京都市セクシュアルハラスメント防止に関する方針
平成11年4月1日
1 基本的な考え方
 セクシュアルハラスメントは,個人の尊厳と人格を不当に侵害し,また,仕事の円滑な遂行や職場の人間関係に悪影響を与える重大な問題です。今日,権利意識の高まりなどから,職場におけるセクシュアルハラスメントが大きく社会問題化し,特に,女性に対する性的な言動により,女性就業者の就業環境が害される事例が指摘されています。
 こうした中で,平成9年に男女雇用機会均等法が改正され,この中で,事業主に対して,「職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の配慮」義務が新たに規定され,平成11年4月1日から施行されることになりました。これは,地方公務 員にも適用されるものです。事業主である京都市は,「京都市セクシュアルハラスメント防止に関する方針」をここに明確化し,その周知・啓発等に努めます。
 公務の円滑かつ効率的な推進のためには,すべての職員(臨時的任用職員や非常勤嘱託員などを含む。)の人格が尊重され,男女お互いが信頼し,対等なパ−トナ−として働くことができる快適な就業環境が必要です。この「京都市セクシュアルハラスメント防止に関する方針」は,セクシュアルハラスメントのない,明るく元気な職場づくりを進めていくため,職場におけるセクシュアルハラスメントの内容を示すとともに,その防止策及び生じた場合の対応において配慮すべき事項を定めるものです。
2 セクシュアルハラスメントについて
(1) 職場におけるセクシュアルハラスメント
 職場(外勤先や出張先など通常勤務している場所以外の場所も含む。)において,性的な言動によって他の人を不快にさせることです。とりわけ,被害を受けた職員の対応により,勤務条件で不利益な扱いをするようなことがあってはなりません。「性的な言動」には,性的な関心や欲求に基づくもののほか,性的な差別意識(性別役割分担意識など)に基づくものも含まれます。
 「他の人を不快にさせる」場合には,@職員が,他の職員を不快にさせる場合,A職員が,その職務に従事する際に接する来客など職員以外の人を不快にさせる場合,B職員以外の人が,職員を不快にさせる場合が考えられます。
 また,男性に対する場合もセクシュアルハラスメントになります。
 なお,アフターファイブなど職場外で行われたものでも職場の延長と考えられるものについては,セクシュアルハラスメントになります。
(2) 具体的な事例
 セクシュアルハラスメントになり得る例として,相手の意思に反した次のような言動が考えられます。
○ 性的な関心や欲求に基づくもの
・ 性的関係の強要
・ 不必要に体に触れること。
・ 食事やデートにしつこく誘うこと。
・ スリーサイズを聞くなど身体的特徴を話題にすること。
・ 「今日は生理日か」,「もう更年期か」など女性の生理に関することや,性的な経験,性生活に関することについて質問すること。
・ 性的な内容の電話をかけたり,性的な内容の手紙・Eメールを送ること。
・ 性に関する発言(いわゆる猥談)
・ ポルノ写真などわいせつ物を意図的に見せること。
・ 性的なうわさを流すこと。
・ 更衣室やトイレをのぞき見すること。
・ 人目に付く所にヌ−ドポスタ−・わいせつ図書を掲示すること。
○ 性的な差別意識(性別役割分担意識など)に基づくものなど
・ 女性であるというだけで職場でお茶くみ,掃除,私用等を強要すること。
・ カラオケでのデュエットをしつこく強要すること。
・ 酒席で,上司の隣に座席を指定したり,お酌やダンス等を強要すること。
・ 「男のくせに,女のくせに」,「女性は職場の花であれば良い」などの発言
・ 「男の子,女の子」,「おっさん,おばはん」などと人格を認めないような発言
3 職員の取るべき行動
(1) 基本的な心構え
 セクシュアルハラスメントのない明るい職場づくりには,職員一人一人が次のことを十分認識し,行動する必要があります。
・ お互いの人格を尊重し合い,お互いが対等なパートナーであるという意識を持つこと。
・ 相手を性的な関心の対象としてのみ見る意識をなくすこと。とりわけ職場における上下関係などを利用して,性的な言動を行わないこと。
