スマートフォン表示用の情報をスキップ

門川市長記者会見(2009年9月11日)

ページ番号68810

2023年4月12日

平成21年9月11日門川市長記者会見

和装デザインを活用した「京都限定!プリントシール機」の設置

 京都において昔から,素晴らしい和装デザインが創造され,引き継がれてまいりました。京都の,また日本の素晴らしい財産であります。一方,最近大変人気のありますプリントシール機,一般的には「プリクラ」と呼ばれていますが,それは商標登録されていますので,プリントシール機と言います。これと和装デザインとをマッチングさせるという意表をついた商品ができました。
 京都市では,日本図案家協会,西陣織工業組合などの和装関係団体と大学等と京都市で「京都デザイン活用プロジェクト協議会」というのを昨年11月に設立いたしました。今まで,「きもの」や「帯」など,和装産業に利用が限定されていたこの素晴らしい「和装デザイン」をまずデジタル化し,そしてきっちりと優れたデザインを後世に引き継いでいく。と同時に,この優れた地域の資産である和装デザインを他の産業分野にも活かしていけないか,そういうことを産学公一体となって研究しております。
 今回は,現代的なイメージのプリントシール機の外装や写真フレームに和装の柄を取り入れるということに取り組みました。こうした新しい取組によって,修学旅行生をはじめ観光客の若い世代の方々,さらには和装デザインに非常に興味をもっておられる外国人の方々に喜んでいただけるのではないかと思っております。
 プリントシールの主なターゲットは中高生,あるいは大学生であります。また先々週ボストンに行ってまいりましたが,ボストンの美術館で日本の浮世絵などの「和」のデザイン,和の柄がかばんなどに使われ,大いに活用されていると改めて感じましたので,観光客の皆様に,京都ならではの和装柄のプリントシールが「ご当地もの」として好評を博すことを期待しています。
 設置場所は当面,二条城と,嵐電の嵐山駅,太秦映画村の三箇所でありますが,順次拡大してまいりたいと思っています。
 1回500円でプリントシールが作れます。(修学旅行生の)お小遣いの中で友だちと一緒に,また和柄と一緒に,京都の思い出を残していただく。外国人観光客にも楽しんでいただけるように5箇国語の標記にも対応しています。「きょうと修学旅行ナビ」や「京都文化観光情報システム」などのウェブサイトを通じても紹介し,全国に発信してまいりたいと思っています。
 さらに,京都の観光名所である加茂川や祇園の街並みのほかに,京都が環境先進都市,京都議定書誕生の地として,「DO YOU KYOTO? 環境にいいことしてますか」というロゴマークも和装デザインと組み合わせるようにいたしております。「観光都市・京都」「歴史と伝統のまち・京都」,そうしたものも広くアピールしていきたいと思っています。
 今回の商品化に当たりましては,京都市は協議会の一員として,契約に至るまでのデザイン提供団体とプリントシール機製造会社との調整など,縁結び役をさせていただきました。
 今後とも,「和装デザイン」を活用したユニークな商品が1つでも多く誕生するように,協議会のメンバーとして努力しますとともに,学生さんなど若い人からの意見をどんどんお聞きして,新たな発想で,和装デザインと新しい産業との,生活文化とのマッチングを図っていきたいと思っています。第2,第3のユニークな商品化に向けてこれからも努力していきたいと思っています。
 本日は嵐山駅に設置するプリントシール機を用意していますので,ぜひ皆様もご利用いただけたらありがたいと思います。

