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共同記者会見(2016年11月4日)

ページ番号209229

2016年11月21日

京都市と学校法人二本松学院との包括連携協定締結式について

協定締結式

1 日時

平成28年11月4日金曜日 午後0時45分~午後1時30分

 

2 場所

市役所本庁舎第一応接室

 

3 内容

  京都美術工芸大学京都東山キャンパスの設置を契機として,京都市及び学校法人二本松学院は,文化庁の京都への全面的な移転も見据え,相互の連携を強化し,1200年を超える悠久の歴史の中で育まれた世界に誇る京都文化の一層の振興を図り,文化の力による我が国の地方創生に資するため,包括連携協定を締結するもの

 

4 出席者(敬称略)

  京都市       門川大作 京都市長

  学校法人二本松学院 新谷秀一 理事長,河野元昭 京都美術工芸大学 学長

     

5 次第

 ⑴ 出席者紹介,概要説明

 ⑵ 包括連携協定の締結

 ⑶ 写真撮影

 ⑷ 門川市長  挨拶

 ⑸ 新谷理事長 挨拶

 ⑹ 包括連携協定に基づく具体的連携事項の取組の説明(河野学長の説明)

 ⑺ 質疑応答

 

6 資料

・ 包括連携協定書 

・ 包括連携協定に基づく今後の具体的な連携事項(例) 

・ 学校法人二本松学院 京都美術工芸大学 京都東山キャンパスの概要について 

・ 【参考】取材案内 

 

包括連携協定に基づく今後の具体的な連携事項(例)

1 文化財等を保存・活用した観光振興に関すること。

(1)周辺には京都国立博物館や多くの神社仏閣があり,美術工芸が息づくまち貞教学区に設置される京都美術工芸大学京都東山キャンパス(以下「京都東山キャンパス」という。)において,文化財観光,工芸観光等に関するインフォメーション機能を備える。 

(2)文化財の魅力を活かした新たな観光ルートの開発や観光マップを制作する。

 

2 伝統産業振興に関すること。

(1)京都伝統工芸館に加えて,京都東山キャンパス内のギャラリーにおいても,伝統工芸の作品展示,制作実演を行うことにより,京都の伝統工芸の魅力を紹介する。

 

(2)二本松学院内に地域連携センターを設置のうえ,京都東山キャンパス内に,企業等向けの相談窓口を設置し,伝統工芸の担い手育成や魅力を伝える商品企画,パッケージ,広報等に関する支援を行う。

 

(3)京都市等が実施する伝統産業振興,国際交流に関する各種事業に協力する。

 

3 まちづくり,リノベーションに関すること。

  京都市が進めるまちづくりの取組に対し,文化・芸術,デザイン,建築等の観点から,京都美術工芸大学の学生等がアイデア段階の時点から協力する。

 

4 京都の未来の担い手育成に関すること。

(1)京都市認定通訳ガイド(京都市ビジターズホスト)の育成に当たっての協力を行う。

 

(2)文化財や京都の伝統文化に関する小中学生向けの講座,教室を京都東山キャンパス等で開催する。

 

5 地域の安心・安全の推進,地域の活性化に関すること。

(1)京都東山キャンパスは,元貞教小学校の地域の防災拠点としての地位を引き継ぎ,非常災害時においては,避難場所として,体育館,グラウンド等を開放するとともに,防災面で必要な協力を行う。

 

(2)学生ボランティアが地域イベントに参加することにより地域活性化に寄与する。

・ 歴史的な京都の文化遺産を俯瞰できる洛中洛外図等を,最新のデジタル技術により文化財観光に活用するなど,京都の文化情報発信の拠点としての機能を備える。

・ シアターを設置し,京都の文化財,伝統工芸の魅力を最新技術で紹介するとともに,学生がボランティアで解説を行うことにより担い手育成に寄与する。

挨拶

市長挨拶

 学校法人二本松学院 新谷秀一 理事長,また 京都美術工芸大学 河野元昭 学長をはじめ,関係者の皆様,本当にありがとうございます。

 来年4月,多くの人が待ち望んだ京都美術工芸大学の京都東山キャンパスが開校いたします。本当に感慨無量でございます。明治維新で,京都が都の地位を失い,都市存亡の危機にあったときに,明治2年に地域の人たちがお金や知恵を出し合い,開校されたのが貞教小学校であります。平成14年までの133年の歴史を刻んだ地に,全国で唯一の工芸学部を持つ新進気鋭の大学が新たな歴史を刻み始める。本当に嬉しいことであります。

 昨年,同キャンパスの起工式のときにちょうど琳派400年でありました。京都に移ってくるのではなく,400年後の洛中に新たな光悦村ができたといっても過言ではないと,お話をさせていただきました。

 長年の悲願であった文化庁の京都への全面的な移転が決定し,様々な準備を進めています。そして,日本の文化行政が新たに飛躍し,文化と生活,文化と観光,文化とあらゆるものづくり,文化と大学,文化を主軸にし,日本全体が元気になっていきます。更に,世界と繋がり,同時に未来に繋いでいく,スタートの時期であります。

