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門川市長定例記者会見(2016年6月20日)

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2016年6月20日

市長記者会見(2016年6月20日)

第15回世界歴史都市会議及び京都・プラハ姉妹都市提携20周年記念事業に係る海外出張ついて

 6月3日から,第15回世界歴史都市会議及び世界歴史都市連盟の総会・理事会を開催するために,オーストリアのバート・イシュル市,そして,姉妹都市20周年記念事業開催のために,プラハ市に行ってまいりました。

 世界歴史都市会議は第1回会議開催から,まもなく発足30年目を迎えます。今回も京都市会から津田議長,市会各会派の代表の先生方にも御参加いただきました。プラハ市には,大蔵流茂山家,また京都スカイクロス協会,立命館大学メンネルコール,連合京都,私立幼稚園連盟,保育園協会等,総勢150名を超える方々や,多くのボランティアの方々と一緒に訪問いたしました。それぞれ交流が深まったと感じます。

 バート・イシェル市で開催された歴史都市会議では,歴史都市が科学技術の進歩をどのように活かすのか。歴史都市が未来都市になっていこうといったことがテーマでありました。

 私からは,精神文化と科学技術,その融合の中で発展する京都について発表させていただきました。伝統産業から先端産業が生まれ,また世界の平和にも貢献している京都に文化庁が全面的に移転してくることを話しましたところ,多くの都市の市長が,文化庁の移転を知っておられて,逆にお祝いを言っていただく関心の高さに改めて感銘を受けました。

 各都市からも興味深いお話を聞かせていただきました。第11回会議から,若者が歴史都市を担っていく,連携を深めていくということで,ユースフォーラムも開催してきましたが,公募によって選ばれた京都大学大学院の3名の学生さんが「未来に続く歴史都市の条件」をテーマに発表してくださいました。堂々たる発表を聞き,京都でグローバル化の時代を担うすばらしい若者が育っていることに誇りを感じました。

 歴史都市連盟の総会では,「バート・イシュル宣言」を採択いたしました。世界では,様々な政治体制や宗教の違いによって激しい紛争が起きており,また環境破壊等,様々な課題がある中で,歴史都市の中に蓄積されている人類の英知を活かして世界の平和のために貢献しようという宣言を採択して,より一層の連携を深めることを確認し合いました。また,無錫(むしゃく)市と台中(たいちゅう)市が新たに加盟し,歴史都市は112都市となりました。2年後の次回の開催地は,4つの都市がプレゼンテーションし,理事会での投票によって,トルコのブルサ市に決まりました。

 プラハ市では様々な記念事業が展開されました。滞在したのは1日半でしたが,10近い事業を展開していただきました。中でも,20年間の文化交流,市民交流の中で,「なごみ狂言会チェコ」というのが発足し,年間,国内外で  800回の公演が行われております。この「なごみ狂言会チェコ」が,「濯ぎ川」(すすぎがわ)と言われる演目を,チェコ語と日本語で行われるのを拝見しました。プラハの劇場のチケットはすぐに完売し,超満席でした。プラハ市長も初めは上品に笑っておられたのですが,ゲラゲラと笑い出され,また,プラハ市の職員の方の7歳のお子様も笑っていました。こういうことを目の当たりにして,京都に伝わる日本の文化というのは普遍性があるなと思いました。プラハ市長が「濯ぎ川」を見終わってから,「息子の嫁」と「母親」という軋轢は世界共通ですねという感想を言われていました。

 その他にも京都大学の先生がスポーツ医学等を駆使されて作られたスカイクロスというスポーツがありますが,プラハで大会が開かれるなど,我々以上に京都で育った様々なものを大事にしていただいているなと実感いたしました。

