第15回食の拠点機能充実戦略委員会について
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2011年9月1日
この度,京都市中央卸売市場第一市場第15回食の拠点機能充実戦略委員会を開催いたしましたので,その内容について以下のとおり,お知らせします。
1 日時 平成23年4月15日(金曜日)午後2時から午後4時まで
2 場所 ホテルセントノーム京都 平安の間
3 出席委員 20名 (50音順・敬称略)
京都市中央卸売市場協会 副会長 | 池本周三 |
食育キッチンお料理塾 主宰 | 石黒美江 |
京都青果小売商組合連合会 会長 | 石塚清三 |
京都府漁業協同組合連合会 販売部長 | 今井昭敏 |
京都市中央卸売市場協会 会長 | 内田昌一 |
JA京都中央 経済担当常務理事 | 大島正次 |
京都水産物小売団体連合会 会長 | 岡本 勲 |
ジャーナリスト (元株式会社京都新聞社論説委員) | 関根英爾 |
京都料理組合 組合長 | 園部平八 |
京都市中央卸売市場協会 副会長 | 田中憲一 |
京都女子大学家政学部 教授 | 中山玲子 |
みやこ女将の会 会長 | 西村明美 |
京都市中央卸売市場協会 副会長 | 東川守男 |
京都大学大学院農学研究科 教授 | 伏木 亨 |
市民公募委員 | 門間敬子 |
KBS京都 ラジオパーソナリティー | 山崎弘士 |
株式会社京都リビング新聞社 編集部編集長 | 山舗恵子 |
NHK京都放送局アナウンス 副部長 | 吉田 賢 |
市民公募委員 | 和田幸子 |
京都市中央卸売市場第一市場 場長 | 北山俊二 |
4 内容
(1)開会あいさつ
京都市中央卸売市場第一市場 場長 北山俊二
(2)新委員紹介
(3)東日本大震災に係る本市場への影響等についての報告
配布資料にて事務局から説明
(4)平成22年度食の拠点機能充実事業報告について
10月以降の実施事業について,パワーポイントを使い,事務局から報告
(5)平成23年度食の拠点機能充実事業計画(案)について
配布資料にて事務局から説明
(6)第一市場市民感謝デー「京朱雀市場 食彩市」について
配布資料にて事務局から報告
(7)京朱雀市場 ロゴマーク募集(案)について
配布資料にて事務局から説明
(8)閉会あいさつ
京都市中央卸売市場協会 副会長 池本周三
【意見交換の内容】
○ 先日,開催された「京朱雀市場 食彩市」(以下,「食彩市」)では,一般消費者に対し卸売市場で小売を行うということについて,当初,仲卸では,1匹丸のままで魚を販売し,3枚おろし等の処理は小売りが担当するというルールを設けていた。
しかし,当日は,魚をさばく場所が店舗のある建物から離れていたため,購入した魚を持ち込む客が少なかった。一方で,一部の仲卸店舗では,サービスとして魚をさばいて販売している店舗があったなど,事前に調整した内容どおりできなかった部分があった。水産物を扱う小売の立場としては,仲卸店舗には,再度,ルールに基づいた販売を行うよう希望するとともに,自分たちもやり方を一から検討し直し,次回は,スタッフの指導で,消費者の方々にも実際に魚をさばいてもらおうと考えている。いつまでも問題点に固執してばかりもいられないので,消費者のために,改良すべきところは改良して,次回の開催に臨みたい。
○ あくまでも,消費者のために実施するというのが大前提であるため,事業の趣旨をきちんと理解した前向きな御意見をいただき,ありがたい。
○ 今回,青果部では,食彩市には参加せず,次回以降の参加について検討するということになっていた。食彩市への参加について,青果物を取扱う小売組合の代表として,京都市場で取扱う食材について,消費者に安心,安全であるということをPRするという意味では賛成である。
しかし,そもそも青果の仲卸での販売形態や交通安全対策の内容についても決まっておらず,小売の組合員からは,一般消費者に市場を開放すると,今後,小売店での客が減るのではないかといった意見も出ているのが現状である。そのため,青果部の参加については,これらの意見もとりまとめ,卸や仲卸とも協議しながら検討していきたい。
