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門川市長記者会見(2008年6月17日)

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2023年4月12日

平成20年6月17日門川市長記者会見

はじめに

 こんにちは。門川大作です。はじめに,岩手宮城内陸地震では,多くの方々が犠牲になられました。また今なお,行方不明の方がおられます。御冥福をお祈りしますとともに,行方不明の方々の1日も早い救出を祈念するものであります。同時に,京都市といたしましても,岩手県,宮城県の両県に災害見舞金をお贈りしたいということで今進めております(6月20日に両県の大阪事務所へ持参)。さらに,いつどういう災害が起こるか分からないということで,改めて常に万全の体制を採っていかねばならない決意を新たにしているところであります。
 さて,本日は,京都市未来まちづくり100人委員会とトルコで開催されました歴史都市会議について御報告申し上げたいと思っております。

京都市未来まちづくり100人委員会について

 まず,「京都市未来まちづくり100人委員会」ですけれども,私は,市民の皆様と行政が,未来の京都のまちづくりにつきまして,夢,誇り,使命感,さらに行動を共有していきたい。そして共通の目標に向かって,共に汗する「共汗」で,まちづくりを進めていきたい,そのために,京都の地域力,文化力,何よりも人間力を発揮していく。そんなことを市政運営のキーワードにしていきたいと思っています。「融合」と「共汗」をキーワードに新しい行政の在り方を模索し,改革を進めていきたい。そのように念じております。
 そうした中で,「京都市未来まちづくり100人委員会」でございますが,市民の方々が主体的に議論し,運営し,提言する。そして,共々に行動する「市民組織」として,9月下旬に創設していきたいと思っております。
 この未来まちづくり委員会では,京都市の自治の伝統を遺憾なく発揮していただこう。また,自分たちの手で京都の未来を築いていただこうということで,「現代の町衆」というべき,志の高い方々,市民の代表でもって,組織していただきたいと思っております。
 常々に申し上げておりますけれども,現在の行政の最大の課題は,縦割り行政であること。そして,行政主導になってしまうことであります。このふたつをどうしても打破するような未来のまちづくり100人委員会にしていきたい。
 従いまして,京都市が,テーマを決めて,そして諮問し,審議をお願いし,答申を受けて,それを行政が実践する。そうした従前型の審議会と異なり,行政である京都市はあくまでもサポート役に徹する。市民の代表の方々が自らテーマを設定し,白紙の段階から,議論していただき,行政にも企業にも市民にも提言していただく。そして,行政と市民等がともに共汗の関係で実践していく。そんなものにしていきたいと思っております。
1年を目処とする議論の結果については,行政として京都市が取り組むことに留まらず,企業に,あるいはNPO等市民に,主体的に取り組んでいただく。そんなことも提言していく。また,1年を目処にしますが,3月には中間の提言をいただき,その実践の成果を新たな議論に反映する「進化する委員会」として,また,委員会自らも行動する「行動する委員会」として進めていきたいと思っています。
 従いまして,会議の運営につきましては,従前ですと行政が事務局を担うということになるわけですが,事務局の運営につきましても,NPO等市民活動団体に委託し,あくまでも,行政主導でなく,市民の代表の主導で,市民が主体となった新たな形で,これは日本では初めてになるのではないかと思いますが,そういう未来のまちづくり100人委員会にしていきたいと思っております。
 運営を委ねます市民活動団体については,6月30日からプロポーザルによる公募を開始します。NPO等,多くの意欲ある方々に,応募していただき,幅広い市民の皆様が参画できるような委員会にしていきたいと思っております。委託する団体については,市民の方々の代表も含めた選定委員会を設置し,7月末には決定したいと思っています。
 繰り返しになりますが,市民の代表が主体的に,未来の京都のまちについて議論し,提言し,そして行動し,進化する委員会を市民組織として設置する。また,その事務局についても,プロポーザルによる公募で委託する。そうした形にしていきたいと思っております。

