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門川市長記者会見(2017年8月2日)

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2017年8月16日

市長記者会見(2017年8月2日)

平成28年度決算概況について

本日は,平成28年度の決算が固まりましたので,概況をお知らせします。

今後,詳細な分析を行いまして,9月市会に歳入歳出決算を報告します。

 私が市長に就任した直後に,リーマンショックの影響を受け,一般会計の平成20年度決算が過去最大の赤字となる,極めて厳しい財政状況にありました。当時は,一般会計のみならず,市バス・地下鉄は巨額の資金不足,地下鉄の1日4,600万円の赤字,国民健康保険会計においても多額の累積赤字を抱えるなど,京都市財政全体が,深刻な状況に置かれていたものであります。

 こうした状況を脱するため,私は,国の経済政策とも呼応し,都市の成長戦略を進めてまいりました。全職員が一丸となって,徹底した財政構造改革を断行いたしました。また,市バス・地下鉄については,市民や事業者の皆様の御理解・御協力のもと,オール京都で増収・増客に徹底して取り組みました。こうした取組により,本市財政の健全化は着実に進んでまいりました。

 しかし,後ほど詳しく御説明いたしますが,28年度の一般会計決算は,一般財源収入の大きな落ち込みにより,平成21年度の決算赤字以来の厳しい状況となっております。

 また,地下鉄事業についても,単年度黒字を確保し,大きく経営改善は進んでおりますが,依然,全国一厳しいとの認識に立ち,さらなる改革に取り組んでまいります。市バス事業はお客様視点に立って積極的に経営を改革し,大きく改善してきました。上下水道事業も,あらゆる改革の努力の結果,安定した財政運営を堅持しております。

 また,平成23年度に地方独立行政法人に移行した市立病院については,26年度以来の黒字に転じるなど,徹底的に患者皆様の視点に立つ,そうした病院の経営が収支の改善につながっております。こうした明るい兆しはございますが,一般会計は厳しい状況が続いております。

 次に,一般会計決算でございます。歳入総額は7,033億円,歳出総額は7,015億円となり,実質収支は,5億円の黒字となっております。先程も申し上げたとおり,これは,平成21年度決算赤字以来の厳しい状況であります。決算のポイントは4点ございます。これから,このポイントに沿って決算の状況を御説明いたします。

 昨年度は,円高の影響や消費の伸び悩み等により,全国的に,年度当初の見積もりから税収が大きく落ち込みました。本市においても,市民税個人分や固定資産税については堅調に推移し予算額を若干上回ったものの,市民税法人分が30億円減少したことにより,市税収入が4年ぶりの減収に転じたことに加え,地方消費税などの落ち込みにより府税交付金が40億円の減少,そして地方交付税が82億円の減少と,当初予算での見込みから,一般財源収入が△140億円を超える大幅な下振れとなりました。

 このような厳しい状況にあっても,市民生活の安心・安全を守り抜き,京都の未来を切り拓いていくためには,右肩上がりで増加する社会福祉関連経費をしっかり確保することはもちろん,決して後ろ向きになることなく,「京プラン実施計画 第2ステージ」に掲げる施策を力強く前進させることが必要です。

市民の皆様に,「暮らしに安心」,「豊かさ実感」,「未来に責任」ということで,133の約束をしました。その初年度ですが,129の施策に着手し,着手率は97パーセントとなっております。財政が厳しくとも,お約束したことは確実に実行していこうということであります。この財源を確保するため,歳出抑制,歳入確保を徹底いたしました。

 歳出面では,予算の効率的な執行を徹底するとともに,特別会計への繰出金の一部について,執行計画を見直しました。歳入面では,まず,全庁を挙げて市税等の徴収率向上に取り組みました。これにより,市税徴収率は98.5%と,5年連続で過去最高を更新することができました。20数年前は政令指定都市で最下位の徴収率でした。京都は中小企業のまちであり,横浜や名古屋のような大企業の多いサラリーマンのまちではない中で,全国トップ水準と言っても過言ではありません。納めなければいけないものは納めていただく,市民の皆様の御理解をいただいた結果であります。