○ それぞれ意見はあると思うが,やはり,消費者の方々の目線で考えていく必要がある。交通安全等の問題もあるが,まずは,参加することを前提に,問題点を解消していく方法を考えていく必要があるのではないか。
○ 今回,青果部が食彩市に参加しなかった理由は3つある。1つめは,交通安全上の問題である。午前10時から正午までという時間帯は,青果ではまだ2回目のせりが行われ,商品の移動のために仲卸店舗の通路をモートラ(電動荷物運搬車)がさかんに走っている状況であり,見学者用の通路が設けられていない本市場では,一般市民の方が通行されるには危険を伴うためである。2つめは,先ほどの意見にもあったように,小売業界の方々とのコンセンサスの問題である。3つめは,開催時間の問題である。最初にも述べたように,午前10時から正午までは,青果ではまだ通常業務の最中であり,一般消費者への商品の販売について,きちんとした対応を取りにくい状況である。
しかし,京都市場を広く市民に知ってもらうという開催趣旨には異論なく,水産卸売場等での出店形式での参加も含め,食彩市への参加を検討していきたいと考える。
○ 卸売市場の役割が,市民への食料の安定供給から,食材の調理法や旬などといった食育を通じて消費拡大を図ることに変わってきている中で,次回以降は,更に多くの種類の魚を購入してもらえるような工夫があればよいのではないかと考える。
○ 最近は,全国の卸売市場で,月に1,2回のペースで市場を一般市民に開放する動きが出ている。今回の食彩市を開催するに当たって,事前に福岡市,大阪市,横浜市の各中央卸売市場の市場開放の様子を視察してきたが,どの市場も1,000人以上の来場者が訪れ,福岡市場に至っては,2年目となる昨年でも約7,000人の来場がある状況である。
そもそも,市場開放に当たっては,小売業界の理解を得ることが最も重要である。今回の食彩市の開催についても,小売団体の代表である岡本委員とは,様々な角度から何度も協議させていただいた。
しかし,実際に開催してみると,1匹丸のままの魚を購入される市民の方が少なかった一方で,コーナーの設置場所の問題で,小売団体の方々による魚のおろしサービスの利用者は多くなかったという状況となった。また,一部の仲卸店舗で魚をさばいて販売していたという事態も発生した。事前の協議に基づいたルールが徹底されていなかったというのは,今後の反省点である。
しかし,京都市場に来て,新鮮で多種多様な食材を実際に見てもらい,それを小売店で買い求めていただくという流れが魚食普及を始めとする生鮮食料品の消費拡大に繋がるのであり,小売団体の方と一心同体で,様々な反省点等を1つ1つ解決しながら,今後も継続して実施できるように着実に取り組んでいきたいと考えている。
また,青果部についても,生鮮食料品の普及という目的を御理解いただき,水産卸売場での出店形式を含め,是非参加を検討していただきたい。
○ 全国的にみて,市場開放を実施している卸売市場であっても,青果については時間的制約があるため,ほとんど行われていないのが現状である。そのような中で,青果が参加する場合においても,市民に市場を知ってもらい,安心,安全な食材をPRするという観点からは,出店形式ではなく仲卸店舗での販売を行うべきであると考える。その際の時間的制約の問題等をどのようにカバーしていくかが今後の課題である。
また,食の拠点機能充実事業については,京都市場を市民にもっと理解していただくという観点からは,まだまだ十分でない点も多いと思うが,現状としてここまで様々な事業を実施している市場は,全国的にみても本市場がトップクラスであるということも併せて御報告しておきたい。
○ 食彩市について,今回の委員会で開催するに当たっての様々な御意見や課題等があることを知ったが,毎月第一土曜日のイベントとして,昨年決定した「京朱雀市場」という愛称と共に市民に浸透するよう,なんとか困難を乗り越えてこのまま継続して開催してもらいたい。
また,ロゴマークの募集について,決定した後はどのように活用されるのか教えてもらいたい。
○ 昨年の愛称の公募では,全国から354作品という多くの御応募をいただいた。これを受けて,今回のロゴマークについても,広く作品を応募していただくことで本市場を知っていただく機会とすべく,公募形式とし,制作していただいた方の思いを尊重しながら,メッセージ性のある作品にできたらと考えている。
