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市街化調整区域内における特別養護老人ホームの整備について ~安心安全の高齢化社会の実現に向けて~

ページ番号223483

2017年7月27日

 京都市では,これまで京都市民長寿すこやかプラン(以下「プラン」といいます。)に基づき,特別養護老人ホーム(以下「特養」といいます。)の整備計画を立て着実に整備してきました。

 しかし,近年,急速な高齢化の進行と要介護者の増大により,特養の需要が高まる一方,地価の高騰や特養の整備が可能な未利用地が減少傾向にあることにより,市街化区域だけでは,特養の整備に必要な面積を有する土地の確保が困難になっています。

 これらの状況を踏まえ,特養の整備を更に推進していくため,平成14年以降認めていなかった市街化調整区域における特養整備について,利用者の安心の確保や地域の自然と調和した快適な暮らしを実現し,地域経済の活性化へ資する取組等を実施する事業者には,道路や下水道等の公共施設が既に整備されている場所であることを条件に特養の整備を認めることとしましたので,お知らせします。

※ 市街化調整区域・・・開発行為や建築行為が原則として制限されている区域

               面積は,約33,000haで市街化区域(15,000ha)の約2倍の規模

 

1 市街化調整区域で特養の整備が必要となる背景

⑴ 京都市では,従来,約33,000haと市街化区域の約2倍の市街化調整区域を設け,メリハリのついた土地利用を進めてきました。このような中で市街化調整区域への特養の立地については,かつては許容していたものの,市街地区域で特養を整備可能な土地の取得が比較的容易であったこと及び「高齢者の住み慣れた地域での生活の継続」という高齢者福祉施策上の考えを反映し,平成14年にこれを認めない方針としました。

⑵ その後,市街化区域内での特養整備を着実に推進し,平成20年度からの10年間で,1,870人分を整備してきました。

⑶ 一方で,高齢化は急速に進んでおり,約20年前の平成7年には高齢化率は,14.6%であったものが,平成27年には26.7%に,いわゆる団塊の世代が全て75歳以上の後期高齢者となる2025年(平成37年)には30.4%になることが見込まれ,継続的な特養整備が必要となっています。

⑷ しかし,市街地の地価の高騰や特養の整備が可能な土地が減少傾向にあることから,市街化区域において,特養の採算に見合うまとまった土地(約3千㎡)の確保が困難になっており,現に第6期プラン中に整備する30床以上の広域型特養の4施設(※)のうち,3施設は市有地を活用しています。

⑸ このため,平成29年3月に,本市の高齢者福祉施策の諮問機関であり,学識経験者及び福祉・医療関係者等で構成される京都市高齢者施策推進協議会から,市街化調整区域内の特養整備を検討するよう提案を受けました。

※ 4施設のうち3施設(深草しみずの里:旧消防学校,ライトハウス朱雀:旧中京市民活動いきいきセンター,うずまさ共生の郷:旧右京区役所)が市有地を活用,民有地の1箇所は,現在,醍醐地域で,建設中のひかる苑(仮称)

これまでの高齢化率の推移及び今後の推計

平成7年

平成12年

平成17年

平成22年

平成27年

平成32年

平成37年

京都市

14.6%

17.2%

19.9%

23.0%

26.7%

29.5%

30.4%

全 国

14.6%

17.4%

20.2%

23.0%

26.7%

29.1%

30.3%

※ 国勢調査及び国立社会保障・人口問題研究所の推計(平成25年3月推計)

これまでの特養の整備数

20年度

21年度

22年度

23年度

24年度

25年度

26年度

27年度

28年度

29年度

合計

195

88

75

329

185

206

237

139

150

266

1,870

                                                                (単位:人分)

2 市街化調整区域内で特養の整備を認める4つの要件

⑴ 利用者の安心で地域と調和した快適な暮らしの実現

 利用者の皆様の安心を確保し,地域の自然と調和した快適な暮らしを実現するため,医療機関から車で6分程度で駆けつけられる距離(概ね2㎞圏内)に整備するとともに,市内産の木材,地元農産物の使用や地域との積極的な連携等,地域と調和した施設とすることで,利用者の安心の確保や快適な暮らしを実現します。

⑵ 地域経済の活性化への取組

  市街化区域と比較して,整備用地の確保に要する費用が低廉になるため,事業者には積極的に地域活力の促進や地場産業の継承に資する取組を行っていただきます。

ア 雇用の創出や地元産材の活用など,地域活力の促進や地場産業の継承に資する取組を行う。

イ 施設の整備及び運営において市内企業を積極的に活用する。

⑶ 介護の担い手の確保の取組

 労働環境や処遇の改善が更に進むよう,事業者には正規職員の割合を65%以上(全国平均60.2%)とすることを求め,給与水準等の処遇改善向上に向けた取組を行っていただきます。

⑷ 利用者の負担軽減

 利用者が必要な介護サービスを適切に選択していただけるよう,当該特養を運営する事業者自ら利用者の負担軽減(低所得の方の利用料の25%を減額)を実施していただきます。

3 実施時期

 平成29年12月(予定)の公募から実施します。

 なお,今回の整備方針は,いわゆる団塊の世代の全てが後期高齢者(75歳以上)となる8年後の2025年度(平成37年度)までは継続し,その後は特養の需給状況を検証のうえ,判断してまいります。