 20年の市民交流,文化交流の重さを実感し,様々な取組を進めていただいた方々に感謝の気持ちでいっぱいであります。

 最終的なレセプションの場において,京都とプラハの交流に御尽力いただいております茂山七五三(しめ)様と「なごみ狂言会チェコ」代表のヒーブル・オンジェイ様,ロビン・照圓(しょうえん)・ヘジュマン様を,京都国際観光大使に任命させていただきました。ヘジュマン様は留学生として九州大学で学ばれて,その後,比叡山で修業されたお坊さんであります。20年前の姉妹都市提携の時に通訳等として大変な御活躍をいただいた方で,現在も京都とプラハとの交流に大きな役割を果たしていただいております。

 これからも文化交流,都市間交流,市民交流で京都の魅力,日本の魅力を世界に発信すると同時に,世界の人々の幸せのために,平和のために貢献していきたいと決意を新たにいたしました。京都は2年後にパリと姉妹都市提携60周年を迎えます。その次の年にはボストンと60周年。去年はフィレンツェと50周年でありました。50年ほど前に欧米の様々な都市と姉妹都市提携を行い,以後,中国の西安,メキシコのグアダハラなど多彩な国々の諸都市との提携も進みました。現在に至るまで姉妹都市の要望が世界中から寄せられているのですが,それ以上増やさないという考えもあり,プラハを最後に新たな姉妹都市提携は行っていません。

 一方で,近年,民間レベルでの交流を主体とするパートナーシティを,アジアを中心に増やしてきました。パートナーシティや姉妹都市をはじめ,友好都市の交流を深め,さらには歴史都市会議をより充実させていく。そのようなことで役割を果たしていきたいと決意を新たにしております。

 

大政奉還150周年記念プロジェクトの実施について

 引き続きまして,「大政奉還150周年プロジェクト」の実施について,御報告します。

 慶応3年(1867年)10月,江戸幕府15代将軍徳川慶喜が,二条城二の丸御殿大広間において,諸藩の代表を前に,政権を朝廷に返上する「大政奉還」を表明した後,同年12月,朝廷により「王政復古の大号令」が発せられました。これら一連の流れは,700年余りにわたる武家政権の終焉を意味するだけでなく,旧来の朝廷政治でもない新しい秩序の樹立を宣言したものであり,我が国の歴史上の大きな転換期となりました。

 この大政奉還が,国内外で再評価されています。来年,平成29年は,我が国が近代国家として歩むきっかけとなったこれら一連の出来事から150年の大きな節目を迎えます。

 京都市では,この機を捉え,幕末維新に京都で活躍された先人とゆかりを持つ都市に参画を呼びかけまして,今年度から,相互に交流・連携を図る記念事業に取り組みます。

 折りしも,文化庁の京都移転が決定し,文化と観光,ものづくりなどで全国の各都市とつながる,大変意義深い取組にしてまいりたいと考えております。

 まず,「プロジェクトの概要」を報告いたします。このプロジェクトの目的は,3点ございます。

 1点目は,幕末維新に京都で活躍された先人たちとゆかりのある都市が相互に交流・連携を図りながら,先人たちの歩みを,近年の研究成果を踏まえ改めて再評価することであります。

 2点目は,プロジェクトを通じて,京都がお世話役となり,幕末維新をテーマとした全国各地の文化・観光,また,その背景にある伝統産業,地場産業の振興を図ることであります。

 さらに3点目として,こうした取組を通じて,都市間連携による地方創生のモデルになろうというものです。

 同時に,今,幕末維新を導かれた,あの混迷の時代を切り拓かれた偉人たちが生きておられたら,日本の,そして,各都市の状況をどのように考え,どういう意見を持たれるであろうか。そうしたことも次の時代を担う若者とともに考えて,混迷する日本社会,世界状況の中で,どういう理想を持って行動していくべきか,共々に考える機会にしていきたいと考えております。

 次に,「参画都市」についてです。幕末維新は,欧米諸国の脅威が迫る中,将軍,大名,家臣,浪士といった様々な立場に立つ人物が,全国各地から京都に集まり,国の将来のために議論し,さらに行動を起こしました。有名な方だけでなく,それを支えた多くの国民がおられました。それぞれ立場は違いましたが,我が国の将来への思いは同じであったと考えております。

