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門川市長記者会見(2017年6月21日)

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2017年7月7日

市長記者会見(2017年6月21日)

「平成28年 京都観光総合調査」について

 本日は,私から,「平成28年の京都観光総合調査」について御報告いたします。

 今から約20年前,観光客数は3,800万人台という厳しい状況でした。前市長の時ですが,10年間で5,000万観光都市にしようと京都が一丸となって努力して100の具体的な施策を展開してきました。お陰様で,2年前倒しで達成できました。ちょうど私が就任して間もなくの時,「次は6千万人ですか」と言われました。

 しかし,数だけ求めていてはダメだと思い,数を求めるのではなく,徹底して質を高めることとし,「5,000万人観光都市」から「5,000万人感動都市」を目指して,「観光スタイルの質」,「観光都市としての質」を高める取組に転換し,116の事業を5年間で実行することとしました。

 それを,半年以上前倒しで達成できた時に,東京オリンピック・パラリンピックが決定し,2014年に2020年を目標にした新たな観光振興計画を,市民ぐるみで,専門家の助言もいただきながら策定しました。今後は191の事業を展開することとし,既に189の事業に着手しております。

 そして,京都観光総合調査ですが,観光客数や宿泊客数,観光消費額等の観光客の動向を把握することを目的に,昭和33年から60年の長期に渡って調査するという,日本で最も大規模な調査の一つであります。春から冬の四期に渡り,日本人観光客が4,384人,外国人観光客1,868人を対象に,13か所に分けて調査を行っております。そして御不満についてもしっかりとお聞きし,それを一つひとつ解消し,京都の強みを伸ばし,満足度を高め,感動していただく。そして弱点については克服していこうという取組を進めてまいりました。

 さて,本日発表する平成28年調査のポイントは,「量」を追うのではなく,「質」の向上に取り組み,満足度を高め,都市格を高める。このような「観光の質の向上」の取組が大きく実を結びました。現在の計画では,策定から6年後の2020年に「観光消費額」を1兆円にという目標を立てましたが,4年前倒しで達成することができました。そして,当時113万人だった「外国人宿泊客数」を300万人とする目標を掲げましたが,昨年,5年前倒しで達成することができました。また,満足度も高い水準を維持するとともに,日帰りから宿泊へ1泊から2泊へとできるだけ長く,京都でお過ごしいただくよう進めてきた成果が表れ,日本人宿泊客数が前年より約50万人増加し,宿泊客数は過去最高を更新しました。

 それでは,調査結果の主な内容について御報告いたします。1ページを御覧ください。平成28年調査のポイントである「観光の質」に係る「観光消費額」と「宿泊」についてでございます。

 観光消費額は過去最高の1兆862億円となりました。さらに,一人当たりの消費額が大きく増加し,過去最高の消費単価となっています。特に宿泊,買物,飲食の項目が増加しているのが特徴です。

 都市格の向上やブランド向上につながり,地元への経済効果の高いMICEも順調です。国際会議の開催件数ですが,JNTO(日本政府観光局)基準による開催件数が過去最高の269件となり,そのうち海外からの参加者は約2万6千人となっています。MICE誘致施策を充実させ,特に京都の伝統文化・伝統産業を理解していただくため,それを融合させた取組の結果,京都の認知度が上がり,京都のブランド力が高まっております。京都で国際会議を開催すると,他都市で開催するよりも参加者が1.5~2倍になると言われております。ただし,京都での宿泊が予約できないという苦情も事実であります。

 次に,私は,観光消費額の向上を目標に掲げる中で,単に量を追い求めるだけではなく,滞在時間を伸ばし,日本文化の神髄といえる伝統文化や伝統産業に触れ,感動いただくことで,今厳しい状況にある伝統産業,地場産業,中小企業の振興,後継者の育成と活性化につなげることが重要であると考えてきました。観光消費額は上がっていますが,入場料や体験費用の単価があまり伸びていないため,体験型プログラムや着地型観光ツアーを充実するための取組が必要です。今年度は,民間事業者との連携をさらに深め,京都の奥深い魅力を活かした体験メニューの開発と発信力の強化を行う「京都遺産・伝統文化・匠の技体験型ツアー拡充事業」等に取り組んでまいります。