 また財源確保のため,市庁舎整備基金など,事業推進のための基金を財源として活用したほか,市税等の減収に対する減収補てん債の発行など,あらゆる財源確保策を講じました。それでもなお不足する財源については,将来の借金返済に備えて積み立てている公債償還基金や,経済事情の変動等による急激な収入の減や災害対策といった突発的な支出に備えて積み立てている財政調整基金の取り崩しによって,補てんすることといたしました。

 公債償還基金は,28年度は,当初予算で計上した50億円全額を取り崩しました。また,財政調整基金については,本市では,その残高が近年は非常に低い水準で推移しておりますが,今回はその少ない残高の全額を取り崩しました。

 ここからは,今後の施策展開と財政運営について申し上げます。歳入は厳しい状況であります。個人市民税と固定資産税は堅調ですが,法人市民税,地方消費税交付金,地方交付税が落ち込んでいます。国の経済状況等に大きな影響受けています。また,国の地方財政計画にも大きく影響を受けており,国に対してしっかりと地方財政に対する要望をしていくことが大事であります。同時に,京都市としてもあらゆる努力をしていかなければなりません。

 厳しい財政状況の中,これまでから,徹底した行財政改革を断行してまいりました。市長就任以来,職員数は3,000人以上削減し,昨年度までの人件費削減効果は約△250億円にのぼります。これを福祉や子育て支援に充ててきました。同時に,京都の成長につながる,京都の都市格の向上につながる,将来の担税力につながる取組には,重点的に投資してまいりました。

 こうした投資の成果として,観光消費額については,初めて1兆円を突破し,目標を4年前倒しで達成することができました。また,企業誘致を進めるための補助制度である「企業立地促進制度」については,市内に社屋や工場などを建設するために活用された件数が,28年度は,過去最高となった27年度の20件に次ぐ18件,制度創設以来の累計は133件となるなど,着実に成果を上げております。

 子ども・子育て支援の取組としては,保育所等待機児童4年連続ゼロを達成するとともに,国が見直した新たな定義においても待機児童ゼロを達成し,就学前児童の保育所等利用割合は過去最高の48.0%と全国トップ水準となっており,人口100万人を超える大都市で最も保育所等に入りやすくなっております。

 このように,都市の成長戦略は着実に成果を上げておりますが,なお課題も山積しております。まず,観光の活況に代表される経済の活性化,まちの賑わい,が市民や中小企業など全ての皆様に十分に行きわたっているとは,残念ながらまだ言えない状況にございます。

 また,京都にはベンチャー企業や世界で活躍する大企業が集積するとともに,本市への進出を希望する市外企業も多数ございますが,産業用地の確保が非常に難しい状況にあります。観光は元気ですが,宿泊業,飲食・サービス業で働く人の非正規率は7割になっています。宿泊業,飲食・サービス業の労働生産性を高め,安定した雇用に持っていく。同時に製造業が市内に留まっているということも極めて大事であり,それらも視野に入れた産業用地の確保についても昨年から取組を進めております。

 更に,合計特殊出生率は全国平均を大きく下回っており,なお厳しい状況が続いています。こうした課題を乗り越え,京都の未来を切り拓いていくためには,今後も決して縮小一辺倒になることなく,将来に対するしっかりとした備えと,特別の財源対策に頼らない持続可能な財政運営の確立を目指して,都市の成長戦略と行財政改革を一体的に,強力に進めていくことが不可欠であります。

 次に,歴史・文化・観光都市としての京都の使命を果たし,都市格を向上させるとともに,市民や中小企業など全ての皆様に確かな豊かさを実感していただくための,成長戦略の展望でございます。