 このような中,国の将来を案じて行動された先人の方々に学び,ゆかりの地域でつながりながら,未来に活かしていこうと,プロジェクトへの参画を広く呼びかけたところ,資料の2ページにありますように,呼びかけました16の都市すべてから趣旨に賛同いただきました。

 こうした都市間連携事業としては,過去最大規模の広がりを持つ取組であります。引き続き,16都市以外の都市につきましても,広く参画の呼びかけをしていきます。

 次に,「平成28年度事業概要」でございます。来年1月からスタートする「大政奉還150周年」と,これを契機としたプロジェクトを多くの皆様に知っていただくため,今年度は,プレイベントを開催します。

 徳川慶喜が大政奉還を表明した歴史的な舞台である二条城において,例年8月に開催しております「「京の七夕」二条城ライトアップ」や秋の「二条城まつり」などの各種の事業としっかりとタイアップしまして,様々な事業を展開していきたいと考えております。

 例えば,現在検討中ではありますが,幕末の志士たちとゆかりのある島原の太夫(たゆう)による「太夫(たゆう)道中(どうちゅう)」や,幕末維新に活躍した人物の墨絵パフォーマンスなど,幕末を体感できるような,多くの人に楽しみながら歴史をたどり,未来を考えていただける関連イベントを実施してまいります。取組につきまして,御意見がありましたら,お聞きして,活かしていきたいと思っています。

 併せて,プロジェクト参画都市に関連する取組やゆかりの地などをPRする催しを実施し,「幕末維新」や「大政奉還150周年」に向けた気運の醸成を図ってまいりたいと考えています。

 そして,来年1月には,150周年のオープニングイベントとして,記念シンポジウムを開催します。大政奉還,王政復古の大号令から明治維新に関わった人々の子孫等ゆかりのある関係者,学識経験者などを交えまして,その功績や意義,未来への活かし方をお話いただきます。

 また,京都市内には,幕末維新ゆかりの史跡やミュージアム等,関連施設がたくさんございます。それらの施設に「大政奉還150周年記念」など,幕末維新をテーマとした事業を幅広く実施していただき,相互に連携を図りながら記念の年を盛り上げてまいります。

 プロジェクト参画都市との交流・連携事業としては,すでに公開しております専用ホームページにおいて,大幅に情報を追加し,プロジェクトの取組をはじめ,参画都市で実施される幕末維新関連情報を,一元的に発信してまいります。さらに,これらの情報を網羅したガイドブックの作成,参画都市の幕末維新関連ミュージアムを巡るスタンプラリーを開始するなど,様々な取組を,民間事業者の協力をいただきながら,展開していきたいと思います。

 このように文化,観光の分野を中心に都市間連携を展開してまいりますが,本プロジェクトに参画を表明されております熊本市を,先週,訪ね,大西市長ともお会いしました。

 京都市からは,6月20日時点で,職員だけで523人を現地に派遣しておりますが,京都市並びに民間も含めた支援に,感謝の気持ちを表明されておりました。同時に,息の長い取組が大事なので,引き続き,支援の要請を受けました。しっかりと連携してまいりたいと思います。

 熊本城も厳しい状況でございました。熊本城の復興にも,相当の期間が必要ですが,そうした取組の支援活動とも連携していきたいと思います。具体的には,熊本市文化財保存修復基金のPRや専用ホームページを通じた支援情報の発信を行い,参画都市にも協力を呼びかけてまいりたいと考えております。

 平成29年度には事業を本格化し,大政奉還の表明から150年を迎える 10月には,参画都市の代表者が京都で一堂に会する,文化・観光,また,伝統産業,地場産業の振興を通じたまちづくりを語り,相互に交流・連携を深めるサミットを開催いたします。

