市では,伏見区における事件後直ちに,PTAや地域の方々の全面的なご協力を得ながら,スクールカウンセラーによる心のケアや,登下校時のパトロールなど,子供たちと学校を守る取組を展開いたしました。
 また,河合隼雄先生に座長をお願いしました「専門家会議」から頂戴しました答申をもとに,教育委員会において,「開かれた学校」づくりのもとで,「人と心のネットワーク」を拡充しながら,子供たちの安全確保を図ってまいっております。
 このたびの事件を受け,学校や保育園,児童館などの社会福祉施設に,安全管理についての再点検を喚起するとともに,さらに先般,PTA連絡協議会や校長会からの緊急要望を受け,施設面からの安全対策として,防犯システムをすべての市立小学校・中学校・養護学校に導入することとし,すでに数校において整備を完了しております。
 今後とも,保護者の皆様をはじめ,各方面のご意見をお聞きしながら,かけがえのない大切な子供たちの命を守るため,全力を尽くしてまいりたいと決意を新たにいたしております。

 

児童虐待防止対策の充実について

 

 それでは,児童虐待防止対策についてでございます。
 児童虐待は,子どもの心とからだに深刻な影響を与える大きな社会問題であり,京都市における相談や通告の件数も,この数年急激に増加していることから,その防止対策は,喫緊の課題であると受け止めております。
 こうした状況の下,京都市では,児童虐待の防止並びに早期発見,早期対応について,より効果的な施策を検討するため,昨年8月,指定都市で初めて,「子ども虐待に関する市民意識調査」を実施いたしました。
 本年1月15日にまとめました,この意識調査の中間報告を踏まえ,最も緊急に取り組むべき課題として,本年5月1日,児童相談所に,保健婦や心理職の児童福祉司など職員6名による専門チーム「子ども虐待防止アクティブチーム」を発足させ,より専門的に対応する体制を整備したところであります。
 また,今年度の新規事業として,医療機関向けのマニュアル作成や研修会を計画いたしますとともに,虐待を受けている子供の一時保護や入所に対応するため,児童養護施設の入所定員を拡大いたしました。
 そしてこのたび,意識調査の最終結果を取りまとめ,市民や関係機関の皆様のご意見をもとに,さらに,2つの新しい事業を実施することといたしました。
 それでは,具体的な内容につきまして,ご説明いたします。
 一つ目は,「子ども虐待SOS」専用電話の設置でございます。
 虐待から子供の人権と生命を守るためには,迅速かつ的確な対応が不可欠であります。このため,児童虐待に関する通告や相談などに,夜間・休日を含め24時間対応する専用電話を新設し,福祉を専門とする電話相談員4名を新たに配置いたします。これにより,家族の方や関係機関,あるいは近隣からの緊急通報に対して,迅速かつ,専門性を生かして的確に対応できる体制を整備することといたしました。こうした24時間体制で,相談や通告に応じる体制を整備しますのは,指定都市では横浜市に次いで,2番目となります。
 二つ目は,「親子ヒーリング (癒し)ルーム」事業の実施でございます。
 この事業は,虐待を受けた子供,虐待した親や虐待のおそれがある親に対し,虐待の予防及び再発防止に向けたカウンセリングを行い,こころの傷を癒すことによって,親子関係の改善に向けた支援を行うものであります。児童相談所に,新たに配置する心理職員がコーディネーターとなり,精神科医,小児科医,保健婦,栄養士などの専門職員がチームを編成いたします。
 これらの事業は,いずれも6月25日から実施することとしております。
 ただ今ご説明いたしましたように,意識調査の結果に基づき,
① 24時間いつでも相談・通告を受ける「子ども虐待SOS」専用電話
② 相談・通告に迅速かつ的確に対応する「子ども虐待防止アクティブチーム」の設置
③ 虐待の予防,再発防止のための「親子ヒーリング(癒し)ルーム」の体制を整え,相談・通告から心のケアまで,専門性を生かし,言わば入口から出口までの総合的かつ系統的な児童虐待防止対策を行うのは,全国的にも先駆的な取組であると考えております。
 冒頭に,大阪での事件に関連して申し上げましたが,私は,すべての市民の皆様が安心して子育てができ,また,すべての子供たちが健やかに成長する「子育て支援都市・京都」の実現を目指しており,今後とも,あらゆる観点から取組を推進してまいりたいと考えております。