第11回世界歴史都市会議(トルコ・コンヤ市)について

 次に2点目ですが,第11回世界歴史都市会議が,トルコ共和国のコンヤ市で開かれました。第11回にして初めて,イスラム圏で開かれたということになります。過去最大規模の46箇国156都市から900人に及ぶ方々が参加され,真に盛り上がった会議となりました。コンヤ市長並びに,コンヤ市の方々,さらにはトルコ共和国挙げてのこの会議にかける熱意を感じました。同時に,イスラム圏の方々が非常にたくさん参加されているということも実感しました。もちろん,ヨーロッパ,アメリカ,香港等々も参加されておりました。
 この会議が大きく盛り上がったのは,コンヤ市や,トルコ共和国の熱意,それから事務局を担っております京都市の担当者の努力も当然ですが,世界歴史都市連盟,さらには世界歴史都市会議の意義そのものが,大きく評価されてきたことの表れでもあります。同時に環境問題も含めて,京都,日本に対する期待の大きさを改めて痛感いたしました。
 私自身が,連盟の会長を務めておりますので,何度も強調しましたが,21年前に京都で歴史都市会議が始まった。そして,11年前に京都でCOP3が開催され,京都議定書が誕生した。この2つは決して偶然ではない。さらに,トルコで初めての歴史都市会議が開催される直前に,トルコのアブドゥッラー・ギュル大統領が日本を訪ねられ,京都議定書批准を表明された。これも偶然とは思えません。トルコは,1990年以降,工業化を進めてこられ  たが,一方で,CO₂の排出量は7割増えています。新興工業国の典型でありますが,その国が,議定書に参画していこうということと,歴史都市会議を成功させていこうという熱意が相まって素晴らしい結果を得られたと痛感しました。
 人類にとって,歴史都市,自然遺産,文化遺産というのは,極めて大事であります。人類共通の財産であります。同時に,いやそれ以上に,人類にとって最大の自然遺産,文化遺産というのは,地球環境ではないか。この保全を一体的に取り組んでいくことが重要です。会議では,次回開催市が,奈良市に決まりました。奈良市が,早くからロビー活動等を展開されまして, 建都1300年の奈良市で開催されることになりました。奈良市で開催されます第12回世界歴史都市会議では,各都市が環境問題についてしっかりと取り組み,その結果を持ち寄ろうと訴えてまいりました。奈良市の藤原市長も環境問題にしっかりと取り組む第12回歴史都市会議にしたいと表明されました。また,コンヤ宣言にも環境問題に取り組むことを盛り込みました。こうしたことによって歴史都市会議がさらに大きな意義を持ってくるのではないかと改めて痛感いたしております。
 なお,世界歴史都市連盟の会長都市として,今後より一層この歴史都市会議,歴史都市連盟の意義を広く訴えまして,早期に会員都市が,100都市程度まで増えますように努力していくと同時に,歴史遺産の保護と地球環境の保全について,国際的な視野,地球規模で考えて一体的な取組を実践していきたいと決意を新たにいたしております。
 あわせて,今回の歴史都市会議において,初めて市民会議を開催するため,市民の参加を募りましたところ,14名の方々に参加いただきました。これからもできるだけ,こうした形で,市民参加を進めていきたいと思っております。
 また,学生の参加も実現しました。ユースフォーラムが開催され,初めてユース宣言も採択されました。京都市からは特に,財団法人京都市景観・まちづくりセンターが募集しました「京都まちづくり学生コンペ2007」において,86組の応募の中から,プレゼンテーションにより,最優秀として選ばれた京都大学大学院生チーム4名が,この副賞として今回の会議に参加し,非常に感動的な発表をしてくれました。5グループの学生の発表がありましたが,京都の大学生の発表が一番現地で評価が高かったことをうれしく思います。
トルコが親日国であるということを痛感しますとともに,京都に対する期待が非常に大きいことも改めて実感してきました。コンヤ市は,大コンヤ市圏を含めて200万人の人口を有していますが,京都に対する関心が高く,様々な面で京都から学びたいということから,今夏には,3万平方メートルの敷地に「日本・京都庭園」を着工し,年度内には完成するように努力したいとのことでした。京都もできる限りの協力をさせてもらうからと青写真も貰ってまいりまして,京都人が見て, 京都庭園だと感じるような庭園にしていただきたいとお願いしてきました。
 なお,この歴史都市会議に,西安と成都の代表団が地震のために参加できなかったことについては,残念であります。皆さんにそのことを報告し,一刻も早い復興と歴史都市からの可能な限りの支援を訴えたところであります。
 私からは,以上であります。

質疑応答(要旨)

(「100人委員会」の100人の意味)

記者  
改めて,100人という人数の意味をお聞きしたい。

市長
従前型の審議会は,10~20人程度で進めるというのが通常ですが,幅広い年齢層で,また各界の方々の参画を得て,できるだけ多くの方々で未来の京都の夢を語っていただき,これを具体的な構想にまとめ,プランを作って実践していくことを期待しています。しかし,あまりに多過ぎてもなかなか議論になりませんので,100人きっちりという意味ではないのですけれど,100人程度というように解釈していただきたい。
また私が,あれこれと先に言うべきではないのですが,議論の中で例えば5つくらいの部会を作り,ただしメンバーは,特定の部会にしか出てはいけないということではなく,コアメンバーだけを決めて,ほかの部会にも自由に参画できるような形の運営をしていただければと考えています。
なお,ゲスト参加など,いろんな運用の仕方は,会議の事務局を担っていただくことになるNPO法人や市民団体の方々で考えていただきたいと思っています。