 このプロジェクトを通じて,歴史的にかかわりが深い全国の都市との連携を一層深めて,文化の力で日本を元気にしていきます。そして,今,我が国の最大の課題であります地方創生の推進に,京都市としてお役に立っていきたいと思います。

質疑応答

報告案件に関する質疑

記者

 大政奉還150周年記念プロジェクトについて,京都市がプロジェクトの中心となって進めるねらいは。

 

市長

 先日,ウクライナのポロシェンコ大統領が来られました。また,去年の秋には,科学会議のダボス会議と言ってもよいくらい発展し,第12回目の開催となったSTSフォーラム(科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム)に,フランスのヴァルス首相も来られました。このフォーラムには,毎年,ノーベル賞を受賞された方も含めて,1,000人を超える学者が京都市に集まられます。

 二条城に,ウクライナの大統領をお迎えした際,あるいは,二条城で開催されたSTSフォーラムのレセプションにおいて,二条城は,お城という名前が付いていますが,戦争とは関係がないこと,徳川家康が築城後260年の間,戦争のない国の運営が行われましたが,これは,世界史の中で例のないことなどをお話ししました。

 近代化が急がれた当時においては,大きな内戦もなく大政奉還の舞台となりました。この平和を象徴する二条城は,平和を大切にしてきた日本の歴史の象徴でもあります。

 同時に,大政奉還後の京都は,人口が33万人から20万人余りに激減するなど,非常に厳しい状況に置かれました。その時に,「まちづくりは人づくりから」,「子どもたちを立派に育てれば未来は明るい」と,町衆が立ち上がり,我が国で初めて,文部省もない時代に,64の小学校を作りました。さらに,琵琶湖疏水や日本で最初の発電所を作り,市電を走らせるなど,明治の京都の先人たちは,たくさんの日本初の取組を実現しました。「いずれ,狐や狸の住かになるのではないか」と言われた,都でなくなった京都を,今日の発展へと導きました。同じことが全国各地で行われたかと思いますが,その象徴が京都であったと思います。

 明治維新後,京都は,近代国家をけん引していく役割を果たしましたが,同時に,都でなくなった喪失感を抱えていたことも事実であります。

 今回,文化庁が京都に全面的に移転することが決まりましたが,私は,文化で地方創生し,文化で国の格を上げていく。文化で世界から尊敬される。文化で国民一人ひとりを豊かにするなど,京都が,文化の都,さらには,世界の文化首都としての役割を果たしていくことが大事であると思っています。

 大政奉還及び明治維新は歴史の中の事実であります。それを積極的に評価し,発展させていくとともに,全国の文化をけん引する役割を果たしていく契機にしたいと思っています。

 また,大政奉還の翌年の慶長4年が廃藩置県でありますので,全国の県庁等が,開庁150年の事業をされることになります。それらに,京都市をはじめ基礎自治体がしっかりとリードしてつないでいくことにも意義があると考えています。

 

記者

 プロジェクトの目玉になる取組は,来年10月に開催されるサミットということか。

 

市長

 来年1月のプレ事業に,各都市に参加いただき,キックオフしていくことで,全国的な盛り上がりにつなげる。そのことが一番大事であると思います。取組の頂点を,来年10月とします。

 この間,本市が取り組みました源氏物語千年紀,昨年の琳派400年も想定以上に盛り上がりました。今年の伊藤若冲生誕300年も今盛り上がろうとしています。こうしたことも検証しながら取り組んでいきたいと思います。

 もう一つが,会津若松市に御参加いただくことになりました。戊辰戦争の時のいろいろな軋轢など150年前の様々なことがある訳ですが,未来志向で全国の都市と交流を深めて,発展していきたいと思います。

 さらに,会津若松市は,まだ,東日本大震災に係る風評被害等に悩んでおられるところであります。熊本市の地震の支援,あるいは,会津若松市の支援など,様々なテーマを重ねながら,取り組んでまいりたいと思います。いろんな切り口を作りながら盛り上がっていくということだと思います。

