「京都市避難所運営マニュアル」作成の取組のご紹介
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2017年8月28日
「京都市避難所運営マニュアル」作成のための取組
京都市では,発災後,迅速かつ円滑な避難所の開設・運営を行うため,「京都市避難所運営マニュアル(雛形)」とその「手引き」を作成し,それに基づき,市民と行政の共汗により,避難所(学区)ごとの「運営マニュアル」を作成する予定です。
マニュアル作成に当たっては,避難所運営を地域の自治活動の延長と位置づけ,地域の実情に応じたマニュアルをそれぞれの地域で作成していただこうと考えております。
その前提となる基本的な考え方,決めておかなければならない事項,運営上のノウハウなどをまとめたガイドラインとなる避難所運営マニュアルを作成することになりました。
京都市避難所運営マニュアル策定検討会
避難所運営マニュアルを策定するために検討会を立ち上げました。
ご指導いただく先生には,佛教大学福祉教育開発センター講師の後藤至功氏にご就任いただきました。
後藤先生は,大学生のころ阪神・淡路大震災で実際に被災者となられ,避難所や復興住宅での暮らしも経験されております。また,社会福祉協議会での活動を通じて,多くの災害の最前線での被災者支援に当たってこられました。
当検討会の構成は次のとおりです。
学識経験者 | 後藤 至功氏(佛教大学福祉教育開発センター講師) |
一般市民等 | 自治連合会,自主防災会,京都市地域女性連合会,(各1 名) |
関係機関 | (福)京都市社会福祉協議会(1 名) |
行政関係 | 全区役所・支所地域力推進室(全地域防災係長),文化市民局(男女共同参画課, |
事務局 | 行財政局防災危機管理室 |
24年度スケジュール
- 6月26日 研修会の実施
- 7月9日 第1回避難所の開設・運営に関する検討会
- 8月27日 第2回避難所の開設・運営に関する検討会
- 9月中 第3回避難所の開設・運営に関する検討会
- 10月中 第4回避難所の開設運営に関する検討会
- 10月末 「京都市避難所運営マニュアル(雛形)」完成
「京都市避難所運営マニュアル作成の手引き(住民要及び行政用)」完成 - 24年度末 全行政区においてモデル学区(避難所)を選定し,その避難所運営マニュアルを作成
避難所運営委員会の取組
「京都市避難所運営マニュアル」作成に係る研修(講演)会
避難所運営マニュアル作成検討会の開催に先立ち,キックオフの取り組みとして避難所運営マニュアル作成に必要なビジョン,留意事項に係る研修会を実施しました。
- 日時
平成24年6月26日(火曜日)午後3時から午後5時まで - 場所
京都市消防局作戦室(消防庁舎7階) - 研修参加者
関係各局区・支所職員及び本検討会参画一般市民 107名(うち市民傍聴者13名) - 講師
佛教大学福祉教育開発センター講師 後藤至功氏(検討会学識兼務) - 研修内容
「これだけは押さえておきたい避難所運営の秘訣!」
「京都市避難所運営マニュアル」作成に係る第1回検討会
- 日時
平成24年7月9日(月曜日)午後3時から午後5時まで - 場所
京都市消防局作戦室(消防庁舎7階) - 内容
京都市避難所運営マニュアルの作成について
避難所運営マニュアル策定上の基本理念について整理 - 委員構成
学識経験者,自主防災会長等市民委員,各区役所・支所地域防災係長等関係各局職員等25名参加 - 検討会での合意事項
避難所運営マニュアルを作成する前提について
(1) 災害救助法による開設期間7日間ではなく,より長期の避難生活を見据えたものとする。
(2) 原則発災後3日間は行政の手が届かないことを前提とする。
(3) 要配慮者に配慮した避難所を目指す。
「京都市避難所運営マニュアル」作成に係る第2回検討会
- 日時
平成24年8月27日(月曜日)午後3時から午後5時まで - 場所
京都市消防局作戦室(消防庁舎7階) - 内容
京都市避難所運営マニュアルの作成について - 委員構成
学識経験者,自主防災会長等市民委員,各区役所・支所地域防災係長等関係各局職員等25名参加 - 検討内容
(1) マニュアル変更点報告(第2案)
(2) グループ検討会(ワークショップ)
~マニュアル(案)を各地域で説明する際に課題となる箇所がないか意見交換
(3) グループ検討の結果発表
(4) まとめ~佛教大学 後藤先生
「京都市避難所運営マニュアル」作成に係る第3回検討会
- 日時
平成24年9月18日(火曜日)午後3時から午後5時まで - 場所
京都市消防局作戦室(消防庁舎7階) - 内容
京都市避難所運営マニュアルの作成
~主に京都市避難所運営マニュアル「資料編」及び「手引き」について検討 - 委員構成
学識経験者,自主防災会長等市民委員,各区役所・支所地域防災係長等関係各局職員等25名参加 - 検討内容
(1) 第2案からのマニュアル修正事項の主な修正ポイント
(2) グループ検討会(ワークショップ)
~「マニュアル資料編,手引きを各地域で説明する際に課題となる箇所」について検討
(3) グループ検討の結果発表
(4) まとめ~佛教大学 後藤先生 - その他
今後の予定
第4回検討会(最終回) 10月12日[金]10時00分~12時00分
作成したマニュアルを「マニュアルのためのマニュアル」にしないために,
1 「話しあう力」をつける
2 「折り合う力」をつける
3 地域状況に応じて,「見通す力」をつける。