そのうえで,決定したロゴマークについては,名刺や各種配布物,バッチ等,市民に広く親しんでいただけるよう,様々な機会をとおして活用していきたいと考えている。
○ 一般市民にとって,卸売市場は日常生活から離れた存在であり,特に,子どもたちにとっては,食料品の流通過程が見えにくいものとなっている。そのため,どのような過程を経て食べ物が自分たちの食卓に上るのかをわかりやすく説明した図等があればと思う。
更に,「小学校出前板さん教室」や「料理教室」等の事業では,当日使用した市場の食材を買い求めることができる小売店リストなどを配布すれば,流通過程が更に身近に感じられるようにもなると考えられる。市場の存在が日常生活の中で常に意識できるような工夫をしてもらえたらと考える。
○ 食彩市に訪れる市民が最も期待を寄せていることは,魚等の食材が安く購入できるということである。その次に多い期待は,おいしいものが食べられるということであり,3番目としては単に土曜日なので何かイベントに参加できたらという期待である。市民の思いはそれ以上でもそれ以下でもなく,単に食材を安く購入できると期待して行った人が,市場の仕組みや食の安全への取組等を後から知り,食育に繋がっていくという流れができるのである。
しかし,食育ということが優先されるのであれば,通常の市場見学会の回数を増やし,食に対する意識の高い市民に来てもらい,市場の食材の安全・安心をPRすればよい。多くのイベントがある中で,市場開放という新しい取組を行う以上,市民目線,市民感覚といったものを十分大切にしながら,みんなが満足できるイベントとして引き続き実施してもらいたい。
○ 市場開放に当たっては,先の御意見にあったように「何のために実施するのか。」ということを明確にすることが大変重要である。食育を求めて来る市民はほとんどいない。大半の市民にとって,一番の魅力は,新鮮な食材が予想外に求めやすい価格で購入できるということであり,スーパーでは売っていないような珍しい食材が購入できるということである。そのためには,品質の高い食材を安く,宝物を探し出すように楽しみながら確実に購入できるということが実現されなければならない。インターネット等の普及により,市場を介さずに食材が産地から直接消費者のもとに届く時代において,市場で実際に食材を目にして新鮮さを実感し,その食材を小売から日常的に購入できるという流れを作り直すことが,生鮮食料品の普及,ひいては市場の存続にとっての最終的な目標であるといえる。
○ 市場開放について,青果部では開催時間帯の問題から参加しにくいという御意見があったが,水産部と同時に開催するのではなく,隔月で水産部と青果部交互に開催してはどうか。
青果物の生産者の立場としては,自分たちが育てたものを納得のいく価格で販売したいという思いがあるが,そのことに囚われ過ぎると,このような消費者向けのイベント的なことは実行しにくくなるため,幅広い視点で内容を検討していくのがよいと思われる。
○ 水産物の生産者の立場として,近年の魚価の低迷は漁業の存続に係る極めて大きな問題である。その原因の一つとして挙げられるのが,30代以下の若い親御さんたちの多くが,魚を調理しないということである。コンビニなどの出来合いの惣菜で食事を済ます機会が増え,家庭で料理を作ることが減っている中で,将来に渡ってどのようにして魚食普及ひいては日本の食文化を伝えていけばよいかと思案している状況である。
そのような中で,食彩市のようなイベントは我々としても歓迎できるものであり,継続的な実施に関し,我々としても協力できることは協力していきたいと考える。
○ 主婦という立場からは,常に,どこの店で安くて新鮮でおいしいものが売っているかを見極めながら日常の買い物をしている。そのため,食彩市では,安くて新鮮で珍しい食材が購入できるというPRの仕方はとても大切である。その他にも,自分で魚をさばけない人のために,さばき方教室や下処理などのサービスが設けられており,様々な角度から工夫されているイベントであるので,今後も是非継続してもらいたい。
