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共同記者会見(2012年12月25日)

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2023年4月12日

龍谷大学深草町家キャンパス保存建築物登録証書交付式について(2012年12月25日)

市長挨拶

 まず初めに,小西様に対し,幕末の1861年に建てられた貴重な建物を代々にわたって今日までお守りいただいたことに敬意を表したいと思います。また,京町家等の保存・活用を図るために平成24年4月に施行しました,京都ならではの「京都市伝統的な保存建築物の保存及び活用に関する条例」の保存建築物登録の第一号を受けていただいたことにもお礼を申し上げます。

 そして「大学のまち京都」の象徴的な存在でもあります,龍谷大学が,この町家を学生さん達が研究する施設として活用されることになりました。創立から今日まで370年にわたり,講義が途絶えたことのない,世界に稀有な伝統を誇る龍谷大学ならではの御英断に感謝し,うれしく思っています。

 また,京都市景観・まちづくりセンターの三村理事長をはじめ,関係者の皆様が町家を保存するために御尽力いただきましたことに対し,お礼を申し上げます。

 さて,昭和25年11月23日に建築基準法が施行されて以降,伝統的な木造建築物の構法や意匠を用いることが難しくなり,日本の伝統的な木造建築物を継承することが非常に困難な状況となっておりました。

 そのため,京都市ではこれまで都市計画局を中心に,様々な専門家,大学の先生や研究者と一緒に国に対して色んな働きかけを行い,少しずつ扉が開いてきました。そして平成24年4月に,京都市が建築基準法の適用除外という,新たな制度を全国で初めて創設し,この度その第一号が登録されました。

 京都を特徴付けている京町家の保存・活用ができなければ京都のまちが京都でなくなる,そんな危機感の下,取り組んでまいりました。今回もこの条例がなければ,例えば軒庇(のきびさし)を撤去しなければならない,木製の窓枠は全部外して鉄かアルミ製の防火サッシにしなければならない,等といったことが求められ,伝統的な京町家の意匠が保てなくなります。一方で条例を適用し,建築基準法の適用が外れたとしても安心安全には万全を期さなければなりません。そのために新しい京都独自の基準によって,伝統を活かしながら,耐震も防火もしっかりとできる,そういう制度を作りました。

 この制度を活用した小西様の町家がいつまでも保存・活用され,同時に龍谷大学の学びの場として大学の機能が充実すること,そして素晴らしい深草地域の景観が守られ,発展していくことを祈念いたしております。最後に,この度の小西様,龍谷大学をはじめ,皆様の御尽力に敬意を表して,お礼とお祝いの言葉に代えさせていただきます。ありがとうございました。

赤松学長挨拶

 この度は,龍谷大学深草学舎に程近い京町家が京都市伝統的な木造建築物の保存及び活用に関する条例の適用第1号として全国で初めて登録証を交付されますことを大変うれしく,ありがたく思っております。また,大学がこの京町家を深草町家キャンパスとして2013年4月に開設することについて,お披露目の機会をいただいたことも大変嬉しく思っております。この龍谷大学深草町家キャンパスの開設にあたり,所有者の小西様の格別なる御厚意を賜りました。また,門川市長をはじめとして伏見区役所深草支所の皆様方,京都市景観・まちづくりセンターの皆様方には御支援を賜りまして本日を迎えられましたことに御礼申し上げます。

 龍谷大学にとって2012年度はちょうど第5次長期計画の3年目にあたっており,大学の諸施策を順次実施しております。すでに2015年の4月に国際文化学部をこの大学のまち,学生のまち京都に移転することが決定しており,またその後には滋賀県大津市の瀬田学舎に農学部を開設することとなっており,現在準備に入っております。私達の大学が国際文化学部の移転を通して国際都市である京都市へ様々な貢献ができるのではないかと考え,尽力したいと思っております。

 また,2012年の9月に,大学のロゴマークと新たなスローガンを発表いたしました。ロゴマークは2つのアルファベットを重ねたつくりになっており,ひとつは龍谷のryuの小文字の「r」で,学生の伸びやかでしなやかな成長を示し,鮮やかな赤色もそれを意味しております。同時にuniversityの「U」で,大学の総合的な教育力をもって学生の成長を支援していくことを意図してロゴマークを発表しました。さらに,You,Unlimitedというスローガンを発表し,学生一人ひとりの無限な成長を追究してもらって学生の将来,未来を切り拓こうとする行動力を期待したいと思っております。

