総合支援学校給食
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2023年3月16日
総合支援学校給食
総合支援学校給食の意義と役割
総合支援学校給食の意義
成長期にある総合支援学校の児童・生徒にとって給食は、生命の維持に関わる栄養補給や摂食機能の向上をめざした自立活動、準備から後片付けまでを含む食に関する日常生活の指導の場として、社会参加・自立に向けて組織的・体系的に取り組む教育活動である。
総合支援学校給食の役割
児童・生徒にとって、栄養バランスの取れた食事の場を提供することはもちろん、友達と語り合いながらおいしさを味わい食の体験を広げるための場でもあり、食事を通して生きる力を育み、QOL(生活の質)の向上を図っていく場である。
総合支援学校給食の運営と組織
運営
給食の運営は、教育委員会の指導助言のもとに、学校長が実施計画を立て、教職員を指揮監督して行うものである。
運営を適正に行うためには、学校長をはじめ全教職員が学校給食の意義を十分に認識し、それぞれの役割を分担し、互いに協力することが大切である。
(1)運営方式
教育委員会が指定する民間の業者に調理業務等を委託し、「クックチル方式による校外調理」で実施する。
具体的には、調理業者の調理施設(以下「セントラルキッチン」という。)で調理後、冷却保存した給食を学校へ配送し、調理業者から派遣される配膳員が再加熱(再調整)後、各クラスごとに配食した給食を児童・生徒に引き渡す方式とする。
なお、パン・牛乳については、学校給食用パン供給業者及び牛乳業者が給食室に配送する。
(2)主 食
主食は米飯とし、小学校で使用している米と同等以上のものを委託業者が購入し、学校の給食室で炊飯する(自校炊飯)。ただし、月3回程度パンや麺類を主食とした給食を実施する場合もある。
(3)副 食
調理業者がセントラルキッチンで調理した食品を、おいしさや食材の素材感を損なわないように、また、安全衛生管理の視点も踏まえ、0~3℃で急速冷却し、専用の保冷車で各校の給食室に配送し、調理業者から派遣される配膳員により、喫食直前に再加熱・再調整し、最も食べやすい状態でクラスごと、個人ごとに配膳する方式とする。
(4)牛 乳
京都府指定の牛乳業者が給食室に配送する。
(5)実施回数
土曜、日曜、祝日、長期休業期間(春・夏・冬)、学校行事等による給食休止日を除いた日に実施する。ただし、休日に実施される参観日、運動会等は給食を実施する。具体的な実施回数は、学校行事等を考慮し、校長会で定める。なお、特段の理由がない限り、学校給食を中止することはできない。
(6)給食費
- 食材料費(給食費:保護者負担)は1食あたり小学部で275円(平成27年4月~)、中学部・高等部で315円(同)とし、調理業者が学校から徴収する。
- 調理委託・配送に伴う人件費、セントラルキッチンの光熱水費、保存食、展示食、予備食の経費は別途委託料として京都市から調理業者に支払う。
(7)給食運営にかかる経費
本市の総合支援学校給食の実施にあたっては、適正・円滑な運営と保護者負担軽減のため、食材料費を除くすべての経費を公費負担している。
(8)台風時の給食の対応
- 朝9時までに暴風警報が解除された場合は、給食を実施する。
- 朝9時の時点で暴風警報が解除されていない場合は、臨時休校のため給食を中止する。
- 朝9時以降に暴風警報が発令された場合は、実施時間を調整のうえ、給食を実施する。
(9)配送車交通事故時の対応
配送車が、配送途中で交通事故等に遭い、給食を破却した場合は、調理業者の負担で、再度、セントラルキッチンにおいて調理し、前日夜間又は当日早朝に配送する。
運営組織
総合支援学校給食の運営方式や献立内容、給食費、使用物資など給食実施校全体に共通する事項について検討する組織として「総合支援学校給食運営委員会(以下「給食運営委員会」という。)」を設置する。
(1)給食運営委員会
校長会代表、保護者代表、栄養教諭、給食主任、教育委員会で構成され、次に掲げる事項について検討する。
- 総合支援学校給食実施校に共通する重要な運営上の課題に関すること。
