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門川市長記者会見(2012年5月9日)

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2023年4月12日

未来へ引き継ぐ越畑「棚田の里」

 右京区嵯峨越畑地域において,愛宕山麓の美しい棚田景観を生かした農道や水路などの整備によりまして,来訪者の増加をはじめとする総合的な地域活性化策に取り組んでまいりました。未来に向けまして,しっかりと棚田を保全する。そして地域に根ざした農業が営まれる。こうした礎を築くことができましたので,お知らせさせていただきます。
 宕陰学区の越畑地域は,お隣の「鎧田(よろいだ)」で知られる樒原(しきみがはら)地域とともに「にほんの里100選」に選ばれた,非常にすばらしい棚田が生き生きと残っている場所であります。甲子園球場の約7倍に当たる29ヘクタールの棚田が広がる美しい景観に恵まれた京都の奥座敷であり,平成12年開設の都市農村交流施設「まつばら」の手打ちそばなどが非常に人気を呼びまして,毎年2万人の方にお越しいただける全国有数の「棚田の里」でございます。日本の平均的な棚田の面積,規模というのは14ヘクタールぐらいと言われており,その倍ということで随分規模の大きな棚田であります。
 しかし,農道は狭くて湾曲し,水路の老朽化が激しい状態にありました。また,農家の高齢化・後継者不足により,このまま放置すれば,耕作放棄地が生じまして,美しい景観を損なうだけでなしに,地域社会の存続にすら危機感を持っておりました。
 そこで,京都市では,地域の皆さんと一緒に,棚田の景観を守りながら豊かな自然環境を生かした観光農村として一層の充実を図っていこうということで,農道や水路など24ヘクタールに及びます基盤整備を行い,「まつばら」を改装し,そこで提供する新規メニューの開発など,総合的な地域活性化策を平成21年度から進めてまいりました。
 京都府の支援もいただきましたが,とりわけ事業を進めるに当たりましては,農家をはじめとした地域住民の方々で構成された「越畑村づくり委員会」の皆様と共に,1枚1枚の田んぼの形は変えないということを原則にしまして,農作業の効率化を図る,生産性を向上させる方策などについて繰り返し繰り返し丁寧に検討を行ってきました。
 具体的な取組としましては,軽トラックが通るのがやっと,しかも雨が降れば通行困難,こうした農道を自然を生かした形で全長約5.4キロメートルにわたって拡幅整備し,大型の農業機械や車が通りやすく,あるいは田んぼへの行き来や農作業がしやすくなりました。また,漏水が激しかった水路についても,全長約6.5キロメートルを整備し,棚田の隅々まで水が行き渡るようにしました。
 また,越畑地域の水源ですが,これは右京区京北の細野町から水路トンネルで取ってきているわけですけれど,これも非常に老朽化していましたので,これを改修して,安定した農業用水の確保に成功しました。
 さらに,地域の皆さんと共に汗する共汗によりまして,高低差が60メートルある棚田の農道脇に彼岸花を植栽して四季の移ろいを感じられるような工夫をいたしました。また,昔クワガタムシがたくさんいて探して遊んだという,地元の方々の思い出から,田んぼの随所に棲みかとなるクヌギを植栽しました。
 そして,観光農村づくりの拠点となります「まつばら」を改修し,来訪者の快適性を向上させる。新たに手づくりの「ゆず菓子」や「田楽みそ」を地域の皆さんと一緒に開発いたしまして,そして販売すると,こうした取組の実現に至りました。美しい里,棚田が非常に評価が高いわけです。しかし意外と認知度が低い。あまり京都の方,御存知でない。逆に大阪からたくさん来られるということもあるんですけれども,より積極的にということでリーフレットも作成いたしました。
 この地域活性化事業は,この度3箇年をかけて約3億2千万円の事業費により完了いたしました。お米,蕎麦,菊菜,切花,おみなえし,特にほおずきが特産として有名であります。今後は,こうした特産品の生産量の確保,あるいは品質の向上に取り組むとともに,「まつばら」の新規メニューの開発,さらに棚田風景が人気を呼んで,多くの方にお越しいただくことを期待しています。
 越畑・樒原の地域は,まさに今が田植えの時期であります。ぜひ早苗が水面に映える棚田風景を満喫してほしいなと思います。越畑の棚田も美しいですし,隣の樒原は,鎧の形に似ていることから鎧田という風に言われています。私も何度か寄せてもらいましたが,京都の近郊にこれだけの所があるのかと感動いたしました。よろしくお願いしたいと思います。私からは以上でございます。

