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平成10年11月13日付け職福第442号 |
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「人事院規則10−10(セクシュアルハラスメントの防止等)の運用について(通知)」 |
(別紙2) |
セクシュアル・ハラスメントに関する苦情相談に対応するに当たり留意すべき事項についての指針
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第1 基本的な心構え |
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職員からの苦情相談に対応するに当たっては,相談員は次の事項に留意する必要がある。 |
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1 被害者を含む当事者にとって適切かつ効果的な対応は何かという視点を常に持つこと。 |
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2 事態を悪化させないために,迅速な対応を心がけること。 |
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3 関係者のプライバシーや名誉その他の人権を尊重するとともに,知り得た秘密を厳守すること。 |
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第2 苦情相談の事務の進め方 |
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1 苦情相談を受ける際の相談員の体制等 |
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一 苦情相談を受ける際には,原則として2人の相談員で対応すること。 |
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二 苦情相談を受けるに当たっては,同性の相談員が同席するよう努めること。 |
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三 相談員は,苦情相談に適切に対応するために,相互に連携し,協力すること。 |
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四 実際に苦情相談を受けるに当たっては,その内容を相談員以外の者に見聞されないよう周りから遮断した場所で行うこと。 |
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2 相談者から事実関係等を聴取するに当たり留意すべき事項 |
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苦情相談を行う職員(以下「相談者」という。)から事実関係等を聴取するに当たっては,次の事項に留意する必要がある。 |
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一 相談者の求めるものを把握すること。 |
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将来の言動の抑止等,今後も発生が見込まれる言動への対応を求めるものであるのか,又は喪失した利益の回復,謝罪要求等過去にあった言動に対する対応を求めるものであるのかについて把握する。 |
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二 どの程度の時間的な余裕があるのかについて把握すること。 |
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相談者の心身の状態等に鑑み,苦情相談への対応に当たりどの程度の時間的な余裕があるのかを把握する。 |
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三 相談者の主張に真摯に耳を傾け丁寧に話を聴くこと。 |
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特に相談者が被害者の場合,セクシュアル・ハラスメントを受けた心理的な影響から必ずしも理路整然と話すとは限らない。むしろ脱線することも十分想定されるが,事実関係を把握することは極めて重要であるので,忍耐強く聴くよう努める。 |
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四 事実関係については,次の事項を把握すること。 |
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(1)当時者(被害者及び加害者とされる職員)間の関係 |
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(2)問題とされる言動が,いつ,どこで,どのように行われたか。 |
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(3)相談者は,加害者とされる職員に対してどのような対応をとったか。 |
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(4)監督者等に対する相談を行っているか。 |
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なお,これらの事実を確認する場合,相談者が主張する内容については,当事者のみが知り得るものか,又は他に目撃者はいるのかを把握する。 |
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五 聴取した事実関係等を相談者に確認すること。 |
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聞き間違えの修正並びに聞き漏らした事項及び言い忘れた事項の補充ができるので,聴取事項を書面で示したり,復唱するなどして相談者に確認する。 |
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六 聴取した事実関係等については,必ず記録にしてとっておくこと。 |
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3 加害者とされる職員からの事実関係等の聴取 |
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一 原則として,加害者とされる職員から事実関係等を聴取する必要がある。ただし,セクシュアル・ハラスメントが職場内で行われ比較的軽微なものであり,対応に時間的な余裕がある場合などは,監督者の観察,指導による対応が適当な場合も考えられるので,その都度適切な方法を選択して対応する。 |
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二 加害者とされる者から事実関係等を聴取する場合には,加害者とされる者に対して十分な弁明の機会を与える。 |
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三 加害者とされる者から事実関係等を聴取するに当たっては,その主張しに真摯に耳を傾け丁寧に話を聴くなど,相談者から事実関係等を聴取する際の留意事項を参考にし,適切に対応する。 |
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4 第三者からの事実関係等の聴取 |
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職場内で行われたとされるセクシュアル・ハラスメントについて当事者間で事実関係に関する主張に不一致があり,事実の確認が十分にできないと認められる場合などは,第三者から事実関係等を聴取することも必要である。
この場合,相談者から事実関係等を聴取する際の留意事項を参考にし,適切に対応する。 |
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5 相談者に対する説明 |
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苦情相談に関し,具体的にとられた対応については,相談者に説明する。 |
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第3 問題処理のための具体的な対応例 |
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相談員が,苦情相談に対応するに当たっては,セクシュアル・ハラスメントに関して相当程度の知識を持ち,個々の事例に即して柔軟に対応することが基本となることは言うまでもないが,具体的には,事例に応じて次のような対処が方策として考えられる。 |
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1 セクシュアル・ハラスメントを受けたとする職員からの苦情相談 |
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一 職員の監督者等に対し,加害者とされる職員に指導するよう要請する。 |
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(例) |
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職場内で行われるセクシュアル・ハラスメントのうち,その対応に時間的な余裕があると判断されるものについては,職場の監督者等に状況を観察するよう要請し,加害者とされる職員の言動のうち問題があると認められるものを適宜注意させる。 |
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二 加害者に対して直接注意する。 |
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(例) |
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性的なからかいの対象にするなどの行為を頻繁に行うことが問題にされている場合において,加害者とされる職員は親しみの表現として発言等を行っており,それがセクシュアル・ハラスメントであるとの意識がない場合には,相談員が加害者とされる職員に対し,その行動がセクシュアル・ハラスメントに該当することを直接注意する。 |
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三 被害者に対して指導,助言をする。 |
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(例) |
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職場の同僚から好意を抱かれ食事やデートにしつこく誘われるが,相談者がそれを苦痛に感じている場合については,相談者自身が相手の職員に対して明確に意思表示をするよう助言する。 |
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四 当事者間のあっせんを行う |
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(例) |
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被害者がセクシュアル・ハラスメントを行った加害者に謝罪を求めている場合において,加害者も自らの言動について反省しているときには,被害者の要求を加害者に伝え,加害者に対して謝罪を促すようあっせんする。 |
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五 人事上必要な措置を講じるため,人事当局との連携をとる。 |
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(例) |
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セクシュアル・ハラスメントの内容がかなり深刻な場合で被害者と加害者とを同じ職場で勤務させることが適当でないと判断される場合などには,人事当局との十分な連携の下に当事者の人事異動等の措置をとることも必要となる。 |
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2 セクシュアル・ハラスメントであるとの指摘を受けたが納得いかない旨の相談 |
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(例) |
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昼休みに自席で週刊誌のグラビアのヌード写真を周囲の目に触れるように眺めていたところ,隣に座っている同僚の女性職員から,他の職員の目に触れるのはセクシュアル・ハラスメントであるとの指摘を受けたが,納得いかない旨の相談があった場合には,相談者に対し,周囲の職員が不快に感じる以上はセクシュアル・ハラスメントに当たる旨注意喚起をする。 |
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3 第三者からの苦情相談 |
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(例) |
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同僚の女性職員がその上司から性的なからかいを日常的に繰り返し受けているのを見て不快に思う職員から相談があった場合には,同僚の女性職員及びその上司から事情を聴き,その事実がセクシュアル・ハラスメントであると認められる場合には,その上司に対して監督者を通じ,又は相談員が直接に注意を促す。 |
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(例) |
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非常勤職員に執拗につきまとったり,その身体に不必要に触る職員がいるが,非常勤職員である本人は,立場が弱いため苦情を申し出ることをしないような場合について第三者から相談があったときには,本人から事情を聴き,事実が認められる場合には,本人の意向を踏まえた上で,監督者を通じ,又は相談員が直接に加害者とされる職員から事情を聴き,注意する。 |
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