出展作品数86点(美術展 58点、高等学校絵画展 28点)から、文化普及会委員に選考していただき、11点の奨励賞が選ばれました。
(ホームページ掲載に承諾いただいた方のみ掲載しております。)
(参考)右京区民美術展開催案内
第36回右京区民美術展奨励賞受賞作品
日本画
作品名:愛 作者:松本 鐸造 様
(作者コメント)※ご家族による出展
私の父の作品です。父が亡くなり、遺作です。
父が生前の時に出展出来ていれば良かったなあと思いました。
(右京区民文化普及会委員 講評)
人物、特に裸婦というテーマは日本画にとって難しいものですが、淡い調子で非常に品が良く仕上がっています。
もう少しデッサン力、対象物の大きさなどに検討の余地があります。
洋画
作品名:モダン 作者:井口 正之眞 様
(作者コメント)
私は昔から日本画の淋派の表現を洋画で表わす事を
心掛けて作品をつくって来ました。(宇宙と生命力がテーマです。)
(右京区民文化普及会委員 講評)
具象画が多い中で抽象画は目を引き、レトロな額が効果的で大正ロマンを想いおこさせました。現代的な額に入れると又違う作品に見えると思います。
書
作品名:うさぎははねてもはねても 作者:井坪 芙美 様
(作者コメント)
書から遠のいていましたが、今年は自分が卯年なので一寸はねてみよかなと...応募しました。
(右京区民文化普及会委員 講評)
今年に相応しい題材を字間、行間共によく計算されており、仮名、漢字に絵まで加わりながらも上手く調和している。
変体仮名を入れてはいるが現代文体の形式として成立し得る新しい形として受賞作に決定した。
写真
作品名:初音ミク 作者:山内 早夫 様
(作者コメント)
嵐山にいると何やら大きな物を背負っている人を見つけ、
その後を見るとたくさんのぬいぐるみが...。
思わず何枚か撮ったものの1枚です。
(右京区民文化普及会委員 講評)
面白い出会いをされ、写し止められた事はとてもよかったと思います。
コロナで外出がままならない昨今、この人形を見ると明るい気持ちになります。
アドバイスとしては、初音ミクをもう少しアップに撮って、生き生きとした表情を主題にされるとよかったと思います。
陶芸・工芸・その他
作品名:鋼の想う夢 作者:川西 由美子 様
(作者コメント)
作品のテーマ「硬い鋼が花の様に咲いてみたいという
せつな想いを表現しました。」
(右京区民文化普及会委員 講評)
素材の見立てがとても魅力的で構成が力強くかつ丁寧に細かいところまで表現され、素晴らしい作品だと思いました。
紙粘土で作られたと後で知り驚きました。大変インパクトのある作品です。
右京区内高等学校絵画展
学校名、作品名、作者名、コメントについては、公表について了承いただいた方のみ、記載しております。学年は出展時の学年を記載しております。
学校:花園高等学校 学年:2年
作品名:洗濯機 作者:佐野 絢音 様
(作者コメント)
色とりどりの洗濯もの以外を青にすることで、全体に統一感をもたせました。
この絵の一番のポイントは手です。一番こまりました!!
(右京区民文化普及会委員 講評)
クールなキャラクターがドラム式洗濯機の中から腕を伸ばして、「さあ、こっちにおいでよ」と言わんばかりに鑑賞者を誘っています。中を見るとカラフルな布のようなものがいっぱい。
中に入れば日々の悩みや嫌なことを全部洗い流してくれて新しい自分に生まれ変われるのでしょうか。それとも、これはタイムマシーンか何かで、時間ごと全く違う新しい世界に私を連れて行ってくれるのでしょうか。タイトルも含め想像が膨らむ素敵なイラストレーションの作品です。
学校:京都府立北嵯峨高等学校 学年:3年
作品名:ジャカランダのトンネルの中で 作者:井上 幸咲 様
(作者コメント)
木の色味が渋すぎず、鮮やかすぎず、
自然に見えるように色々な色を使用しました。
(右京区民文化普及会委員 講評)
初めて聞く名前だったので調べてみたところ、日本ではなかなか見る機会のない花で、和名は「紫雲木」だそうです。青紫色の花が咲き誇っている様子を丁寧な筆致と豊かな色彩の変化で、その名の通りふんわりと雲が重なるように描いています。この花の見頃は日本で言うところの初夏のようですが、紫色に包まれた花のトンネルの描写からその季節の温暖な空気感も感じることができ、ライトアップされた日本の桜並木に匹敵する異国の名所に案内されたかのような気分になりました。
学校:京都府立聾学校 高等部 学年:3年
作品名:いきものイラスト 作者:石原 未優 様
(作者コメント)
描きたいいきものを選んで、自分でストーリーを考えながら描きました。
(右京区民文化普及会委員 講評)
作者が「描きたいものを選んで、ストーリーを考えて描いた」と語っているように、何気ない発想をもとに、数色の色ペンだけを使って自由に描いたユーモアのある作品で、
アートは私たちの身近にあるのだとあらためて感じさせてくれる作品です。また、それぞれのイラストに使われている印象的な色と同系色の丸いフレームに絵をはめ込むことで、1枚のイラストレーション作品として成立させるとともに、鑑賞者にはその前後のストーリーを意識させ、自由な想像を促すことにもつながっています。
学校:京都光華高等学校 学年:3年
作品名:身支度 作者:宮本 真洸 様
(右京区民文化普及会委員 講評)
ひし形の変形パネルに面相筆のような細い筆で繊細に描かれており、このパネル自体が自分を映す鏡のようにも感じられる不思議な雰囲気の作品です。
描かれた人物は耳に手をかざして何かを注意深く聴き取ろうとしているようにも見えます。
自分の言動や思考を他人はどのように見ているのか、そんな見えない言葉を聴こうとしている自分なのかもしれません。
「映し鏡」という言葉がありますが、「他人は自分を映し出す鏡」としてとらえて、自分の心を変えようと努力している姿なのでしょうか。
学校:京都府立北桑田高等学校 学年:2年
作品名:十人十色 作者:上林 桃 様
(文化普及会委員 講評)
コンピュータのキーボードという極めて画一的で無機質なモチーフを平面的な構図で捉え、普通なら単色でマットな質感に仕上げるところを、柔らかく温かみのある色彩とトーンで丁寧に描き分けています。
また、キーの立体感を表現するための陰影が、あえてシャープさを抑えた文字や記号のレタリングと相まって、タイトル通りキーを擬人化した「それぞれの個性」という主題の表現にうまくつながったと思います。
言われてみると全く同じものがないことにあらためて気づかされた作品でした。