(服務監察における納税情報等の利用)

記者  
3月に環境局を退職した職員についてだが,服務監察当局が当事者の納税情報,預金情報といった個人情報を入手していたという報道があったが,市長はこの報道で指摘された調査内容をご存知か。

市長  
調査内容はその時点では知りませんでした。現行法制度内で限界に挑戦しながら市民の信頼に応えるため,服務監察に厳正を期するよう,全庁を挙げた取組を進めています。

記者  
むしろこうした調査をすることにより,市民にとっては自分たちの情報も見られているのではないかという不安が起こりかねないという指摘もある。不安を払拭するという意味で,市長は,服務監察における具体的な調査方法を見直すとか,あるいはガイドラインを創るというお考えはあるか。

市長  
既に様々なガイドラインのもとで実施しており,新たなものを創るということは考えておりません。

(コンビニ深夜営業規制)

記者  
政府の環境モデル都市に立候補した京都市の提案の中には,コンビニエンスストアの深夜営業の見直しなど市民のライフスタイルの変更を求めるような内容が盛り込まれている。環境省の鴨下環境大臣も「基本的に歓迎すべきことで,全国的に広がってほしい」といったコメントを出されている。一方で,深夜帯に働く人にとっては規制になるという声もあり,これから議論が展開していくと思うが,この政策の実現に向けての市長の意気込み,今後の見通しは。


市長  
COP3開催都市,京都議定書誕生の地として,京都市は全国で初めて地球温暖化対策に特化した条例を制定し,国の基準を上まわる10%のCO₂削減目標を設定するなど,今日まで努力を積み重ねてきました。そして現在,全国トップクラスとなる5.6%の削減を記録しています。これは,企業に対して削減目標の提出を求め,その報告書等を公開していること,また,市民ぐるみで様々な取組をしてきた成果であると考えております。
本市は,国に対して環境モデル都市の申請を行っており,その内容はホームページで全て公開していますが,私は企業の経営の在り方も,市民生活も,行政の在り方も,あらゆることを総動員しなければ,2030年までにCO₂50%削減,2050年までに大都市で初めての「カーボン・ゼロ都市」という目標は達成できないと考えております。地球環境問題は,国民,そして市民一人一人が,自分の問題として捉え,例えば夜型から昼型へなど生活スタイルを変えていくことや,公共交通優先の歩くまち,ごみの減量など,様々なことに取り組む必要があります。そうした取組の一つとして,市民の間にも過去から様々な議論があるコンビニエンスストアの深夜営業の見直しについて,果敢に挑戦していきたい。行政が主導するのではなく,市民会議を設置し,市民の皆様と多様な議論をしながら,進めていきたいと考えております。
この素晴らしい地球環境を守っていかなければならないこと,CO₂を具体的に確実に削減していかなければならないことが大きな目標です。その目標に向かって全力投球していくステップとして,こうしたことを論議し,まずは,自主的な規制として進めていこうという決意を表したものですが,これから十分に市民的議論を尽くすべき課題の一つであります。

(環境モデル都市の状況)

記者  
環境モデル都市の応募状況を見ると,選ばれるのは必ずしも容易ではない。手応えは。

市長  
全国で82都市,政令市でも10都市が積極的に名乗りを上げており,互いに切磋琢磨し,真剣に挑むことは,大変良いことであると思う。京都市も全力を挙げて取り組んでいく。選ばれるモデル都市を10都市からさらに絞るのではないかなど様々な情報がありますが,私は,京都が京都でやるべきこと,京都にしかできないことを,市民の皆様と一緒に,経済界とともに,真剣に,率直に取り組んでいくことが大事ではないかと思っております。

(コンビニ業界への働きかけ,市民会議の設置時期等)

記者  
見直す時期についてはどのように考えているのか。また万一,環境モデル都市に選ばれなかったときにも,コンビニの深夜営業の見直しに取り組むのか。

市長  
時期については,市民会議を立ち上げて,十分な議論をしていただく。ただし,自動販売機の規制などを含め,新たなテーマを行政から整理していくことは必要ではないかと思っています。
それから,環境モデル都市に選ばれることは極めて重要なことであり,それに向けて頑張っていきたいと思っていますが,基本的に「選ばれたから見直す」,「選ばれなかったら見直さない」といった性格のものではありません。