質疑応答(要旨)

<報告案件に関する質疑>

(具体的な支援策について)

記者

 一点目は,他の地域からの移住も含めて,越畑で耕作をやりたいという人を誘致する活動をされているのか。二点目は,交通の便が悪いが,支援策を考えているのか。三点目は,今後,他の地域において越畑と同じような施策をとるお考えはあるのか。

市長

 まず,越畑地域の方々の,「ふるさとを守ろう。」「地域の農業を頑張って継続していこう。」という機運が盛り上がった結果,この事業が実現しました。現在,高齢化が進んでいますが,30代の方2名が若手の中心となって,50代,60代,70代の方と共に頑張っておられます。まずは自分達で全力を挙げて頑張っていこうという機運が盛り上がっています。この地域の宕陰小中学校についても,小学生8名,中学生5名が在籍しています。学校を維持して守っていこうという地域の願いにこたえて,しっかりとバックアップしていきたいと思っています。また隣の地域でも,養護老人ホームが水尾から移転しており,地域の活力の一つになっていると思っています。観光や福祉も含めた総合的な地域の活力向上に取り組んでまいりたいと思っています。
 また,大原地域では,「里の駅 大原」が非常に人気を呼び,活性化しております。さらに,京北では,「花降る里けいほく」プロジェクトとして,栗尾トンネルが完成したあかつきには,トンネルを越えれば「花降る里」だったという取組をしていこう,あるいは,「大豆の里」,「黒豆の里」にしていこうという地元の熱意が盛り上がってきました。こうした地域の熱意に応える予算措置をさせていただきました。
 そしてそのためには,まず地域の方々が自分達で頑張ろうという機運が大事だと思っています。そうした機運にきっちりと行政がこたえていく。今回の取組も,行政だけでは絶対にできませんでした。地元の負担もありました。自分達も一所懸命頑張ろう。同時に,地元だけではできないので,行政の支援もお願いしたいということでやってきています。そうした地域の盛り上がりを後押しする,あるいは盛り上がる機運をつくっていくというような取組を,今後は進めていきたいと思っています。

(鳥獣被害対策について)

記者

 越畑地域では,鳥獣被害等はあるのか。

市長

 あります。鳥獣被害は京都だけでなく日本中の問題ですので,越畑地域でも,鹿や猪の被害があります。あまり猿による被害は出ていないようです。

記者

 基盤整備に当たり,鳥獣被害対策はしているのか。

市長

 近隣の大枝地域では,米と柿を作っていますので,猿が来るそうですが,越畑地域では,鳥獣被害が焦点になっておりません。ただし,鹿や猪等による被害は京都全体の問題です。

(基盤整備による効果について)

記者

 基盤整備により,後継者不足の抜本的な解消に繋がるのか。都市農村交流施設「まつばら」には年間2万人が訪れるということだが,活性化策により将来的にどのくらいの効果を見込んでいるのか。

市長

 今回は,地元と一緒に取り組んでおり,地元が数値目標を掲げてやるという形をとられていません。それよりも,良いものにこだわって作り続けよう。じっくりと取り組もうとされています。したがって,地元の意向を尊重しながら,京都市が広報などで協力して,せっかくですので,倍ぐらいまで増えてほしいと思っています。
 何かに特化して,数値目標を立てて取り組むより,それぞれの農家が持ち味を生かして,得意なものでやっていく。特産の「ほおずき」を作られているのは,4件か5件の農家のみです。何かに特化するではなく,色々なことを多彩に展開していこうという地域の思いは良いのではないかと思っています。