 

   

記者

 戊辰戦争における複雑な心境について,京都市として水に流す場を設けていきたいということか。

 

市長

 幕末において,あれだけ対立していた当時の国内状況を,見事に一致点を見出して,大政奉還につなげられた先人の志を,この場で,お互いに学び合ったときに未来がより一層拓けるものと感じております。

 場づくりにはお役に立ちたいと思っています。

 

 

記者

 サミットを開催する場所は。

 

市長

 できれば,二条城で行いたいと考えております。そこでやることに意義があると考えています。

 

記者

 熊本市への支援について,本プロジェクトへの熊本市の参画を受けて決めたことか。

 

市長

 こちらの方から大西市長や担当課と連携を取りながら,いろいろと話し合った結果,非常に厳しい状況にありますが,逆に復興の過程をどんどんと発信していくことで,今激減している観光客を呼び戻し,そして,復興資金の確保にもつなげていくといった前向きな姿勢で取り組んでいきたいということで,二条城での様々な行事にも参画したいとのお言葉をいただいています。

 熊本城は,西南戦争で失われた史跡を長年かけて復興されてこられたのですが,技術的な面では二条城が非常に参考になったと言われています。例えば,二条城の重要文化財の襖絵は,1,016枚を復元・模写していますが,そのために京都市立芸術大学の大学院に模写の専門家を育てるコースを作り,専門家を育ててまいりました。この取組が,熊本城の復興にも大きな役割を果たしてきている。復興のための資金は,国のお金と国民的な寄付が中心になりますが,技術的な面においてバックボーンになるなど,我々にできることはたくさんあると思います。同時に,京都の二条城だけでなく,日本中のお城に連携を呼びかけていくことも考えていきたいと思っています。

 

記者

 資料にある「基金のPR」というのはお金を集めることに協力するということか。

 

市長

 そうです。既に二条城で,熊本城が発行されている冊子の販売なども行っており,喜んでいただいております。改めて熊本城を回らせていただいて,非常に厳しい状況ではありますけれども,立派なお城だということを実感しました。大政奉還150周年の取組を通じて,熊本への支援をアピールする場にもなっていけばよいなと思っています。

 

報告案件以外に関する質疑

(リニア中央新幹線について)

記者

 リニア中央新幹線について,大阪延伸を最大8年間前倒しすると正式に発表されたが,改めて市長の考えは。また,京都を通るのは難しいとの関係者の発言があったようだが,それに向けてどのような対応を行うか。

 

市長

 私どもはオール京都で3点の要望を国にしておりました。1点は大阪までの同時開業を目指すということ。18年遅れるということは取り返しのつかないことになります。もう1点は,全国新幹線鉄道整備法に基づく経済効果等を検証し,適切なルートを再検証するべきであるということ。私たちの検証では京都駅コースが最も経済効果があります。そして3点目は関西国際空港への延伸,この3点であります。

 そのうちの一つであります最大8年間短縮するという大きな方針が示されたことは大前進だと考えております。しかし,それでも関西への開業が遅れるということは,東京一極集中を加速することになりかねませんので,これを大きな前進として,評価するとともに,もっと限りなく同時開業へ近付けていただくことを要請してまいりたいと思っています。

 コースにつきまして,引き続き京都駅コースを求めていきます。この間一貫して私どもは要望し,JR東海さんは可能性がないということを言われていますが,要望し続けていきたいと思っています。