記者  
すでにコンビニ業界と話をされているのか。

市長  
まだ具体的な協議を進めている段階ではなく,市民会議を設置して,市民会議の議論の盛り上がりの中で進めていきたいと考えている。


記者  
市民会議の設置時期は。

市長  
来月中には設置したい。大いに議論をして,決めた上で実践していくということが大事であります。

(「100人委員会」でマニフェストの優先順位)

記者  
選挙の時に,100人委員会の中でマニフェストを実践する際の優先順位を決めていってもらえたらいいと話されていたが,100人委員会の中で実際に決めていくことはあるのか。

市長  
マニフェストは「未来の京都のまちづくり」のための私自身のお約束であります。したがって,マニフェストについては,こちらから希望しなくても議論されると考えています。京都市長として,4年間でマニフェストを実現していくことは,市民の皆さんにお約束しており,そのことが議論の大きな柱の一つになるというのは当然だと思っています。
マニフェストの中でも「進化するマニフェスト」と言っている訳ですから,更に項目を付け加えることもあるし,また,これを是非とも早くすべきであるとか,あるいは,これを膨らまして実施すべきだとか,ということも議論していただきたいと思っています。ただ,マニフェストのことだけを議論する場ではないとも思っています。

(報道センターとの関係)

記者
京都報道センターに関連してだが,市長は教育長時代にこの企業の経営者とご面識,おつきあいはあったか。そのうえで,当時教育長であった市長をはじめとして教育委員会の方々が,何故この企業あるいは経営者のことをそこまで重要視しなければいけなかったのか,その背景は何か。

市長
経営者と面識はありますが,取り立てて印象はなく,私自身,この企業を重要視したつもりはありません。また,この度問題となった資料については,管理職である校長先生,教頭先生の経験年数や年齢を記載したものであり,直ちに秘密にあたるという認識はしておりませんし,これまでから,依頼に応じて他にも提供されてきた情報です。教育委員会において適切に判断して対処されており,特別な扱いをしているとは考えておりません。ただし,学校というところは,慣習を大切にするところで,古くからの慣習が残っています。よくない慣習は断じて正していくべきだと思います。

(「100人委員会」と既存のNPO団体等との違い)

記者  
100人委員会についてだが,運営主体が公募で決めるNPOで,自由に自分たちで決めて欲しいということだが,既存のNPOと変わらないという気がする。京都市がわざわざNPO団体をひとつ作るようなことになるのではないかと思うが。

市長
運営の事務局をNPO法人または市民グループ,NPOの資格がなくても構いませんが,こうした方々に委任したい。今までの審議会では,産業政策や文化政策,教育政策であるとか,ある特定の分野についてテーマを決めて,事務局はそれぞれの担当局が務めており,土俵は全部,京都市が作っています。
しかし,「100人委員会」は,京都の未来をどうしていくかということを本当に市民総ぐるみで議論していただける組織を設置し,その具体的な運営について,これまでのように行政がすべてをお世話するというものではなく,運営する事務局をプロポーザルで公募して,NPOあるいは市民グループにお願いするものであります。

記者  
これまでそういう市民グループからの京都市への提言というのはあったと思うが,それをわざわざ京都市がこういった形で作るということの意味は。

市長  
京都市の未来について,お年寄りから若者まで,そして幅広い各界の方々の議論の上に立った政策をどのように実現していくか,そのようなことをトータルに検討したNPOはないのではないか。例えば,京都の経済界から見てこの町をどのようにしていくか,あるいは教育をやっておられる方が,子どもたちをどのように育てていくか,などのような提言はあると思います。しかし,京都市のあらゆる未来を総合的に議論し,実践していこうというものはなかったと思います。

記者  
先ほど,「市役所がお世話をしていく従前の委員会」という表現があったが,これを機会にそういった従前のスタイルも変えていこうという考えはあるか。

市長
私自身,常々申しておりますのは,市民との共汗の関係を作っていこうということであります。したがって,行政が説明責任をより徹底し,更に市民参加を促進していく,そして市民と行政が夢や目標を共有していく,あらゆる審議会がこういったものになることを,当然に求めていきます。
ただ,例えば社会福祉については,社会福祉審議会で議論していただく。同様に,医療制度や保育料等,特定のテーマについて,パブリックコメントなどにより市民の声を反映させていく等の手続きは必要であると考えております。
今回の100人委員会は,市民組織として局を横断したオール京都市の課題について,行政に提言するだけでなく,市民組織として,経済界にも学生にも市民にもアピールしながら行動していくという新たな形のものを作っていきたいと考えています。これにより,従前のスタイルの審議会等も活性化されると思っております。

市長記者会見資料

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