 まず,京都の最大の強みである「文化力」による地方創生の推進であります。昨年3月,文化庁の全面的な移転が決定して以来,様々な取組を進めてきました。そして7月25日に全面的移転という名にふさわしい決定を見ることができました。「文化庁が京都に移転してよかった。」と,日本中の方々に喜んでいただけるよう,文化を機軸とした国づくりに貢献し,全国の地方創生を牽引していく,そうした決意で取組を進めてまいりました。

 今後も,市立芸術大学の京都駅東部への移転や,京都市美術館を将来に渡って世界に誇れる美術館とするための再整備事業など,都市格を高める施策を推進し,「文化力」で日本を元気にするとともに,「世界の文化都市・京都」への飛躍を期してまいります。

 次に,京都の宝である中小企業の下支えであります。京都は99パーセントが中小企業です。財政が厳しい要因には2つの格差があると思います。

 まず1つ目は,日本の大企業と中小企業の格差。2つ目は,製造業とサービス業の格差であります。本市は中小企業を一生懸命大事にし,経営を支援してきました。そして今も中小企業が頑張っていますが,労働生産性が高いとは言えない状況であり,これをどう進化させていくのかということを京都でしていかなければならない。同時にサービス業の労働生産性を高めてサービス業で安定した雇用を作っていく。これらを京都市が先頭に立って進めていくことが大事であります。

 そういうことで,昨年度に「中小企業未来力会議」を創設し,若手経営者や金融機関,産業支援機関,大学等の皆様を交え,中小企業の活性化につながるアイデアを議論いたしました。改めて,京都は中小企業が,とりわけ中小企業を担っている人が宝だと思っております。

 現在,この会議で生み出されたアイデアを形にし,中小企業の担い手確保に向けた魅力発信や正規雇用の拡大,事業承継の支援など,中小企業の発展を支援する振興策を,スピード感をもって展開しているところでございます。

 また,京都の未来を見据え,京都の成長・発展を支える学術研究・先端産業等用地を新たに創出するため,公有地・民有地を問わず,市内全域を視野に,あらゆる可能性の検討を進めてまいります。

 これまでから最優先で取り組んできた全国トップ水準の子ども・子育て支援については,保育所整備等の推進による児童受入枠の確保と,保育の担い手確保による,「量」と「質」の両面での保育環境向上など,引き続き充実に取り組みます。京都市への移住を促進し支援するため,昨年5月に開設した「京都市移住サポートセンター『住むなら京都』」を拠点に,引き続き市民ぐるみ・まちぐるみで支援を展開してまいります。また,北部山間地域においては,北部山間かがやき隊員との協働による,魅力発信・移住促進の取組を進めます。こうした成長戦略以外の取組と併せて,あらゆる観点から歳入増を図ってまいります。

 「住みたい・訪れたいまち」としての京都の魅力を支えていくため,昨年8月に設置した「京都市住みたい・訪れたいまちづくりに係る財源の在り方に関する検討委員会」で新たな財源として導入すべきとの議論になっている宿泊税についても8月7日に答申を受け,観光振興,そして住んでいる人にも観光客にとっても魅力ある街にするために使用するということを明確にしながら取り組みます。

 また,あらゆる事業を徹底的に効率化するとともに,遊休地の売却など,資産の有効活用を徹底してまいります。併せて,国に対しては,地方交付税の必要額の確保など,地方財政制度の抜本的な改革に向けて,引き続き強く要望を行ってまいります。

 公営企業の決算について御説明します。まず,市バス,地下鉄についてです。市民・事業者の皆様の御理解・御協力のもと,「歩くまち・京都」の理念と人と公共交通優先のまちづくりの取組に御賛同いただき,市バス・地下鉄を御利用いただいております。

