「第2回外来種チュウゴクオオサンショウウオ対策検討会」議事録要旨
ページ番号120784
2024年2月8日
第2回外来種チュウゴクオオサンショウウオ対策検討会
開催日時
開催場所
1 調査結果について
○調査は1月及び2月も続いており,今年度の最終結果ではない。
○鴨川水系では,16箇所で調査を行い,84頭を捕獲した。内訳は,在来種3頭(3.6%),交雑種78頭(92.8%),外来種3頭(3.6%)であった。
○桂川水系の最上流域である上桂川(左京区花脊付近)では,4箇所で調査を行い,13頭を捕獲した。内訳は,在来種1頭(7.7%),交雑種12頭(92.3%),外来種0頭(0%)であった。
○桂川水系の清滝川では,1箇所で調査を行い,9頭を捕獲した。全て在来種
○桂川水系の久我橋下流では,1箇所で調査を行い,10頭を捕獲した。全て在来種
○問題は,鴨川水系以外,しかも桂川水系の最上流域で多数の交雑種が発見されたことである。
○捕獲された個体の年齢は,わかるもので20歳くらいのものが多い。
水系 | 捕獲数(頭) | 在来種(頭) | 交雑種(頭) | 外来種(頭) |
---|---|---|---|---|
鴨川水系 | 84 | 3 | 78 | 3 |
上桂川(花脊):桂川水系 | 13 | 1 | 12 | 0 |
清滝川:桂川水系 | 9 | 9 | 0 | 0 |
久我橋下流:桂川水系 | 10 | 10 | 0 | 0 |
合 計 | 116 | 23 | 90 | 3 |
7月17日~12月21日採集分(116頭)まで解析
*鴨川水系以外はサンプル調査のみを実施した結果である。
*上記データは京都大学調査分含む。(平成23年度京都市調査の最終結果は,平成23年度特別天然記念物オオサンショウウオ緊急調査 調査実績の【表2】を参照)
2 捕獲個体の取扱い
○鴨川水系で捕獲した在来種3頭の内2頭,交雑種24頭,外来種1頭,DNA鑑定未了2頭の合計29頭を京都水族館で一時保護してもらっている。
○鴨川水系及び上桂川で捕獲した交雑種及び外来種は,ハンザキ研究所で一時保管してもらっている。
○外来種及び交雑種の確認されていない調査ポイントでは,そのまま現地放流している。
○外来種及び交雑種が多数確認されている場所で在来種を戻す場合は,生存競争に敗北する可能性や,交雑種を増大させる可能性があるため,現状で戻すことは危険であり,一時保管場所に保護することが適当と考えられる。
○一時保管場所を探し続けているが,保護に適当な場所の確保が難しく,このまま捕獲し続けると,いずれ限界が来る。利活用を含めた取扱いを考えなければならない。
○交雑種を含めた外来種は国内希少種の取扱対象になっておらず,殺処分をすることは可能であるが,剥製等で譲り渡す場合は,個々に手続が必要となる。焼却等の処分であれば規制はなく問題ない。
○殺処分することはやむをえないが,情報公開を進めること,生物多様性を守るために外来種問題を市民に認識してもらう必要がある。殺処分するにしても苦しまない方法を考えなければならない。焼却するのは一つの方法であるが,大学,博物館等の管理体制の整ったところで標本として保管することが望ましい。
○鴨川水系では在来種は絶滅状態に近い。現在保護されている個体から在来種のオオサンショウウオを増やして復元することは可能なのか。また,オオサンショウウオという最高捕食者を一気に取り除いてしまうことで,鴨川の生態系に影響は及ぼさないのであろうか。戻し交配等でかぎりなく在来種に近いものもある。在来種(日本産)として認定する範囲を決めて置かないと,処分することについて市民への説明も難しい。
○元々,鴨川にオオサンショウウオはいなかったとする市民もいれば,交雑種でもオオサンショウウオがいる鴨川が良いと考える市民もいる。今言えることは,遺伝的なものから戻し交雑の可能性があるものはなるべく残し,可能性のないものを処分していくことが良いのではないか。
○殺処分という言葉が独り歩きするのではなく,サンプル(標本)を増やしていくという言葉を使ったほうが穏やかである。交雑種には餌を与えないことも重要である。
○在来種の特別天然記念物が危機的状況に陥っており,人間の手で交雑問題が起こったことを,人間の手で解決する手段として,検討会は,最終的に殺処分することになったとしてもしかたがないと考える。
3 平成24年度の調査
○経年変化を見るために同じ調査ポイントで調査を実施する必要がある。
○交雑問題を解決するためには,6年間ではなく人員を増員して一気にやる必要がある。
○調査が夜間であること,流れがきついところがあること,オオサンショウウオの捕獲自体が危険であることから,ボランティア等を導入することは困難である。
○鴨川以外で交雑種が見つかったことから,調査ポイントを広範囲に広げ,交雑種の分布状況を確認しなければならない。
○現在DNA鑑定の効率的な方法を開発中であるが,DNA鑑定に従事できる時間は限られており,捕獲頭数は今年度と同規模としたい。
4 その他(今後の方針含む)
○今回の検討会の意見をふまえ,事務局で一時保管したものの取り扱いについて立案すること。
○来年度の調査工程を取りまとめた上で,検討会委員に提示すること。
お問い合わせ先
京都市 文化市民局文化芸術都市推進室文化財保護課
電話:075-222-3130
ファックス:075-213-3366