4 臨機応変に「対応する力」を付ける
ことが重要であるとのことでした。
「京都市避難所運営マニュアル」作成に係る第4回検討会
- 日時
平成24年10月12日(金曜日)午前10時から午前11時30分まで - 場所
京都市消防局作戦室(消防庁舎7階) - 内容
京都市避難所運営マニュアルの作成
~最終確認と概要版,学識経験者総括,今後の予定について - 委員構成
学識経験者,自主防災会長等市民委員,各区役所・支所地域防災係長等関係各局職員等25名参加
佛教大学後藤先生の総括~避難所マニュアル策定にあたってのお願い
1 マニュアル作りを目的にしないこと
- マニュアルづくりはあくまでも避難所を円滑に運営するための手段であり目的ではない。(マニュアルの副題にも記載)
- マニュアルありきではなくコミュニティー支援の一環として取組,策定段階で,「話し合う力」,「折り合う力」,「見通す力」,「対応する力」を培う
- 学区のみんなが避難所を立ち上げるイメージを持ち,何が課題かを考えることが,災害が発生した被災地では活きてくる。
- 「しんどいけど地域のために取り組んでいこう」(前向きなあきらめ)と考える住民が一人でも増えることが大切である。
2 マニュアル人間をつくらないように
- マニュアルに頼りすると絶対に失敗する。マニュアルにない事項があるとストップしてしまうようではいけない。
- 常に想定外を意識しながら,その場その場で臨機応変な対応を取っていただきたい。
- 災害のリーダー像としては,3日~1週間は統制力のある方,1週間以降は,調整能力の高い方がリーダーになればうまく運営できる。
- マニュアルは考え方の目安で,絶対ではない。
3 災害時は何が正しいか誰もわからない
- 2極化(白か黒か)という発想で考えない。
- どちらかが正しいと考えると避難所運営はうまくいかない。色々なバリエーションを考えながら,その場その場で最善の判断を行うことが大切である。
- 最終的には,限られた時間の中で,しっかりと要配慮へも配慮した中で,話し合いを行い,出した答えが最善の答えである。
- しんどいことを内に秘めるか,外に発するかは,表裏一体のことで,本質的にはしんどいことに変わらない。
- 発言できない環境で黙ることが関連死を増やすことにつながる。しっかりと適度に発言できる環境をつくることが大切である。
4 学区の地域力を見極めること
- 地域には様々な特性がある。社会福祉協議会や地域包括センターなど地域のことをよく知っている組織と連携を図りながら,地域の現在の機動力や社会資源に見合ったマニュアルの作成をお願いしたい。
- 地域の弱み分析を行い,地域でそのことをよく話合い,しっかりと共有し,実態に即した背伸びをしないマニュアルにしていただきたい。
5 避難所運営の要諦
- 運営目標である「震災関連死をなくす」の先にあるのは「人として尊厳の保持」
- 災害時だから問われるのが「人としての尊厳」
- 人の名前でなくリストバンドに記載した番号で管理した例もある。その場その場で最善の方法であったかもしれないが,応急的な対応で済まされない課題もある。
6 庁内の統合化
- 地元で苦労するのは,行政の縦割り。災害が起こったとき,日常から縦割りを解消することが必要。
- 今回の検討会では,防災部局,福祉部局,教育部局等を一同に集まり議論を重ねている。京都市は,他の都市から一歩進んだ取組を行っている。
- 区をまたがる,学区をまたがる避難等について,横断的に対応できる体制をとっていただきたい。
マニュアルの中身について
- 地域の集合場所
事前に決められている場合は,再度,そこが安全な場所かしっかりと話し合っていただく。避難路は安全か,夜間は大丈夫かなど - 災害時要配慮者
学区ごとでそれぞれ特性があるため,地域でしっかりと話し合い,どういう方が災害が起こったときに危険にさらされる可能性が高いかを確認をお願いしたい。 - カギの問題
複数の方がカギを所有していてもその方が来られない場合もある。想定外が起こったときに対応できるようにしておく。
住民がカギを破壊して入った場合には,行政として責任を持つ覚悟で話をしていただきたい。 - 夜間の対応
夜発生した場合,施設の中に入れない場合もある。夜間を想定した訓練を行う場合は,避難所運営協議会の立ち上げはおそらく外で行うことになる。
夜間の場合は何が必要かをしっかり想定しながら考えていく必要がある。 - 運営体制
マニュアルに記載している班はあくまでも最低限必要な班を示している。地域で何が必要なのかをしっかり検討していただき,他に必要な班があれば増やしていくことは,大いに実施していただきたい。 - 運営会議
会議については「定期的に」と記載しているが,初動期(3週間まで)は原則,毎日夕方班別会議が行われた後,代表者会議が開催されることが理想で,その中で情報の共有をしっかり行っていただきたい。 - 情報の共有
情報の混乱が避難所の混乱につながる。しっかりと情報が共有や把握を行ってもらうよう地域に伝える必要がある。
今後の予定
- 全避難所のマニュアル策定に向けて,本格的に地域と区役所で取組を開始していただきます。
- マニュアルひな形の内容については,京都市内部の手続きを経たうえで,10月中には広報発表を行います。
- 広報発表ののち,印刷物として調整を行い,11月上旬には各区役所等に配付させていただく予定です。
お問い合わせ先
京都市 行財政局防災危機管理室
電話:075-222-3210
ファックス:075-212-6790