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サキョウ見聞録 その29 広河原薪炭再生集団(ひろがわらしんたんさいせいしゅうだん)

ページ番号353325

2026年4月24日


広河原薪炭再生集団のみなさん。右から葛西清司さん、段下健二さん、折谷郁夫さん、八木燦太さん

左京区北部山間地域の中でも北に位置する広河原。山に囲まれた集落で、南に向かえば花脊、東に能見峠を越えれば久多、北に佐々里峠を越えれば南丹市美山の芦生です。

昔から林業が盛んだったこの地域では、薪炭づくりは重要な産業で、炭焼き小屋がたくさんありました。広河原で焼いた炭は鞍馬まで運んでいたことから、「鞍馬炭」と呼ばれていたそうですが、エネルギーが薪や炭から石油中心に変わっていく中で、20年ほど前に炭焼きは途絶えてしまったそうです。

危機感を持った地域の有志のみなさんが2016年に立ち上げたのが「広河原薪炭再生集団」。昔の炭焼きの工程を復活させ、現在は再び製品化に成功しています。

花背小中学校3年生の地域学習の機会に合わせて、炭焼き窯にお邪魔させていただきました(2024年11月)。


鞍馬炭のこと

花背小中学校3年生のみなさんに説明してくださったのは、広河原薪炭再生集団の副代表の葛西清司さん。鞍馬炭のことを、分かりやすく話してくださいました。


奥が葛西清司さん

「広河原でも花脊でも大原でも、炭づくりは貴重な収入源で、作った炭はいったん鞍馬まで卸していた。

炭は木を焼いて作るけど、普通に燃やしたら灰になってしまう。燃えるには空気が要るが、窯に入れて、空気を入りにくくして焼くと灰にならない。

木を燃やさずに水分とガスを抜き取って、黒い炭に仕上げる。一週間ほどかけて、燃やさず、消さず、木を苦しめながらやね(笑)。

こうして作った炭は、バーベキューで肉を焼くときに使ったり、湿気やにおい取り、トイレの消臭や、水をきれいにしたりするのに使う。」


「炭とガスの違いは、遠赤外線で奥の方までしっかり焼いてくれること。これはガスにはない、炭の良さだと思う。

 この材料はナラの木で、どんぐりができる木。東南アジアの木よりもにおいがなくて、炭になったらとても長くもつ。一時間半くらいもつんちゃうかな。

ただ、ナラは炭づくりをやらなくなった間ずっと山で育ち続けていたので、樹齢が60年にもなり、太くなってしまった。切っても太くて重くて人力で山から出せない。おっちゃんたちも歳とともに力がなくなってね。今はナラの木を買うようになった。

 クヌギの木も使う。茶道でお湯を沸かすときに使う炭はクヌギでないとだめ。においがしないのがいいところだけど、普通の炭の10倍の値段になる。」


小学生からもいくつか質問がありました。

 

-竹でも炭を作るんですか?

 葛西さん:「竹炭も作るけど、使い道はにおい取り用とか飾り。バーベキューに使うのはしんどい。あまりもたない。木はなんでも炭になる。バナナとか松ぼっくりも炭になる。」

 

-炭を焼いたらどれくらいの売り上げになったんですか?

 葛西さん:「昔は窯いっぱい焼いたら当時の学校の先生の初任給くらいになった。1箇月に頑張れば2回半焼けて、売り上げは25万円くらいになった。山から木を切って、焼いて、管理して、あまり経費がかからなかったから、生活と貯金ができた。昭和30年頃までかな。広河原でもLPガスや電気が普及し、炭焼きをやめるところが増えていった。今はがんばって焼いても昔の三分の一くらいしか売り上げにならない。」

 

-炭づくりに何日くらいかかるんですか?

 葛西さん:「燃焼室で温度を上げるのに2日かかる。煙突からの煙で温度を測る。82℃を越えれば中の熱で新たに薪を燃やさなくても炭になる。中だけで燃焼に3~4日、最初は白→青白→透明の煙が出る。煙が出なくなったら炭が焼けた合図。空気穴をすべて閉じると、空気が入らなくなるので火が消えて、冷めるまで1週間放置してから炭を出す。」

炭焼き窯のこと

昔は山で木を切ってから、それを山の中で焼いて炭にしていたそうです。

「切ったばかりの生木は重いので、山の中に窯を作って焼いていた。炭になると重さが5分の一になって、体積は3割縮むので、炭にしてから運んだ方が楽なんやね。炭は、山の中で場所を変えながら焼いていた。」と葛西さん。

 炭焼き窯を実際に見せてくださいました。この炭焼き窯は、鞍馬炭づくりを再開するに当たって、新たに造ったのだそうです。


炭焼き窯で焼く木を準備しています。炭焼き窯の中に隙間なく詰められるように、決まった長さに切りそろえます。


煉瓦と土でできた炭焼き窯。子どもたちは窯の中に入って見せていただきました。


窯の上の穴。ここで温度を測ります。煙の温度が82℃になると、中は500~800℃になって、よい感じで炭が焼けるのだそうです。


子どもたちも木を窯の中に入れる体験をさせていただきました。


窯の中に隙間なく木を積んでいきます。


びっちりと木が詰まりました。この後外から火を焚いて、蒸し焼きにしていきます。


でき上がった炭を取り出します(写真提供:広河原薪炭再生集団)


でき上がった炭(写真提供:広河原薪炭再生集団)

鞍馬炭はすべて手作業で丁寧に作り、煙が少なく火持ちがよいなど、高い品質を維持し続けています。

はじめは窯の温度調節がうまくいかないなど失敗もありましたが、昔実際に炭を焼いていた先人のみなさんの助言を受けながら、製品化に成功したのだそうです。

そんな鞍馬炭。生産量が多くはないのでかなりレアな品物ですが、ぜひ一度手に取って、使ってみてください。

 

広河原薪炭再生集団

動画:【伝統の継承】京都広河原特産「鞍馬炭」https://www.youtube.com/watch?v=-t33R4cXvgw外部サイトへリンクします


この記事を書いた人

矢野裕史(左京区役所 左京の魅力づくり推進・山間地域振興課長)

左京区北部の花脊在住の、左京区民歴20ウン年の自称左京ファン。冬は花脊の山でシカを獲ったりしてます。

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