 観光客の皆様の満足度についてです。満足度については,日本人観光客の89.0%,約9割の方が満足と回答いただいております。特に外国人の総合満足度は96.9%と高い水準を維持しております。感動度では,特に,8割を超える外国人の方が「感動があった」と回答され,昨年調査から20ポイント以上増えております。京都滞在中のおもてなしについても,昨年の42.7%から約8ポイント増加し,50.4%と半数を超える日本人観光客の方が「おもてなしを感じた」と回答されています。

 一方で,公共交通機関に対する残念度は,日本人は昨年8.5%から12.3%,外国人は6.4%から9.5%といずれも増加しています。混雑に対する残念度は,日本人が昨年13.8%から15%に増え,外国人は6.4%から5.9%へと逆に減少しています。これは,特定の季節・場所・時間の観光客の集中が一つの要因です。観光客の幅広い地域への分散化にしっかりと取り組んでまいります。

 さらに,京都の歴史や伝統文化に対する評価ですが,これまで京都の奥深い魅力,すなわち伝統や伝統文化に関する魅力の発信に注力してまいりました。この結果,外国人の京都への来訪動機のうち,「伝統文化」に関する回答が年々上昇し,昨年は53.4%となりました。また,外国人の個別感動度においても「歴史・伝統文化」の回答が,昨年の11.7%から14.1%と増加しております。京都の強みがしっかりとお伝えできており手応えをようやく感じております。更に高みを目指してまいりたいと考えております。

 ここからは「量」についての報告でございます。宿泊客についても,過去最高の1,415万人となりました。前年比で53万人,3.9%の増となっています。そのうち外国人宿泊客数ですが,過去最高の318万人となり,2020年の目標を超過達成しており,「京都」というブランドが高まっている結果だと思いますが,伸び率が少し小さいという状況はございます。

 それから,上位13の国・地域からの宿泊客数ですが,全国の傾向と異なり,特にこの2・3年,アメリカ,オーストラリア,フランス,スペイン,カナダなどが大きく増加しております。これは,5年連続10位以内に入っている「トラベル・アンド・レジャー」に加えて,昨年2位になった「コンデ・ナスト・トラベラー」や満足度世界一となった「ワンダーラスト」,最もロマンティックな都市20に入った「フォーブス」などの様々な欧米の雑誌で,京都が高い評価を得ていることも要因の一つであると考えております。

 次に,観光客に占める宿泊客の比率が上昇し,日帰りから宿泊へと「質の向上」の成果が表れております。昨年の24.0%から25.6%に上昇しました。ただし,これには無許可民泊施設における宿泊客数は含んでいません。我々が発表する宿泊客数の調査では,市内の許可済みの宿泊施設からのデータに基づいております。無許可民泊施設をどの程度の人が利用しているか想定する際,ネットから推測する無許可の民泊施設の稼働率を仮に低めに30%とした場合,110万人が宿泊していると推計されます。これは,京都に宿泊する修学旅行生数とほぼ同じ人数となっております。それから今回,外国人観光客実態調査で,新たな回答項目を設け,京都に宿泊した方のうち,14%の方がアパートやマンションに宿泊しているという回答結果も出ており,これから推計しても100万人を大きく超えると考えられ,318万人が430万人ぐらいになっている可能性もあります。

 一方で,京都市観光協会・京都文化交流コンベンションビューローが調査している「外国人宿泊状況調査」では,客室稼働率は前年並みの89.1%と高止まりしており,実態調査においても,京都への日帰り外国人観光客のうち15.9%の方は「京都に泊まりたいけど泊まれない」と回答されています。

 そこで,無許可で安心安全が保障できない違法民泊については,毅然と対応していく。同時に,快適で良質な宿泊施設を拡充していく取組を着実に推進していきたいと思います。

 もう一つうれしい結果がございます。

 修学旅行生数については,平成21年に96万人まで落ち込みましたが,多くの方々のあらゆる努力の結果,110万人を超え,対前年から,1万2千人増加しております。なお,全国の修学旅行対象生徒数が前年から6万8千人減少している中で増加したことは,京都に来られる割合が大きく上昇したと考えており,しっかりと京都の魅力を引き続き発信していきたいと思っています。