(他の地域での事例について)

記者

 農村の基盤整備事業は,他の市内の地域でも実施しているのか。

市長

 京北で基盤整備の事例がございます。ただし,大きな基盤整備はほぼ終わりました。したがって,観光の視点で,お手洗いを整備するような段階になってきているということです。

記者

 今回の事業は,どのような点において初めての事例になるのか。

市長

 一つ一つの田んぼの形を変えないで,大型耕作機も通るように整備しようという事業は,京都では初めてだと思います。あまり過去に例がございません。棚田は,耕作機械が入らず手作業が必要になる点が最大の欠点で,どんどんつぶれて耕作放棄地になっていく。今回の基盤整備により,昔はお年寄りが手作業で守ってきた棚田に,大きな耕作機械が入ることができるようになりました。

(交通アクセス等の対策について)

記者

 道路の狭さや駐車場の確保など,訪問者が増加した場合の受入面での課題についてどのようにお考えか。

市長

 水尾までの道路整備等は年次計画で進めていますけれども,率直に申しまして,交通アクセスは悪いです。アクセスが悪いがゆえに,棚田や素晴らしい自然が残されてきました。ですから,巨額の経費をかけて道路を良くするという考えはありません。駐車場をたくさんつくるということではなく,このまちの良さを生かしながら,景観を守り,地域の方々が,持続的に農業を守っていただけることが重要だと思います。
 なお,水尾からですと,嵯峨から出発して山手へ上る曲がりくねった道ですが,八木から良い道がありますので,それほど心配されることはありません。

記者

 越畑地域では,農業に興味のある方に地域を開放されているのか。

市長

 自分達で農業をやっていこうとされています。ですから,現在,耕作放棄地はありません。みんなでお金も出しながら,自分達の農地を守るために頑張っていこうとされています。

<その他の質疑>

(節電対策について)

記者

 今週行われた政府の需給検証委員会で示された,関西電力管内の需給見通しによると,電力の供給不足率は16.3%から14.9%へ減少している。これについて,市長はどのように感じておられるか。

市長

 関西広域連合の会議で,関西電力の副社長が説明されていましたが,国民の節電努力に対する評価を厳しく見積もりすぎであって,努力をすれば供給不足率は下がるのではないかと期待していました。いずれにしても,厳しい状況に陥ることは間違いありませんし,また一方で,猛暑になるかどうかも分かりません。19日に関西広域連合の会議が開催されますが,京都市として,市役所が率先して何をするのかを考えると同時に,市民の皆さんや業者の皆さんに対して,節電を一層訴えていかなければならないと思っています。京都市役所は,事務系部門で昨年夏に17%,今年の冬は11%の節電に成功しました。そうした実績をしっかりと踏まえながら節電対策に取り組んでいきたいと思っています。

記者

 関西電力からの節電要請をどの程度と想定して,どのような取組を行うのか。

市長

 去年実施した節電対策を点検しておりますので,それにどれだけの節電を上乗せできるかということが大事であります。昨年の夏は我が家で21%の節電ができましたが,ずいぶん我慢をしたという感がします。我慢も大事ですが,ポジティブに節電することを全庁的に検討しています。
 例えば,7月,8月に,京都市美術館の展覧会に親子で行ってもらおうと,割引や無料の措置ができないか,あるいは,児童館,歴史資料館などクーラーが効いた所に,親子や家におられる方に行っていただけないか。そうした京都のまちや文化を知る機会,あるいは親子で触れ合える新たな機会を作ることによって,結果として大きな節電につながることを目指したプロジェクトを立ち上げるための前段階の調査を現在行っており,民間にも協力要請したいと思っています。