 

 私からは以上でございます。

 

(市長記者会見資料)

 

平成13年6月6日
京都市
保健福祉局福祉部児童家庭課
251-2380
保健福祉局児童福祉センター
801-2929

児童虐待防止対策の充実について

 

 児童虐待は子どもの心と身体に深刻な影響を与えるもので,京都市においても,児童相談所に寄せられる相談,通告件数は急激に増加しております。
 このたび,児童虐待の早期発見と迅速かつ的確な対応並びに再発防止のための施策として,指定都市で初めて実施した「子ども虐待に関する市民意識調査」の結果と,増え続ける児童虐待に関する相談,通告を踏まえ,下記のとおり,新たな2つの事業を実施することとしました。
 これらの事業と本年5月に設置しました「子ども虐待防止アクティブチーム」を一体的に運用することにより,児童虐待防止対策を総合的かつ系統的に推進してまいります。

 

 

1 ~24時間対応~「子ども虐待SOS」専用電話の設置
児童虐待は,場合によっては生命にかかわる問題であり,早期発見による迅速かつ的確な対応が必要である。
そこで,児童虐待に関する通告や相談などを夜間・休日を含め24時間体制で受け付ける専用電話を新たに設置し,電話相談員を配置することにより,児童虐待に対して,迅速・的確に対応する。
(1)専用電話  ℡801-1919(新設)
(2)相談体制 24時間体制で児童虐待通告及び緊急相談を受け付ける。
通告,相談の内容に応じ,緊急に対応を必要とする場合には,児童相談所が関係機関(医療機関や警察等)と連携し,迅速かつ的確に対応する。
(3)相談員 福祉を専門とする職員4人を新たに配置
(4)事業開始 平成13年6月25日
※ 24時間対応の専用電話の設置・相談員の配置は,指定都市では,横浜市に次いで2番目である。

 

2 再発防止に向けた「親子ヒーリング(癒し)ルーム」事業
虐待された子ども,虐待した親や虐待のおそれがある親に対して,児童福祉センターの機能を生かした専門職によるチームを編成し,個々の親と子に応じた支援プログラムによって,こころの癒し(ヒーリング)と親子関係の改善に向けての支援を行う。
(1)スタッフ ① コーディネーターとして,心理職員を新たに1名配置する。
② 事例に応じて児童福祉センターの精神科医,小児科医,保健婦(士),栄養士等によるチームを編成する。
(2)事業内容 ○ 心理職員のコーディネーターが中心となって支援プログラムを策定する。
○ 虐待された子どもに対して,カウンセリングや遊戯治療等を行う。
○ 虐待した親に対して,カウンセリングなどの心理療法を行う。
○ 「子ども虐待SOS」等で助けを求めてきた虐待のおそれがある親に対しては,アクティブチームと連携する中で,カウンセリングや子育て支援等を行う。
(3)事業開始  平成13年6月25日

 

[参考1]児童虐待防止のための主な取組
1 「子ども虐待防止アクティブチーム」の設置
児童虐待について総合的かつ系統的に対応するため,平成13年5月1日,児童相談所内に,職員6名による専門チームを発足させた。
保健婦(担当課長)をはじめ,心理職の児童福祉司を配置し,より専門的な対応を図るとともに,児童虐待ケースすべての進行管理を行っている。
さらに,専門性を生かして医療機関や警察等の関係機関との連携強化と,児童虐待防止及び対応策についての調査,研究,研修,啓発を実施している。

 

2 医療機関向けマニュアルの作成及び研修会の実施
児童虐待の早期発見に大きな役割を果たす医療機関向けのマニュアルを作成し,それに基づき,研修会を実施する。(13年度事業)

 

3 児童養護施設の入所定員の拡大
虐待を受けている子どもの一時保護や入所に対応するため,平成13年5月,既設の児童養護施設(平安徳義会=西京区)で,5名の定員増を行ったところである。
また,地域社会において家庭的な環境で養護する「地域小規模児童養護施設」の開設に向けた取組を進めている。(13年度事業)

 

[参考2]児童相談所における相談件数の推移

児童相談所における相談件数の推移
年度平成8年度9年度10年度11年度12年度13年度
件数97777016225063
※13年度は,5月末現在

お問い合わせ先

京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

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