 観光客数につきましては,3年連続で5,500万人を超え,引き続き高い水準を維持しておりますが,日帰りも含めた総数は,5,684万人から5,522万人に微減しております。また,外国人観光客の訪問率や訪問人数も大きく増加しており,国内外からの宿泊客についても増加しております。少し分析しますと,近畿地方からの日帰りの観光客が減少しております。中国・四国,東海等,中長距離のところは維持しておりますが,近距離のところは減少している傾向が見られます。これは,近畿圏内の交通アクセスの改善,道路等の整備による各観光地への広域化,分散化の結果ではないかと思われます。大阪・神戸等の方が関西の広域に行かれたということだと思いますが,時期・場所の集中を是正する観点で広域化していくことはいいことではあります。しかし,国内のお客様はリピーターを中心とした京都観光にとって大切なお客様ですので,混雑しない静かな観光地を御案内して,日本人観光客の維持にも努めてまいります。

 そこで,今回の調査結果を踏まえ,あらゆる施策を展開してまいりますが,ここでは3つの取組を説明させていただきます。

 1つ目は,良質な宿泊施設の拡充と民泊適正化です。観光客や市民の皆様の安心・安全の確保,市民生活と観光との調和を図ることは極めて大事なことであり,これこそが持続可能な都市の発展であり,観光の目的の達成でもあります。違法な民泊施設に対しては徹底した適正化の指導を行い,新たな法律に対応するとともに,必要な要望を国に行っていく。そして良質な宿泊施設を確保・提供することに全力を挙げなければなりません。旅館ホテル等拡充・誘致総合窓口においては,多くの相談を受けており,丁寧かつ迅速に対応すると同時に,違法民泊については毅然と対処してまいります。

 2つ目は,「観光客の分散化」による観光客の満足度の向上であります。先日観光大使に就任いただいた方に,どの京都観光がよいか尋ねた際に,「朝6時の清水寺」と言われ,感激しました。3つの集中を是正する。

 1つは季節・時期の集中であります。これについてはかなり進んでまいりました。月別観光客数の繁閑差が平成15年の3.6倍から1.5倍になるなど,成果が実りつつあります。

 2つ目は時間の集中であります。午後から夕方が観光のピークですが,それを朝観光や夜観光等,深みのある観光にしていく。7月から二条城を朝7時から開城し,朝御飯を提供するといった取組をまず京都市が実施し,寺社を含む様々な民間の施設でも進めていただければと思います。

 3つ目はエリアの集中でございます。大原や高雄をはじめ,街中でも山科という1,400年の歴史を誇るエリアがあり,様々な文化資産があります。それらが十分活かされるように地域の皆様と一緒に様々な取組を進めてまいりたいと思います。

 特にこうしたことは,地域の皆様の意向を十分に反映させていくことが必要ですので,地域と一体になった取組を進めてまいりたい。庁内では,全庁を挙げて観光振興を推進する「京都市観光振興推進会議」に「観光客分散化部会」を設置し,関係部署が連携しながら各地域の主体的な取組を支援,促進していきます。

 そして重要なことは,文化を基軸とした観光の取組です。文化庁の全面的な京都への移転決定を受け,地域文化創生本部が立ち上がりました。観光とはまさに文化であります。京都ならではの「文化」を基軸としたストーリー性のある取組をしていく。そして,京都を訪れるお客様に語りかける必要があります。「京都遺産や匠の技」に着目した,日本の京都ならではの文化観光を推進してまいります。観光は交流する,心が通じ合う,新たな人の流れを作り出す,すばらしい文化であり,産業であります。日本の人口が減少し,地方創生が大きなテーマになっている時に,交流人口を増やし,インバウンドをしっかりと活かす取組が全国で展開されていますが,全国の方々と心を一つにするとともに文化庁も含めて連携し,新たなモデルになる取組を展開し,全国を元気にすることに貢献していきたいと思っております。

質疑応答

報告案件に関する質疑

(観光総合調査について)

記者

 調査結果の残念度について,どのようにお考えですか?