(節電による企業活動への影響について)

記者

 関西において,電力使用制限令が出された場合,京都市内の企業にどのような影響があるとお考えか。

市長

 市民ぐるみ,企業ぐるみで取り組み,法律による計画停電のようなものは回避できるよう,まず,あらゆる努力をすることが大事ではないかと思っています。京都の場合,大きな電力を使う産業というのは比較的に少ないわけですので,地元の企業や商店,家庭において,より一層の節電に取り組んでいただきたいと思っています。

(島津製作所の高さ規制緩和について)

記者

 島津製作所の工場について,高さ制限の一部緩和を計画しているが,何故このような例外を考えているのか。また,今後さらに緩和を拡大していくのか。

市長

 5年目を迎える新景観政策ですが,市民の皆さんから高い評価を受けております。また全国,世界でも大きな評価を受けています。ベトナムのフエ市で開催された世界歴史都市会議でも,新景観政策について説明した際に,途中で拍手が起きたり,終わってから質問攻めに遭うなど高い評価を受けています。三山を含めた山紫水明の自然,あるいは1200年を超える歴史的な都市景観,これをしっかりと守っていくことが大事であります。この新景観政策は,制度ができたときから地区計画を制度の中に位置づけております。京都の景観をしっかりと守ると同時に,住環境,ものづくり都市,あるいは自然環境をしっかりと調和させていく。そのような趣旨で,地区計画を積極的に活用するということはマニフェストにも掲げています。
 この度,島津製作所の道路に囲まれた街区を,緑豊かな,より素晴らしい地域にしていく,また同時に,ものづくりの拠点としての機能も向上させていこうという計画が提出されました。これをしっかりと市民の皆さんに説明し,市議会に理解を願い,景観とまちの活性化が両立する取組により努力して参りたいと思っています。

記者

 今後は,今回のような例外をさらに増やしていくのか。

市長

 京都市全体の景観を守ると同時に,住環境や医療,研究やものづくりなどの機能を高めるために,この新景観政策の中に地区計画という制度があるわけです。マニフェストでお示ししたとおり,地区計画を積極的に生かしていこうと考えています。地域の方々から地区計画を活用しようという御提案があれば,新景観政策の趣旨に合っているか,きっちり点検し,一つ一つ丁寧に対応していく。つまり,申請が出てきたら,その都度丁寧に説明を聞き,また市民の皆様にも説明し,生かしていくということであります。ですから,特別な例外ではありません。

(洛西地域における水道管破裂事故に係る損害賠償について)

記者

 水道料金の体系見直しの検討が行われているが,今回の事故に係る損害賠償に伴い,水道料金を値上げするのか。

市長

 まずは,洛西地域の水道管が,酸性土により破損し,大阪ガスの配管に影響を与え,市民の皆さんに大変な御迷惑をお掛けしたことを改めてお詫び申し上げます。洛西地域の腐食対策については,今年10億円,来年30億円,計40億円の費用をかけ,2箇年で布設替えを実施して参ります。同時に,大阪ガスの賠償金については,きちっとお支払いしなければなりません。現在,上下水道局で,計画を上回る事業の効率化,経営改革によって,一般会計からの補助や利用者の負担増につながらないよう頑張っておりますし,私もその方針です。
 この事故が起こる前から,京都市の水道事業はピーク時の売上から約50億円,15%減っております。また,老朽化した水道管の更新率は,現在1年に0.5%であり,今後200年を掛けないと全市的な布設替えはできません。これについては,今回の賠償とは別にすでに議論が始まっており,京都市の水道事業の安全,安心をしっかりと長期に渡って維持するという視点で,料金体系の在り方も含めて検討していきたいと思っています。