 関西国際空港への延伸については,この間北陸新幹線のことが大きくクローズアップされてきました。実はこのリニアのコースも北陸新幹線のコースも昭和48年の同じ時に決まっており,共通しているのはその時点ではどちらも京都駅コースはなかったということです。決まっていたのは,北陸新幹線は小浜から大阪までのどこかで止まるということだけであります。リニア新幹線は,昭和48年時点ではリニア構想がありませんでしたので,御存じのとおり,第二東海道新幹線という,東海道新幹線の老朽化や危機管理のための代替の新幹線としてコースが決められたものであります。その当時は,全国の人口20万人,30万人の都市にはすべて新幹線を通していこうということで,山陰新幹線や四国新幹線等の構想と同じ時に決められたもので,時速500キロで走るリニアはまったく想定されていませんでした。

 そういうことで京都駅コースはなかった訳ですが,現在,北陸新幹線は3つの案が出てきました。どの案も京都駅を通ることが大前提で,そうしなければ経済効果が少ないということも検証されてのことであります。したがって私どもは,リニアについてもそのことをしっかりと検証していただきたいと考えています。これは道理に基づいた,日本の未来を考えたうえでの要望であります。

 関空までの延伸については,リニアより北陸新幹線でつなぐ方が,実現性が高いのではないかという識者の意見もございますので,そうしたことに収斂していくのも大事であると思っています。

 

(18歳選挙年齢の引き下げについて)

記者

 今週行われる参議院選挙の公示を受けて,市長として望んでいることは何か。また,改正公職選挙法の施行に伴う,18歳選挙年齢の引き下げについての市長の考えは。

 

市長

 我が国の未来にとって非常に大事な参議院選挙であります。大いに国民的な関心が高まり,国民の英知を集めた選択を願うばかりであります。また,18歳以上が有権者になりますが,これは世界的には,ほぼ常識のことであります。若い人に政治への関心をどんどん深めてもらい,投票率を高めていくことが大事だと思います。

 選挙管理委員会においても様々な取組を行っています。様々な課題はありますが,龍谷大学からの申し出によりまして,伏見の方に限りますけれども,大学での2日間の期日前投票の試行実施を実現していただきます。そういうことを通じて選挙への関心を高めていただきたいと思います。今までの先行事例では,大学での投票所開設により,大学生の投票率が高まったかというと,そうではない場合もありますが,できることをまずやってみるということに意義があるのではないかと思います。

 基本的には,学校教育,生涯学習において,あらゆる啓発を通じて,選挙への関心や主権者教育を深めていくことが王道だと思います。そうした取組をしっかり進めたいと思っています。

 

(参議院議員通常選挙について)

記者

 市長御自身,今度の参議院選挙のどのような点に注目するか。また,何が争点になると考えるか。

 

市長

 私が最大の争点にして欲しいと思いますのは地方創生であります。そして文化を通じて日本の,地方のあらゆる強みを活かして経済を活性化し,安定した雇用を作り出すということです。消費税は延期になりましたけれども,福祉や教育,子育て支援をしっかりと充実させていくことが大切です。参議院選挙だけではないですが,こうしたことが我が国の今の大きな課題ではないかなと思っています。

 

(高浜原発1,2号機について)

記者

 高浜原発1,2号機の運転延長認可について,市長のお考えは。

 

市長

 京都市会において,可能な限り早く,原発に依存しない社会をつくっていくために,市民ぐるみで省エネ,創エネ,イノベーションを推進していくと決議されており,私も同じ思いであります。

 止むを得ず原発を再稼働する場合には,再稼働の必要性と安全性をしっかりと国が説明し,避難計画を万全にしなければならないということを一貫して主張してきています。今後もそうした考えのもとに取組を進めてまいります。

 

記者

 1,2号機は建設されてから相当年数が経過しているが市長の見解は。

 

市長

 国の機関において十分な検証を行い,世界最高水準と謳われる規制基準が守られた上で,説明責任が果たされなければなりません。個々の見解については,専門家ではありませんので,判断する立場にはないと思います。

 

記者

 今年の関西電力の株主総会において,高浜原発1,2号機に関連した提案は行うのか。

 