市長

 混雑の残念度は外国人の方が低いです。京都を歩いてみると,一年中外国人が多く,特に欧米の方が増えており,見事に通年観光になっています。一方,日本人は,リピーターであるのは大変ありがたいのですが,桜の時期に特定の場所の桜を見たいといった希望があり,特定の時期と場所に集中し,残念度が高まる傾向にあります。一昔前は大原や高雄の紅葉も好まれたのですが,最近は都心部のライトアップの紅葉に人気が集中している感があります。東京で「今でも京都で静かなところがありますか?」と聞かれたら,「大原や山科の勧修寺,毘沙門堂に行けば,すばらしい季節があなただけのものになる」と御案内します。左京の哲学の道が人気である一方,山科の琵琶湖疏水は閑散としています。このように,分散化が大きなテーマだと思いますので,徹底して取り組んでいきたいと思います。

 

記者 

 観光消費額の目標が前倒しで達成できた感想をお聞かせください。

市長

 元気に頑張っておられる旅館でも経営が厳しい状況にありました。バブル経済の崩壊やリーマンショックでコストダウンをし,なかなか価格を戻せず,従業員の処遇も改善できずにいましたが,ようやく稼働率が上がり,価格も少し戻せましたという声を聞くようになりました。もう一つは,京焼・清水焼等の伝統産業製品が少し売れるようになってきたと聞きます。これはインバウンドが要因だと思います。より一層外国人に購入いただけるようなものにしていかなければならない。批判ではありませんが,やはり一生懸命抹茶茶碗を作っておられるだけでなく,これだけ観光客がいるので,それぞれの国に合わせたもの,例えば中国人観光客に合わせて煎茶用の茶碗を作るなど,インバウンドを活かした観光消費額の向上を目指すべきで,これをより一層強化して,市民の皆さんの豊かさにつなげていけるよう取り組んでまいります。

記者

 海外からの宿泊客が増加していますが,今検討されている宿泊税への影響は何かありますか?

市長

 京都経済が観光によって活性化しているのは事実であります。しかし,京都市への税収には反映されていないのも事実であります。その中で,191の事業に取り組むために観光関連事業に必要となる予算を観光客の方に負担いただくということはコンセンサスが得られることだと思います。したがって,観光客の方の満足度を高めるために使用するという目的を明確にすれば御理解を得られるものと確信しております。

 

記者

 観光客の量的な点で2点お伺いします。まず,5,000万人を達成されて,今後さらに量的に6,000万人を目指していくのか,むしろ限界が来ているので抑制策を検討していくのかどちらでしょうか?また,日本人と外国人観光客のバランスについてお考えがあればお聞かせください。

市長

 私たちは質を高めて,数を維持向上させるという目標でやっています。質を高める,例えば日帰りから宿泊にしていただく,奥深い文化を理解していただく,伝統産業や伝統文化の理解者になっていただく。また,水尾や久多に定住した方が開いた農家民宿は活況であり,まだまだ限界に達しているようなものではありません。こういう質を高める取組に徹底して努力し,そのことが満足度を高めながら,量を確保することになると思います。

 もうひとつの内外のバランスですが,これは観光振興計画で決めるべきではないと思います。外国の方が多いので減らしましょうといったことはするべきではない。私どもは40年前に世界文化自由都市を宣言しています。京都は千年を超える独自の文化を誇りますが,孤立して生きるべきではない。国籍や民族,宗教,社会体制,あらゆる違いを超えて,世界中の人が京都に自由に集まり,新たな文化を創造し,世界平和に貢献することが京都の理念であります。

 

記者

 質の向上と消費額の関係についてどのようにお考えですか?