記者

 今の段階では,値上げするともしないとも言えないということか。

市長

 単純に値上げをするかどうかということではありません。今年は水道創設100周年でありますが,先人たちが築いた琵琶湖疏水などの恩恵によって,今の京都市民の命の源である水道が維持されております。これを将来どうしていくのかということが課題の1つであります。もう1つは,節水意識の高まりや,1人暮らし,2人暮らしの御家庭が増え,基本水量に満たない世帯が増えたことにより,制度そのものの矛盾も生じてきております。
 これらについて,市民の皆さんと開かれた場で議論し,市会の御意見も伺いながら,持続可能な水道事業をどう進めていくか真摯に検討していきたいと思っています。今回の損害賠償10億円については,経営努力で吸収し,市民の皆さんには負担をかけません。

(交通安全対策について)

記者

 亀岡の通学路での事故後,どういう調査を行ったのか。今後どうするのか。

市長

 まず,教育委員会では,各学校が把握しております通学路の課題というものがございます。170の小学校で,昨日までにそれらを総点検,集約する作業をやっており,今教育委員会で集計しております。一方,建設局において,通学路の総点検を市内8箇所の土木事務所職員が緊急対応等の仕事を除いて,総出でやってくれております。それが,170校中159校分の点検が今終わりましたが,5月10日にそれをやり終えて,教育委員会で把握したものと突合しながら,土木事務所の方で早急に対応いたします。そして大きな課題等につきましては,優先順位を決めながら,必要によっては予算措置も対応しながら,取り組んでまいりたいと思っております。

記者

 今年度中に工事を行うのか。

市長

 年度当初,建設局が持っている道路の維持管理の予算が5億ほどございます。その予算を優先的に使い,緊急の工事については,土木事務所が全力を挙げて8月中には行います。そして,前倒しで道路予算,維持修繕予算等を使った場合,必要な補正等を検討していきたいと思っています。

記者

 祇園の暴走事故を受けて,市として改めて取り組みたいことなどはあるか。

市長

 以前に申し上げましたが,地域の方々の心理的なショックが相当大きいということでしたので,保健センター等がそうした対応をさせていただいております。また,警察と京都市とで協議の場を持っており,原因究明も含めて京都市として対応しなければならないことについては,全力を挙げていきたいと思っています。

記者

 警察とは具体的にどのようなことを協議するのか。

市長

 去年から警察の第一線の方と京都市の土木事務所との協議,懇談の場を発足させています。そうした道路管理者と交通規制等される警察の現場段階での意思疎通をより強固にしていく場をしっかりと生かして,現場に密着した点検をしていきます。次は5月14日に協議を開催する予定をしております。

(陸前高田市の松の薪を使った取組の中止について)

記者

 清水寺で陸前高田の松を使った仏像ができたが,昨年送り火で燃やさなかった薪は,どう処分するのか。

市長

 じっくりと検討していきたいと思っております。今ただちにというのではなく,市民の皆さんの御意見も聞きながら,じっくりと取り組んでいきたいと思っております。

記者会見資料(平成24年5月9日)

未来へ引き継ぐ越畑「棚田の里」 棚田景観を守りながら,地域を活性化する事業に共汗で取り組みました!

産業観光局農林振興室農業振興整備課 電話222-3352

越畑の写真

 右京区嵯峨越畑地域は,京都市の北西部,愛宕山の山麓に位置し,約800枚の美しい棚田や里山の風景が広がる自然に恵まれた農村地域です。
 しかし,狭い農道の湾曲や水路の水漏れに,農家の方々は大変苦労をされており,更に高齢化や後継者不足が進行するなど,このままでは耕作放棄地が生じ,「棚田の里」の良さが損なわれるおそれがありました。
 そこで,京都市では,棚田景観に配慮した観光農村として地域を活性化するため,農道等の基盤整備や観光の拠点となる交流施設「まつばら」の新規メニュー開発など,京都府の「共に育む「命の里」事業」補助を活用して,平成21年度から農家や地域の方々で構成する「越畑村づくり委員会」と共に「越畑「棚田の里」整備事業」に取り組んできました。
 この度,整備事業が完了し,越畑「棚田の里」を未来へ引き継ぐための基盤が出来上がりましたので,お知らせします。
 今は,田植えの季節です。一面,早苗が水面に映える棚田風景と,おいしいそばが楽しめる越畑にぜひお越しください。

