スマートフォン表示用の情報をスキップ

市長記者会見(2000年10月18日)

ページ番号13314

2023年4月12日

平成12年10月18日 桝本市長定例記者会見資料

はじめに

 

 本日は,皆さんにお知らせしたいことが2つございます。
 1つ目は,デジタルアーカイブを活用した二条城の障壁画の商業利用について,2つ目は,平安京創設以来の歴史を有する堀川にせせらぎを復活させる水辺環境整備についてでございます。

 

1. デジタルアーカイブを活用した二条城の障壁画の商業利用

 

 デジタルアーカイブを活用した二条城の障壁画の商業利用についてでございま す。
 京都市では,IT革命の時代における情報戦略を定めるため,先般,「京都IT戦略会議」を設置したところであり,また,これに先立って,平成9年度から,京都のもつ有形無形の歴史・文化・伝統資産をデジタル技術で蓄積し,様々な分野で活用する「デジタルアーカイブ構想」を全国に先駆けて推進しているところであります。
 このたび,デジタルアーカイブを活用して,世界文化遺産に登録されている二条城の障壁画をデジタル画像として保存して,これを商業製品等に活用するとともに,画像データの許諾料収入を二条城の修復・保存費用に充てるシステムを構築いたしました。
 文化財をデジタル画像化し,商業利用しますのは,全国の自治体で初めてのことであり,また,その収入を当該文化財の保全に充てるというシステムは,自治体・民間を問わず,わが国最初のものでございます。
 これまでに,二の丸御殿に現存する障壁画のうち324面をデジタル化いたしました。この障壁画は,幕府の御用絵師であった狩野探幽率いる狩野派一門によって描かれたもので,重要文化財の指定を受けている非常に貴重なものでございます。
 本システムの具体的な流れといたしましては,デジタルデータを扱う企業が本市の許諾を得て,画像データをインテリアデザイン会社や印刷会社などに販売します。そして,1億3千万画素という超高精細画質の画像データは,その特質を生かして,壁紙やカーテンなどのインテリア,絵葉書・テレホンカードなどへの製品化,さらには,仮想の撮影セットである「バーチャルセット」などへの活用が想定されます。
 デジタルデータを扱う企業は,データ使用料の50%を許諾料として京都市に納入していただき,本市はその許諾料を京都市文化事業基金に積み立て,二条城の保全に活用するというシステムでございます。
 二条城障壁画のデジタル画像の使用につきましては,すでに,契約の申し出があり,デジタル画像の販売先につきましても,国内外のホテルの内装デザインなど,複数の企業から引き合いがございます。
 私は,我が国におけるデジタルアーカイブの先進的自治体である京都市が開発しました,この仕組みには次のようなメリットがあると考えております。
①世界文化遺産に登録された二条城の貴重な障壁画を半永久的に保存でき,かつ,あらゆる分野で活用できること。
②有益な活用法を実践することにより,デジタルアーカイブ事業のより一層の推進力となること。
③京都の文化財の意匠をデザインとして取り入れた様々な製品が普及することにより,京都文化の発信につながること。
④多額の費用を必要とする文化財の維持保存の一助にもなります。
 今後,美術品等のデジタル化についても研究を進めてまいりたいと考えており,この画期的なシステムが全国に普及しますことを期待しております。

 

2. 堀川水辺環境整備事業

 

 次に,堀川水辺環境整備事業についてでございます。
 堀川は,平安京の造営時に資材運搬のための運河として整備され,以降,中世には材木の運搬,近世以降は友禅染めなど,京都の発展を支え,また,その流れは,人々にゆとりと安らぎを与えながら,1200年を超える歴史を刻んできました。
 しかし,浸水対策や都市化に伴う下水道の整備等により,現在では,大部分が暗渠(あんきょ)化するとともに,コンクリート張りの水のない川となっております。
 そこで,昨年6月に「京(みやこ)の川再生検討委員会」から頂戴しました提言に基づき,水と緑と町並みが一体となった景観,安らぎと潤い,さらには,防災機能を有する京都にふさわしい水辺を再生するため,堀川に清流を復活させ,水辺空間の整備を行うことといたしました。
 このたび,整備基本方針がまとまりましたので,その概要をお知らせいたします。
 具体的な内容でございますが,まず,左京区下鴨を流れる第二疏水分線を水源として堀川に水を引き,今出川通から御池通までの開渠(かいきょ)部に,せせらぎを復活させ,水辺空間を整備します。流れる水の量は,祇園の白川とほぼ同程度を想定しております。
 そして,堀川の水の一部を二条城の外堀に導き,その浄化を図るとともに,京都府が進められる西高瀬川の整備事業との連携を図り,二条城外堀の水を西高瀬川に引き,市内中心部に水と緑のネットワークを形成します。
 さらには,都市防災対策として,消防水利施設を整備することといたします。 なお,雨天時に下水が流入しないよう,下水道対策もあわせて行うこととしております。
 整備にあたりましては,計画段階から市民の皆様にご参加いただく,パートナーシップ型公共事業とするため,ワークショップを開催し,広範な市民の皆様のご意見を反映させたデザインを今年度中に決定したいと考えております。
 私は,京都のまちの顔とも言える堀川を再生することにより,歴史と自然を感じ,人々が集い,防災機能を併せ持つ,美しい水辺環境を創出したいと考えております。