市長

 消費額だけではなく,質の向上や満足度の向上,再訪も大事な要素です。また,メッセージ性を持った明確な目標も大事であります。日帰りから宿泊という目標は,これだけで質の向上になるものであり,泊まってこそ京都ということで,夜の京都や朝の京都を感じてもらうことができます。コンサートに行ったり,美術館に行って,入場料等にお金を使うことが増えていけばよいなと思いますし,消費額の中味をこれからより考えていかなければならないと思います。

 

記者

 全体の観光客数が減っている中で,観光消費額が過去最高になり,宿泊・買い物・飲食が特に増えているということですが,この増加要因について,どのようにお考えですか?

市長

 宿泊と日帰りで消費額単価は4.7倍程度の差があります。そして,遠方から来られる方ほど消費する金額が大きいという傾向があります。こういった方が,食や買い物を楽しまれるといったことも含めて消費が伸びているのだと思います。

 

報告案件以外に関する質疑

(宿泊税について)

記者 

 新税に関する検討委員会で,現在,簡易宿所も含めてすべての宿泊施設を対象にするという方向で議論が進んでいますが,無許可民泊も含めた今回の調査結果を踏まえて,宿泊税の導入に向けた市長の考えを教えてください。

市長

 例えば,ヨーロッパの都市では,観光客の公共料金は高いという事例が結構ありますが,それは外国人が行くことで,その町に様々な負荷を掛けているということを理解されているからだと思います。京都市民,観光事業者,宿泊関係事業者のコンセンサスを得て,観光客にも御理解いただける制度設計にしていきたいと思っています。同時に,東京都は,宿泊料金が1万円以上の場合に限定されているようですが,京都で展開している様々な観光施策は富裕層向けにだけやっているわけではなく,京都に来られるすべての方に享受してもらうための取組ですので,1万円未満の施設であれば払わなくてよいというのは妥当ではないというのが検討委員会のまとめであろうかと思います。私もそれに同感であります。

 民泊を法律・条例で規定し,違法な民泊は摘発して,廃止させることが大事です。

 また,適法な民泊については,しっかりと新たな制度で把握しなければなりません。しっかりと把握して適正な負担をしていただくことは,市民や宿泊事業者の皆様の共通した考えではないかと思います。

 

(民泊新法について)

記者

 民泊について2点お伺いします。以前から市長は無許可の民泊には厳しく対応していくと言われていますが,すでに許可された民泊で騒音等の苦情が住民から出ていることについてどのように受け止められますか?また,そういった民泊に対して許可を取り消すとか営業を停止させるといった対応がとれないのかどうかお伺いします。

市長

 適法なものについては,我々は民泊と言わず,簡易宿所と言います。民泊というのは,住居と宿泊施設の融合のようなもので,我々が許可しているのは旅館業法に基づく簡易宿泊施設であります。簡易宿泊施設であっても近所から苦情が来るケースはございます。こういった場合には,丁寧に指導し,宿泊施設と近隣住民が調和する取組をしっかりしていかなければならない。適正な許可を受けた施設がそれを実行しているにも関わらず,許可を取り消すというのは法的にはできません。ここで問題になるのは,現行の旅館業法は衛生や防火,安全管理を中心にした制度であり,それだけでは足りないので,我々は要綱で宿泊施設が守るべき努力義務を作って,遵守いただいています。こうしたことを丁寧にしていかなければならないと思っています。

 また,民泊新法では,住居の中で民泊をやる際に,近隣との調和が規定されましたが,それを既存の旅館業法に基づく宿泊施設にも求めていくことをより規範化し,徹底していくことがこれから大事だと思います。民泊新法と旅館業法に基づく条例をどのように整合性をもたせるかどうかは,国の考え方もまだ出てきていませんが,そういったことをしっかりと内部で議論し,議会にも説明し,またパブリックコメントも実施して制度化していきたいと思います。

 

記者

 無許可民泊施設の宿泊者を110万人と推計されていますが,その数に対する御認識と,民泊新法の京都観光における意義について,どのようにお考えですか?