- 献立水準を維持するために必要な給食費の算定、見直しに関すること。
- 基準献立及び総合支援学校独自の特別食の献立に関すること。
- 安全・衛生・栄養などの観点から、総合支援学校給食で使用する物資を選定し、規格基準を定めること。
(2)献立作成部会
献立作成部会は、給食運営委員会の下部に設置し、校長会代表、栄養教諭、給食主任、教育委員会で構成する。
- 栄養教諭が担当月の献立原案を作成する。
- 原案を元に栄養教諭と教育委員会栄養士が検討し、献立案を作成する。
(3)総合支援学校長会給食研究部会
校長会代表、副教頭、栄養教諭、給食主任、教育委員会で構成され、総合支援学校給食実施校に関する共通事項や運営上の課題について研究する。
総合支援学校給食の栄養管理
1 栄養管理
(1)栄養摂取基準
栄養摂取基準は、文部科学省告示『学校給食実施基準』において示されている「児童又は生徒1人1回当たりの学校給食摂取基準」を適用している。
区 分 | 栄 養 量 | |||
児 童 (6~7歳) の場合 |
児 童 (8~9歳) の場合 |
児 童 (10~11歳) の場合 |
児 童 (12~14歳) の場合 |
|
エネルギー(Kcal) | 530 | 650 | 780 | 830 |
たんぱく質(g) | 学校給食による摂取エネルギー全体の13%~20% | |||
脂 肪(%) | 学校給食による摂取エネルギー全体の20%~30% | |||
ナトリウム(食塩相当量)(g) | 1.5未満 | 2未満 | 2未満 | 2.5未満 |
カルシウム(mg) | 290 | 350 | 360 | 450 |
鉄 (mg) | 2 | 3 | 3.5 | 4.5 |
ビタミンA(μgRAE) | 160 | 200 | 240 | 300 |
ビタミンB1(mg) | 0.3 | 0.4 | 0.5 | 0.5 |
ビタミンB2(mg) | 0.4 | 0.4 | 0.5 | 0.6 |
ビタミンC(mg) | 20 | 25 | 30 | 35 |
食物繊維(g) | 4以上 | 4.5以上 | 5以上 | 7以上 |
2 基準献立
(1)主 食
主食は、米飯を原則とし、栄養や児童・生徒の嗜好も考慮し、麦ご飯、麺類、パンも適宜取り入れ、バラエティに富んだ献立とする。
(2)副 食
小学部は、デザートも含め2~4品、中学部・高等部はデザートも含め3~4品とする。
(3)牛 乳
飲用が義務付けられており(学校給食法施行規則)、また、カルシウム等の確保に不可欠であるため、200mlの牛乳をつける。
3 特別食
児童・生徒の咀嚼能力・嚥下能力に応じた3段階の形状の特別食を提供する。
調 理 形 態 | |
主 食 | 副 食 |
おもゆ | 初期食 適度な水分を持たせ、つぶつぶや繊維が残らず、なめらかなペースト状に仕上げる。 |
粒がゆ | 中期食 舌の動きを使ってつぶれるくらいの形状に仕上げる。 |
軟 飯 | 後期食 奥歯で軽くつぶせるくらいの形状に仕上げる。 |
4 アレルギー対応食
食物アレルギーにより、食事制限が必要な児童・生徒の健康・安全を確保するために、医師の指導に基づいて、学校給食において、原因物質の除去又は代替食の提供などの対応をする。
(1)対象となる児童・生徒
- 保護者から学校給食での食物アレルギー対応の依頼があること。
- 医師に受診し、アレルギー反応を起こす物質を判断されていること。
- 医師から食事療法を指示されていること。
- 家庭においても食事療法を行っていること。
(2)対応範囲
- 総合支援学校給食物資標準規格集に登録されている物資の範囲内で対応する。(アレルギー対応専用の食材までは対応しない)
- 原則として除去の対応は、27品目(卵、そば、牛乳、小麦、落花生、えび、かに、あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、鮭、鯖、大豆、鶏肉、豚肉、松茸、もも、やまいも、りんご、ゼラチン、バナナ、ごま、カシューナッツ)について、代替の対応をとる。