 

(市長記者会見資料)

 

平成12年10月18日
京都市
総 合 企 画 局
情報化推進室情報化推進課 222-3255
文 化 市 民 局
元離宮二条城事務所 841-0096

 

デジタルアーカイブを活用した二条城の障壁画の商業利用について~

文化財の修復・保全にも活用する全国初のシステム ~

 

 京都市におきましては,劇的に進展していくIT革命の時代における情報戦略を定めるため,外部有識者で構成する「京都IT戦略会議」を設置(12.9.21)したところです。また,これに先立ち平成9年度から,京都のもつ有形無形の歴史・文化・伝統資産をデジタル技術で蓄積し,様々な分野で活用する「デジタルアーカイブ構想」の実現に向けた事業を全国に先駆けて推進しております。
 このたび,デジタルアーカイブを活用し,二条城の障壁画を商業利用することといたしました。
これは,世界文化遺産に登録されている二条城の障壁画を超高精細デジタル画像で保存し,これを商業製品などに活用するもので,また,許諾料収入を二条城の修復及び保全の費用等に充当しようというシステムです。

 

 

1 実施方法
(1) 二条城の障壁画のデジタル化
 世界文化遺産に登録されている元離宮二条城の二の丸御殿の障壁画324 面を1億3千万画素の超高精細デジタル画像に保存する。
国宝である二の丸御殿の障壁画は,幕府の御用絵師であった狩野探幽率いる 狩野派一門によって描かれたもの。全3,411面のうち954面が重要文 化財に指定(昭和57年)されており,今回デジタル化した324面はすべ て重要文化財。
(2) 契約業者によるデジタル画像の販売
京都市は,デジタルデータ(超高精細デジタル画像)を取り扱うことがで きる業者とデジタル画像使用権許諾契約を締結。当該業者は本市の許諾を得 て,画像データをインテリアデザイン会社や印刷会社などに販売する。
※ 文化財のデジタルデータを商業利用するのは,自治体としては全国初の 取組である。
 *想定される事業及び商品製作
①ホテルの壁紙など建築物の内装 
②商店のディスプレイ展示
③カーテン,タペストリーなどインテリア製品
④スカーフ,ハンカチなど服飾,小物
⑤絵葉書,テレホンカード製作
⑥「バーチャルセット」(仮想の撮影セット)やCG(コンピュータ・グ ラフィックス)で製作する「マルチメディアコンテンツ」の素材データ
(3)京都市への収入
 当該業者は,当該デジタル画像を販売等の商用に使用することにより得た 収入の50%を,デジタル画像使用許諾料として京都市に納入する。
(4) 収入を二条城の修復及び保全に活用
京都市は,納入された許諾料を京都市文化事業基金に積み立て,3年後に 築城400年を迎える二条城の修復及び保全に活用する。
※ 文化財のデジタルデータの収入を当該文化財の修復・保全に活用するの は,自治体・民間を問わず全国初の取組である。
*京都市文化事業基金について
「市民文化の発展に寄与する事業の実施に必要な資金を積み立てるため」, 昭和48年に設置。
(平成12年9月現在の積立額:667,551,538円)

 

2 事業のメリット
(1) 世界文化遺産に登録された二条城の貴重な障壁画を超高精細デジタル画像 として半永久的に保存することができ,学術研究はもとより,あらゆる分野 で活用することが可能である。
(2) デジタルアーカイブ事業による有益な活用法を実践することにより,デジ タルアーカイブ事業のより一層の推進力となる。
(3) 京都の文化財の意匠が幅広い製品に活用されることにより,国内外に京都 文化の発信を図ることができる。
(4) 多額の費用を必要とする文化財の維持保存のための財源確保に一定の役割 を果たす。そして,デジタル画像の活用による文化財の新しい保全活用方法 の仕組の一つとして全国的に広く普及することで,多くの文化財の保全が図 ることができる。

 

3 今後の取組
 市美術館,芸術大学が保有する美術品をはじめ,市内の各大学が保有する学 術資産のデジタル化を研究していくとともに,本システムを全国に普及させ, より一層のデジタルアーカイブの推進,さらには,文化の保全を図っていく。