市長

 修学旅行生と同じ数の人が民泊に泊まっているということは,何か事が起きれば大変な事態になると危機感を持っています。これは安心安全の問題でもありますし,観光の本質である文化とそこに住む人との触れ合いに結び付くものなのか疑問に思います。したがって,新たな法律が違法な民泊の適正化に有効に働くように全力を挙げていきたいと思います。

 また,京都の町家が空き家になっていて物騒だといった声も1,2年前はありましたが,最近では,大工さんや左官屋さんによって見違えるようにきれいになって,丁寧に近隣にも説明するといった京町家を活かした簡易宿泊施設が大きく増えています。また,今まで中々若い方が路地に住むといったことはなかったのですが,外国人が宿泊することによって,長屋や路地の再認識につながっているということを感じます。こうしたことが地域住民の理解の下に進むことは,京都の伝統や匠の技の継承,暮らしの文化の海外への発信につながり,すばらしいことだと思います。 

 ただし,近隣の方々の静かな生活との調和が大事だと思います。一方で,家主不在型の民泊については非常に注意しないといけないと思っており,規制の在り方について今,侃侃諤々と議論しております。単純に宿泊施設が足りないからマンションの1室を利用するということはよくないことだと私は思います。

 

記者

 110万人が無許可民泊に宿泊している可能性があるということですが,これは少なくとも110万人ということですか?

市長

 ネットに出てくる違法な民泊の稼働率を3割と想定して,110万人と推計しています。

記者

 110万人というのはすごい数字だと思います。先程,事が起きたら大変だとおっしゃいましたが,その辺りをもう少し詳しくお聞かせください。

市長

 旅館業法では,衛生や安全の問題がしっかりと規定されていますが,無許可施設にはこうした概念が一切ございません。したがって,火災や食の安全上の問題が発生することも考えられます。法治国家の日本において,こうしたことが根底から守られていない状態が続いているということは大変な事態だと思います。

 

(双京構想について)

記者

 先日の懇話会の場において,現実的に即位の礼や大嘗祭は難しいという意見もあり,立石会頭も会見で困難と話されました。即位の儀式や園遊会に関する市長のお考えは。

市長

 先だっての懇話会において,3人の方は直接,1人は文書で見解をいただき,いずれも深みのある御意見だなと思いました。京都の歴史や皇室との関わり,日本の未来を十分考えた御意見でありますので,即答的にこうした方針でいくと言うのではなく,深い議論が必要だと思いますので,ここで結論的なことは申し上げたくないと思います。

 ただ,その場でも,議会でも一貫して申し上げてきましたけど,両陛下のお住まいや御退位後の過ごされ方は御心に沿ったものでなければなりません。これが第一点であります。そういう意味で,季節のいい時などに静かにお越しいただき,心休めていただける。こんな京都になるために,もし御所の中での環境整備が必要であれば国に要望し,我々京都でもあらゆる努力をしていかなければならないと思います。

 そして,即位の礼と大嘗祭については,現実的に何が可能かと言う前に,本来どうあるべきかという議論をしていくべきだと思います。794年以降,歴代の天皇の代替わりが京都で行われ続けました。明治維新後に天皇が東京へ行かれた後も,陛下の御意志と国の方針によって京都で行われ続けました。プリンス,プリンセスの御成婚の衣装が千年を超えて変わらないのは日本だけであり,日本は歴史を大事にしているということであります。

 今上天皇の御大礼は東京で行われたわけですが,当時は,国民皆が昭和天皇の御回復を祈っていた中で,崩御された後の御大典をどうするかの議論はできなかったので,今回,新憲法下で初めて議論できることになりました。しっかりと議論し,そして実現可能なことを具体的に国で判断していただく。今回はそこまで出来ないが,本来はこうあるべきだといった,100年後,200年後も含めた見解をまとめておくべきだと思います。明治天皇の大嘗祭は東京,大正・昭和天皇は京都になっています。千年の歴史をしっかりと踏まえて,千年先も見据えた議論をして,今,何ができるのかをまとめるべきだと思います。園遊会も東京で行われていますが,あれだけの規模のものを京都でと言うのは難しいですが,京都ならではの,より文化的なものを,離宮や御所でということも提案し,議論していければと思います。

記者

 立石会頭は即位の礼と大嘗祭は難しいが,京都と関係の深い皇室行事を提案したいと仰っていましたが,いかがですか?

