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寄稿「ここ京都 西陣から,祈る」田中峰子

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2011年10月25日

 「きょうとシティグラフ2011」に掲載された,田中峰子氏の寄稿を掲載しています。

ここ京都 西陣から,祈る

【寄稿】 冨田屋 田中 峰子

日本に京都があってよかった・・・ 日本人の忘れ物は・・・

「京都」の素晴らしさは,有形のものだけではなく,「京都に息づく目に見えない心」だと思います。しきたりや行事はすべて,無病息災・家内安全を祈ってのもの。神社,仏閣もさることながら,通りや路地にあるお地蔵さんに頭を下げて行きかう人々,早朝に花を手向ける人々。その姿は,人の心を深く癒す。京に訪れた人々をホッとさせるそんな日常は,京都の「無形の宝」です。家々に伝わる季節の行事にもすべてに意味があり,八百万の神々と暮らす京は,人に感動をもたらし,人を再び訪れたくなるような優しさの中に包む。

3月,未曾有の東日本大震災は,日本人に「生き方」を気づかせた。人への思いやり,優しさ,自然を尊敬する心の大切さを思い起こさせた。平安時代疫病が流行した際,当時の国の数にちなんで66本の鉾を立て,国すべてに祈りを捧げたことが始まりの「祇園祭」に想いを馳せる。人,自然,物までを対象とした畏敬の念は,針供養・人形供養などの文化からも見てとれる。すべてのものに命があると考えた京都。その地域への愛は,守り続ける力となり,時を経て強靱な歴史を築き上げた。

毎日,京のどこかで執りおこなわれている神事や節句,四季折々の町家の祈り。形のないものをいかに守り続けるか,伝承できるか。時々めげてしまいそうになる時があるが,ゆるりと時が過ぎていた頃の形のない姿の中にこそ,「本当の心」が見えるかもしれない。

積み上げた歴史と心は人を感動させる。傷ましい状況での東北の人々の頑張りに世界が感動したように・・・。私たちは京都から何ができるか? 日本の心の原点を大切に,「人」という字のようにつながり支え合っていく心を,どこかに置き忘れることなく歩んでいかなければならないと強く日々祈り誓う。

田中峰子氏プロフィール

 京都西陣にある商家特有の様式を残した老舗呉服商「冨田屋」十三代目。「文化の中心西陣で,着物の魅力や代々受け継がれるしきたりなどが,生活をより上質にする」。この文化の大切さを広めるべく家業を営む傍ら,暮らしの美術館として「冨田屋」を公開し,古きよき時代の生き方を伝えています。
(冨田屋は国登録有形文化財,京都市景観重要建造物に指定)

お問い合わせ先

京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

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