 

(市長記者会見資料)

 

平成12年10月18日
京都市
建設局水と緑環境部河川課
222-3591

 

堀川の水辺環境整備事業について

 

 堀川の水辺環境整備事業につきましては,昨年6月に「京(みやこ)の川再生検討委員会」から,「山紫水明の町づくり」をテーマとした提言をいただき,提言の中で,再生すべきモデル河川として位置付けられました。
 本市では,この提言を受け,現在,川底がコンクリート張りで,普段は水の流れていない堀川に清流を復活させるとともに,水辺空間の整備を行う再生事業に取り組むこととし,事業化に向けて検討を行ってまいりました。この度,整備基本方針がまとまりましたのでお知らせします。
 この整備基本方針に基づき,本年度中に市民参画により具体的なデザインの提案を盛り込んだ整備構想を策定するため,ワークショップを開催します。

 

1 堀川の水辺環境整備基本方針
(1)内容
ア せせらぎの復活と水辺空間の整備
 左京区下鴨を流れる第二疏水分線の水を賀茂川を下越しさせ,紫明通・堀川通を 経由して,今出川通から御池通の堀川の開渠部に導水し,せせらぎを復活させると ともに,水辺空間の整備を行う。
イ 二条城外堀への導水
 堀川に導水した水の一部を二条城の外堀に導水し,堆積した汚泥を浚渫(しゅんせつ)することにより,外堀の水質の浄化を図る。
ウ 西高瀬川への導水による水と緑のネットワーク形成
 京都府の西高瀬川河川環境整備事業と連携を図り,二条城外堀から西高瀬川へ導 水することにより,京都市中心部に水と緑のネットワークを形成する。
エ 災害時の消火用水,生活用水としての利用
 都市防災上の観点から,堀川の河床に消防水利施設(ピット)を整備し,災害時 の消火用水,生活用水としての利用を図る。

(2)整備区間
紫明通(賀茂川)~堀川紫明~堀川今出川~堀川御池~二条城外堀延長約4.4km
(3)整備事業年度
平成14年度~平成22年度
① 平成14~15年度 紫明通の新設導水路,親水整備
② 平成16~17年度 賀茂川サイフォン
③ 平成18~19年度 堀川開渠部河道整備,親水整備
④ 平成20~21年度 二条城堀浚渫(しゅんせつ)浄化
⑤ 平成22年度    堀川→二条城堀の新設導水施設
(4)整備事業費(概算)
約23億円
なお,建設省の「まちづくり総合支援事業」の事業採択を申請する予定。

 

2 堀川水辺環境整備構想
整備基本方針に基づき,親水整備について,市民の皆様に具体的な整備デザインを
ワークショップ形式で提案・検討していただき,本年度中に整備構想を策定する。
(1)ワークショップの概要
ア 参加者  120~130名
イ 内  容
 紫明通~御池通間を5ゾーンに別けて,ゾーン別の整備デザインを提案する。
ゾーン                   整備イメージ
堀川(御池通~竹屋町通)       二条城と一体となった交流の水辺
堀川(竹屋町通~下立売通)     歴史と暮らしを結ぶ水辺
堀川(下立売通~中立売通)     にぎわいとゆとりの水辺
堀川(中立売通~今出川通)     由緒ある橋とこかげの水辺
堀川(今出川通~紫明通), 紫明通(堀川通~賀茂川) 新たな水辺空間の創出
ウ 開催回数 3回(平成12年度中に実施)

 

3 工事着手までの今後のスケジュール
平成12年度 堀川水辺環境整備構想策定
平成13年度 調査・基本設計
建設省の「まちづくり総合支援事業」事業採択申請
平成14年度 実施設計,工事着手
(参考)
* 堀川について
堀川は,平安京造営時に幅12mの運河として,主として洛中への木材の運搬等のために開削され,1,200年以上の歴史をもっている。
明治時代には,京都再生の三大事業の一つである琵琶湖疏水の分線が高野川・賀茂川を横断して導水され,農業用水や友禅染等に利用されていた。
しかし,昭和10年の京都大水害等,たび重なる浸水被害発生のために,昭和20~30年代に浸水対策事業(都市下水路の整備)の実施に伴い,水源が断たれ,現在は,普段,水の流れていない水路となっている。
* 「京(みやこ)の川再生検討委員会」
府・市協調事業として,京(みやこ)の川再生に向けて平成10年12月設置。
(委員長…中川博次京都大学名誉教授・立命館大学教授)3回の委員会を経て,平成11年6月に提言を提出。

お問い合わせ先

京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

フッターナビゲーション