市長

 節句の行事が明治時代まで京都で続いてきたのが,現在は廃止になっています。そうしたものも復活できたらいいなと思います。具体的な提案ができたらと思っています。

 

(財政調整基金残高について)

記者

政府で自治体の基金残高の地方交付税額を調整しようという動きがありますが,市長はどのようにお考えですか?

市長

 基金は自治体の独自財源ですので,地方交付税の算定に使うべきものではないということは一般論としていえると思います。同時に地方交付税は地方の独自の財源であり,それぞれの自治体が行う標準的な都市運営に必要な金額である。基準財政需要額と標準的な税収との差を埋めようとするものです。これは国のお金ではなく,地方の財源であります。その認識をしっかりとしてもらった運用が大事だと思います。

 地方交付税の総額の確保,臨時財政対策債というのがもう10数年続き臨時でなくなっています。その廃止が大事であると考えています。同時に,地方交付税の配分が,本当に財政が厳しい条件の所と比較的ましな所との関係がどのようになっているのかをしっかりと見極めてほしいと思います。

 ちなみに政令指定都市の財政調整基金は平均で210数億円です。京都市は14億円で,政令指定都市で最低です。大阪は千数百億円です。平成15年に京都市の地方交付税等は1300億円を超えていましたが,今,800億円です。都市の特性を十分に配慮した地方交付税の配分になっているのかについては,総額の確保とともに国に言っていかなければならない。

 平成15年当時,三位一体改革がありました。国からの交付税を減らしましょう。地方に税財源を移管しましょう。それが,京都市の地方交付税が大幅に減った大きな要因の一つになっています。たとえば,市民税を上げる,所得税を減らすといった時,一番潤ったのは東京です。富裕層はほとんど東京にいます。住民税を上げても収入が高く,京都のように70%が中小零細企業に勤めているようなところは率を上げても税収に跳ね返らず,東京だけが大変な税収増になっているのです。だからオリンピックができるということなんですけどね。このように,根本的な交付税の確保と配分の在り方の再検討を求めていきたい。

 

(東京キャラバン開催について)

記者

 京都文化力プロジェクトの関連で,東京キャラバンの二条城開催が決定されましたが,その狙いと趣旨についてお聞かせください。また,東京都知事が市場の豊洲への移転と築地の再整備という方針を決めましたが,同じように市場を持つ京都市としてのお考えはいかがですか?

市長

 東京五輪に向けて,東京都が中心となって,全国を視野にすばらしい取組を展開されます。まず今年は,大政奉還の舞台にもなった京都の二条城という我々の提案に応じていただいて大変ありがたいですし,ちょうど二条城では昨年の10月19日に文化を中心としたキックオフイベントが開催されました。あらゆる文化行事の出発点を京都にしようということはありがたいことですし,その意義を認識して,市民ぐるみで盛り上げていくとともに,全国とつながっていきたいと思っています。

 京都の中央市場は今年で開設90周年で,築地よりも深い歴史がございます。そして約10年を掛けての大整備が始まっています。議会でも構想段階から徹底した議論をしていただき,情報もしっかりと公開し,取り組んできております。なお,京都の中央市場の会長の池本氏は,日本の中央市場の特別顧問もしておられ,築地や豊洲の件についても非常に心配しておられました。その池本氏が,京都の中央市場は,京都市と市場関係者が一体になって早い段階から,何度も何度も議論を重ねて進めてきたが,東京については今なお,意思統一できておらず,このことが中央市場の評価の低下につながることを懸念されていました。市場も東京一極集中となっており,例えば初せりで,数千万円や1億円といったまぐろの価格が派手に報道されますが,価格形成という中央市場の役割を考えれば,特定の大型寿司チェーン店の宣伝の場になっていることはおかしいとおっしゃっています。中央市場が今後も機能していくためには,生産者と消費者の間に立って,需給に応じた適正な価格形成をすることこそ大切であり,庶民の食生活から離れた価格形成をすることで,市場のブランド化を図ることは中央市場の精神に反するという御意見は極めてまっとうなものです。

 

記者会見資料

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