 大学は言うまでもなく,教育,研究,社会貢献という3つの大きな柱を中心に展開していますが,この深草町家キャンパスは大学と地域との連携の中で社会貢献をしてまいりたいという強い思いを持って,この度開設する運びとなりました。

 この深草町家キャンパスではおよそ3つの活用の仕方を検討しております。1つは,学生と教員と地域の皆様方の協働の活動,あるいは交流を積極的に展開したいと考えています。地域の皆様方に町家を御利用いただき講演会,文化祭等の催しを開催していただいたり,新たなまちづくりの拠点としても活用していただきたいと思っております。また,国際文化学部が深草に移転しますので,留学生との交流による異文化交流の場や外国語の語学教室等にも活用していただけるのではないかと思います。2点目は学部や大学院のゼミ,成果の発表,卒業論文等のパネルの展示会場としての活用が行えるのではないかと思っております。さらに3点目としては課外活動関係の施設として,サークル活動における練習,稽古場,発表会,展覧会等の活用も見込めるのではないかと考えております。

 2012年の6月には文部科学省が大学改革実行プランを発表しております。激しく変化する社会における大学機能の再構築という柱の下で地域再生の核となる大学づくり,通称COC(center of community)と言っておりますが,この度の深草町家キャンパスはそういった文部科学省の大学改革実行プランの方向性にも連結しているもので,本学としても先行的に取り組みたいと考えております。

 先ほど門川市長から御紹介いただきましたように,本学も1639年に本願寺の境内で学寮と して発足してから今年が373年目で,来年が374年目を迎えます。京都のまちと共に歩んできた大学として,この度の深草町家キャンパスという新たなキャンパスが地域,そして広くは京都市とともに私達共々発展していけるような取組を展開していきたいと考えておりますので,今後とも様々な形で御支援,御指導賜りますようにお願い申し上げて御挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。

所有者挨拶

 現在,この町家の所有者は親ですが,私が代理としてこれまで龍谷大学や京都市との協議を行ってまいりました。

 この町家は棟札から,江戸の終わりの文久元年の建築で,151年経っていることが分かっております。戦後は借家として最近まで貸しておりましたが,非常に老朽化が進んでおり,解体して駐車場にと思ったこともありましたが,できれば後世に残していきたいという漠然とした思いがございました。このような状況の中で,京都市景観・まちづくりセンターの三村先生から龍谷大学に橋渡しをしていただき,センターの職員の皆様にも親身に相談に乗っていただきました。こうした皆様の町家を残したいという熱意を感じ,私の方も残していかないといけないのでは,と考えるようになりました。今後の活用につきましては,龍谷大学の持っているノウハウを活かしていただいて,地域の活性化につながればと思っておりますし,我が家も江戸時代から深草の人々にお世話になってきましたので,改修された町家を使って地域の方々に少しでもお返しができればと思っています。

 本日は建築基準法の適用除外条例の名誉ある第一号の登録証書をいただくわけでございます。この登録をいただくまでに,門川市長にも何度かお越しいただき見ていただきましたし,登録にあたっては建築指導課の皆さんには親切かつ適切に指導をいただいたと思います。また,景観重要建造物の指定に御尽力をいただいた景観政策課の皆さん,それと,京都市民が京都の財産として残したい“京都を彩る建物や庭園”として選定をいただいた文化財保護課の皆さん,日常的に多くの御協力をいただきました伏見区の深草支所の区長さんをはじめ,まちづくり担当の方々には非常にお世話になってまいりました。そして,龍谷大学の赤松学長をはじめ,役員の皆さん,今までお忙しい中,直接交渉の窓口となっていただきました重本経営学部長さん,石田政策学部研究科長さん,政策学部の教務課の皆さんには大変お世話になりました。皆さんの御協力によりまして,今日という日を迎えることが出来ました。

 最終完成までには今しばらく時間が必要でございますが,今後ともよろしく御指導,御協力をお願いして挨拶に代えたいと思います。ありがとうございました。

質疑応答(記者会見)

記者

 建築基準法が適用除外されるということだが,どういった点が適用除外されるのか?