 市バスについては,一日当たりのお客様数は前年度から9千6百人の増となる36万3千人となり,3年連続で1万人規模の大幅な増客を達成することができました。こうしたことにより,28年度は27億円の黒字となりました。十数年前,単年度50億の赤字ということもございました。今,一般会計からの任意補助金に一切頼らない「自立した経営」をしっかりと堅持しております。今後も,一層の経営効率化を図るとともに,お客様の目線に立って,更なる利便性向上に努めるなど,「攻めの経営」を推進してまいります。

 地下鉄については,2年連続の黒字で16億円を計上するとともに,1日当たりのお客様数を,平成21年度の32万7千人から,平成30年度を目途に5万人増客するという目標を掲げ,当時は不可能とまで言われましたが,2年前倒しで達成することができました。多くの皆様に感謝したいと思います。全国の公営地下鉄事業で唯一の経営健全化団体からの脱却の展望も見えてまいりました。

 しかしながら,企業債等残高は,平成20年度のピーク時の4,922億円から1,100億円以上,大幅に削減しているものの,なお,3,764億円もの多額の企業債等を抱え,累積資金不足も309億円にのぼり,全国一厳しい経営状況に変わりありません。

 引き続き,市民の皆様の御理解と御協力のもと,あらゆる努力を重ね,経営健全化を推進するとともに,「地下鉄・市バスお客様数1日80万人」という新たに掲げた目標に向け,民間と行政の共汗の取組を進めるなど,更なる公共交通利用者の増加に向けた取組を一層推進してまいります。

 次に,上下水道事業についてです。減少傾向が続いていた水需要は,観光の活況によるホテルやレストランの使用水量の増加などもあり,6年ぶりに微増に転じるとともに,営業所再編や職員定数の削減など,効率的な事業運営に努めた結果,水道事業は2年連続,公共下水道事業は7年連続の黒字を確保することができました。

 しかしながら,ピーク時との水量の比較では水道が22%の減,下水道が18%の減となっている厳しい経営環境に変わりはありません。

 今後も,老朽化した水道管更新のスピードアップや,雨に強いまちづくりに向けた雨水幹線の整備など,必要な事業は着実に推進しつつ,平成26年度に9箇所であった営業所を4箇所とする営業所再編を始めとした組織体制の見直しや,職員定数の削減等,更なる経営の効率化・財政基盤の強化を図ってまいります。

 また,安全・安心で市民の皆様に信頼される水道事業・公共下水道事業の推進とあわせて,琵琶湖疏水通船復活による新たな観光資源の創出や桜の維持,4浄水場から3浄水場への移行により確保した,山ノ内浄水場跡地の活用による地下鉄増客・地域の発展など,京都全体にまちづくりに寄与しているところです。

 参考資料として市立病院機構の決算についての資料を付けております。市立病院,そして市立京北病院は,より良い医療サービスを長期的・安定的に提供し続けていけるよう,平成23年度に地方独立行政法人化いたしました。

 市民のいのちと健康を守る自治体病院として,「断らない救急」を宣言していただきました。救急医療やへき地医療など,不採算であっても市民の皆様に不可欠な政策医療を,法人一体となってしっかりと提供してまいりました。市立病院から定期的に京北にお医者さんを派遣するという取組も頑張っていただいています。そのうえで,市立病院は,がん診療機能の向上など医療の高度化を一層進めてまいりました。ロボットで手術をする「ダヴィンチ」を全国の医療機関で先頭に立って導入したが,稼働率が非常に向上しているということもあります。京北病院は地域包括ケアの拠点として,地域包括ケア病床の開始や訪問診療などの在宅医療に注力してまいりました。

 そのようなこともあり,28年度は,市立病院・京北病院とも,過去最高の医業・介護収益を達成し,法人全体では3億円の黒字と26年度以来の黒字となりました。

 今後とも,医療の質及び患者サービスの向上に努め,政策医療を着実に実施していくとともに,効率的かつ効果的な病院運営に努めてまいります。公営企業や市立病院などの決算においては,明るい兆しもございますが,一般会計は厳しい財政状況に直面しております。しかし,ピンチはチャンスであります。

