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京都市民の健康に関するビッグデータを活用した肺がん治療の実態等の研究成果(第二弾)について

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2023年6月15日

京都市民の健康に関するビッグデータを活用した肺がん治療の実態等の研究成果(第二弾)について

京都市では、疾患の発生状況や、その予防・治療・介護の実態を明らかにし、健康寿命の延伸に活かすことのできるエビデンスの収集を図ることを目的に、医療・介護レセプトや、特定健診、後期高齢者健診、介護認定等の市民の健康に関する情報を統合したビッグデータ(以下「統合データ」という。)を分析する事業を国立大学法人京都大学(以下「京都大学」という。)との共同研究として進めています。

この度、アストラゼネカ株式会社、株式会社ヘルステック研究所の協力を得て、京都市民における肺がんの治療の実態等の研究を行い、その第二弾として、以下のとおり研究成果を発表しましたので、お知らせします。

1 研究の概要

(1)分析テーマ

非小細胞肺がん患者の初回治療ごとの生存状況及び医療費について

(2)目的

肺がんは死亡の原因の多くを占める疾患の一つであり、治療に伴う医療費負担も大きな課題です。特に、非小細胞肺がんは肺がんの80~90%を占め、手術療法の適応がある段階で発見し、治療することが生存率改善及び公的経済負担減少につながることが指摘されてきました。

このため、初発の非小細胞肺がん患者を、初回治療が手術であった群(以下「手術群」という。)と、それ以外の治療(薬物療法又は放射線療法)を行った群(以下「薬物/放射線療法群」という。)に分け、それぞれの背景、生存期間、医療費を明らかにすることを目的に分析を行いました。

(3)研究方法

統合データを用いて、2013年10月から2017年3月までの間に肺がんの病名が紐付く手術、薬物療法、放射線療法いずれかの治療を受けた者2609名を対象として選定しました。そして、手術群(1,035人、39.7%)、薬物/放射線療法群(1,574人、60.3%)の区分ごとに患者の背景、治療内容、生存期間、手術後から一定期間における総医療費を算出しました。

(4)結果の概要

ア 生存期間の差異

下図によれば、初回治療の直後から、薬物/放射線療法群の生存率が低下していることが見て取れます。5年後には手術群で75%が生存しているのに対し、薬物/放射線療法群は25%未満の生存割合となりました。

初回治療が手術であった群と手術ではなかった群 (薬物療法・放射線療法であった群)における生存期間の記述

図1 初回治療が手術であった群と手術ではなかった群
(薬物療法・放射線療法であった群)における生存期間の記述

イ 総医療費の差

下表は、各生存期間における手術群と薬物/放射線療法群それぞれの総医療費です。

6箇月後の時点では手術群の中央値2,409千円に対し、薬物/放射線療法群の中央値は2,951千円であり、その差は中央値で500千円程度でした。その後、生存期間が延びるにつれて、手術群、薬物/放射線療法群いずれも総医療費は増えますが、薬物/放射線療法群では医療費の増加の幅が大きく、4年後までの総医療費では、中央値で手術群が5,257千円に対し、薬物/放射線療法群が10,202千円と、約2倍の差になっていました。

初回治療別の各生存期間における累積総医療費


これらの結果は、肺がんを早期発見し、手術を実施することが、その後の生存率を高め、総医療費の抑制にも寄与することを示すものと考えられます。


2 今後の取組

今回の研究では、肺がん治療における早期発見・早期治療の医療的、経済的有効性を確認しました。今後、早期発見の一つの手段である肺がん検診の実態やその効果を検討する研究を実施していく予定です。

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