5 カロリー調整食
(1)目 的
エネルギー量の過剰摂取の傾向にあるなど身体上の理由から摂取エネルギー量を調整する必要がある児童・生徒に対して、基準よりエネルギー量を下げた給食を提供するとともに、学校と家庭が連携して取組を進めることにより、健康維持や家庭での望ましい食生活習慣を育成することを目的とする。
(2)実施手順
医師や家庭と相談のうえ、校内の検討委員会で検討し、実施の可否を学校から通知する。
6 当日調理・当日再調整
総合支援学校給食では、安全・衛生管理面で高い評価を得ている「クックチル方式」を中心に各々の献立に最も適した調理方法を採用する。
献 立 | 対 応 例 |
ご飯、軟飯、粒がゆ、おかゆ | 当日調理(炊飯) 当日学校の給食室で炊飯する。 |
初期食、中期食、後期食でとろみの必要な献立 | 当日再調整 ガスコンロで再加熱し、コーンスターチでとろみをつける。 |
みそ汁 すまし汁 | 当日再調整 当日学校の給食室でとっただし汁、調味料を加えて仕上げる。 |
7 予備食
児童・生徒が登校後、体調が変容し、当初予定していた形状の給食が食べられなくなった場合に対応するため、予備食として、特別食(初期食・中期食・後期食)を3食ずつ用意する。
物資管理
1 物資選定の基本的考え方
総合支援学校給食で使用する物資については、安全性はもとより、衛生・栄養・経済性などに考慮し、ここに詳細な規格基準を定め、これに適合した物資のみを給食用物資として使用する。
[物資選定の指針]
- 健康と安全を考慮し、過度に加工されたものや有害なもの又はその疑いがあるものは使用しない。
- 食品関係の基準に適合しているものであっても、刺激の強い香辛料、着色料や保存料などの食品添加物が必要以上に使用されたものは努めて避けるようにする。
- 化学調味料の使用は努めて避けるようにする。
- 原材料名、賞味期限、製造業者当が明らかでないものは使用しない。
- 新鮮食材を使用する。
- 食品衛生法に基準があるものは、その基準に適合しているものを使用する。
- JAS規格(日本農林規格)のあるものは、その基準に適合しているものを使用する。
- 遺伝子組み換え食品については、JAS法の品質表示基準において表示が義務付けられているもので、その使用の表示があるものは使用しないこととし、表示義務の対象外の食品であっても、努めて避けるようにする。
以上の指針を踏まえた「京都市立総合支援学校給食物資標準規格集」を作成する。
2 物資の安全・衛生管理
(1)物資規格の遵守
使用する物資はすべて「京都市立総合支援学校給食用物資標準規格集」に適合する安全で衛生的なものであることを委託契約、仕様書、衛生管理基準等で明記している。
(2)物資登録届の提出
調理等委託業者は、契約締結時に使用する予定の物資について、規格・産地・卸業者などを記載した物資登録届を提出する。なお加工食品については、製造社から取り寄せた食品添加物の使用状況や原材料の配合割合が明記された書面を提出させ、安全性の確認をする。生鮮食品については、農薬検査、細菌検査の結果を報告する。
(3)使用物資報告書の提出
調理業者は、月単位で実際に使用する物資を報告する。
(4)実施価格報告書
調理業者は、月単位で実際に使用した物資と購入価格を報告する。
(5)物資の検収
物資の納入時に、賞味期限などを調理業者の検収担当者が確認の上、その結果を記録簿に記録させ、教育委員会担当者は、調理施設の立ち入り調査時に確認する。
(6)随時の立ち入り調査
随時、教育委員会担当者が調理施設の立ち入り調査を行い、物資の保管状況、検収の状況などを確認する。
衛生管理
学校給食は、総合支援学校児童・生徒の生命・健康に直結するものであり、衛生上の事故の発生は絶対許されないことから、食中毒の発生防止に重点を置いて衛生管理を徹底する。
1 登録審査時
総合支援学校長会、総合支援学校PTA連絡会、教育委員会、市食品衛生部局などの代表で構成された「京都市総合支援学校給食校外調理委託業者登録審査委員会」が、「京都市総合支援学校給食校外調理委託業者登録審査基準」に基づき、衛生的な調理作業を行うために必要な施設・設備を有しているかを実地審査により審査し、すべての基準を満たしている業者を登録業者とする。