 京都の地域力,文化力,歴史力,人間力,市役所職員の実行力など,あらゆる力を結集し,引き続き,「暮らしに安心,豊かさ実感,未来に責任」のまちづくりに邁進してまいります。

質疑応答

報告案件に関する質疑

記者 

 一般会計で実質収支が5億円の黒字ということで厳しく,宿泊税についてまもなく答申が提出されるということですが,その後,具体的にどのように活かしていくのですか。

 

市長

 京都市で努力できることは,歳入・歳出両面にわたり,この間あらゆる努力をしてきました。役所というのは,仕事をしなかったら黒字になります。しかし,京都の今と未来のために積極的にしっかり仕事をしていこうと,ぎりぎりのところでやっています。そうした成果の表れとして,市民税個人分が若干増え,維持できていると思います。

 一方で,地方交付税は減らされ,臨時財政対策債が増えており,このことが本市財政が厳しい要因の一つであることから,国にも改善を厳しく要望しています。

 臨時財政対策債については,政令指定都市は全国の平均から言えば比較的財政が安定しており,安い利息で市債を発行できるため,政令指定都市に臨時財政対策債の配分を集中させるというのが国の基本的な方針であります。そのため,小さな市町村には臨時財政対策債の割当が少ないということになっています。

 また,臨時財政対策債の返済については国が責任を持つと言っていますが,市としてどれだけ努力をしても臨時財政対策債を含む市の借金は増加しております。

 景気の全国的な動向,そして国の地方交付税がしっかりと確保されないなど,色々な要素で本市財政は厳しい状況にあります。

 例えば,二条城の前の国際ホテルは高さ40メートルもありましたが,今度新しく建てられるのは15メートルになります。客室600室が200室になり,確実に固定資産税が減ります。しかし,二条城から見える景色は400年前に戻るのです。これは京都のためだけでなく,国家戦略としての京都創生です。世界の京都,小さな東京になってはならないということで一生懸命やっています。御所から,二条城から,あるいは,金閣寺,銀閣寺から人工的なビルなどが見えないというように,眺望景観は大事です。世界中に東京のような都市はもう10年も20年もしたら多くできると思います。そんな日本で良いのか,「世界の日本」,「世界の京都」として,京都の価値,日本の価値を守らなければならないという覚悟を決めています。しかし,これが税収に反映しないどころか,税収を下げていくのです。

 もう一つは,文化がお金になりません。74の伝統産業が文化を支えています。かつてはドル箱でしたが,今や支援をしなければならないということになっています。ヨーロッパでは,創業100年の企業のハンドメイドのものが,ブランドとして非常に高価値で商品となっています。日本は大量生産の物でどんどんと経済を活性化し,ハンドメイドの物をずっと重視しませんでした。

 したがって,文化を大事にする,文化で日本中を元気にする,そういう取組はすぐに効果が出るものではないですが,その先頭に京都が立ち,小さな成功事例を多く作っていくことが大事だと思います。

 そして,必要最小限の産業用地は必要です。せっかく京都の企業が大きくなられて新しい工場を造りたいが,市内には全く造れないという状況があり,他都市でどんどん造られる。しかし,京都の魅力というのは文化,芸術と同時に,それとつながったモノづくり産業,これが京都の肝です。そうしたことも視野に入れた取組をしていこうということであります。

 なお,宿泊税については財政が厳しいから観光客に御負担いただくという単純な考え方ではありません。観光客の満足度を高め,京都ならではの魅力を実感していただき,そして,京都に住んでいる人も住み続けたいまちと感じてもらう。そのために,今成さなければならないことがたくさんあります。

 例えば,伝統産業,文化,観光とを結び付ける。しかし,これもコストが掛かります。そうしたことに使っていこう。あるいは,観光客の受け入れ態勢の充実のためにさらなる障壁をなくしていく。こうした取組が大事であり,それらを中心に使っていきたいと考えています。一般会計が厳しいから観光客からお金を取ろうという考え方には立っていません。