 また,4年後の東京オリンピック・パラリンピック,翌年に開催される関西ワールドマスターズゲームズを控え,世界中の目が京都に向けられています。

 世界の素晴らしい文化の影響を受け合いながら,和の伝統美が受け継がれてきた京都,そして新たな美を創造する担い手を育成される学校法人二本松学院と,強力な連携を組み,文化財を守ること,活用すること,観光との連携,更に危機的な状況であるといっても過言でない伝統産業の振興,担い手の育成。時機を得た,規範となる協定を締結できることになりました。

 新キャンパスが設置される東山区は,伝統工芸の集積地であり,京焼・清水焼やお寺,神社,それらを活かした文化行事が盛んな地域であります。数年後には,鴨川を越えた地域に,日本初の芸術系大学,京都市立芸術大学が移転してきます。また,京阪七条駅のすぐそばにあるなど,絶好の場所であり,更なる発展が望めるのではないかと大変喜んでおります。

 また,京都美術工芸大学への応募者が増えてきており,意欲,能力が非常に高いとお伺いしています。現在,大学の定員数は400名ですが,是非,一学年250名,1,000名規模の大学に発展していただきたいと思います。

 

新谷理事長挨拶

 この度の,京都市との包括連携協定について,御尽力いただきました皆様に心からお礼を申し上げます。

 3年前に,京都市長様より市内への大学誘致のお話があり,新キャンパスは我が校の学生だけでなく,京都市の発展に貢献するものにしたいと考えておりました。

 文化庁が移転先に選んだ文化の中心であり,観光ナンバー1都市である京都市と文化力による地方創生という大きなテーマの協定を結べることは身に余る光栄でございます。

 私どもが得意とする伝統工芸,デザイン,文化財,建築などを通じて,文化力で少しでも京都を盛り上げ,その取組がモデルとなって,日本全体の地方創生に繋がることを心から願っています。

 具体的な取組としましては,まず文化財等を保存・活用した観光振興でございます。

 我が国が観光立国として,2020年の訪日外国人旅行者4000万人を目指す中で,京都文化に魅力を感じてお越しいただく方が増えてきているところです。

 京都の歴史文化の奥の深さを理解していただく,満足していただくことが重要だと感じております。

 私どものキャンパスは,鴨川から見て,正面に京都国立博物館,三十三間堂,智積院,東福寺,清水寺,高台寺が位置するというロケーションを活かして,京都の文化財や伝統工芸の魅力をお伝えするインフォメーションセンターの機能を果たせないかと考えています。その際に重要なのは,デジタル技術と,文化財観光の人材を育成することだと思っております。

 文化財を見に行く前に,精細なデジタル文化財をあらかじめ御覧いただくことで,現地で,薄暗く,見えにくいなどの課題を克服できないかと考えました。スマートフォンやタッチパネル等で情報をすぐ取り出して,見所を予習し,その後,現地で確認するといったことができます。詳しくは,河野学長から説明させていただきます。

 次に,言葉で正確に説明できる文化財観光の人材も欠かせません。私どもの学内では,専門知識を持って文化財観光の案内役を務められる人材をフィールド学芸員と呼び,その育成に取り組んでおります。新キャンパスに勉強に来る小中学生や,外国人を含むお客様への案内役を大学の学生に務めてもらう予定です。その際に,実際にものづくりや文化財修復に従事する人が英語で説明できることが重要だと考え,ネイティブ教員にものづくりや文化財修復現場を回って学んでもらい,学生に実践的な英語教育などをしております。

 2点目の伝統産業振興ですが,二本松学院の中に,伝統工芸のリーダー,プロデューサーを養成する京都美術工芸大学と伝統工芸の後継者,職人を育成する京都伝統工芸大学校があります。京都伝統工芸大学校の卒業生の3分の1が,京もの認定工芸士として活躍しており,教員,学生や卒業生が一丸となって京の伝統工芸や伝統産業の振興に協力していきたいと考えています。ものづくりだけでなく,パッケージ,デザイン,広報,いかに売るかといったことを一緒に知恵を絞っていきたいと考え,二本松学院に地域連携室を設け,伝統産業における様々な相談を承りたいと思っております。

 3点目は,まちづくり,リノベーションの協力です。私どもは,鴨川の東側に京都市立芸術大学が移転すれば,JR京都駅の東側が新たな芸術・文化ゾーンとして生まれ変わると期待しております。他にも京都市のまちづくりにおいて,いかに京都らしさを残しつつ,新たなまちづくりをするかという視点が重要だと思っております。

 京都美術工芸大学の建築デザイン,伝統建築,総合デザイン専攻には,まちづくり,リノベーション,パブリックデザインが専門の教授陣が多数在籍しており,新たな文化芸術や京都らしさを残したリノベーションをどう進めるか,文化芸術の香りがするまちをどのようにつくっていくか,アイデア段階でどんどん提案させていただきたいと思います。

