シャングリ・ラ ホテル 京都二条城計画
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2022年2月2日
京都市では,地域の魅力を活かした宿泊施設を開業しようとする事業者の皆様等から相談を受け,計画検討の初期段階から地域住民と事業者を橋渡しし,地域住民の生活との調和を前提として,地域の活性化等に寄与するとともに,そこでしか味わえない奥深い京都の魅力が体験できる,より良い宿泊施設計画となるよう支援する「上質宿泊施設誘致制度」を推進しています。
この度,同制度に基づき,上質宿泊施設計画者から上質宿泊施設計画書の提出があったため,本市において,外部有識者の意見を聴取しつつ,計画書の内容を確認し,下記のとおり,上質宿泊施設候補として選定いたしましたので,お知らせいたします。
記
1 上質宿泊施設計画者名
Shangri-La Kyoto Nijojo特定目的会社(取締役 福永 隆明)
(計画名:(仮称)シャングリ・ラ ホテル 京都二条城計画)
2 建築計画等の概要 (詳細別紙)
⑴ 所在地 京都市上京区竹屋町通大宮東入藁屋町536番71他
⑵ 敷地面積 5,838.12㎡
⑶ 建築面積 3,438.6㎡
⑷ 延床面積 11,919.9㎡
⑸ 建物高さ 14.995m
⑹ 構造・規模 鉄筋コンクリート造,地上4階 地下1階
⑺ 客室数 77室(最低面積50㎡,最高面積202㎡)
⑻ 付帯設備 レストラン,バー,フィットネスルーム,スパ,プール,共同浴場
⑼ 主な都市計画上の条件等
用途地域 | 第一種住居地域 | ||
高度地区 | 15m第2種高度地区 | ||
建ぺい率 | 60% | 容積率 | 200% |
その他 | 歴史遺産型美観地区 眺望景観保全地域(近景・遠景デザイン保全区域,事前協議区域) 屋外広告物規制区域(歴史遺産型第2種地域) |
【外観パース】
北側から
南側から
南東側から
南西側から
「上質宿泊施設誘致制度要綱」では,上質宿泊施設計画者から計画書の提出があった場合,本市が上質宿泊施設計画に期待する事項(地域・周辺との調和や京都経済活性化など約30事項)について外部有識者の御意見を聴取しつつ,本市において,上質宿泊施設として適当であるかどうかを総合的に判断することとしています。
本計画について,令和4年1月25日に有識者会議を開催し,御意見を聴取した結果,以下のように御講評いただきました。
⑴ はじめに ○ 計画地は,世界文化遺産「古都京都の文化財」(1994年登録)の構成資産「元離宮二条城」(国宝二の丸御殿,特別史跡二の丸庭園を含む)の緩衝地帯に位置し,京都市市街地景観整備条例では,歴史遺産型美観地区に指定されている。その定める景観デザイン基準を尊重し,世界遺産への影響を考慮するともに,神泉苑や二条陣屋等の周辺の歴史的資産を保全し,良好な都市景観を形成することが求められる。 ○ また,計画地は,第一種住居地域に指定され,計画地周辺には低層の住宅や中層のマンションが立ち並んでいる。そのため,住民と協議しつつ周辺の住環境に十分配慮し,地域と調和する計画を検討する必要がある。 ○ さらに,計画地北側の西陣は織物産地で,その関連する企業や従業員が多く住み,京町家が多く残っている。 ⑵ 周辺住民との合意形成状況について ○ 事業者は,2020年(令和2年)9月から待賢学区と出水学区の住民福祉連合協議会との協議を始め,その上で,近隣町内や周辺住民との意見交換を重ねてきた。意見交換の中で,周辺住民から住環境への影響等に係る意見があったが,それらに対して,改善案の提示を行うなど,丁寧な対応を行ってきた。 ○ 特に,この地域では災害時における住民の避難場所が十分でないことが課題となっていたことから,地域からの要望を受け,事業者が一時避難場所の提供,断水時における井戸水の提供,防火水槽の設置などの住民への協力を行うこととなった。 ○ こうした協議を経て,事業者は2021年(令和3年)10月に周辺住民との最終的な合意形成に向けた説明会を開催した。その後,計画変更が必要となる住民意見はなく,計画に対する周辺住民の理解が十分得られていると考えられる。 ⑶ 計画内容への評価 ○ この宿泊事業を経営するホテル会社は,アジアを中心に世界76ヶ所で104のホテルを経営し,ラサやペナンはじめ各地の世界遺産近くで,特に上質な宿泊施設を運営することで知られる。この計画においても,世界遺産二条城の文化芸術的価値を始め,周辺の魅力を堪能できる機会を提供し,京都の優れたものづくり文化に触れる上質な体験を宿泊客に提供することが期待される。実際,地域産品の積極的な活用,国内外への販路開拓への協力など,様々な取組を提案している。 ○ これらの取組により,知的好奇心が旺盛で,文化的価値や上質なサービスを求め,これに対価を支払う世界有数の顧客が集まることが期待される。ホテルの上質なホスピタリティーを通じて,西陣織など地域産業の経済効果が図られ,地域の歴史・文化の継承・発展への好影響が期待できる。 ○ 加えて,災害対応への協力をはじめ,地域の安心安全の向上や住環境の改善に向けた取組が計画に盛り込まれており,地域社会の一員として,地域課題の解決に貢献するという姿勢も示されている。 ○ また,本計画では,事業者と設計者が「事前協議(景観デザインレビュー)制度」の歴史的景観アドバイザーと協議し,「京都市優良デザイン促進制度」による専門家のアドバイスを受け,建物の見え方の検証を行うとともに,世界遺産二条城とその周辺の景観に配慮したデザインを意識することにより,地域と調和したデザインとなるよう検討されている。 ⑷ むすびに ○ この計画を進める事業者が,京都の観光文化の発展に大いに貢献するとともに,選定後も引き続き周辺住民との対話を継続し,地域に根付いた対応が行われることを期待する。また,事業者の持つ高度なノウハウや国際的なブランド力を生かして京都の魅力を国内外に発信することにより,本計画が京都の奥深い歴史や文化の継承・発展に寄与する好事例となり,京都市の都市格がより一層向上することを期待する。 |
4 選定理由
本市において,上質宿泊施設計画書の内容を総合的に確認したところ,有識者会議で講評いただいた,宿泊サービスの提供を通じた地域産業の活性化や,周辺住民との合意形成状況などに係る評価に加え,その他の事項についても,以下のとおり,評価することができます。
その結果,本計画は,地域資源を活用した上質なサービスを提供する宿泊施設であると認められ,本市が市内に立地する宿泊施設に求める,多様で魅力ある施設の拡充に資するものと評価できるため,上質宿泊施設候補として選定いたします。
【主な評価内容】
○ スイートルームをはじめとした余裕のある客室空間と,スパやプールなどの充実した付帯設備が計画されており,滞在型宿泊観光にふさわしい文化体験や上質な宿泊サービスが計画されている。
○ 市内産品の積極的な活用に加え,各種サービスにおける市内事業者との積極的な連携が計画されているほか,雇用創出にも資する計画となっており,広く京都経済への貢献が期待される。
氏名 | 役職 | |
赤星 周平 | 公益社団法人京都市観光協会 事務局次長 | |
濱崎 加奈子 | 公益財団法人有斐斎弘道館 代表理事 | |
宗田 好史 | 京都府立大学文学部和食文化学科教授 | ◎ |
山田 陽子 | 公認会計士 | |
横山 健一郎 | ホテルプロジェクトアドバイザー | ○ |
◎:座長 ○副座長
上質宿泊施設候補の選定について((仮称)シャングリ・ラ ホテル 京都二条城計画))
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お問い合わせ先
京都市 産業観光局観光MICE推進室
電話:075-746-2255
ファックス:075-213-2021