2 契約締結時
食材の納入から調理、保冷配送、保管、再加熱に至るすべての過程で、文部科学省の「学校給食の衛生管理基準」や厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」等に準拠した厳格な衛生管理基準を定め、これを契約条件に含めて、契約締結時に調理業者を指導する。
3 契約締結後
- 調理従事者用のマニュアルを作成し、指導の徹底を図る。
- 定期的に全調理従事者を対象に「衛生管理研修会」を実施する。また、調理業者自らも定期的に研修を実施することを義務付ける。
- 毎月1回、「献立説明会」を開催し、使用する食材、調理方法、調理手順、衛生的な作業工程について詳細に指示する。
- 毎日の調理指示書の中で各作業の衛生管理に関するポイントを明確化し、衛生管理の徹底を指示する。
- 教育委員会担当者が、随時、事前の通告なしに、施設への立入調査、指導を行い、作業状況を点検・指導する。
- 毎学期1回、衛生管理基準に定めている記録書類について、点検を実施する。
4 衛生管理基準
衛生管理基準は文部科学省の「学校給食の衛生管理基準」や厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」等に準拠して定めるが、総合支援学校給食は、障害のある児童・生徒の生命・健康に直結するものであり、より厳格な基準を設定する。
(1)温度管理の徹底
冷却から、配送、保管にわたる過程で、0℃~3℃の温度管理の徹底を定める。
また、再加熱時(75℃以上1分以上)の温度管理を徹底し、65℃以上で給食時間まで保管する。
(2)アレルギー対応食
アレルギー物質が混入しないよう、十分洗浄・消毒された調理機器・器具を使用し、アレルギー対応食の種類ごとに安全を考慮した作業工程に基づき、調理する。
また、使用する食材、調味料及び調理方法等、他の給食と混在しないよう専用の調理ラインを設けるよう義務付け、京都市立総合支援学校給食衛生管理基準等で各々の調理手順を詳細に定める。
給食施設・設備
1 給食施設・設備
クックチルシステムを中心に、総合支援学校給食で行うさまざまな調理法に対応できる調理機器を設置する。
- 保冷設備 保冷庫、牛乳保冷庫、保存食用冷凍庫
- 調理機器 スチームコンベクションオーブン、炊飯器、ガスコンロ、ミキサー(再調整用)
- 保温設備 温蔵庫
- 保管設備 食器消毒保管庫、食缶消毒保管庫
2 食 器
総合支援学校給食で使用する食器について、内分泌かく乱化学物質との関係や、安全性、使いやすさを考慮し、安全で汚れの定着しない「PEN食器(ポリエチレンナフタレート製)」を採用する。
PEN食器の採用について
当時、養護学校長、教職員、保護者等で構成する「養護学校給食研究プロジェクト」において、「強化磁器食器」「PP食器(ポリプロピレン製)」「PEN食器」を候補として検討した結果、「強化磁器食器」については、割れた際の破片で子どもたちが怪我をしないか、また、「PP食器」については、長期間使用しているうちに、ソース系の汚れが定着してしまうなどの意見が出されたため、安全で汚れの定着しない、かつ、扱いやすい「PEN食器」が採用された。
3 ホテルパン・ホテルパンカバー
再加熱後、高温(65℃以上)で保管するホテルパンはそのままでは熱く、配食を行う児童・生徒が火傷をする、取り出す際に落とすなどの可能性があるため、専用のホテルパンカバーを用意し、ホテルパンを安全に取り扱えるようにする。
4 専用カート
給食室から教室までの移動、教室での配食の円滑化と配食時の給食の破却、児童・生徒の火傷などを防ぐため、給食配食用の専用カートを配分する。専用カートは、主食(ご飯・パン)、副食(デザート含む)、牛乳、食器をすべて乗せられる構造となっている。
お問い合わせ先
教育委員会事務局 体育健康教育室
学校給食担当
電話:075-708-5323
ファックス:075-551-9550