市長

 個別に提案するつもりはありません。福島原発の事故の教訓を風化させないということで,毎年株主総会に提案し,ぶれずに同じことを主張し続けてきました。スマートメーターの導入や配電の分社化など,当初は提案すること自体が国民的合意を得ていないものもありましたが,現在これらについては大きく前進しております。したがいまして,今後もぶれずに主張していくということが大事だと思います。

 

記者

 リニア新幹線の誘致について,京都府は,京都を通るコースとして,必ずしも京都駅を通るコースは主張しておらず,奈良市付近のけいはんな学研都市を通るコース案も出ている。そのような状況でも,京都駅への誘致を引き続き行っていくのか。

 

市長

 京都府も参画する京都府リニア中央新幹線推進協議会において,京都駅コースで誘致することを合意しています。したがって,推進協議会の一員である京都市においても,京都駅コースを主張し続けることに変わりはありません。

 一方で,北陸新幹線のコースを決める際には,将来的に最も有効なコースに決めることが重要であります。大阪・京都間を東海道新幹線と同じコースで通るということは,危機管理上も良くないということで,学研都市を通るコースが望ましいとの意見も出ております。

 

記者

 これまで一貫して京都駅コースを主張されているが,京都駅コースの実現が厳しい状況にある。京都駅誘致のために予算をかけているが,結果が出ない場合の責任はどうお考えか。

 

市長

 経済効果も含めて京都駅コースが必要であると主張し続けてきました。

 また,シンポジウムなどにおいても議論し,京都が果たすべき役割の大きさ,先人の努力を再認識しました。昭和34年に東海道新幹線が着工された時,京都駅はございませんでした。着工後,京都市が中心となり,市民ぐるみで新幹線の誘致運動が展開され,京都駅ができることになりました。

 「昭和48年の価値観で決めてはならない。」これが私たちの主張であり,京都駅コースが正しい選択であるという主張は続けていきます。

 基幹駅である京都駅につながることによって,北陸線,山陰線,湖西線,近鉄など全国の鉄道とつながることが大事であると思っております。

 

(文化庁移転について)

記者

 文化庁移転の試験運用について,どういった点を検証する必要があるのか。また,京都市としてアピールしたいことは何か。

 

市長

 試験運用の主たる施設の一つとして,私どもが提案する,文化庁の分室が設置されている京都芸術センターを採用していただくことになりました。非常にありがたいことだと思います。馳大臣や文化庁関係者の御尽力に敬意を表します。

 文化庁の京都移転を契機に国に対して3点要望をしています。

 1点目は,取組の先行実施であります。地方創生は待ったなしであります。「式年遷宮で畳を変えなくてはならないが,熊本の井草が危機的な状況である。中国製の畳にはしたくないが将来どうなるかわからない。」との話を以前お聞きしました。京都に伝わる文化は,全国の地場産業に支えていただいています。文化で地方を元気にしていくために京都がお役に立ちたいと思います。文化庁の京都移転に先行したソフト面の取組の実施を訴えてまいります。

 2点目は,文化庁のサテライト機能を京都全体に持たせることであります。文化庁のサテライト機能を持った二条城や寺社,芸術大学などに,芸術家や学生,国内外の人々が集まり,文化を語り,創造される。そして,その場に文化庁の職員が入り,そうした流れを文化行政に活かしていくことが大事だと思います。

 3点目は,文化庁の機能強化であります。祇園祭の時期にお越しいただきますので,是非祇園祭を見ていただき,併せて,京都のまち並みや自然,食文化を感じていただきたいと思っています。

 これらは,現在の文化庁の仕事でないものも含まれております。まちの佇まいや景観は国土交通省,食文化は農水省,被服は経済産業省であります。日本の文化は,衣食住や地域,自然が大事にされています。文化庁の機能を拡充し,文化庁が文化行政の中核を担い,各省庁にも影響を与える。そうしたことを実現していただきたいと考えております。

 引き続き,様々な提案をしながら,京都府,経済界と共に最大限の努力を行ってまいります。

 

 

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