 

4 整備・運営を行う事業者の応募資格等

 京都市では,特養を整備・運営する事業候補者を公募により選定しています。

 市街化調整区域内における応募資格及び整備条件については,2の4つの要件に加え,地域包括ケアシステムを進めていくという観点から,以下のとおりとします(なお,対象は定員30人以上の広域型特養とします。)。

⑴ 応募資格

ア 既に市内で定員29人以下の地域密着型特養を運営している法人(現在,23法人)

イ 同時に地域密着型特養を整備する法人

  広域型特養の整備によってより入所しやすい状況を確保するとともに,地域包括ケアを推進するため,併せて地域密着型特養の整備も誘導します。

⑵ 整備条件

ア 利用者の安心の確保と快適な暮らしの実現

(ア) 設置する特養と密接に連携する医療機関を近隣に確保すること。

運用基準

項目

運用基準

理由

医療機関との密接な連携の確保

 利用者の健康管理や急病時の円滑な対応等の協定が締結できること。

 利用者の健康を守り,安心・安全を確保するため

連携する医療機関の要件

 救急告示病院に指定されていること。

 利用者の急病等に対応できる受入体制が確保されている必要があるため

近隣での確保

 医療機関から計画地が概ね2㎞圏内にあること。

 利用者の緊急時に迅速な対応を可能にするため

(イ) 市内産木材,地元農産物の使用や地域との積極的な連携等,地域の自然との調和のとれた施設とすること。

イ 地域経済の活性化への取組,介護の担い手の処遇改善の還元の実施

地域経済の活性化への取組,介護の担い手の処遇改善の還元の実施

提案要件

理由

ア 雇用の創出や地元産材や地元農産物の活用など地域活力の促進,地場産業の継承に資する取組

 地域活力の促進や低廉な用地取得費の市民,利用者への還元

イ 社会福祉・施設の整備・運営時の市内企業の積極的活用

※ 「施設整備の発注先」「施設運営時の清掃」「調理等の委託先」の少なくとも一つに市内企業が含まれること。

ウ 介護の担い手の給与水準向上等,処遇改善の実施

※ 正規雇用の職員を65%以上(全国平均60.2%)とする取組を実施すること。

エ 利用者に対する社会福祉減免の実施

※ 低所得者の利用料を25%減額すること。

 この他,施設運営と地域の連携等を確保する観点から施設運営上必要な駐車場を確保することとします。

5 事業者選定の流れ

⑴ 京都市高齢者施策推進協議会における審査

 ア 第1段階

   市街化調整区域における案件について,上記要件を満たしているかを審査

 イ 第2段階

   第1段階の審査に合格した案件について,事業者の実績及びサービスの質の確保等を審査

 ウ ア及びイの審査を経て選定した案件を「仮選定」とします。

⑵ 京都市開発審査会における審議及び都市計画局における審査

  都市計画法等の関連法令に基づいているかを審査(応募前に事前協議が必要)

 

※ 最終的に,上記⑴及び⑵の審査を経た案件を選定することとします。

※ なお,応募定員が募集定員を上回り,市街化区域内の整備案件と競合し,かつ第2段階の審査結果が同点の場合,市街化区域内の案件を優先して選定します。

※ 市街化調整区域における許可については,市街化を促進しないことを前提としています。そのため,他の案件と同様に,特養の整備についても,事前相談,公募仮選定後の開発許可申請等を行い,開発審査会においては,道路や下水道等の公共施設が新たに整備の必要がないものであること等の審議を行います。

 

(別紙資料「特養公募選定及び開発許可の手続の流れ」参照)

参考1 特別養護老人ホームについて

 日常生活で常に介護が必要で,在宅の生活が困難な方に,日常生活の介護,健康管理などを行います。新規に入所される場合は,原則として要介護3以上であることが要件となります。

 なお,介護保険法上,特養は定員30人以上の比較的大規模な特養を,地域密着型特養は,定員29人以下の比較的小規模な特養を指します。

参考2 市街化調整区域の概要

 市街化調整区域とは,都市計画区域のうち,市街化を抑制する区域に対して指定されます。

 この区域内では,開発行為,建築行為が原則として制限されております。市内の市街化調整区域の面積は,約33,000haが指定されおり,市街化区域の約2倍の規模となります。 


市街化調整区域の概要

参考3 地価の高騰について

 直近の3年間の地価について,市内全域では,平米当たり約3万円,中心5区(※)では,約5万3千円上昇しており,特養を運営できる土地を購入するには約9千万円~1億6千万円程度の追加資金が必要となっています。

※ 中心5区…北区,左京区,上京区,中京区,下京区

 

<京都市内の1㎡当たりの地価>            (単位:円)

京都市内の1㎡当たりの地価

平成27年

平成28年

平成29年

京都市全域の平均

279,800

285,000

308,900

中心5区の平均

389,700

406,000

443,000

※ 国土交通省土地鑑定委員会の公表資料による。地価は毎年1月1日時点。

配布資料

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別紙資料 特養公募選定及び開発許可の手続の流れ

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お問い合わせ先

京都市 保健福祉局健康長寿のまち・京都推進室介護ケア推進課

電話:075-213-5871

ファックス:075-213-5801

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