区民ライターがゆく!頑張る中京人・魅力再発見(伝統産業)宮脇賣扇庵
ページ番号295407
2022年3月7日
宮脇賣扇庵(令和4年3月7日更新)
★今回は,京都の大学に通う学生さんに区民ライターとして執筆いただいています!
日本を代表する京都の伝統産業,京扇子。今回は,そんな歴史ある京都の扇作りを体現されている宮脇賣扇庵(みやわきばいせんあん)さんをご紹介します。
創業1823年の老舗,宮脇賣扇庵。京扇子の製造から販売までを自社で行い,京都本店以外にも,東京支店を構え,デパートなどでも販売を行われています。富小路六角に位置するお店は,錦市場や京都市役所などに囲まれ,まさに京都の中心です。店内に入ると,大小様々な扇子が一面に展示されており,その美しさに圧倒されます。店舗二階には制作120周年を迎えた天井画が展示されており,京都画壇48名の肉筆画は見応えがあります。
昨年には新たに,現代のライフスタイルにふさわしい,新しい扇子のあり方を発信するためのファッションブランド,「BANANA to YELLOW(バナナとイエロう)」を立ち上げ,京都本店の隣に直営店を出店され,アート作家やデザイナー,様々なアーティストと共に,伝統的な職人技とポップなデザインを掛け合わせた商品を生み出されています。「自分たちにはない,現代アート的な感性を取り入れることで,若者を含め,今まで扇子や和装に興味を持ってなかった人にも京扇子を届けたい」と代表取締役の南さんは語られました。宮脇賣扇庵では,先々代から新しいものを積極的に取り入れる気風があり,その精神が今でも受け継がれています。
コロナ禍では,新たに生まれた需要を京扇子に取り入れる工夫もなされています。その一例として,2020年には,漆喰を扇面に塗った京扇子が開発されました。漆喰を塗布することで,扇子の表面に吸着したウイルスを不活性化させることができるという,その機能に大きな反響がありました。
一方で,コロナ禍でも,伝統ある京扇子への思いは変わりません。「その人に合う扇子はそれぞれ違うため,実際に手に取って,自分に一番合うものを選んでいただきたい」と南さん。京扇子の魅力をより深く感じてもらおうと,扇子を実際に手に取って見ることのできる機会を多く提供することに力を入れておられます。
また,現在の場所で長年店舗を営んでいることから,地域とも深いつながりを持ってきました。なかでも地域の子どもたちとのつながりは根強く,小学校の授業の一環としてお店に来た子どもたちに,京扇子に触れてもらう機会を提供しています。「昔からの文化を子どもたちに見てもらえるのは本当にありがたい。今後も機会があれば,地域に関係したことを行っていきたい」と今後の展望を語られました。
今回の取材を通して,京扇子を継承していく責任感や,絶えず革新を重ねていく熱意を強く感じ,学生ライターである私たちも京扇子が持つ唯一無二の魅力をさらに探求していきたいという意欲が高まりました。
宮脇賣扇庵 代表取締役社長 南忠政(みなみ ただまさ)様からのメッセージ
新型コロナウイルス感染症が流行し始めてからの約2年間は,私にとっても苦しく辛い時期でした。そのような中でも,長年この場所で京扇子の伝統や技術を継承している立場として,中京区民の皆様には多くの場面で支えられ,励まされています。来年には,創業200周年を迎えます。今後も,展示会などのイベントを通して,京扇子の魅力を発信していきたいと思っています。安心して出歩くことができるようになり,お店の近くに足を運ばれた際には,ぜひ歴史ある京扇子を見て楽しんでいただけたらと思います。これからも共に頑張りましょう。
店内に展示されている京扇子の数々
「バナナとイエロう」のブランドシンボルが中央に配置された扇子
漆喰が扇面に塗布された扇子
今回ライターを務めていただいた学生さん
立命館大学 3回生 松本 丈 さん
森田 梨菜 さん (五十音順)
お問い合わせ先
京都市 中京区役所地域力推進室総務・防災担当
電話:庶務担当075-812-2420 地域防災担当、調査担当、企画担当075-812-2421
ファックス:075-812-0408