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サキョウ見聞録 その18 鴨川デルタ

ページ番号342867

2025年7月2日

花脊の雪景色

賀茂川と高野川が合流するところにある「鴨川デルタ」。

ここは左京区で、写真左の賀茂川が上京区との境界になっています。私がウン十年前に大学受験で京都に来た時、町なかを走るバスの車窓にバーンと現れたこの景色に圧倒されたのを今でも覚えています。

 

無事に京都の大学に入学してから、鴨川デルタでお酒を呑んだり、大文字送り火を見たり、飛び石を飛んだり、夜に腰を下ろして語らったり・・・

人の親になってからも、怖がる息子の手を引いて飛び石を飛んだり。今はすっかり大きくなった息子が一人でピョンピョンと楽しそうに飛んでいくのを見て、成長を実感したり。私のいろんな歴史の舞台です。


今日はそんな、ついつい行きたくなってしまう、鴨川デルタのお話。

そう、これらの写真は、休みの日ではなくて、月曜日の夕方なのです。

いろんな人たちが、鴨川デルタの空気に引き寄せられて、集まってくるのかな。



鴨川デルタは、「府立鴨川公園」というれっきとした公園です。

中に向かって歩いていくと、移植された「ど根性松」が。出町柳と下鴨を結ぶ河合橋(最初の写真の右の橋)に自生していたのを、河合橋の改修工事の際に移植したのだそうです。

ど根性松が定着できるよう、囲ってあります。


後ろに見えるのは河合橋

詳しくはこちら外部サイトへリンクしますから。


千鳥の名所の碑も。鴨川を美しくする会によって、昭和43年に建てられたものだそうです。

「その昔 ここら千鳥の 名所かな」

千鳥の名所だったから、飛び石にも千鳥のかたちのものがあるのでしょうか。


千鳥の名所の碑


千鳥のかたちの飛び石(奥)


鴨川デルタに降り立つ。国籍も年齢層も性別も様々な、いろんな人たちが思い思いに過ごしています。

何度も言うようですが、月曜日の夕方です。



「鴨川デルタ勢力図」というものを拝見したことがありますが、う~ん、なんとなく当たっているような、いないような・・・

対岸には高校生っぽい男の子たちの姿も。

たくさんの人が飛び石を飛んでいます。ほんとは私も飛び石を飛びたかったのですが、この週末の雨で増水していて、靴が濡れそうですし、滑って流されたら大阪湾までいってしまうのかな~と思って断念。

そういえばこの飛び石は「たまこラブストーリー」というアニメ映画(京都アニメーションさん製作)の舞台にもなっていました。あれもいい作品だったなあ・・・ご興味がありましたらぜひご覧ください。

 

私の後ろには、誰かが奏でるギターの音色や、誰かが歌を練習しているような歌声が聞こえています。

 

ギターを奏でていた人に聞いてみました。なぜここに来るんですかと。

「ギター弾ける場所ってあまりなくて。夜に家で弾くわけにもいかないし、隣に聞こえるしね。かといってへたくそだから誰かに披露するようなものでもないし。でもここなら誰も聴いてないし、聴いているかもしれないですけど何も言われないし、そこそこ人もいて、寂しくないし、自由な感じなので。」

 

なんだか雰囲気が良すぎて、賀茂大橋から鴨川デルタを眺めてみることにしました。相方さんをおんぶして飛び石を飛んでいるツワモノも。

私が好きな絵画に、ジョルジュ・スーラという画家の「グランド・ジャット島の日曜日の午後」というのがあって、なんだか暖かくて楽しそうな雰囲気で、この絵の中に混じりたいな、とつい思ってしまうようなものですが、この鴨川デルタの風景にも、日曜日の午後でなくてもそんな楽しそうな雰囲気があって、近くを歩いたらついつい混じりに行ってしまいます。


鴨川デルタのなんともいい空気感。

いろんな人たちが集まったり集まらなかったり、一人でいたり、誰が何をしていてもいいような、していなくてもいいような、不思議におおらかな空気。この居心地のよさはなんか左京っぽいな、ということで、私にとってザ・左京な場所といえば、やっぱり鴨川デルタなのです。


この記事を書いた人

矢野裕史(左京区役所 左京の魅力づくり推進・山間地域振興課長)

左京区北部の花背在住の、左京区民歴20ウン年の自称左京ファン。冬は花背の山でシカを獲ったりしてます。

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