 

 

記者

 財政調整基金は,自然災害などが起こった際に必要となるお金であると思いますが,それがゼロになってしまったことについて,市長はどのように受け止めておられますか。

 

市長

 安心安全は,何よりも最優先しなければなりませんし,そうした財源はその時点で確実に確保します。

 

記者

 一般の家庭でいえば,銀行に預けている貯金みたいなものであると思いますが,それがゼロになってしまったということについては,どうお考えですか。

 

市長

 本市では,財政調整基金残高が非常に低い水準で推移しています。また,平成28年度当初予算は,公債償還基金の50億円の取崩しなどに依存せざるを得ない状況でした。

 公債償還基金については,他都市では財政が厳しい中,積み立てそのものを減額している例もありますが,京都市では積むべきとこは積むということで,387億円を公債償還基金に予算額通り積み立てています。ただ,それを取り崩すことは財政的に言えば禁じ手でありますので,それがあるから安心であるということではありません。

 

 

記者

 国へ要望していく地方交付税制度の抜本改革とは,具体的にどのようなものですか。

 

市長

 国と地方の根本的な財政の在り方の見直しを求めるものです。行政需要は地方自治体がしっかりとお受けしております。しかし,それを支える財政力は,日本中の地方自治体で差がありますから,それを調整するために地方交付税があります。国の税収の一定率を地方交付税に振り分けていくわけですが,この必要額を確保できていないことが第1点目であります。

 2点目は,臨時財政対策債です。臨時という名の下で,後で国から返しますという約束のもと,国が地方に借金の肩代わりをさせています。これが10年を越えています。10年を越える臨時などあり得ないと,この制度の廃止を要望しております。

 さらに,この間,地方分権改革の一環により,国や都道府県から,指定都市に権限が移譲されています。移譲されているもののほとんどは,手間暇,お金がかかるものになっています。これはこれでしっかりやらせていただきます。

 例えば,難病対策は30年4月から都道府県から政令市に移譲されることになります。そうすると,京都市の税金で対処しなければなりません。しかし,半分は地方交付税で措置することになっていますが,その地方交付税は何も伸びていません。

 また,この10年間でみた場合,東京都23区のどれだけの企業の内部留保が増えて,企業の納税が増えているか,地方がどれだけ疲弊しているか。三位一体改革というのが15年前にありました。地方交付税も含めて,補助金を減らし,税源を地方に移管しました。それで潤ったのは東京です。税率を上げれば,その分が東京にいきます。中小企業の人ばかりが働いているところにはいかない。

 したがって東京ではオリンピックが開催できるのです。これが10年あまりの我が国の行財政の制度であります。東京だけが豊かになり,地方が疲弊している。東京一極集中の大きな要因のひとつであると思います。

 

 

記者 

 宿泊税を導入される以外の方法で,なにか財源を確保していく取組をお考えですか。

 

市長

 これ一本というものはないと思います。王道をいかなくてはなりません。国の制度について色々と申しましたが,権限は国にあるわけですから,我々としては国に要望すると同時に,市独自で可能なものはすぐに取り組んでいかなければならない。市民の所得が増える,安定した雇用につながる,京都の強みである伝統産業,中小企業,これらを活性化していく。中小企業の会社が発展してきたため,京都市外に移転する企業が多いです。しかし,中小企業が発展しても,京都の中で頑張っていけるだけの場所がある。そのようになる取組をしていかなくてはなりません。

 

記者

 それは,宿泊税等の税制を新たに設けるというよりも,既存の税制の中で取組を進めていくということですか。 

 

市長

 王道ですね。

 

記者

 社会保障関連費が自然増かつ硬直性があるなかで,歳出削減に向けて,行財政改革として,特に力を入れていこうというものがあれば,教えてください。

 