商店街等による全市統一販売促進キャンペーンの実施

次に,商店街等によります全市統一販売促進キャンペーンの実施について御説明します。
 昨年来の百年に一度と言われる経済,金融危機,それに追い討ちをかけて,新型インフルエンザの風評被害等で観光客が減る,あるいは消費が落ち込むなど大変な事態でありました。それらに対処して,市内の商店街等を活性化するために,全市的な統一販売促進キャンペーンを行います。「きょうを楽しくきょうが買い時!!」というフレーズで取り組んでまいりたいと思います。
 このような京都市と商店街,小売市場等が一丸となった取組を行うのは初めてのことであり,商店街等の活性化,商業振興はもとより,地域の絆を深め,まちの賑わいにも繋がっていく,京都全体を元気にしていく取組としていきたいと思っています。
 実施時期は,比較的,市民の皆様の,また観光客の方々の財布の紐が緩むであろう12月5日から20日といたしました。「京都知恵と力の博覧会」や「嵐山花灯路」とも時期を合わせて,市民はもとより,多くの観光客の方々にも京都での買い物を楽しんでいただきたいと思います。
 期間中,キャンペーンに参加する店舗で,500円以上お買い物をされた方にスクラッチカードを進呈し,当たった方には景品等を提供する。また,ダブルチャンス,トリプルチャンスも用意しております,皆様に楽しんでいただける内容になっています。市バスの1日乗車券,あるいは京の冬の旅,京野菜,京の老舗の味の詰め合わせ,あるいは伏見のお酒,あるいは省エネ対応型の液晶テレビなどを,用意しております。さらに,できるだけ京都の地域資源を生かした多彩なイベントも計画しています。
 事業費は3,000万円を投入します。そのうちの2,000万円は,国の新型インフルエンザ対策の補助金を獲得することができました。中小企業庁の長谷川長官のところへ直訴し,長官自身にも,京都へ来ていただき,京都市の関係者と,また商店街の関係者と膝を交えて懇談をし,商店街も視察いただきました。そして2,000万円の補助金を獲得することができました。残りの1,000万円につきましては,国の経済危機対策の交付金を充てたいと思っています。
 現在,既に約70団体,2,300店舗から参加の意向をいただいており,今後説明会等を通じて更に多くの商店街等の参加を求めていきたいと思っています。
 全国的に商店街を取り巻く環境は,「シャッター通り」という言葉に象徴されるように非常に厳しい状況であります。そんな中で,京都の商店街は,非常にがんばっていただいております。経済産業省の「がんばる商店街77選」というのがあるのですが,これに既に10の商店街が認証されている,各商店街等が例えば子育て支援をやっていく,あるいは環境問題に取り組む等々で大変な努力を積み重ねておられます,それらを個別のものとせずに,京都市と一緒になって,また全市でがんばっていきたいなと思っています。
 ピンチをチャンスに,京都市と商店街等が一丸となって,市民の皆様,また観光客の皆様の消費マインドを大いに刺激して,京都のまちを盛り上げていきたいと思っています。
 私からは以上であります。

質疑応答(要旨)

(補正予算の一部凍結)

記者

政権交代により,国の補正予算の一部凍結といった議論も聞こえるが,これについての所感は。

市長

 100年に1度といわれている金融経済危機で,京都も大変な打撃を受けています。その中でいち早く,6月議会で国の緊急経済対策(国の補正予算)を活用し,66億円の補正予算を工面しました。現在すでに,これらの大半に着手しております。同時に,9月市会においても,国の経済対策を財源とした予算26億円を組み,市会に提案しています。
 これらの事業は,例を上げれば,保育所や介護施設などの整備,雇用対策等々であり,市民生活に密接に関わりのあるものです。もしも凍結されたら大変なことになるが,新しい政権が発足してもそういうことはされないものと確信しております。無論,国に対して必要な要望は強力に行ってまいりたいと思っています。
 一方,様々な基金がつくられた事業や,あるいは,外郭団体に補助金として執行され,今後選定して実施していく事業もあります。これらについてどうなるのか,議論になるのはここのところだと思います。
 私は当然,大切な国民の税金であり,最も効果的に使われるように,1円の無駄もないように精査することは大事であると思っています。しかし,民主党がマニフェストで「国と地方が対等の関係をつくっていく」と宣言し,国のかたちを変えていくと仰っています。こうした見直しに当たり,地方自治体の声を十分に聴いていただくことは,当然のことではないかと思いますし,それが新しい政権の基本姿勢であると思います。したがって,地方を無視した見直しは行われないと確信していますし,それを強力に要求していきたいと思っています。
 例えば,JST(独立行政法人 科学技術振興機構)が全国の都道府県に産学公連携の研究拠点施設をつくる,京都には伏見の高度集積地区に整備するということで,先だっての日曜日,商工会議所・京都市・京都大学などの大学,府も含め,オール京都でヒアリングしてきました。京都の提案は,全国トップであると聞いています。したがって,こうした事業についても,やはり中身を見て十分判断していただきたいと思います。

(後期高齢者医療制度廃止について) 

記者

民主党の後期高齢者医療制度廃止論について,市長のお考えは。

市長

 私は,後期高齢者医療制度の課題と利点とを十分に吟味して新たな制度を創設するべきだと思っています。現在は単純な廃止だけが議論されている。単純に廃止して,元に戻せば,全国でも7割以上の人の保険料が高くなります。そのことを,あまり国民の皆さんはご存知ない。本当は7割を超える人の保険料が下がりましたが,「保険料が下がった。」ということは新聞やテレビ,投書欄にも出てきません。一部の保険料が上がった人とか,あるいは75歳で線引きされたことに対するご不満の声がありました。説明責任としてこれらのご不満に対して答えることは必要だと思います。
 今の国民健康保険制度は限界に達しています。このままでは無理です。日本の素晴らしい国民皆保険制度が崩壊しようとしています。私は,全国的な組織で全国民が加入する,国民健康保険に作り替える以外に道はないと思っています。ですから,後期高齢者医療制度を廃止するのであれば,その受け皿をどうするのか。受け皿として新しい保険制度を創ることを強力に言及していきたいです。 