 折角の機会ですから,取組の拠点となる新キャンパスについて,御紹介させていただきます。

 来年4月の開校に向けて工事は順調に進んでおります。新校舎は川端通沿いのL型の3階建ての建築です。貞教小学校の跡地で,一部,校舎をそのまま利用しており,モダンとレトロが一体となったキャンパスになると思っています。鴨川沿いに開けた,間口の広さが特徴です。鴨川と東山連峰の景観や京都の脈々と続く歴史文化のイメージを踏まえたデザインコンセプトにより,正面のファサード等の設計をしました。夜間にはライトアップもいたしますので,川端通の新しい顔,京都の新しいランドマークになることを願っています。新館1階の幅6メートル奥行き45メートルの二本松ギャラリーに4K大画面AVシアターを設け,ここで,学生作品の展示や工芸の実演,文化財観光や伝統産業の情報発信を行います。また,新キャンパスには,地域の防災拠点として,貞教自治連合会様と相談しながら災害時の避難場所とするなど,積極的に協力したいと考えております。

 結びにあたり,本学校のこの場所にできる最大の貢献は,高齢化率の高いこの地域に,元気な若者を増やすということです。先ほど,門川市長から早く1,000人規模の学校にというお言葉をいただきましたが,私どももその期待に一日でも早くお応えできるよう進めたいと思います。京都美術工芸大学が来てくれて,地元が元気になったといっていただけるように精一杯がんばってまいりたいと思っています。引き続き温かい御支援,御鞭撻を賜りますこと,お願い申し上げ私からの御挨拶とさせていただきます。

      

 

河野学長説明

 この屏風は,京都の市中,市外を鳥かん的に描いた洛中洛外図であり,近世初期風俗画の中核をなす作品です。特に,一双の屏風に描き,地理,歴史,文化を視覚的に大変わかりやすく示している,文化財におけるもっとも重要な位置を占める作品であると言って良いと思っております。

 文化史上,美術史上の特徴を強く発揮させるため,京都美術工芸大学と大日本印刷株式会社様の両者が手を組んで,京都の文化財観光の活性化のために活用,我が大学が次代を担う若いアーティスト,コーディネーター,研究者,匠,職人,実務家を教育し,社会に送り出していくために,洛中洛外図を両者で活用し,京都市に少しでも貢献しようと計画したのが,この洛中洛外図プロジェクトでございます。

 池田本洛中洛外図屏風は,重要文化財に指定されたものであり,ここにありますのは,4Kデジタルデータを使い原寸で複製したものであります。このデジタルデータに学生やスタッフが参加して,新しいデジタルイメージをつくる,これがプロジェクトのもう一つの大きな目的であります。コンセプトは「わかりやすく,面白い」で,京都東山キャンパス1階にオーディオビジュアルルームを設置し,六曲一双の洛中洛外図の複製を並べ,同時に新しく作られたデジタルイメージを大きなディスプレイに写して両方を展示します。来年4月,オープンします。また,数年かけてデジタルイメージをバージョンアップしていく計画です。これは,我が大学の学生,スタッフが見るだけでなく,広く公開をして,一般の市民の方々,観光客の方々,修学旅行生など次代を担う若い人たちに見ていただき,京都の歴史,文化の素晴らしさを,視覚的,直感的に理解していただけると思っております。

 

質疑応答

記者

 洛中洛外図屏風のデジタルイメージとはどのようなものか。

 

河野学長

 大日本印刷様の4Kデジタルデータを基に,画面上の場所をタッチすると大きい画面が出てきて,文字情報として説明が現れます。イメージ情報と,文字情報によって,理解がより深まります。デジタルテクニックは,大変進んでおり,今,私どもが考えていることでありますが,例えば,現在の京都と屏風に描かれている京都を比較できるようにしたいと思っています。これらは,学生,スタッフ,行政にも関わってもらい,大日本印刷様の技術とコラボして,どんどん面白いものになると確信しております。

 

 

記者

 定員を増やしたいということであったが,いつ頃から増やすのか。

 

新谷理事長

 来年度の定員はそのままです。再来年度からの定員を1,000人規模に増やすことができるように文部科学省と相談をしております。

 

京都市長

 園部に誕生した学校が,京都市に京都東山キャンパスを開設するが,これは,千年を超える文化芸術,工芸,ものづくり,伝統の上にキャンパスができるということだと思っております。元京都大学総長の西島安則先生が「京都大学はできて100年余りだが,しかし京都には綜芸種智院という1,200年前に空海が作った学校があったり,お上やお寺が作った学問所があったりする。その伝統の上に,明治になって京都大学ができた」とおっしゃられました。学問的に美術工芸,土地の力,歴史の力,文化力をしっかり受けとめて,新たに創造していくことが大切であります。園部と京都市のダブルキャンパスは,日本の中では極めて,距離が近いダブルキャンパスです。1,000年を超える歴史を持つこの地で,文化庁の全面移転,市立芸術大学とあわせ,琳派や伊藤若冲が活躍した時代を超える新たな時代を築いていただけるよう期待しております。

 

河野学長

 京都のDNAが生きているこの地で,必ず,素晴らしい時代を担えると確信しております。

 

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