市長

 もし,この条例がなく,建築基準法が適用されれば,道路上に突出している庇を撤去しなければならない,木製の戸等をアルミ等の防火サッシに替えなければならない,また,補修の仕方についても,旧来の伝統的な工法でなく現在の建築基準法に基づく全然違う工法で行わなければならない,などといった点で伝統的な建築物としての価値を維持できないという問題があります。

 今回は,建築基準法の適用を除外する代わりにハード面,ソフト面の両方で安全面等をカバーし,加えて5年に一度,管理状況を報告していただくこととしています。

記者

 地域に根差した交流の拠点となるキャンパスとしたいということだが,それを現代的な建築物でなくあえて町家を選んだ狙いはどういうところにあるのか?

学長

 深草の地域には歴史的な歩みがあり,本町通には古くからの伝統的な建物があります。

 大学としても歴史的な木造建造物である町家の構造や,設計,景観といったものを肌で感じ,体感しながら活用できますので学生自身深く,広いものが得られるのではと期待しております。

記者

 龍谷大学は大津でも同じような町家キャンパスを展開しているようだが,今回の深草町家キャンパスとの違いは?

学長

 大津の町家では,社会学部が単独で「大津エンパワねっと」という学生のパワーを活かした地域の再生を目的とした地域連携型の新しい大学教育を展開しています。ただ,その町家は,今回のような景観重要建造物ではありません。また,この度の深草町家キャンパスでは,全学的かつより総合的に町家を活用するということで,規模においても取組の内容においても格段の違いがあります。

記者

 今までこの町家はどのように使用されてきたのか?

所有者

 終戦直前から近所の方にお貸ししており,平成22年までお茶関係の商売をされていました。

記者

 総事業費の負担者と内訳は?

所有者

 京町家まちづくりファンドからの助成はいただくことになっていますが,基本的には私が負担します。

市長

 深草に国際文化学部が移転してきて,国際化と伝統とが融合してよろしいですね。

学長

 学生のサークルがたくさんありますので,町家を活用したサークル活動の新たな拠点ができますし,門川市長がおっしゃったように留学生がたくさんいますので,留学生が町家を活用して地域の皆様方,地域の小学生,中学生との交流もさせていただけます。また,すでに小学生でも英語の授業が必須になっていることもあり,町家を留学生との出会いの場として活用させていただけます。大学として,小学生,中学生を支援する環境を作ることができると思っています。

共同記者会見資料(平成24年12月25日)

全国初建築基準法適用除外条例「京都市伝統的な木造建築物の保存及び活用に関する条例」適用第1号が交付され,2013年4月,龍谷大学が「深草町家キャンパス」として開設します

都市計画局(建築指導部建築指導課 電話075-222-3620)

龍谷大学(政策学部教務課 電話075-645-2285)

 京都市では,景観的,文化的に価値づけられた伝統的な木造建築物を良好な状態で保存し,活用しながら次世代に継承できるよう,建築基準法の適用除外規定を活用した全国初の条例である「京都市伝統的な木造建築物の保存及び活用に関する条例」を制定し,平成24年4月1日に施行しました。このたび,龍谷大学が2013年4月に開設する京町家「深草町家キャンパス」を本条例の適用第1号として保存建築物に登録しました。

 龍谷大学(京都市伏見区)は,この京町家を「深草町家キャンパス」として開設し,砂川学区自治連合会,深草学区自治連合会,深草商店街振興組合などと連携しながら,地域交流・協働事業や教育・研究関連事業を展開します。これらの事業は,文部科学省が発表した「大学改革実行プラン」(2012年6月)にある「地域再生の核となる大学づくり(COC[Center of Community])構想の推進」に沿ったもので,本学が先行的に実施する取組となります。また,2015年4月の国際文化学部の深草キャンパス移転に伴い,深草は,多文化共生キャンパスの拠点となりますが,今回の町家もその一環として,国際交流・国際化を展開する施設となります。

 なお,保存建築物の概要や「深草町家キャンパス」の利活用に関する詳細は別紙のとおりです。

お問い合わせ先

京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

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