1 整備事業の概要

  1. 事業実施年度 平成21年度~平成23年度
  2. 事業費 約3億2千万円
  3. 事業内容
    (1)農道・水路の改修(延長:11,894.4m)
    (2)水路トンネルの改修(延長:65.3m)
    (3)景観作物の植栽(彼岸花,クヌギ)
    (4)観光リーフレットや新商品の開発
    (5)都市農村交流施設「まつばら」の改修(トイレの水洗化)

2 整備の内容

  1. 農道・水路の整備(農道延長:5,361.7m,水路延長:6,532.7m)
    農業機械や車が通行しやすくなり,棚田の隅々まで水が流れるようになりました。
  2. 水路トンネルの改修(延長:65.3m)
    水源地である京北細野町から農業用水を安定して確保できるようになりました。
  3. 景観向上の取組(彼岸花植栽1,500球,クヌギ植栽100本)
    農道脇に彼岸花を植え,クワガタムシの棲みかとなるクヌギを植栽しました。
  4. 観光農村としての取組
    「ゆず菓子」や「田楽みそ」など新商品を開発し,来訪者の増加に向けて取り組んでいます。観光リーフレットも作成しました。
農道・水路の整備後の写真

農道・水路の整備後

水路トンネルの整備後の写真

水路トンネルの整備後

彼岸花の植栽の写真

彼岸花の植栽

クヌギの植栽の写真

クヌギの植栽

地域紹介のリーフレットの写真

地域紹介のリーフレット

ゆず菓子と田楽みその写真

ゆず菓子と田楽みそ

(参考)

越畑地域の特徴

  • 人口,戸数:97人,48戸
    農家戸数:35戸(専業農家:6戸,一種兼業農家:15戸,二種兼業農家:14戸)耕地面積:29.0ha
  • 主な農産物は,水稲,ソバ,キクナ,オミナエシ,ホオズキ,ブドウ,リンゴなどである。
    都市農村交流施設「まつばら」の手打ちそばが人気商品として定着し,年間約20,000人の来訪者がある。
    直売所では,地元産の旬の野菜やブドウ,リンゴなどの果樹,ジャムや漬物等,各種加工品を販売している。また,酒米づくり,そばづくり,そば打ち,体験農園などの体験イベントも実施している。
  • 2008年11月,樒原地域とともに,にほんの里100選に選定された。(人の営みが育んだ,すこやかで美しい里として,全国4,474件の応募の中から100箇所が選定されたもの。http://www.sato100.com/外部サイトへリンクします

越畑村づくり委員会について

  • 平成20年に14人の住民がメンバーとなって結成
  • (1)生産振興部門(生産基盤である農業の課題を解決する),(2)観光農村づくり部門(まつばらを活用して観光農村として越畑を発展させていく),(3)地域活性化部門(過疎化や学校の存続など生活に密着した課題解決を考える),(4)環境共生部門(バイオマスなどの自然エネルギーの活用を考える)の4つの部門で構成され,総合的に地域づくりを行っている。

都市農村交流施設「まつばら」について

  • 14戸の地元農家で構成する「農事組合法人越畑フレンドパーク」が運営
  • 食堂の他,直売所を併設し,地元産の旬の野菜やブドウ,リンゴなどの果樹,ジャムや漬物等,各種加工品を販売
  • 酒米づくり,そばづくり,そば打ち,体験農園などの体験イベントも実施
  • JR山陰本線八木駅から京阪京都交通バス「原行き」で約40分「越畑フレンドパーク前」下車
    車で,嵯峨鳥居本から保津峡経由で約30分,駐車場完備
    ※火曜日定休(祝祭日は営業)

お問い合わせ先

京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

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