記者

現行制度は,廃止してもやむを得ないとお考えか。

市長

 廃止するのではなく,新たな制度を創造し,ビジョンを示してから廃止の議論をするべきです。受け皿の議論をせずに廃止をして,元の国民健康保険に戻すと7割を超える人の保険料が高くなります。それを断行されるのでしょうか。地域主権時代,地方分権とおっしゃっているのに地方の声を聞かずに断行されることは無いと思っています。大混乱が起こります。
 後期高齢者医療制度は非常に国民の一般的な評判は悪かったです。しかし,実施された時点で,保険が無いとか健康診断が受けられない,病院に行けなくなった,大変な負担になったなどという事態はあまり見受けられませんでした。これは,政府が説明責任を十分に果たしていなかったことが原因と考えています。夫婦が別々になってしまったなど様々な制度の矛盾点はあります。しかし,元に戻せばいいというものではありません。廃止する前に,制度の課題と受け皿をどうするのか,新たな制度の仕組みをどうするのかについて,私は全国的な新たな保険制度の創設以外はないと思っています。

記者

現行制度のままで回転していれば問題ないということか。

市長

 国民健康保険制度そのものが崩壊しようとしているので,それはある意味で後期高齢者医療制度と同等あるいは同等以上の問題だということもしっかりと主張していきたいと思っています。
 サラリーマンは,元気な時にはしっかりした保険制度がある。ところが退職して年金生活になったら財政基盤の全く無い国民健康保険になるという状態です。全国自治体の国民健康保険がそうなっている。これを放置しておけば,日本の素晴らしい国民皆保険制度が瓦解します。その点にこそ着目して欲しいと思います。

(地方分権について)

記者

地方分権について,指定都市として望むことは。

市長

民主党のマニフェストにも,国と地方が対等の関係を作っていくということがありましたが,「地方分権」「地域主権時代」「国のかたちを変える」,これらが夏の総選挙の最大の争点のひとつであったと思います。私は,地域主権時代はこれから幕開けだと感じています。国と地方の協議機関を法制化することは既にマニフェストで約束されていますが,知事会等と鳩山代表との会談において,法制化に先立って協議を早期に開始することが了承されました。また,今話にあった補正予算のことについても,地方の声をしっかり聴くと言っておられる。これらについて,大いに期待しています。同時に,知事会,市長会,町村会,各議長会の地方6団体は,法律に基づいて国に意見を言うことができますが,私たち指定都市市長会・議長会についても,きちっと国が法令に基づいて意見を聴く団体にしていただきたい。このことは,強力に要求していきたいと思っています。現在,政令指定都市は18市あり,まもなく20市になります。人口の2割が政令指定都市の中に住んでおられる。民主党もマニフェストで基礎自治体重視ということをおっしゃられている。基礎自治体として,一番市民の皆さんと近いところで課題意識を持ちながら,行政能力の高い,また,地方主権時代のモデルとなる取組ができるのは,政令指定都市だと思います。私も指定都市市長会の副会長をさせていただいておりますが,地方の意見を聴くかたちを変えていただき,政令指定都市の声をしっかりと反映していただくよう国に強力に要望していきたいと思っています。

記者

それは財源についても同様か。

市長

 地方分権,地域主権が大事だと思います。ただ三位一体改革もそのことを唱えられた。所得税等が税源移譲された,地方交付税が下げられた。そうなりますと,高所得者の多い東京都は潤った,厳しい経済状況の都市が非常に疲弊した。地方に税財源と権限を移譲することは大事であります。そして,地方が,地域力,市民力を活かして政策等を自己決定,自己責任でやっていくのは大事であります。しかし,単純にやれば,地方自治体に勝ち組と負け組ができます。それをどう調整するのかというのが,これから一番大事ではないかなと思っています。
 これは,政令指定都市とて財政基盤に大きな差がありますので,それらについて,きめ細かい配慮をした政策が大事だと思いますし,そのことを強力に新しい政府にも,また民主党にも要求していきたいと思っています。

記者

主観だが,学校への電子黒板などは今緊急に必要なのかと思う。予算を執行している中だが,京都市として事業を選定し直すといったことのお考えは。

市長

電子黒板等につきましても,国の政策をまる飲みするのではなく,現場の教職員やPTA,教育委員会が知恵に知恵を絞って,有効かつ効果的な活用について議論をしています。

お問い合わせ先

京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

フッターナビゲーション