○ 食彩市のように家族で行けるイベントでは,普段買い物をしないような男性のほうが,物珍しさに興奮して,ついついたくさん購入してしまうということもよくある。男性も食材について興味を持てるよい機会であると思うので,継続して開催してもらいたい。
○ 食材の流通について,インターネットの普及により,一部の消費者はネットでの直販に流れるだろうが,プロにとって市場はなくてはならない存在である。第一に,安全・安心という観点からは,市場の食材が最も信頼できる。また,商品の仕入れに関しても,料理屋では様々な食材を扱うため,ネットでバラバラの時間帯に個別に食材が宅配されるのでは商売ができない。その点,市場にはしっかりした集約機能があるため,一括して仕入れることができる。その良さを踏まえて,月に1度市場を開放されるのはよいと思うが,日常的に一般の方が買い物に来られると,業務に差し支えも出てくるため,その点はきちんと区別してもらいたい。
○ 最近は,魚を調理する親御さんが少なくなり,塩干物のアジ等の骨のある魚はほとんど食卓に上らなくなっている。そのため,他にもいろいろおいしい魚があることを知らない子どもたちが多い気がする。
そのような中で,料理教室を開催し,自分たちが昔から食べてきたものを教えつつ,更においしい食べ方を伝える活動をしているが,食彩市でも,単に魚等の食材を販売するだけでなく,おいしい食べ方や上手な調理の仕方についても教えていただけたらと思う。そうすることで,今まで調理方法がわからず購入しなかった食材が食卓に上るようになると考える。
○ 以前,読者に,野菜をどこで一番多く購入するかというアンケートを行った際,スーパーに次いで多かったのが朝市という回答であった。安心して食材を購入できるというのがその理由であったが,やはり,消費者にとっては,安全な食材を安心して購入したいという思いは強い。その点,市場では,安全・安心な食材が購入できるという漠然としているが,絶対的な信頼がある。そのため,食彩市においては,楽しみながら,具体的に安全・安心に気付けるような工夫を取り入れてもらえたらと考える。
○ 近年,核家族化等に伴う食生活の変化により,伝統的な食文化が継承されにくくなっている状況で,京都の伝統的な食材を理解し,食文化を継承していくためには,開かれた市場として,小売を巻き込みながら,市民に多くの安全・安心な食材を購入してもらうことが重要である。そのためには,市民が安全に移動できる動線の確保や施設の配置等の市場内の整備を行う必要がある。
また,市場は,世界的にみても一国の文化を代表するものであり,文化政策,商業振興政策の観点からも,京都市場の活性化に取り組んでいってもらいたい。
○ 食育の捉え方は様々あり,市民の健康面という観点からは,安全・安心で多様な食材をいろいろな料理から取り入れる必要があると考えるが,そもそも,そのようなことに関心を持たない人も多い。そのため,食彩市では,少しでも多くの市民に,食育に関する興味や関心を持ってもらえるよう,安全・安心な食材を適正な価格で販売するとともに,魚のさばき方等の料理の仕方等,これまで食の拠点機能充実事業で実施してきた様々なイベントの要素を総括的に取り入れた内容にしていけばよいと考える。
また,ロゴマークの活用方法については,「京(みやこ)食事バランスガイド」に市場の食材をPRするために設けたり,買い物袋に使用したりしてはどうかと考える。
○ 平成22年度の実施事業について,今や当たり前のように報告がなされているが,個々の内容を実施することは大変なことであり,それが継続されているということはとても大事なことである。活動を続けていくことが京都市場の実力になる。また,23年度の事業内容についても,これまでの事業内容が発展したかたちで盛り込まれており,心強く感じた。
一方で,敢えて市場の意義を問い直すような意見が出たが,その結果として,やはり市場には様々な重要な機能があり,市場の存在が大切であるということを再確認できたことが,本日の委員会において大変貴重な収穫であり,意義深いことであったといえる。この結果をもとに,日本で最も進んだ卸売市場になっていってもらいたい。
お問い合わせ先
産業観光局 商工部 中央卸売市場第一市場
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