市長

 この間,3000人の職員削減を進めてきました。限界に達しているのではないかという意見もありますが,さらに業務の効率化を高めていきます。3000人を削減しましたが,区役所に安全対策の課長,係長を配置,子育て支援,景観対策,防災の体制を強化する等,一部では増員しながら,トータルとして職員削減をしております。なお,さらに28年度からの5年で800人削減します。人件費削減,これは非常に厳しいところであります。例えば,この間,民泊対策だけでも,約20人の職員を投入して,実施しております,必要なところには,必要な人員をしっかりと確保する。同時に,より効率的,効果的に業務を行い,さらに民間の可能なところは,民間にしてもらう。このようにメリハリをつけて,トータルとしての人員削減及び人件費削減に,京都市全体で取り組んでいきたいと思っています。さらに,一般会計だけではなく,公営企業も含めて,上下水道事業は非常に努力していただいています。公営企業との連携も大事であると思います。

 

記者

 社会保障関連費における抑制策等について,市長のお考えを教えてください。

 

市長

 国において,少子高齢化の社会を見据えて,負担と受給の在り方の見直しはかねてから議論されています。しかし,負担が増えているのは,国の施策に伴うものがほとんどであります。色んな施策をやって,その半額,3分の2は地方負担というものが非常に多いです。そのため,地方自治体で独自に見直していくというのは,事実上不可能な制度がほとんどであります。

 今までから,京都市においては,保育園の1歳児では,国の基準が子ども6人に対して保育士1人でありますが,京都市は5人に対して1人です。さらに一歳半までは4人に1人という手厚い取組をしています。これらは,去年からさらに充実させています。福祉子育て支援,教育の費用はかかりますが,より国よりも充実した取組を進めていくため,京都市の負担で年間40億円を上乗せして保育だけのために使っています。これは,京都の一番大事なところでありますので,維持していきます。

 また,ゴミを徹底的に減量していただき,ゴミ焼却施設が5か所から3か所になりました。ゴミの収集体制も大幅に見直すことができました。年間138億円のゴミを処理するための税金が削減できています。このように,市民の皆様の御協力のもと,環境にも良く,そして税金の使われ方としても効率的になる。そのような分野がまだまだあると思います。そうしたことを市民の皆様と知恵を合わせて,重ねてやっていけるのが京都でありますので,あらゆる知恵をいただきたいと思います。

報告案件以外に関する質疑

(リニア中央新幹線の誘致について)

記者

 奈良県知事が先日,三重県と大阪府と合同でリニア中央新幹線の早期開業と,ルート・駅位置の早期確定を求める会議を設立することを発表しましたが,京都も今まで京都ルートを検討してきた中で,市長として改めてこの問題に対して,どのように考えていますか。

 

市長

 京都市としては3点申しております。1点目が,「大阪までの早期開業」であります。全線開業時期を当初予定より最大で8年間前倒しすることが決定されたことは評価しなければなりません。それでも名古屋開業から10年遅れとなり,その間,東京一極集中が加速し,近畿や西日本の経済の地盤沈下につながることが懸念されます。「大阪までの早期開業」は京都市を含めその他関係自治体や経済界の大きな共通課題であります。

 2点目が「関西国際空港への延伸」。そのことにより,首都圏から75分で行けるようになり,完全24時間運用の関西国際空港と首都圏がつながることになります。東京から成田まで約1時間かかるので,大阪から関空まで延伸することは,危機管理の上でも素晴らしいことだと思います。

 3点目が,「京都駅ルート」の実現。現行ルートは昭和48年にリニアの導入を前提としない,東海道新幹線の老朽化や災害リスクに備えた第二東海道新幹線として主要な経過地が決定されたものであります。一方,北陸新幹線のコースも同じ時期に決められたものですが,こちらの方は,オープンな場で侃侃諤々の議論がなされました。今とその当時では状況が変わっていますし,リニアと新幹線ではまったく機能が違います。

記者会見資料

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