・ 性に関する言動に対する受止方には個人間,男女間で差があり,相手が嫌がっていることは決して繰り返さないこと。
・ この程度のことは,相手も許容するだろうという勝手な憶測をしたり,相手との良好な人間関係ができていると勝手な思い込みをしたりしないこと。
・ セクシュアルハラスメントをなくすことは当事者間だけの問題でなく,良好な就業環境の形成に重要であるとの考えに立って,勇気を持って行動すること。
(2) セクシュアルハラスメントが生じた場合の対応
・ 嫌なことは相手に対して明確に意思表示すること。
・ まず,職場の同僚や上司など身近な信頼できる人に相談すること。職場内で解決することが困難な場合には,気軽に5に定める相談員に相談してください。
・ 職場などでセクシュアルハラスメントが見受けられる場合は,職場の同僚として注意を促し,また,被害者に声を掛けて相談に乗ること。
4 管理監督者の役割
 職務に専念できる良好な就業環境を確保するため,各職場の管理監督者は,セクシュアルハラスメントにより所属職員の能力の発揮に悪影響が及ぶなど就業上の不利益や被害が生ずることのないよう,その防止に努めるとともに,問題が発生した場合,迅速かつ適切な処理を行うものとし,常に次のことを心掛けてください。
・ 職場でのミーティングや研修等を通じ,職員の意識の向上に努めること。
・ 職場でセクシュアルハラスメントが生じていないか,又は生じるおそれがないか,就業環境に十分な注意を払うこと。
・ 職員等からセクシュアルハラスメントに関する苦情相談があった場合は,真摯かつ迅速に対応すること。
・ セクシュアルハラスメントについて問題提起する職員等をいわゆるトラブル・メーカーと見たり,セクシュアルハラスメントに関する問題を当事者間の個人的なものとして片付けないこと。
・ セクシュアルハラスメントにより苦情等を申し出た職員に対して,勤務条件で不利益な扱いをしないこと。
・ 次項に定める相談員又は関係部局の職員が行う調査に協力するとともに,その指導,助言などに基づき,就業環境の改善に努めること。
5 セクシュアルハラスメントに関する相談窓口
 セクシュアルハラスメントの形態は極めて多様であり,各職場での解決が難しい場合や,上司等に相談しにくい事例も考えられます。このため,職員等が気軽に相談できる相談窓口を設置します。
 相談は,被害者のほか,他の職員が被害を受けているのを見て不快に感じる職員,他の職員からセクシュアルハラスメントをしている旨の指摘を受けた職員,部下等からの相談を受けた管理監督者などにも対応します。
 苦情相談には専任の相談員及び任命権者が職員の中から指名した相談員が,人事院が定めた「セクシュアルハラスメントに関する苦情相談に対応するに当たり留意すべき事項についての指針」(平成10年11月13日付け職福第442号「人事院規則10-10(セクシュアルハラスメントの防止等)の運用について(通知)」別紙2)を踏まえて公平に調査等を行い,必要に応じて職員の服務監察を行う服務監・監察員等と連携しながら,加害者とされる者や所属長などに対し必要な指導を行います。また,被害者をはじめ関係者のプライバシーを守り,不利益を被ることのないように配慮します。
6 京都市セクシュアルハラスメント調査委員会
 セクシュアルハラスメントに関する苦情を審議し,公正な処理を行うため,任命権者(以下「委員会」といいます。)を設置します。
 相談員が調査した結果,委員会で処理することが適当であると判断した場合,又は相談員に苦情・相談を行った者(相談者)が委員会での処理を求めたとき,若しくは加害者とされる者が委員会での処理を求めたときには,委員会がその処理に当たります。
7 守秘義務
 相談員及び「京都市セクシュアルハラスメント調査委員会」の委員は,相談業務等において知り得た事項について,その秘密を保持しなければなりません。
8 懲戒処分等
 セクシュアルハラスメントは,その程度によっては,信用失墜行為,全体の奉仕者としてふさわしくない非行などに該当し,加害者やその管理監督者を懲戒処分等の人事管理上の措置を行うことがあります。